岡本裕一朗のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
現代のそれぞれの大きな変革テーマに対して、どう善く生きるか、という哲学的アプローチでの議論を概略掴める書。問いが問いだけに明快な答えがもちろんあるわけではないが、様々な議論に触れて思索のきっかけになった。
・IT革命:スマートフォンのドキュメント性→公共的なアクセス可能、消滅せずに生き残ること、コピーを生み出せること。SNSは発信もできるが監視もされる(パノプティコン) 多数による少数の監視(シノプティコン)
・人工知能のフレーム問題。目的に対して検討範囲を規定しないと無限に検証しつづけて意思決定できない。シンギュラリティはデータの範囲に規定されるので、未知なる目的設定ができない限り、データの範囲に収まる??
・バイオテクノロジー:ポストヒューマン。トランスヒューマニズムは後世への影響がなければカラダを鍛えることや治療と同じ?
・クローンとは一卵性双生児なので全く同じではない。生においてどのような遺伝プログラムを、受け継がせるかを最初から他者が決定することの是非。自分独自の生が出生から始まるという、出生性の欠落。
・格差は経済ではなく、政治問題。富める者が問題ではなく、貧困の救済こそが問題。
・通貨の本質は信用と精算
・9.11からのテロとの戦いを十字軍と表現する愚かさ。宗教は本質的に対立する構造ではない
・神を信仰することが絶対的ではなく、信仰にあっても自分自身の指針となる、一つの選択肢となる世界へ
・科学と宗教は全く別の領域で機能している
・環境プラグマティズムは昨今のESG投資の考え方のベースとなっている? -
Posted by ブクログ
「世界の哲学者たちが考えていること」と同じ著者の先生。
レヴィストロース、(ソシュールの後の)ラカン、アルチュセール、フーコー、ドゥルーズ=ガタリ、デリダが対象。コンパクトにまとまってて、読みやすい。興味をそそられるので、原著にもあたってみようかしらとも思ってしまう。
まさに今の時代を、20年近く先取りした予言めいた言葉がたくさん。スマホ、Facebook、TikTok、サブスクリプション。いずれも彼らの死後に登場した21世紀の技術だが、ドゥルーズやデリダの言葉は、まるでそれを見てきたかのようだ。
本書の最後には更にその先を予言した言葉も引用されている。本当にそうなってしまうのだろうか。そうではないと信じたい。
だけど、アメリカや日本におけるポリコレ的な他人の粗探し、そしてそこからの誹謗中傷、言論封殺、自粛警察、などを見ると、曲学阿世の輩の戯れ言などとして無視することはできない。哲学というと抽象的な学問というイメージだけど、〈フランス現代思想〉からは具体的な現場のリアリティが漂ってくる。 -
Posted by ブクログ
途中まで。
■教養の定義
・人が他者に強制されず、自分自身で作り上げていく独自の「価値基準」を持っているということです
・自由でない状態は奴隷の状態
・自らの選択肢を増やしてくれるもの
・ワクワクして楽しいもの
知りたい、興味を持ったことを
その時に調べてみる、詳しい人に聞く
→岩盤に突き当たるまで徹底的に
→その積み重ねで教養が身につく
■品があるの定義
→欲望への速度が遅いこと
→→即時即物的にではなく抽象度をあげて物事を理解しようとする姿勢
→→マンションを買うまで、一年おきにどこがいいか家を転々としてから買った人の話
抽象度が高ければ高いほど実は実用的
→普遍的だから
■パターン認識を広げ、判断力を鍛える
歴史や経験に学ぶ
ドイツや日本
→精神論だから負けた、ではなく、負けが濃厚になる上で精神論になっていった
教養がある人はパターン認識の引き出しが豊か
→多くのパターンから物事を捉えているためジタバタしない
優れたリーダーは、新しい事象に直面しても、どこかで見た風景、いつか来た道、として捉えてる
→ブレない
■人間観をもて
・人間は賢いと思うか
・人間はおろかだと思うか→出口さんはこちら
→優れた部下がいても人間が進言したくらいで世の中変わらない
→世の中を変えるためには仕組みを変えないといけない
人間は多面的で一貫性がない
■デジタル
デジタルは効率を上げられるが効果に関わるものは期待していない
マイナスをゼロにしてくれるが
ゼロから1を生み出すことはない
基本的には時間と空間を縮めるためのツール
何をするか
ということは同時に
何をしないか
を決めること
よのなかにはトレードオフしかない -
Posted by ブクログ
人工知能の可能性については不確定要素が多いという断りを入れた上で、その可能性の行き着く先について、哲学の対象となるテーマごとに思考実験した本。人工知能は人間ではないものの、人工知能も「哲学できる」という結論。いわゆる哲学の問題「世界とは何か?」「良き根拠とは何か」など、哲学のテーマについて人工知能としての問題解決能力があるということです。そして「信念」もある。しかし人工知能は生き物でももちろん人間でもないので、生き物としての本能だとか人間としての自我や情動だとか意識みたいなものはありません。果たしてその境目はどこなのか?哲学者としてもうちょっと深掘りして説明して欲しかったです。
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Posted by ブクログ
いつまでも「哲学=人生論」と考えているのは日本人だけ!
というオビのアジテーションに「なるほどなぁ」と思い手にとった。
現代の著名な哲学者とその研究分野について、IT,バイオ、資本主義、環境などの実践的な切り口で概説する。
全体像の説明として、20世紀の哲学を言語論的転回(言語を分析するもの。分析哲学、構造主義、解釈学)として整理し、21世紀の哲学を、その先にあるポスト言語論的転回(実存論的、自然主義的、メディア技術論的)と説明するのはイメージしやすい。
結局の所、扱うテーマがプラグマティックになると、学際的にならざるを得ない。本書でも、例えば経済分野だとピケティ、アトキンソン、ライシュの名前が出てくるが、いずれも経済学者、政治学者として知られている人々だろう。経済活動、生物学、ITといった現代的な論点にアプローチ出来ない「哲学者研究者」が講義を持つことが多いことが、日本で哲学の浮世離れしたイメージが今でも根強い理由だと感じる。
ジョシュアグリーンのモラルトライブズや、ダニエル・デネット、ダマシオあたりを知れたのは良かったと思う。 -
Posted by ブクログ
哲学的な問題を具体的に示す75の思考実験を紹介しながら、哲学上のいくつかのトピックとそれについての著者自身の考えが語られている本です。
とくに倫理学では、われわれが採用しているはずの倫理的な原則を明らかにするために思考実験を提示しながら議論が進められていくというスタイルがしばしばとられますが、本書でもそうした思考実験のいくつかを紹介しながら、わかりやすくなにが問題になっているのかということが説明されています。
哲学における思考実験の役割について考察している本だと思って手に取ったのですが、そうした議論の掘り下げはあまり見られなかったように感じました。 -
Posted by ブクログ
「AI、遺伝子工学、フィンテック、格差社会、宗教対立、環境破壊…世界の難問がこの一冊でクリアにとける」
まず、個人的な感覚ですが、哲学入門書ではないですね。たぶん。哲学を人生論的にとらえている人が読んでも身に入らないと思われます。
私も哲学を学んできたわけではないし、実在論的転回とか相互非干渉の論理とか言われても訳がわかりませんが、ひとまず章立てが直面している課題としてはとっつきやすく、まとまっているので自分の興味がある章だけを深く読んでみると、それほど苦痛にはなりませんでした。
ただ、「世界の難問がこの一冊でクリアに」はなりませんね。そこまで単純な問題ではないし。何と言うか、いかに咀嚼して、自分なりに栄養にしていくかのほうが大事だと思われます。