あらすじ
都内の小さな公園で死体が発見された。警察は殺人事件と判断し、特別捜査本部を設置。捜査一課の音喜多弦は、音楽隊志望という少し変わった所轄署の刑事・鳴海桜子と捜査を開始した。遺留品にクラシックコンサートのチケットがあったことから、関係者を訪れる二人だが……。時を超えた愛憎と狂気が渦巻く、慟哭の傑作ミステリ。 文庫書き下ろし
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これは...「凄い」(^ ^; 緻密なストーリーの組み立てが凄い(^ ^; 犯人の行動の原動力となっている「狂気」も凄い(^ ^;
⚪︎⚪︎ガールシリーズで知られる佐藤西南氏だけあって、メインの探偵役はいたいけな(?)女性刑事。温大卒で音楽隊採用なのに、なぜかバリバリの一線で刑事として活躍している。が、起こる事件は陰湿で根が深く、その背景もかなり救いがない。
章ごとに過去と現在を行ったり来たりする構成で、最初のうちは何が何やらさっぱり分からない(^ ^; 刑事たちは「現在」でとある殺人事件を追っている訳だが、過去の登場人物は事件とは何の関係もない子供達で...(^ ^; でも、ジグソーパズルのピースが少しずつはまり徐々に全体像が見えてくる感覚に似て、え、これがここにこうつながるのか!?(^ ^; となるのが、最初は快感なのだが、徐々に怖くなってくる(^ ^; 作者はどれほど緻密にプロットを練り上げてるのか(^ ^;
要所要所に出てくるベートーベンが、作品も「人として」も本書の主題と複雑に絡み... メタファーというより、ベートーベンからインスパイアされて作り上げた物語なのでは、とすら思う。ミステリなのであまり細かくは書けないが、かなり荒唐無稽な設定も飲み込まざるを得ないような、周到な計算の上に成り立っている一冊である(^ ^
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佐藤青南氏の作品。
警視庁捜査一課の音喜多刑事とタッグを組むのは、警視庁音楽隊を目指す音大出身の所轄の鳴海 桜子。
一風変わった経歴の鳴海たちが向かうのは、公園で発見された男性の遺体。
遺留品にあったクラシックコンサートのチケットから、音楽関係者を訪れる二人。
そこには、はるかな時を超えた愛と憎悪が隠れていた...
表紙の『連弾』とは、そういう意味なんですね。
悲しい過去の話に、ウルウルします。
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佐藤さんらしくない主題にあまり期待せずに読み始めたのですが、前半にて早くも自分の予想が間違っていたことに気がつきました。
不幸な生い立ちの少年と家庭環境に恵まれているものの才能に悩む少女の物語から、ベートーヴェンとの相関性、次々と明らかになる予想外の事実、個性的な女性刑事など、精緻な構成と途中で中弛みしない展開に最期まで引き込まれました。
早速続編もこうにしなきゃ。
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捜査一課の刑事と音楽隊志望の所轄署の女性刑事のコンビが活躍する作品で……物語も音楽にまつわる事件で過去と現在を行き来する感じで進められて面白かった!伏線回収もしっかりされて最後は唸ってしまった
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鳴海桜子と音喜多弦がバディを組むシリーズもの。
すでに第2作第3作を詠んでおり、第1作が最後になってしまった。
二人がバディを組むことになった経緯も記されている。
都内の公園で殺死体が発見され、事件の幕が切って下ろされる。捜査本部が立ち上がり、桜子と音喜多が担当となる。
