白石朗のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大好きなキング作品でしかも今回は厨二心をくすぐる設定だ!と思ったのですがちょっと主人公にとって都合が良すぎたかな、と思いました。
いつも通り面白かったですが、「特別」ではなかったです。
殺し屋が小説を書く。
これで引退(漢の最後の仕事)という設定。
技術と経験で敵を出し抜いていく。
本当はそうではないのに周りには頭が悪い、と思わせている。
助けてしまった少女から好意を向けられる。
男の子やおじさんが好む設定(もちろん僕も)ですが実はそれよりも期待していた、それらを吹き飛ばす位の出来事や追い詰められたり絶望を感じる描写がなかったのが物足りなかったです。
キング作品の主人公なのに。暗黒面に堕ちることもなく、トラブルも切り抜けて生きます。
あえて乾いた感じ、ハードボイルド風にしたのかな、とも思いましたが、主人公がずっと勝ち続けるのは、異世界モノで無双したり、漫画ゴラクで若い女の子にモテたりする居心地の悪さを感じました。
こうなればいいな、とそうはならない、のバランスがキングの良さなのに、と思いました。
小説を書く事についての描写はさすがでした。キングの執筆術、と思うと全てが興味深かったです。(「書く事について」を思い出します)
執筆にのめり込みすぎて本業が疎かになったり、精神に異常をきたしたり、などという事もなくメインのストーリーの程よい味付けとなっていました。
少し拍子抜けでした。
前半では主人公が正体を偽り、街や同じビルの人たちと交流します。
キング作品のモブキャラの必要以上の細かい描写、通りすがりの人物からの思わぬ助け、などが大好きな僕にとっては読んでいて楽しい部分でした。
が、もっとモブキャラとの絡みが読みたかったです。
正体を隠した上で周りの人々との交流、とはっきり謳っているのに、「地下に潜って逃走する」という街の人が助けたり助けなかったり出来る状況なのに、思ったほど魅力的なモブキャラや、やりとりが出てこなかったのが残念です。
変なところでハードルを上げすぎた故の不満はありますが、キング作品の面白さとしてはいつも通りです。
終盤立ちはだかる女性の敵がいいキャラでした。
大物でもないし、話も通じない狂人感があるのに、他の敵キャラと違い主人公のことを見抜き、唯一出し抜かれないのがかっこよかったです。
小説を書く、という事を意識させてくれる作品でもありました。
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Posted by ブクログ
ネタバレ事前情報を一切知らずに読み始めております。
物語の中で、メルセデス・ベンツで求職者の人々の列に突っ込んで無差別大量殺人を犯したブレイディ・ハートフィールドは「メルセデス・キラー」のニックネームを名乗っておりますが(マスコミに付けられた、といいますか)、何故にこの本のタイトルは「ミスター・メルセデス」なんだろう?そこの違いには、なにか意味があるのか?下巻まで読んだら、分かるかもしれませんね。とりあえず下巻が楽しみです!
この作品、原作は、アメリカで2014年に刊行されているそうです。2026年現在からすると、まあまあ最近な気もします。
で、上巻を読んだ時点で、なんとなく一番近しい雰囲気を感じたのは、宮部みゆき「模倣犯」ですね。模倣犯の刊行が、2001年。雑誌での連載は、1995年に始まっています。
宮部さんが、超熱心なスティーブン・キングのファンであることは、つとに知られていることだと思うのですが、個人的には「おお、キングが2014年にとりあげた題材を、宮部さんは2001年に(1995年から)とりあげていたのか~」と思うと、なんだか宮部さん大好き読者としては、ちょっと嬉しくなっちゃう。ま、この本の内容とは関係ない話なので、すみません、、、なのですが、、、
で、上巻を読み終えた時点では。非常に面白い!という感想ですね。早く下巻が読みたいものであります。
一切内容を知らずに読み始めましたし、登場人物紹介にも目をふれようとしなかったので、読み進めていきなり、物語の犯人のブレイディ・ハーツフィールド目線での話の進行になった時はぶっとびました。「いきなり犯人、でてくるんかい!?」と。まあまあビックリでした。んでそっから、「あ、なるほど。キングはこの物語を、追う者と追われる者の両方から書くつもりなのね」とガテンが言った次第。
設定として面白いのは
ビル・ホッジズ。退職刑事。追う者。
ブレイディ・ハーツフィールド。メルセデスキラー。追われる者。
という構図が基本なんでしょうが、
逆の見方だと
ブレイディ。なんとかビルを自殺に追い込みたい。追う者。
ビル。ブレイディの策略を見越したうえで自殺したくはない。追われる者。
という構図とも取れる、気がします。面白い。
ま、どちらもそれぞれの対象のハンター役である、という事でしょうか。
いわゆる「劇場型犯罪」の物語、ではありますよね。「俺はこんな凄い事をやってのけた!俺は圧倒的なチカラがある!俺は一般ピープルとは違う!俺はお前らとは違うんだ!」
という事を声を大にして言いたい。でも自分は捕まりたくはない。そして人々が世間が自分のことを話題にしないのが寂しい。それと並行して、自分に関わったなんらかの、自分にとって虫が好かない人物(ブレイディにとっては、オリヴィア・トレローニーとビル・ホッジズのような人物)に、絶望の淵で死んでもらいたい。
なんだろう。大衆憎悪と個人憎悪が入り混じっている。ブレイディの個人憎悪は、いわゆる社会的成功者(のように見える人物)に向くのかな?その個人的憎悪は、例えばブレイディの同僚のフレディ・リンクラッター(男みたいな女性)やアントニー・フロビッシャー(おたくっぽい上司)には、向かない訳ですから。何故なら、フレディやアントニーも、自分と同じように、幸せそうな生活をしていないようにみえるから?
