岡本裕一朗のレビュー一覧
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タイトルの通り、哲学界で今まさに議論されている内容がたくさん書かれています。ボクの哲学/社会学はミシェル・フーコーでほぼ止まっていたので、その先の議論を概観できたのはとても良かった。ただ、議論が多岐にわたるので、ある内容について哲学する、となると本書の域を超えてしまいます。
各章の最後に「ブックガイド」がついていて、この先何を読んでいけばいいかっていうのをはっきりと示してくれるので、非常に親切かつありがたい。とりあえず、紹介されていた「なぜ世界は存在しないのか」(マルクス・ガブリエル)の邦訳がでたので買って読んでみようと。(買ってから結構経っているのに未だ積読なのは内緒だ) -
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ネタバレ【文章】
少し読み辛い
【気付き】
★★★★★
【ハマり】
★★★★・
【共感度】
★★★★・
現代の哲学者が考えている、
IT、バイオテクノロジー、資本主義、環境問題などについて。
これまでの哲学の流れは、登場する主義や思想の概念をあまり理解できていなかったので、よく理解できなかった。
哲学は儲からない行為かもしれないが、物事を抽象的に捉え、本質を考えるという行為は、生きる上では重要だと思う。
■ITについて
パノプティコン…システム管理者がシステム利用者を監視
シノプティコン…情報発信者を閲覧者が見る
そもそも、AIが発達する事によって、人の仕事が奪われるというのはそれほど悲観的な状況なのだろうか?
仕事が奪われた結果、資本を得る事が出来なくなるかもしれないが、食料やエネルギーの生産、流通までも自動化されたなら、それほど困る事にはならないのではないかとも思う。
資本主義を終わらせるのは、AIなのかもしれない。
■バイオテクノロジーについて
クローンは一卵性双生児と同じ。
自分の子供に対する遺伝子操作と、躾や習い事をさせるのは、どちらもよい素質を持った子に育てる為の行為。
■資本主義について
通貨が実現するのは、効率的な交換の手段ではなく、抽象的な価値単位の提供、取引を記録する仕組み、譲渡性。
グローバリゼーション、国民国家、民主主義のトリレンマ。
シェアリングエコノミーは、資本主義の一部として取り込まれる。
■環境問題について
動物の営みは自然だが、人類の営みは自然ではないというのはいまいち納得できない。人間という存在が自然に発生したのであれば、その存在の行為も自然の一部では?
環境汚染による終末論には根拠がない。
コペンハーゲン・コンセンサスによる優先的に取り組むべき政策は地球温暖化対策ではない。 -
Posted by ブクログ
パノプティコン、フーコー シノプティコン SNS、チューリングテスト AI、US全雇用の47%がITにより代替されるリスク、ラッダイトの誤謬、ニックボストロム「スーパーインテリジェンス 道行き、危険、戦略」”いつか私達が一般知性において人間の脳を凌駕する機械の脳をつくるならば、その時はこの新しいスーバーインテリジェンスは極めて強大になるだろう。そしてゴリラの運命が今、ゴリラ自身というよりも、私達人間にいっそう依存しているように、人間の運命も機械のスーパーインテリジェンスに依存することになるだろう”
ポスト・ヒューマン、トロッコ問題 道徳ピル -
Posted by ブクログ
ポストモダンの哲学がその勢いをずいぶんと昔に削がれた後にもまだ「哲学者」がいるのか、いるのであればそういう人たちはどういう問題意識をもっているのか、ということに興味を持って読み始めた。
ヘーゲルの有名な言葉「ミネルバの梟は黄昏とともに飛び立つ」をひいて、哲学とは「自分の生きている時代を概念的に把握する」ものだと著者は定義する。その問題意識は、かつて「哲学者」が抱いていたそれとは時代認識が違っているからこそ当然にして異なっている。そのために著者は、
①哲学は現在、私たちに何を解明しているのか?
②IT革命は、私たちに何をもたらすのか?
③バイオテクノロジーは、私たちをどこに導くか?
④資本主義制度に、私たちはどう向き合えばいいか?
⑤宗教は、私たちの心や行動にどう影響をおよぼすか?
⑥私たちを取り巻く環境は、どうなっているか?