遺留品にクラシックコンサートのチケットがあり、当時指揮をしていた天才作曲家に、彼らは疑いの目を向けることになる。
彼の哀しい生い立ちは、松本清張著の『砂の器』を彷彿し、少年と少女の関係は東野圭吾著『白夜行』を思い出す。だからといって、本作の価値が減じるものではない。
現在の事件捜査と関係者の過去が交互に語られ、あたかも題名の「連弾」のよう。
事件の背景にあるのは、少年の一途な思いがもたらした「気の遠くなるような時間と労力を注いだ復讐劇」。
このシリーズ、3作で終わらずにこの後も続いてくれることを期待したい。
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身元不明の遺体から始まる殺人事件。
容疑者が浮上してくるのもわりかし早い段階だったがそこから容疑者やその回り、被害者の身元などが現れてきて、読み進めやすかったかな。
中村亘の狂気さが徐々に現れてきてゾッとする部分もあったが、中村亘の生きざまが切なく感じる。
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初作家さん。面白かった。
都内の小さな公園で、死体が発見され、捜査一課の音喜多弦は、玉堤署刑事、鳴海桜子と捜査を開始した。
鳴海桜子は、絶対音感の持ち主で音楽隊志望のちょっと天然な刑事だが、見かけによらず、職質のスペリャリストと呼ばれていた。
被害者の遺留品にクラシックコンサートのチケットがあった。
国内でもトップレベルの演奏技術を持つといわれる東亜フィルハーモニーオーケストラ、その指揮をするのは、今や、人気絶頂の篁奏。二人は、彼の元を訪れる。
現在と過去が、交互に書かれて、最初は、あれあれ?状態だったが、物語が進むにつれ、過去バージョンで、事件の内容が解明されてくる。
それにしても、相貌失認とか、ディスレクシアとか、障害を持つ人間が多すぎる。
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鳴海桜子シリーズ、めちゃくちゃ面白かった!
ストーリー展開が、過去と現代を行き来するので、そのテンポに乗るまでは、違和感があったけれど、こういうものだ。と分かれば、スラスラ。
鳴海桜子さんの症状には、全く気づかず、それが出てきた時は、「ええー!!でもらたしかに!!」ってなったけれど、それに気づいた音喜多さんもすごいと思う!
だって、あれってなかなかわからないもん。
そもそも、あれを知っている人も多くはないしね。
(って、あれ。ってなんだよ。。の感想ですが。読んだ方はわかるはず)
続編に期待。
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鳴海桜子がとても面白い。
観察力がずば抜けていて、ちょっと抜けているのかと思うと、「全て計算なのか?」と思わせる桜子。今まであまり読んだことのないキャラクターが癖になる。
音楽隊志望なのに刑事に配属される理由がよく分かる。でも誰が音楽隊への志望を握りつぶしているのか。続きを読みたくなる。
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2作目を予約しようとしてしまい、慌てて1作目を予約しました。
面白かったです。
過去と現代が徐々にリンクしてきてどんどん引き込まれました。
一風変わった警察音楽隊希望の鳴海と組むことになった音喜多刑事。捜査会議とか挟まれるわけではなく現代は2人で事件に迫っているので、冗長的にならず良かったです。
少し「砂の器」を思い出す、そんな作品です。
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面白かった!
新しいシリーズになるのかなぁ?
