あらすじ
ベストセラー『いま世界の哲学者が考えていること』著者最新作。『WIRED』日本版のビジネスパーソン向け人気講義を完全書籍化! 「自動運転車が事故を起こしたら、誰が責任を負う?」「私たちの雇用がAIに奪われた社会の姿とは?」「ゲノム編集で天才を生み出すことは許される?「ビットコインは「国家の終わり」の始まり?」……最新テクノロジーがもたらす倫理的課題と未来像を、プラトン、アリストテレスから、ハンナ・アーレント、マイケル・サンデル、マルクス・ガブリエルまで、古今の哲学者の思考を通して徹底議論する。答えなき世界の明日を切り拓く哲学講座、開講。【拡大無料お試し版電子書籍配信中!】
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Posted by ブクログ
答えのない世界。答えのない設問を四つ程提示してグループ討論の内容を議論する。例えば、トロッコ問題。女子学生とチンパンジーの交配の是非。クローン問題。タイタニックにおける救済の優先順位、パパ活の是非などなど。自らも参加するつもりで思考する。考え方の多様性、根源を探るような解説。面白い。
これが政治やビジネスであれば、利害得失の限定合理性で判断できるのだろう。所与の条件と属性次第。答えのない世界、だが、その実は、判断しない事も含めて「決断は必ずある世界」。自動車事故は世界中で起こり、トロッコ問題の類似事例は発生している。答えはない、と悠長な事にはならず、判断を迫られ結果は出ている。
哲学とは、循環参照を巡る悠長な思考実験のプロセスなのか。しかし、こうした思考実験こそが本質や構造を探り、多面性を理解するに必要だと思う。世の中は大きな連関において矛盾は生じず、個別利害や哲学がパラドックス化したとしても、やがて自然界に回収され、生まれては果てるそのサイクルで辻褄を合わせていく。刹那答えとは、些末な観念ではないだろうか。
Posted by ブクログ
哲学を難しくとらえるのではなく、日常に起こる出来事をどう考えどうとらえるかである事を改めて教えてくれた。
遺伝子組み換えやアンドロイド、AIのような科学技術が進む中、それらを社会にどう取り入れるか、どうとらえるかという事を考える事が哲学。
自動運転車が飛び出してきた子供を轢いてしまうのを避けるために運転者が傷つくのを許容できるか。子供を避けるために歩道の老人を轢いてしまう場面ではどうか。どちらかを選択しなくてはいけない中、自動運転システムをどのように構築するか。こんなことも哲学なんだなと改めて考える事の楽しさと奥深さを感じさせてくれた。
Posted by ブクログ
様々な課題に対し、様々な人々の意見をディスカッションしている著書。課題に対し自分の考え方以外の視点や捉え方が面白い。自分ならこう考える。そういう考え方があると多面的な物事の捉え方に繋がる。常識とはなにか。哲学に答えはない。
Posted by ブクログ
あー面白かった。
数々の思考実験で知的好奇心が刺激されて脳汁がドバドバ出た。こんな講義に出てみたいなー。
AI(自動運転)、バイオテクノロジー(遺伝子操作)、国家と資本主義(仮想通貨)など、現代的なトピックスに哲学がどうアプローチしているかを紹介してくれる名著。そうか、21世紀の哲学って今こうなってるんだ。説明がすごくわかりやすい(最後のパート3は少し難しかったけど)。
あとがきにもあった通り、社会人向けの哲学講座という、『哲学=無用の長物』という社会のステレオタイプをぶち壊す、哲学がいかに実社会に役に立つかを教えてくれたパンチの効いた本でした。
Posted by ブクログ
個人、国家、貨幣、経済、テクノロジー、文化など、様々な物事に対して哲学を持って考えるという講義を書籍化した本。
大変読み応えあり。個人的には貨幣について、現代の選挙システムについて論じている分人という考え方がとても興味深かった。
Posted by ブクログ
AI、バイオサイエンス、資本主義の課題に対する課題図書とグループディスカッションやゲスト講演者も交えた哲学講座8回の記録。
サンデル教授でおなじみのトロッコ問題の感覚の違いが生まれる源泉の検討から自動運転のAIがどのような判断をすることが望ましいのかといった答えのないディスカッションに真剣に向き合い報告される参加者のレベルの高さに感心した。
19-14
Posted by ブクログ
デネット
心は、外界の情報を集めて、選別してたくわえ、加工処理できれば、どんな物質でも心と呼んでかまわない=機能主義
人工知能を考える時、「人間のみが心を持つ」という考え方を改めないといけない
特定の分野に能力が限定されたものや、最初に設定されたプログラムを遂行するだけのものは人工知能とは呼ばない
AIによって、仕事が奪われるのではなく、動物化するか自由人になる。そうなったときに自分は何をしたいか考えていればAIが仕事を奪っていくのは悪いことではない。古代ギリシアの奴隷時代が再来し、知識人が生まれるかも。
AIと自動運転。
ロボットに法的責任をもたせつつ、保険会社が保険金をだすor社会保険でまかなうという選択肢もありうる。
ドイツはナチス迫害を反省して、バイオテクノロジーによる禁止事項を多く設けた→その分出遅れた
私の勝手という自由に対して、「それをするとあなたが困るよ」とおせっかいするのがパターナリズム
人間は分割できない個人でなく、さまざまなデータとして記録された分人としてみることもできる。
1人の中に10の個性を認める1人10色のほうが面白い。(たしかに私も最近はこちらのが受け入れやすい。)
Posted by ブクログ
講義方式で現実の問題を思考テストしていくのは、これが哲学かはよくわからないが、興味深い。ただ、実務に携わっている人間としては、白紙の立場からあーでもないこーでもないという議論は、頭の整理の一つにはなるが、空理空論を弄んでいるだけのようにも思える。
人工知能やバイオなどの個別問題を議論するなら、法的な判断、経済的な損得、市民感情などの前提を考えた上で議論しないと、私はこう思うでは、相対主義が常識となった今、何者決められない。
なんの判断や結論もなく放談だけする議論は、知的には面白いが、議論のための議論であり、なるほどという知的遊戯に過ぎないように思えた。