という現代に即したテーマに関して哲学的論考を進めていく。
①の議論では、言語から意識への自然主義的転回、ジョン・サールなどの意識の問題について考察する。自分の感覚では、本章がすべての章の中でもっとも「哲学」らしい。著者がこの章を初めに置いたのもそこに理由があるのではないだろうか。
②のIT革命に関しては、フーコーのパノプティコンや「1984年」のビッグブラザーに言及しつつ、ジグモンド・バウマン、ダニエル・デネット、レイ・カーツワイル、などを紹介。
③のバイオではクローンなど遺伝子技術に関連して、リチャード・ドーキンス、マイケル・ガザニカ、ピーター・シンガー、アントニオ・ダマシオ、ジョシュア・グリーン、オリバー・グッドナイフ、などの生物学者や脳科学者を紹介。この領域は今後も大きく進展していくだろうし、いわゆる哲学の領域にも浸食していくだろう。
④の資本主義社会については、トマ・ピケティ、ロバート・ライシュ、ジョン・ロールズ、ロバート・ノージック、ハイエク、ミルトン・フリードマン、アントニオ・ネグリ、マイケル・ハート、アマルティア・セン、エマニュエル・トッド、ジャック・アタリ、ダニ・ロドリック、ジェレミー・リフキン、ヨーゼフ・シュムペーター、などを幅広く紹介。道徳と倫理といったことが論じられている。
⑤では多様化する社会と地域紛争を取り上げて、チャールズ・テイラー、サミュエル・ハンチントン、ユルゲン・ハーバーマス、ミシェル・ウェルベック、ジル・ケベル、スティーブン・グールド、マルクス・ガブリエル、などを紹介。
⑥では環境問題として、地球温暖化、種の多様性、などスケールの大きな問題について扱い、ブライアン・ノートン、ベアード・キャリコット、ウルリッヒ・ベック、ビョルン・ロンボルグを紹介。
IT技術やバイオ技術が世界や倫理に与える影響について検討が必要であることは間違いない。経済についてもグローバリズムや格差の問題となると倫理の問題につながる。現在の「世界」を考える上では、宗教を含めた文化の多様性についての議論は避けることはできない。環境問題については冷静な議論のための理論構築が必要だ。これらの諸問題をめぐる言論をまとめるという意図ではこの本は成功していると思う。ちょうどよいくらいに専門的で知らない内容がまぶされていて面白かった。
およそ本書で紹介されている知識人の多くはおそらくは自分自身のことを「哲学者」だとは思っていないだろう。
世界の哲学者がどのようなことを考えているかを書いたと言いながら、哲学者がかつて占めていた場所の多くを別の分野の学者が占めていることが明らかにされたようにも思う。ただ、それも含めて「哲学」と呼んでもよいのではないかというのが著者の言いたいことであるのだが。その世代の問題意識によって必要とされる「哲学」は変わってくるのだから。
まずまずに知識欲が刺激されて読んでいて楽しかった。 -
Posted by ブクログ
思想史とは言いつつも実際には構造主義以降の哲学のダイジェスト。フランス思想界の中心人物に絞った解説であるため概要を眺めることができる。
構造主義は元々、民俗学や心理学の説明のための道具であったが、「構造」の意味合いが変わり、さらにそれを使うこと事態が目的化したことが分かりにくさの原因であるように感じた。つまり、説明したいことに合わせて道具を選ぶのではなく、道具(構造主義)を使いたいがために説明したい事柄を変質させてしまっているということである。構造主義の創始者ともいえるレヴィ=ストロースですらそうなのだから、フォロワーがそのような事をするのは当然と言えるだろう。
思想史として俯瞰したとき、言語学が根底にあることからメディア論へと発展した事は特に驚くべきことではないが(その先見性には驚かされるが)、共産主義への回帰という現象が面白い。68年の五月革命を頂点に共産主義の考察が盛り上がり、そして今、資本主義への批判という形であるが再び共産主義が俎上に上がっている。グローバリズムの反動でナショナリズムに傾きつつあったり、再び冷戦構造に戻りつつあったりと、様々な事柄で揺り戻し、反動が起きていることとは無関係ではないように思える。現在進行形の事象であり、どのような展開を見せるのか分からないが、機械があれば関連する論文なども読んでみたいと思う。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
臓器売買、代理母…ヒトは「パンツをはいたモノ」になり、やがて「使い捨て」られるのか?
人間のモノ化(物質化・単一化)、「モノ・サピエンス化」がはじまったのは、広義にとらえれば人類の誕生とともに、少し限定すれば近代以降と考えられる。
本書では、それをポストモダンの時代以降と想定。
一九七〇年代から八〇年代にかけて、ポストモダンは世界的に大流行したが、この時代に「モノ・サピエンス化」が本格的にはじまったとする。
さらにこの傾向に拍車がかかったのは、なんといっても九〇年代から。
本書のテーマは「九〇年代以降の人間の状況」であり、このテーマに、さまざまな現象を通して迫っていく。
[ 目次 ]
プロローグ ヒトの「使い捨て」時代がはじまった
第1章 モノ化するブランド
第2章 モノ化するカラダ
第3章 モノ化する労働
第4章 モノ化する命
第5章 モノ化する遺伝子
第6章 モノ化する思考
第7章 モノ化する社会
エピローグ 「人間の尊厳」の終焉と新しい時代のはじまり
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
第1章:コピーからオリジナルは生まれる?
コピーの要素を含まないオリジナルなど無い。
第2章:n個の性、n個の人格?
社会的アイデンティティ、個人的アイデンティティ、自己アイデンティティ。
第3章:監視される生き方?
「多数者が少数者を見る」ことによって、多数者は少数者に管理される。
第4章:自然は文化?
生物種としての人間を批判することによる問題の曖昧化。牧歌的自然崇拝。
第5章:人間をつくり変える?
人間、クローン、遺伝子組み換え、サイボーグ、アンドロイド。
第6章:あなたの心が見たい!
他人の心は推測の域を出ない。
第7章:コミュニケーションはいかにして可能か?
コミュニケーション行為、戦略的行為。人間関係のいたるところで権力が働いている。メタ・コミュニケーション。
第8章:私たちってホントに自由で平等?
自己決定の自由。他者危害則。どんな点で平等か?寛容と無法国家の排除。
エピローグ-私たちはどこへ行くのか?
ニヒリズム。人間を道具的な連関へと駆り立てる社会。大きな物語の終わり。伝統が何を隠ぺいしてきたか?