白石朗のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ見事にキングらしい小説でした。
続きが気になってぐんぐん読み進められる、論理的に説明できないことはそのままスルー、大きな世界を書いているようで実は人の心が一番大きい。
世界平和を実現するためにケネディ暗殺を阻止しようとするジェイク。
しかし過去は改変されることに抵抗する。
改変が大きくなればなるほど、抵抗も大きくなる。
ケネディ暗殺を阻止することは、ジェイクの命がけのミッションとなる。
さて、読者である私は、ケネディが暗殺された世界に生きている。
だからキングが本格的なSF作家でも歴史小説家でもないのだから、多分ケネディは暗殺されると予想。
そのうえで、多くの試練を乗り越えてきているジェイクとセイディーの恋はハッピーエンドで終わると想像し、落としどころを考える。
結末は、ものすごく納得。
実はラストを考えたのは息子さんらしいけど、これ以外のラストなら、私はきっと文句を言っていたと思う。
自分では考えつかなかったけれど。
ただ、ここがキングらしくスルーされているけれど、ジェイクには過去を変える義務はないはずなのに、なぜああも暗殺阻止に全力を尽くすのか。
本人も阻止するためにオズワルドを殺さなければならないことに十分なためらいを持っているのに、後戻りできなくなっている。
どういう生い立ちの持ち主が、そのような思考の持ち主になるのかと疑問に思ったけれど、ジェイクの過去についてはアル中の妻と最近離婚したことくらいしかない。
ジェイクの過去は、ストーリーを動かすのには無関係ということだ。
ではなぜ、気の向かない義務でもないことにジェイクは関わっていこうとするのか。
このあいだ読んだ伊坂幸太郎の小説に、詐欺師の手口が書いてあった。
自分の選ぶ道は気の向かない選択肢2つしかないと思わせ、ならばこっちを選ぶしかないと誘導するのだそうだ。
ケネディ暗殺を阻止するか、自分の恋愛を優先するか。
2択しかないと思われたジェイクの選んだ道は…。
作品本編も面白かったけど、岐路に立つたびにジェイクが選ばなかった未来を想像するのも楽しかった。(必ずしもハッピーエンドではないけれど)
タイムトラベル物って、そういうところがすごく好き。
ああ、楽しかった。 -
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スティーブンキング、おもしろい。
僕が今まで読んだことのある小説の中ではITが最高傑作ではないかと思っているが、この11/22/63はそれと同じか、それに次ぐ面白さだった。
主人公、ジェイコブ・エピングは行きつけのハンバーガー屋の店主・アルから1963年の過去に行き、JFケネディ大統領暗殺を食い止めてほしいというぶっとんだことを頼まれる。そう、ザ・タイムワープ!主人公ジェイクは、その依頼を受けるべきか受けざるべきか、過去のアメリカに行くべきか行かざるべきか迷うが、行きます。もちろん。
この小説が発表されたのは2011年。その時点から考えて50年前の過去に行き、そこに住み生活し、大統領暗殺を食い止めるというミッションを果たすためには様々な困難を乗り越えなければならない。金も稼がなくてはならないし、住居も見つけなければならない。未来の(つまり2011年の)友達とは離れ離れになるし、現在の(つまり1963年の)人々とうまくやっていかなくてはならない。(50年のジェネレーションギャップ)
読者としては、なんでそこまで苦労して大統領暗殺という大ミッションを、主人公が自分の使命としてやるものだと考えているのかちょっと謎だが、ともかくも彼はやる。やろうとする。
そこで一番のテーマは、主人公アンバーソン(偽名)が過去の世界で見つけた恋人セイディーとのあれやこれや。彼女との恋愛の描写は本当に素晴らしく、読者の心を持っていく。また、セイディーと過ごしたジョーディーという街で出会った人々の温かさ、彼が与えたもの、彼が与えられたもの・交流の様子も素晴らしくて、スティーブンキングはすごく残酷な物語も書く一方で、すごく温かい物語も書くんだなぁ、歴史に残る天才だと思います。 -
Posted by ブクログ
「ミスター・メルセデス」(上・下) スティーブン・キング。白石朗訳。文春文庫。アメリカでは2014年発表のようです。
2019年1月に読みました。
スティーブン・キングさんは凄い。らしい。とずっと思っていました。
「スタンド・バイ・ミー」とか、いくつかの短編は読んだんです。
それだけでも凄みは伝わります。
