白石朗のレビュー一覧

  • 007/ロシアから愛をこめて【白石朗訳】

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    ネタバレ

    なかなかイギリス秘密情報部の英雄ジェームズ・ボンド(ダブルオーのコードは殺人経験あり、任務遂行中に殺人の特権を付与されている)がでてこない。151頁/405頁にやっとボンドが登場する。闘う相手は殺害実行機関のSMERSHの首席死刑執行官グラント《政治的価値:ゼロー作戦遂行上の価値:最高度》しかも満月の夜のグラントは制御不能である。

    愛らしい秘書に13日の金曜日にフライトを選ぶなんてと心配されながら送られるボンド…私もここから心臓がバクバクしてきた。飛行機は絶え間なく歌いながら、果てしなく広がるホイップクリームのような雲海の中でボンドの思考が止まらない…

    ウィンザーノットのナッシュは、やはり

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    2026年04月12日
  • ドクター・スリープ 下

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    ネタバレ

    最後の最後に泣かされてしまった。
    たとえ嫌いな人間でも最期は助けてやれると、そのためにこそ生まれてきたと自負しているダンに涙が出てきた。一度どん底まで落ちたダンが、長い年月をかけてしっかりと自分の立ち位置を見つけたことが嬉しい。
    物語としては、ローズとトゥルーノットを殺してきれいさっぱり終わりました、という形にしないところに好感が持てる。悪の組織は倒しても、人生は続く。正当防衛とはいえ殺したという事実は自分の中に残る。怒りを抑えられない思春期に突入しているアブラにはダンが必要だったなと思う。
    これが読者にも無関係ではないのは、残忍で冷酷な喜びは程度に差はあれど誰の胸の中にもあり、強い者が暴力行

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    2026年04月10日
  • ドクター・スリープ 上

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    ネタバレ

    シャイニングに続編があると知って手に取った。ダニー少年のその後の話だ。
    あの素直で可愛い少年が成長して、アルコール依存症になっていたのは読者としてショックだった。父親ジャックを思わせる荒々しさが宿っていて二重にショックだった。
    あんなことがあったのに何故酒をと最初は思ったけれど、私が間違っていた。「自分が狂うかもしれない」という恐怖までは想像できていなかった。ダンにはアルコールに頼るか、狂うかのどちらかしか選択肢がなかったということだ。人が内側に何を抱えているかは、外からは分からないものなのだということを、改めて心に刻んだ。
    赤ん坊のアブラがテロを予知したと分かったシーンは鳥肌が立った。情報が

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    2026年04月07日
  • 007/カジノ・ロワイヤル【白石朗訳】

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    映画の007シリーズは全部観ているはずなので、本も読んでみようかなあと思って。
    ボンドにはやっぱりショーン・コネリーの印象が強い。『カジノ・ロワイヤル』映画のボンドは六代目のダニエル・クレイグなので、シリーズの数冊目かと思っていたのだが、小説では一作目がこれなのですね。

    ===
    ジェームズ・ボンドは007のコードネームを持つ英国の諜報員。今回の彼の任務は、カジノでロシアのスパイであるル・シッフルから資産を取り上げること。ル・シッフルはフランスでの活動組合の会計係だが、組合の金を使い込んだ。それを補填するためにカジノでバカラの大勝負を計画していた。そこで英国諜報部は、ル・シッフルを破産させロシ

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    2026年03月23日
  • 悪夢工場

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    最初の「戯れ」でセンセーショナルに見せつけられ、あとはじわじわドキドキ。
    難解で哲学的で芸術的で、なかなか理解できず読み返すこともしばしば。はっきり理解したいけど、それができるようになってしまったら、もう引き返せない気がする。終始不気味で薄気味悪い。曖昧で退廃的。
    もみくちゃで意味わかんなくて、この世の終わりって感じ。
    感想を言おうとしたらぼんやりした言葉しか出てこない。読解力がないせいかも。
    道化師の最後の祭り、魔力、ツァラルが印象深かった。
    赤塔はまさにこの本の自己紹介って感じ。
    あとがきで、リゴッティが評価され第二集第三集と続いてくれたらと書かれており、同じく私もそれを期待してます。

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    2026年03月12日
  • ビリー・サマーズ 下