県警捜査一課の音喜多弦と所轄刑事課の音楽隊志望の鳴海桜子が事件を解決していく。
桜子の天然と鋭い観察眼に唖然とする。
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公園で発見された死体の殺人事件から始まる物語。
時系列に物語は進み、現代とリンクした時様々な謎が明らかになる。
少年と少女のピアノにおける様々な出来事。
彼らが大人になり再会した時に、心に歪みが発生して。
彼らに関する出来事があまりにショッキング過ぎて事件の事は印象に残らない程に。
歪んだ愛憎劇といった内容。
不幸しかない物語だったと思います。
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ベートーベンを道しるべとして、一人の男の過去と狂気に迫っていく。そんなお話です。才能と欠落、努力と挫折、そんなどこかもの悲しさもあるストーリーです。
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面白かった~
一気読みしました。
まさに時を超えた愛憎と狂気が渦巻く慟哭のミステリー。
都内の公園で死体が発見、
2019年の現代と1984年の昔の話が交互に展開され、徐々に現代に近づいてきて 点と点が結ばれていく感じがとても読みやすく面白かった。
昔の話の舞台も長崎島原で、1984年というのも自分の生まれた年代だったので個人的に入り込んでしまった。
犯人の親からの愛を受けられずに、虐待により聴力を失い、思いを寄せる女性への叶わぬ恋心 愛する人のための復讐劇。 犯人に感情移入してしまい切なくなる場面もあった。
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警察音楽隊採用の刑事ときたか。うーん斬新!要所要所で声楽家ならではの視点で解決に近づいて行くところが良い。ただ今回は犯人の怪物ぶりが際立ったかな。家庭環境によって怪物になる素養は出来上がっていたのかもしれないが、何気ない一言とベートーベンの魔力が作り上げてしまったように思う。次回作に期待。
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捜査一課の音喜多と音楽隊志望の所轄刑事・鳴海とペアを組んで捜査する事に。鳴海の風変わりな言動に戸惑いつつも、徐々に鳴海の刑事としての才能に気づき…
容疑者の生い立ち、そして愛した人への執着が異様で怖かったです。
小学生の頃助けられた恩を感じて殺人の手助けをした弥生も、中村に対して愛情を感じた訳ではなく同情だったのも何だか切ない。あの状況で唯一の救いだったんだろうけど、執着された弥生もある意味被害者だったのかもしれないですね。
過去と現在が交差して、徐々に事件の背景が繋がった時、何とも言えない気持ちでした。
音喜多と鳴海は良いペアになりそうで、続編希望です。
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佐藤青南『連弾』中公文庫。
恐ろしく観察力が鋭く、警察の音楽隊志望という変わり種の所轄署刑事・鳴海桜子が主人公の書き下ろしミステリー。身元不明の男性の他殺事件が驚くべき過去と関連していく過程は見事であるが、少しストーリーが複雑になり過ぎた感じがする。また、楯岡絵麻ほど鳴海桜子のキャラが立っていないのが残念。
都内の小さな公園で身元不明の男性の他殺死体が発見される。捜査一課の音喜多弦は、鳴海桜子と共に事件の捜査を開始する。男性の遺留品のクラッシクコンサートのチケットを手掛かりに関係者を訪れた2人は事件を巡る驚くべき過去と対峙することになる。
本体価格740円
★★★★
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シリーズ一作目。
現在と過去をいったりきたり、そして登場人物が多いので話の筋を掴むまで少々中弛み感。
ただ、本筋が見えてきた途中からサクサク読めて一気読み。散らばった登場人物が繋がった時は爽快感がありました。面白かったのでシリーズ通して読みたいと思います。
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捜査一課の音喜多と音楽隊志望の刑事、鳴海が殺人事件の捜査をするバディものの一作目。
鳴海桜子がとにかく変人で、しかし切れ者という設定がとても面白い。鳴海の音楽の知識で、事件も解決するのだが、次が気になってどんどん読み進められた。
次回作もぜひ読んでみたい。
しかし、冒頭のベートーヴェン交響曲第五番『運命』の第一楽章が終わり、万雷の拍手が巻き起こったとあるが、そんなことってある?ふつう楽章と楽章の間は拍手しないものでは? それか、普通は鳴らない拍手が巻き起こるほど素晴らしい演奏だった、とか書くべきでは?そこがのっけから気になってしまったので、星三つ(大学の音楽の先生に聞いたが、やはり普通はありえないそうです)。