ただ、個人的に「怖い話」が怖くて・・・敬って遠ざけていましたが、数年前に「11/22/63」を読んであまりの面白さにぶっ飛んでしまいました。脱帽。
そして、今回「ミスター・メルセデス」。
売り文句として「ホラーでは無い!SFでもない!とうとうキングが本格ミステリに降臨!」という感じでしたので、
「これは、読まねば」と。
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ビル・ホッジスさんという、定年退職した元刑事が探偵役として活躍する話なのですが、
キングさんはその後、続編、続続編として、
「ファインダーズ・キーパーズ」「任務の終わり」を上梓されていて、「ホッジス三部作」なんだそう。
いずれ読むのが楽しみ。
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もうだいぶ失念して居ますが。
とにかく田舎町で。何かの雇用イベントがどこかのホールで行われます。
仕事が必要な人が、夜明け前から大行列を作って並んでいます。
そこに、ベンツがやってくる。
その行列に突っ込んで、轢き殺しまくって、去って行く。
その、犯人を捜す。追い詰める。というお話し。
(世故なことをつい。ベンツ社に、事前にOK貰うのかな・・・絶対拒否されると思うんだけどなあ・・・良いイメージ、ひとかけらも無いですから)
スティーブン・キングさんのコリコリした個性は、結局どこまで行っても、弱者、苛められるものたちの皮膚感覚とでも言うべきものを、
本当にヒリヒリと描くことにあるのではと思います。
もちろんそこにエンタメ技術がドンっと乗っかるわけですが。
もう冒頭の、就業イベント会場の外で、寒中行列をする人々の切なさ、痛み。
そして、襲来するベンツ。
この対比と語り口のエグみだけで、白いご飯が三膳は食べられます。ごちそうさまです。
主人公も、当然ながら全くヒーローでは無い。
むしろ人間としての弱み、情けなさを垂れ流しながらとぼとぼと犯人と対決を強いられる。
迫り来る脅威、相手の分からない圧力。うーん、ヒッチコック。出来の良いときのデパルマ。
どうでもいい感想ですが、「ああ、肉食の文化だなあ」という読後感。
書き手の、とにかく最後は体力だ!みたいな、圧倒的な力感、と、でも言いますか。
なんかこう、芥川の朱儒の言葉とか田山花袋の蒲団だとか、城之崎にて小僧が神様だったり咳をしてもひとりだったりするような、
そういう何だか米と野菜とせいぜい魚を食べてきた文化の生み出すブンガクなるものとは、全く違う競技というか。
もっと荒々しく、喧嘩上等、互いに片腕同士を結わえた殴り合い、とでも言うべきフィジカル感。
まあ、咳をして分け入っても青い山だったりするのも、大好きではあるんですけれど。
精進料理も漬物茶漬けも絶品なんですが、たまに食べると上等な牛肉の味わい、その快楽にたじたじとなる・・・という読書でした。 -
Posted by ブクログ
キングが書いたミステリー。
いきなり、エドガー賞、とってるよ。
仕事を求める人の列の中に、暴走車がつっこみ多数の死者を残して立ち去る。事件は未解決のままであったが、担当していた退職刑事のもとに犯人からの挑戦状が届く。
とりあえず、あれだ「雉も鳴かずば撃たれまい」だな。
元刑事のホッジズは昔かたぎって感じで、昨今のアイテムに弱い。そこをフォローする高校生や、犯行に使われた車の持ち主の妹や、彼を助ける人物像がどれもいい。
人の善良性や人生の光を信じている感じがある。
だからこそ、犯人の醜悪さや闇に向かう心が、いやな汗のようにまとわりついてくるのだけどね。
また、事件によって人生を狂わされた人々の哀れが切ない。
昨今のミステリーは、犯人にもこういう事情があって、とちょっと同情的なものが多い気がするのだけど、そういうのはない。確かに、幸せな生い立ちとはいえない。が、それがどうした。犯人の罪と人となりは、とにかく醜悪だった。
と、後半に向かって、急展開になっていくあたりは、さすがにキングって感じだった。
が、そうきたか。
そうなのと、ちょっと…。
年齢重ねてキングも丸くなったと思っていたのにww
実際、推理小説としてはどうなの、って思わないではい。基本、犯人がボロを出すって動きだからね。
が、小説としては、群像小説としては、最高だと思う。
続編もすでにあるみたなので、楽しみ! -
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キングが書いたミステリー。
いきなり、エドガー賞、とってるよ。
