佐藤青南のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
以前同じ作者の別のシリーズ物を読んだ事がありますが、そちらとは全く異なる世界を描いており、すごいな…とまず感服してしまいました。
シリーズ物であるのは知らずに読みましたが、主人公の生い立ちなど最低限の説明はされているのでそんなに気にせず読む事が出来ました。
他者の様々なプライベートに、良い意味で遠慮なく踏み込んでズバッと言ってくれる主人公の姿勢が気持ち良く、読み進めるのに良い塩梅となっているように感じられました。
許されない行為をした加害者の事はしっかりと断罪しつつ、しかしその加害者に対する復讐の正当性は否定する所がただのスカッと物とは一線を画す箇所であると感じました。
クライマックスの解決 -
Posted by ブクログ
ネタバレシリーズ第7弾?
楯岡と西野のやりとりにニンマリしながらのスタート。久しぶりに手に取ったシリーズだったが、いつものキャラがいつもの感じで・・・てな序盤がシリーズものの安心感を醸し出し、一気に物語の世界観に呼び戻してくれた。
カルト宗教絡みのお話はいつ読んでも、信者たちの“本当にそんななの?”とツッコミを入れたくなるような極端な思想に引いてしまう。
しかし、これだけあちこちの媒体で同じような描かれ方をするのだから、きっと現実でもそうなのだろう。
たしかに・・・、それくらい“染められて”なければサリン事件だって起きないし、オウム無き後にまで“アレフが我が街に来るのを住民が反対”なんて話 -
Posted by ブクログ
題名のホワイダニットは推理小説で普通に使っている。語源はwhy did it? なのだが、私が気になったのは、なぜホワイとダニットの間に「・」が入っているのか?だ。英語にしても「・」はない。意図はないのはわかっているつもりだが、わたし気になります。
さて、題名通りなら「動機」を暴くのだろう。動機にのみ焦点を当てる事の佐藤青南さんの勇気や気概が見えるような気がするので、楽しみだ。
動機は行き着くところ、お金か異性絡みか恨みか復讐か知られたくないことがあるかくらいで、サイコパスなら快楽なのでわかりにくい。にも関わらず「動機」が題名だ。面白いに違いない。
竈門炭治郎のように闘気を消すくらい、動機 -
Posted by ブクログ
佐藤青南『ラスト・ヴォイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻』宝島社文庫。
書下ろし作品。12年続いたシリーズが第11弾にして、ついに完結。楯岡絵麻と宿敵、楠木ゆりかの最終対決。
完結ということもあってか、かなりハードな内容になっている。楠木ゆりかは既に死刑囚として収監されており、楯岡絵麻がどう決着を付けるのかと思ったのだが、無理矢理どうにか着地させたようなスッキリしない結末だった。
やはり、なだめ行動とマイクロジェスチャーだけでシリーズを引っ張り続けるのには無理があったのか。完結するのには良いタイミングだったのかも知れない。
相手のしぐさから嘘を見破る美人刑事『エンマ様』こと楯岡絵麻は、相 -
Posted by ブクログ
ネタバレ公洋、奈々、峰岸の三人の視点から書かれる三角関係の恋愛ミステリーかと思いきや、峰岸の化け物じみた情念がひたすら怖い、甘ったるいだけではない恋愛ミステリーだった。また、「事件が起きてから、実際にはどのようなことが起こったのか?」「峰岸の過去と今回の事件のミッシングリンクは何か?」ということが明らかになっていく展開に驚かされた。それにしても、公洋は職場で上司にパワハラを受けて挙げ句にクビになり(峰岸の謀略)、その後殺されるという気の毒では足りないくらい悲惨な最期だったが、想い人の奈々も好意を持っていた(利用することから始まったが)というのが唯一の救いだったと思った。そう考えると「タイトルは公洋だ
-
Posted by ブクログ
楯岡絵麻シリーズ完結。
絵麻の敵である楠木ゆりかにより、絵麻の同僚への攻撃が始まる。
西野の婚約者の家への放火、筒井の娘や筒井自身への攻撃・・・
絵麻の周囲を追い詰めていくゆりかだが、外部への連絡手段がなかなか掴めない。
自分たちへの攻撃が止まない中も、通常の取り調べや事件解決後の乾杯も描かれ、このシリーズのラストの緊張感の中でも通常運転の場面もあり、読んでて、楽しい。
ただ婚約者の家が放火された割には西野の緊張感が全然ないのが、かなり気になった。
それでも、この4人の絆が深まったラストの事件は感慨深い。
作家さんのシリーズがどんどん終了してしまっていて、寂しい限りだが、新しいシリーズを楽しみ