ブレイディの母親は、今風の言葉で言うと、いやもう古い表現か?「毒親」ってことになるんでしょうが、、、酒浸りの典型的ダメ人間。でもブレイディはそこに依存もしている。共依存、ってヤツ?でしたっけ?で、性的にも母親の呪縛の元にいる。ブレイディは、多分、、、童貞なんかなあ?でも母親には性的に欲情してるようだし、母親もソレを知っていてブレイディをもてあそびながら愛してるっぽいし、うーむ。
で、それとは一転して、ビルホッジスがトレローニーの妹、ジャネル・パタースンといきなり恋仲になるのはビビった。え!?いきなりそーなるの?と。いきなりそんな激しいセックスしちゃうの!と。あれはキングの趣味なのか?やっぱいいオンナとはいいナカになりたいよねえ~というキングの趣味なのか?どうなのか?あの展開、いるんかね?と思ったことは正直、事実です。ま、でも、それもエエんちゃう?とも思います笑。ホッジス、役得やなあ~笑。
さて、こっから下巻では、どんな展開になっていくのでしょうか。興味深く、続きを読ませてもらいます!読書の愉悦であります! -
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この悪夢感のある装丁、アングラ的でいいですねえ。トマス・リゴッティはブラムストーカー賞を4度も受賞している作家で、期待して私も初めて読みました。
9つの短編からなる短編集です。最初の短編「戯れ」。刑務所の精神科医になったドクターが連続殺人鬼の囚人と面会する。彼は殺人だけでなく脱獄の前科もあり、おかしなことを言う。ドクターは囚人の精神科治療の改善を訴えて赴任してきたが、この囚人と話すうちに途轍もない不安に取り憑かれ、帰宅して幼い娘を寝かしつけたあと妻に仕事を辞めることついて話すが…。気が狂いそうになる結末。読んでいて小さな不安が頭の中に生まれ、杞憂だったかとほっと胸を撫で下ろしたところで急に床が抜ける。あの感じです。アンドレ・ド・ロルドの「ロルドの恐怖劇場」の悪夢を思い出します。
「道化師の最後の祭り」など多くはラヴクラフト的コズミックホラーです。明らかにその影響で書かれています。街の雰囲気、様子のおかしい人々、グロテスクなクリーチャー、終わらない悪夢、いいですねえ。
この作家、不安障害やパニック障害で苦しんでるそうで、病気が良い意味でも悪い意味でも小説世界に影響を与えているようです。ホラーというよりも文学的な匂いも感じさせ、広いジャンルで評価されています。ただ翻訳が少し読みづらい。白石朗や宮脇孝雄の訳した話は頭の中に入りやすいですが、若島正の訳はイメージが湧きにくい。また別の本も読んでみたい作家です。
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ネタバレエドガー賞を受賞した、太っちょの退職刑事がシリアルキラーを追い詰めるキング渾身の長編ミステリ。冒頭の求職者の群れにメルセデスベンツが突っ込む陰惨な幕開けは素晴らしく、キングの描写力は随一だと実感する。全編に渡っての空気はかなりのハードボイルドであり、翻訳文で読んでも普段のキングの軽口に混じって地の文は歯切れが良く、古き良きハードボイルド小説らしい読み味がある。犯人の被っていたマスクがITのペニーワイズと同じデザインというフィクションの形での過去作言及は珍しく、いつものキングユニバースとはまた違った世界観なのも面白い。
犯人像は早々に明かされ、そこから退職刑事と犯人という二人の行動が交互に描かれる緊迫した筆致ながら、冒頭の求職者のパーソナリティといい、今回のアル中の母親と二人暮らしの犯人像といい、アメリカ経済の底が抜けて格差が広がった後の底辺の生活のリアリティが凄まじく、この薄暗い空気感が殺人者を追う刑事という骨太なストーリーと非常に噛み合っている。
