岡本裕一朗のレビュー一覧
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岡本裕一朗氏の著書は4冊目なので、引用や思考に馴染みがあり、更に読み易くなった(元々、非常に読み易いが)。本著もまた、哲学初心者向け。日常のキーワードを「考えてみよう」という本。そう、考えてみる。自分の意見を持つ、起源を想像してみる、これからの影響を予想してみる。例えば、AIについて。サイコパスについて。同性愛について。コピペって良くないこと、など。過去の哲学者による難解な言辞を解釈して訳知り顔にダラダラ書く本ではない。哲学は楽しい。
とポジティブに導入しつつも、唯一引っかかった、本著のサブタイトルに絡んでみる。「答えのない時代」って何?、だ。哲学者的には、ここはこだわって欲しい所。揚げ足取 -
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ネタバレトランプの登場により根底から変わりつつあるアメリカの思想についての本。リベラリズムとリバタリアニズム、それらを批判したコミュニタリアリズム、プラグマティズムへの回帰など、現代アメリカでは様々な思想が登場したがこれらはあくまでリベラル・デモクラシーの範囲内であった。しかし、トランプは既存のメディアに頼らずSNSを巧みに活用しその前提への攻撃をやってのけた。
アメリカの現代思想について理解を深めることも激変している現代のアメリカについて知ることもできる良書である。特に第1章、2章のリベラリズムとリバタリアニズム、コミュニタリアニズムの説明はかなりわかりやすく初心者にもおすすめ。 -
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Posted by ブクログ
ニーチェについて何も読んだことがなかったので読んでみた。なぜ現代においてニーチェがこんなに受け入れられているのかがよくわかった。性格悪そうな人だなという印象だけどニヒリズムやルサンチマンの考え方は確かにめちゃくちゃ今っぽい。
別の本で、哲学は金持ちの道楽的な感じで始まったみたいなのを読んだ気がするけど、パロディに徹しているところとか、まさにニーチェは哲学を体現してる人だなという印象になった。あと、キリストより前の哲学について少し読んだことはあったけど、キリスト以降はこういうことが考えられていたのか、というのもなんとなくわかって良かった。
ニーチェ自身が書いた著書も読んでみたい気持ちもあるけど、 -
Posted by ブクログ
答えのない世界。答えのない設問を四つ程提示してグループ討論の内容を議論する。例えば、トロッコ問題。女子学生とチンパンジーの交配の是非。クローン問題。タイタニックにおける救済の優先順位、パパ活の是非などなど。自らも参加するつもりで思考する。考え方の多様性、根源を探るような解説。面白い。
これが政治やビジネスであれば、利害得失の限定合理性で判断できるのだろう。所与の条件と属性次第。答えのない世界、だが、その実は、判断しない事も含めて「決断は必ずある世界」。自動車事故は世界中で起こり、トロッコ問題の類似事例は発生している。答えはない、と悠長な事にはならず、判断を迫られ結果は出ている。
哲学とは、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ哲学を難しくとらえるのではなく、日常に起こる出来事をどう考えどうとらえるかである事を改めて教えてくれた。
遺伝子組み換えやアンドロイド、AIのような科学技術が進む中、それらを社会にどう取り入れるか、どうとらえるかという事を考える事が哲学。
自動運転車が飛び出してきた子供を轢いてしまうのを避けるために運転者が傷つくのを許容できるか。子供を避けるために歩道の老人を轢いてしまう場面ではどうか。どちらかを選択しなくてはいけない中、自動運転システムをどのように構築するか。こんなことも哲学なんだなと改めて考える事の楽しさと奥深さを感じさせてくれた。