仕事を求める人の列の中に、暴走車がつっこみ多数の死者を残して立ち去る。事件は未解決のままであったが、担当していた退職刑事のもとに犯人からの挑戦状が届く。
とりあえず、あれだ「雉も鳴かずば撃たれまい」だな。
元刑事のホッジズは昔かたぎって感じで、昨今のアイテムに弱い。そこをフォローする高校生や、犯行に使われた車の持ち主の妹や、彼を助ける人物像がどれもいい。
人の善良性や人生の光を信じている感じがある。
だからこそ、犯人の醜悪さや闇に向かう心が、いやな汗のようにまとわりついてくるのだけどね。
また、事件によって人生を狂わされた人々の哀れが切ない。
昨今のミステリーは、犯人にもこういう事情があって、とちょっと同情的なものが多い気がするのだけど、そういうのはない。確かに、幸せな生い立ちとはいえない。が、それがどうした。犯人の罪と人となりは、とにかく醜悪だった。
と、後半に向かって、急展開になっていくあたりは、さすがにキングって感じだった。
が、そうきたか。
そうなのと、ちょっと…。
年齢重ねてキングも丸くなったと思っていたのにww
実際、推理小説としてはどうなの、って思わないではい。基本、犯人がボロを出すって動きだからね。
が、小説としては、群像小説としては、最高だと思う。
続編もすでにあるみたなので、楽しみ! -
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「シャイニング」の後の話。
惨劇から生き残ったダン少年だったが、その<かがやき>ゆえに、というか、事件のトラウマゆえというか、彼そのものの気質のせいか、苦難に満ちた人生を歩んでいく。
というのが、前半で、つらい。
もうどうしようもない感じで、坂道を転がっていく様が、淡々と描かれるのでさらに救いがない。というか、ダンが本気で救われようとしてないんだよね。でも、それをせめるということもなく、かといって憐れむでもなく、一定の距離をおいて書き進めていけるのは、キングの筆力なんだろう。
なので、小さな女の子の存在に結構癒されるのである。
とはいえ、彼女アブラも<かがやき>の持ち主で、色々トラブルにあうのだけど、彼女の場合両親とその周りがしっかりしていた。
アブラが成長していく過程を読んでいくたびに、ダンの父の弱さが浮かび上がってくる。
同時に、弱さを受け継ぎ、それに屈してしまいそうになりながら、あがくダンの姿も明瞭になってくる。
光を目指しているような二人の姿の陰に、<かがやき>を食べて生き続けている一族が近寄ってくる。
これはこれで始終暗い。
ようするに、色々な対比、というか対立の話なのだろう。
対立は、他者と自分であるのは当然だが、自分自身の中にあるものとの対立も常に存在する。自身の中のものはどちらがが勝つとか負けるとかではなく、バランスなのだ。バランスであるということを、受け入れることが重要なのだ。
後半の戦いは、一気読み必至です。
でもってキングも丸くなったねぇ、って感じ。
結論、キングは最高!! なのだ。 -
Posted by ブクログ
「シャイニング」の後の話。
惨劇から生き残ったダン少年だったが、その<かがやき>ゆえに、というか、事件のトラウマゆえというか、彼そのものの気質のせいか、苦難に満ちた人生を歩んでいく。
というのが、前半で、つらい。
もうどうしようもない感じで、坂道を転がっていく様が、淡々と描かれるのでさらに救いがない。というか、ダンが本気で救われようとしてないんだよね。でも、それをせめるということもなく、かといって憐れむでもなく、一定の距離をおいて書き進めていけるのは、キングの筆力なんだろう。
なので、小さな女の子の存在に結構癒されるのである。
とはいえ、彼女アブラも<かがやき>の持ち主で、色々トラブルにあうのだけど、彼女の場合両親とその周りがしっかりしていた。
アブラが成長していく過程を読んでいくたびに、ダンの父の弱さが浮かび上がってくる。
同時に、弱さを受け継ぎ、それに屈してしまいそうになりながら、あがくダンの姿も明瞭になってくる。
光を目指しているような二人の姿の陰に、<かがやき>を食べて生き続けている一族が近寄ってくる。
これはこれで始終暗い。
ようするに、色々な対比、というか対立の話なのだろう。
対立は、他者と自分であるのは当然だが、自分自身の中にあるものとの対立も常に存在する。自身の中のものはどちらがが勝つとか負けるとかではなく、バランスなのだ。バランスであるということを、受け入れることが重要なのだ。
後半の戦いは、一気読み必至です。
でもってキングも丸くなったねぇ、って感じ。
結論、キングは最高!! なのだ。