岡本裕一朗のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
いつまでも「哲学=人生論」と考えているのは日本人だけ!
というオビのアジテーションに「なるほどなぁ」と思い手にとった。
現代の著名な哲学者とその研究分野について、IT,バイオ、資本主義、環境などの実践的な切り口で概説する。
全体像の説明として、20世紀の哲学を言語論的転回(言語を分析するもの。分析哲学、構造主義、解釈学)として整理し、21世紀の哲学を、その先にあるポスト言語論的転回(実存論的、自然主義的、メディア技術論的)と説明するのはイメージしやすい。
結局の所、扱うテーマがプラグマティックになると、学際的にならざるを得ない。本書でも、例えば経済分野だとピケティ、アトキンソン、ライシュの -
-
Posted by ブクログ
哲学的な問題を具体的に示す75の思考実験を紹介しながら、哲学上のいくつかのトピックとそれについての著者自身の考えが語られている本です。
とくに倫理学では、われわれが採用しているはずの倫理的な原則を明らかにするために思考実験を提示しながら議論が進められていくというスタイルがしばしばとられますが、本書でもそうした思考実験のいくつかを紹介しながら、わかりやすくなにが問題になっているのかということが説明されています。
哲学における思考実験の役割について考察している本だと思って手に取ったのですが、そうした議論の掘り下げはあまり見られなかったように感じました。 -
Posted by ブクログ
「AI、遺伝子工学、フィンテック、格差社会、宗教対立、環境破壊…世界の難問がこの一冊でクリアにとける」
まず、個人的な感覚ですが、哲学入門書ではないですね。たぶん。哲学を人生論的にとらえている人が読んでも身に入らないと思われます。
私も哲学を学んできたわけではないし、実在論的転回とか相互非干渉の論理とか言われても訳がわかりませんが、ひとまず章立てが直面している課題としてはとっつきやすく、まとまっているので自分の興味がある章だけを深く読んでみると、それほど苦痛にはなりませんでした。
ただ、「世界の難問がこの一冊でクリアに」はなりませんね。そこまで単純な問題ではないし。何と言うか、いかに咀嚼 -
Posted by ブクログ
本書は、あくまでも「人工知能に哲学を教えたら」どうなるか?という思考実験である。
実際にそのような実験を行ったわけではなく、哲学・倫理学を専門とする著者による思考実験でしかない。
その発想は面白いが、人工知能の専門家ではないため、「人工知能」が何を指すのか、定義があいまいなまま(著者にとっては明確になっているのかもしれないが)、思考が進んでいるように見えてしまった。
正義、脳、芸術、恋愛、宗教、遺伝子といったテーマごとに章が分かれているので、興味のある分野をかいつまんで読めるのはよい。
自分の興味のあるテーマについて、読みながら自分自身でも「思考実験」すれば、より思考が深まるだろう。
切り口は -
Posted by ブクログ
もてはやされる人工知能への期待感、危機感に対して哲学を代入して問題提起をする本。
ディープラーニングの登場により、将棋、囲碁、チェスで人工知能がプロを負かしたり、自動運転車がアメリカで試運転をやったり、クイズ番組で優勝したりといった出来事が起こり、人工知能ブームが巻き起こっている。
一方
人工知能が雇用を奪うとか、人類を滅ぼすとか、人間の知性を超えた人工知能が2045年に出現するんじゃないか(シンギュラリティ)とか警鐘を鳴らす人もいる。
しかし
人工知能の現実は、まだまだ萌芽期で『ある特定の分野(囲碁とか)において』人間より優れているだけだ。
構造としては『人間よりコンピューターの -
Posted by ブクログ
人間をめぐる様々な問題を考えるための事例をもとに、哲学の理論を学ぶもの。「自己」、「他者」、「倫理」、「社会」の4つのテーマ、75の思考実験が取り上げられている。
こういうのは有名なサンデル教授の本でも学ぶことができるが、著者曰く「奇抜なアイデアやpuzzleのような形式がしばしば話題となる。ひとつひとつの『思考実験』が、前後の脈絡のないままに、いわば頭の良さを競うように提出されるのだ。しかし、この方法では。『思考実験』のそれぞれが何を目指しているのか、あまり明確にはならないように思われる」(p.10)、とか「最近の『思考実験物』は、奇抜なアイデアを競って、自己目的化しているように見える。 -
Posted by ブクログ
フランスの現代思想史の中心であるレヴィストロースを中心にその周囲やそれ以降の哲学者やその思想を紹介した書籍。
構造主義についての考え方はある程度理解できたものの、ポスト構造主義以降の考えかたについては難易度が高かった。
著者がドゥルーズ=ガタリの文章を引き合いに、哲学とは"思想のメガネ”であり、「相性と、生き方と、スタイルを考えてそれぞれ自分に合った"思想のメガネ”を選ぶことになるだろう」と語った点は、「哲学とは何か」という基本的な問いに対する、最も分かりやすい回答の1つだと感じた。要はものの見方であり、戦略論が「企業経営のものの見方」であるように、哲学は「世の中(特に政治