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    長かったー。2段組の小説なんて久しぶり。細かい描写が多すぎてもっと文字数減らしても話の筋は通るのでは…と上巻の最中は思ったけれども、下巻からはハイスピードで物語が進み始めて読む手が止まらなかった。あの上巻じれったくなるご近所さんとの平和な日常や子供たちとの時間は下巻への伏線だったと、今なら分かる。

    物語の背景では、アメリカの所得階層と生活レベルがよく分かるし、銃とドラッグが合法的な文化ならではの不幸もよく読み取れる。トランプとメディアのことも。

    スティーブン・キングの作品は初めて読んだ。心に残る作品だと思う。しばらくじっくりと余韻に浸りたい。隅々にまで本当らしさを感じる作家だと思う。悪人を

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    2026年03月01日
  • 悪夢工場

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     赤の背景に黒文字という装丁の強いコントラストに惹かれ、手に取った。ホラー小説を好んで読むことはこれまでなかったが、本作では、良くないことが起こりそうな予兆や理屈の通らない現実、物語全体に漂う不穏で不明瞭な感覚を味わうことができた。
     未知の世界に足を踏み入れるようで刺激的であり、不穏さそのものを楽しむこともできた。しかし、ラストに読んだ「赤塔」は苦しかった。読み進めながら、どこかで理解することを拒んでいた。嫌悪ではないけれど、これ以上は踏み込めないという感覚があった。それは恐怖だったのかもしれないし、世界そのものが歪んでいるという感覚に耐えきれなかったのかもしれない。
     あとがきによれば、リ

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    2026年03月01日
  • ファインダーズ・キーパーズ 下

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    ネタバレ

    ピートがホッジスさんに話しかけられてから、怒涛の勢いで物語が進行していく描き方に感嘆する。
    ありきたりでない物語は素晴らしい。

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    2026年02月19日
  • ファインダーズ・キーパーズ 上

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    ネタバレ

    前作のメルセデスベンツの事故の小説から読んだ方がいい。
    ある男の子は、父親がその事件のせいで足がわるくなり、働き手がいないため、お金に困った家庭で混沌としていた。ふとでかけた小川の隅で、スーツケースをみつけてしまう。その中には現金と上質なノートが入っていた。
    メルセデスベンツ事件を担当した刑事は、ファインダーズ。キーパーズという探偵会社をやっていた。

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    2026年02月19日
  • チップス先生、さようなら

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    ネタバレ

    長年一つの学校に勤め続け、もはや存在が学校の伝統そのものになってしまった、チップス先生。
    教師としては平凡な存在であるように書かれているけれど、長く一つのことを続けることと、どんな状況においてもユーモアのセンスを忘れないことは、得難い長所であると思う。
    特に、戦時下で敵の攻撃を受けながら授業を続ける中で、生徒を一笑いさせる場面に「この人本物だ、、」と思わせる強靭さを感じた。
    悲観的な状況でこそ、外からくるものに飲み込まれず、ユーモアを手放さない力強さを自分も養っていきたい。

    中編くらいのコンパクトな文量に、あまり好き嫌いの分かれなそうなテーマと親しみやすい文体、最低限チップス先生だけ把握でき

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    2026年02月15日
  • チップス先生、さようなら

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    イギリスの裕福な家庭の子供たちが通う歴史の古いパブリックスクールで、先生を務め終え退職後も母校の隣に住んでいたチップス先生の回想録。
    最近文庫でもページ数の多いものに疲れてきたので、この100ページちょっとの本ならすぐに読めるかなと思って。


    先生は、次々に卒業していく子供たちには、真面目で平凡な紳士と思われていたが、授業は後々まで語られるくらい冗談交じりの愉快なものだった。

    独身者の寮に、退職まで長く住んでいたが、若い頃に一度結婚したことがあった。山で知り合った、キャサリン・ブリジスという女性で、この明るく聡明で、美しい人はすぐにみんなの人気者になった。
    彼女の影響でチップス先生も注目さ

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    2026年02月11日
  • ビリー・サマーズ 下