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都内の小さな公園で死体が発見された。警察は殺人事件と判断し、特別捜査本部を設置。捜査一課の音喜多弦は、音楽隊志望という少し変わった所轄署の刑事・鳴海桜子と捜査を開始した。遺留品にクラッシクコンサートのチケットがあったことから、関係者を訪れる二人だが……。時を超えた愛憎と狂気が渦巻く、慟哭の傑作ミステリ。
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愛され方を知らずに育った登場人物が
愛し方も分からずに人を愛し続ける悲劇の切なさ
相変わらず脳内映像が鮮明に映し出させる作品
物語の展開はわかりやすいが深さが感慨深い
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捜査一課の刑事と音楽隊志望の刑事がバディを組んで事件を追う話。事件を追う2人と、過去の話が交互に語られ、連弾のように現代に繋がってくのが良い。犯人の思考回路が怖すぎる。絶対音感で違和感を突き止め事件を追うのが斬新だった。絶対音感の使い道の幅が凄い。
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引き続き6月の合同サイン会のサイン本。
比較的ボリュームはあったがスイスイ読めた。
高級住宅地の公園で発見された男の他殺体。物語はこの男の身元を探ることが中心となって進んでいく。捜査を担当するのは捜一の刑事音喜多と音楽隊採用なのに何故か所轄の刑事課に配属になっている鳴海桜子。鳴海は今でも音楽隊への配属替えを希望しており刑事課は腰掛けのつもりでいるが,人間観察力の高さから職質のスペシャリストと見られている。
話は二人の捜査と,事件の中心人物の過去の出来事を描く場面とが交互になって進められる。過去の話は,現在の事件の言わばネタバレになりかねないのではあるが,絶妙な書きぶりで最後まで明確には繋がらないのでちゃんとミステリーとして楽しめる。
大変面白かった。
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音喜多・鳴海のシリーズ1作目。
2作目の「人格者」から読んでしまったので、なかなか意志の疎通が出来ない音喜多と鳴海に、ちょっとイライラした部分もあったが、2作目の「人格者」とは違い、公園で殺害された身元不明の男性の素性を明かしながら、並行して長崎県五島市での少年・少女の様子が描かれる。
捜査の進み具合はサクサクっという感じではないが、別パートで描かれる弥生と亘の物語は、どこか東野圭吾の「白夜行」を思わせる内容だった。
弥生がピアノをやっていたこと、弥生と亘を繋いだのが、昼休みの連弾であったことから、このタイトルが付けられたと思うが、2つの物語が混じり合いながら進む様子は、作品自体も「連弾」になっていて、非常に凝った構成だと思った。
軸となる事件自体は、一人の男性のエゴであり、何でも自分の思い通りになると思っている犯人の性格は、読んでいて気分が悪かった。
プロットが良かった分、ラストの常軌を逸した行動でまとめてしまったのが勿体なかった。
個人的には2作目の方が面白かった。
Posted by ブクログ
父親からの虐待を受けた少年が優しくしてくれた同級生との運命を信じソシオパスとなって間違った方向で頑張るお話。
話は主人公の過去の場面と警察の現在の捜査の場面で交互に進んでいく。
主人公の過去になにがあったのか、そこの部分をしっかり表現したかったのが感じ取れます。
ほぼずっと暗い雰囲気のまま話は進んでいきますが、現在の場面で捜査している捜査員が一風変わっており、おちゃらけた部分を入れつつ本作を重すぎないようにしたのかなと思いました。
Posted by ブクログ
読み始めたときは、佐藤青南じゃなくて中山七里みたいだと思いました。単に私がベートーヴェンから連想しただけだと思うのですけれど(笑)。途中までは先が気になってたまらないほど面白い。
クラシックとはおよそ縁がなさそうな風体の中年男が殺され、やがてその男が来場していたコンサートの指揮者に疑いがかかる。2019年と1980年代、1990年代を交互に話は進み、指揮者の過去が明らかになってゆきます。
捜査に当たることになったベテラン刑事・音喜多とまだ若い女性刑事・鳴海。鳴海は絶対音感の持ち主で、音楽隊の採用なのになぜか刑事課に配属されている。
鳴海のキャラは憎めなくて好きだし、音楽にまつわる話も楽しい。このコンビで続編もできそうですが、如何せん、犯人の思考回路がキモすぎる。「慟哭の」というからには、やるせなさとせつなさ満載であってほしかったのに、これではひとりよがりの勘違い男。
ディスレクシアと相貌失認については理解ある社会を望みます。