正直、読む前はミステリと言ってもあくまで風味程度だと思っていたが、意外にもストーリーにちゃんと「謎」があったことで、キーが2本ある密室ならぬ密車というメルセデスの謎は面白く、犯人が明かされているからこそ、その手口や人物像への「手がかり」を重視していたのは面白かった。晩年の作品とは思えないぐらい新境地の作品であり、次巻も非常に楽しみである。
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悪夢の中を彷徨っているのか…? 物の怪に襲われるような感覚に浸れる幻想&ホラー作品集 #悪夢工場
■きっと読みたくなるレビュー
タイトル通り、悪夢の中を彷徨っているような体験をさせてくれる幻想&ホラー作品集。
数行読み進めるたびに理解が追い付かなくなるという魔の小説。たぶん読書力がどれだけあっても全部を解釈できる人はいないんじゃなの? というほど難解。ただ決してつまらない訳ではなく、むしろ物語に吸い込まれてしまうように、むさぼって読んじゃうんすよねー
誰しも一度は存在意義ってのを考えてしまうけど、こういった虚無感と超現実に満ちた物語に浸っていると、モノノケに襲われるような気分になるんすよ。何が書いてあるのか、さっぱりわからんってのを如何に楽しむかがポイントですね。たぶん何度も何度も読んで、写経くらいしてみると理解できるかもしれないと思いました。
■お気に入り作品の簡単レビュー
●戯れ
刑務所のある街にきた精神科医の物語、妻との仕事の愚痴をこぼすが…
比較的分かりやすい作品で導入には良いですね。終始ずっと不愉快な気分にさせてくれる、そして終盤は命を奪われていくような恐怖が味わえます。
●道化師の最後の祭り
人類学の教師がミロコーという街の奇妙な祭りを体験する物語。その奇祭の道化師とは何なのか?
この街や祭りが不気味なんすよ、暑苦しいというか、むさくるしいというか、いやーな臭いが漂ってくる。道化師をどう解釈するのかなんだけど、人間の不愉快さしか伝わってこない。
●ツァラル
骸骨町と呼ばれる廃墟に人が集まってくるところから始まる…
何が起きているのかよくわかんないんだけど、やたら陰鬱な群像劇、なのか?途中時系列が変わったり、生きる意味なんてねーよと否定されているような気がしながらも、結局は判然としない。ラストはひたすら後味が悪い。
●赤塔
廃墟と化した赤色の工場、操業停止になった理由は…
相変わらず、ずっとネガティブが文字で埋め尽くされる。結局、何を作っている工場やねんっという疑問はあたりまえのように理解はできない。ただ他の作品よりは生命力、前向きさを感じる作品ではありました。
■ぜっさん推しポイント
この本の装丁ですよ。カバー、見返し、天、血、小口など、すべてが「真っ赤」。赤って恐怖や不穏な興奮を感じさせる色ですよねー、本作の性癖が伝わってきました。悪夢を見ているような不条理さと狂気性を楽しみましょう~ -
Posted by ブクログ
今回読むキング先生はホラーではなくミステリー、というか殺し屋が主人公の犯罪小説。しかも、『ミザリー』を彷彿とさせるノベル・イン・ノベルでもある。主人公は、仕事のために「作家」という身分を偽装するが、もともと文学に造詣が深いこともあって、自身の半生をモデルにした小説執筆に没頭。『ミザリー』の時のように、地のパートと小説パートでは書体が変えてある。前半は地のパートより、小説パートの方が面白く、読むほうもアクセルを踏んでしまう。
ところが、なにせ執筆中のことなので、いやおうなしに中断させられてしまう。もちろん、ビリーの仕事と「偽りの」日常の描写もそれなりの緊張感をはらんでいる。そんな、かりそめの日常も「決行」の瞬間から一転、キング先生の筆もギアを上げてくる。上巻を読み終えた直後、下巻を手に取ってしまったのは、言うまでもない。
(下巻に続く)