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     下巻の要約は本書カバー見返しに書かれてあるとおり。追われる身となり潜伏中のアパートで、ビリーはある雨の夜、男たちから酷いことをされた女の子アリスを助けてしまう。
     仕事の残りの支払いはされず、傷ついた女の子を追い出すわけにもいかず、ビリーは身動きを取りづらい状況に追い込まれるが、自分をはめた連中、そしてアリスを傷つけた男たちへの制裁に、ビリーは仕事の相棒バッキーの手を借り、動き出す。自伝の続きを執筆しながら。


     さて、ここから少しネタバレモード。
     ビリーが助けた女の子アリス。21歳になったばかりというが、見た目はティーンエイジャーにも見える美少女。アリスといえば、キングの作品では『セル

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    2026年02月11日
  • ビリー・サマーズ 下

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    スティーヴン キングあまり読んだ事は無いけど、
    これは最高でした。

    デビューして50年だそうですが、こんな面白い本を今書けることが凄い。

    凄腕の殺し屋ビリー サマーズが最後の仕事として殺しを依頼される事から始まる話はラストまで予測不能な展開でグイグイ引き込まれました。

    読んだ事が無い方、オススメします。

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    2026年01月27日
  • フェアリー・テイル 下

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    読書備忘録966号(下)。
    ★★★★★。

    やっと読み終わりました。
    キング作品は時々菊版(A5よりちょいデカい)で出版される。
    今作がこのサイズ。
    このデカいサイズで更に上下段組。300pとはいえ、進まん!全然ページが進まん!
    1日50pが限界!

    そんなことはおいといて。
    フェアリー・テイル。
    すなわちおとぎ話です。ディズニーの世界です。
    言ってみれば鏡の国のアリスです。

    いやいやちゃいます。
    表紙絵を見てください。
    藤田新策さんの絵ですよ。
    確かに向こうに王国を統べる王家が住んでそうな城がありますけど、不気味すぎて・・・。
    そしてあたり一面罌粟の花・・・。
    犬くらいのサイズのあるコオロ

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    2026年01月25日
  • 悪夢工場

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    存在の無意味さ、夢と現実の曖昧さ、宇宙的な恐怖をテーマにした哲学的なホラー短編集。時に難解で、時に非常に恐ろしい展開を見せます。印象に残ったのは冒頭の作。刑務所の精神科医が、連続殺人犯との面談で動揺する話。子供を標的にする犯人が医師の娘を標的にした事を示唆する不穏な話です。

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    2026年01月23日
  • チップス先生、さようなら

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    時代の好ましくない変化に流されることなく、穏やかさとユーモアで、ひとりひとりの生徒へ愛情を込めて接したチップス先生。心が温まる作品。

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    2026年01月07日
  • ビリー・サマーズ 上

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    最近はキング作品をよく読んでいる。
    これは殺し屋が依頼を受けて殺しの準備が整うまで小説家として二重生活をする話。
    キングが描くアメリカの田舎生活の解像度は本当に高い。自分は割りとそれ目当てで読んでいる。
    上下巻で構成されていて上巻だけでも話が大きく展開される。

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    2025年12月21日
  • ビリー・サマーズ 上

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    全ページ面白いとはよく言ったもので、読む手が止まらなかった。
    あまり何も起こらない場面でさえ面白く描けるのは天才。

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    2025年12月09日
  • ビリー・サマーズ 下

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    ネタバレ

    2025年の40、41冊目は、スティーヴン・キングの「ビリー・サマーズ」です。キングの作品を読むのは、「アウトサイダー」以来でしょうか。この作品は、キングお得意の超能力もホラーも有りません。至って普通の小説です。上下巻、2段組みの構成で合計600ページ以上有りますが、流石にキングです。読ませます。作家人生の最終盤に向かいつつあるキングの最後の傑作と言って良いかも知れません。
    主人公は、元軍人でイラク帰還兵の凄腕の殺し屋ビリー・サマーズです。ビリーは、ある人物の暗殺を依頼され、それを最後の仕事と決めて引き受けます。最後の仕事と云うベタな設定ながら、そこはキングです。最後は思いも寄らない所に着地し

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    2025年11月09日
  • ビリー・サマーズ 下

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    ネタバレ

    印象的なラストに感動しました。
    事件の真相は割と呆気なく分かりますが、それ以上にビリーやアリス、バッキー、ニックなどの魅力的な登場人物が多く、飽きずに最後まで楽しめました。

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    2025年10月21日