あらすじ
トランプ以前と以後で、アメリカの現代思想のルールがまったく変わってしまった。トランプ以後、たえず抑圧されてきたホンネの欲望が噴出するようになったのである。いわゆるPC:ポリティカル・コレクトネス(政治的に正しく、差別的ではないこと)に対する反感だ。今までアメリカの現代思想と言えば、言ってみればPCのコードにしっかりと守られたいわばタテマエの思想だった。それを「リベラル・デモクラシー」派と呼ぶならば、今までのほとんどの思想が、この中に入ってしまう。そこで本書では、長くアメリカの主流であったリベラル・デモクラシーの思想を1970年代にさかのぼって追究し、そこから今日まで何が起こっているのかを確認する。リベラリズムのロールズ、共同体主義のサンデル、ネオ・プラグマティズムのローティ、民主主義に反対する「新官房学」、「ポスト資本主義」の一種といえる「加速主義」……。社会の動向を反映してダイナミックに変容していくアメリカ現代思想を平易に解説する。
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Posted by ブクログ
第一章のリベラリズムとリバタリアニズムについて、A、B、Cの例え話がとてもわかりやすいです。リバタリアニズムを理解するのにチェンバレン選手を例えに説明があり、併せてよく理解できました。各ページに載っている図もイメージが浮かび入門者の私としては、最後まで挫折せずに読み進めることができました。全体の概要をサクッと学びたい人にオススメです。思想というと何かすごい固いイメージでしたが、この本を読んで勉強になりました。
AI、ロボットが将来は働き、人類の雇用が減っていくが、ベーシックインカムを全ての人が獲得したとして余剰の時間が増えるとすると人間は毎日何をして過ごすようになるのだろうか。
Posted by ブクログ
1日で読み終わる非常にコンパクトな新書。
第1部はロールズとノージック、サンデル、テイラー、ローティという感じでリベラリズム周りの議論をざっくり追える。
他の本で予備知識があったから読めたもののこれだけじゃ厳しいだろという記述もあったが、とにかくコンパクトなので満足。
コミュニタリアニズムの積極的な主張って何なんだろうと以前から思っていたので、「亡霊」と著者が切って捨ててくれてスッキリした。あとローティの思想もよく分からなかったけど、ロラン・バルトみたいな感じで時代に合わせていろいろ変遷してきた人らしい。ロールズが変わったんじゃなくて周りが誤読してただけ、というローティの評も面白かった。著者の好みに影響されてる気もするけど、結局ロールズなんだろうか。
第2部はデモクラシーについて。
フランシス・フクヤマやネオ・リベラリズム、ポスト資本主義などなど。正直ここは時事ネタ感が強く、どれも古い話に思えてあまりピンと来なかった。
一番最後に「ミラーワールド」の話が紹介されていたけど、これって完全にメタバースのことだよな。メタバース元年でもある2021年に提唱されたらしいが、当時はまだ近未来の話って感覚だっただろうか。覚えてないけど、それだけここ数年で世界が大きく変わったってことなんだろう。
Posted by ブクログ
混沌とするアメリカ現代思想について、ベーシックならリベラリズムやネオリベラリズムの解説から、まさに現代である暗黒啓蒙主義や加速主義まで手を伸ばす。
基本的なリベラリズムの整理はきっちりしており、わかりやすい本だが、まさに今の思想整理についてはさすがに紙幅が足りない印象もあった。
それでも、現在の状況把握には非常に有用な本。掘り下げは紹介されている各種本でさらにやろう。
Posted by ブクログ
トランプの登場により根底から変わりつつあるアメリカの思想についての本。リベラリズムとリバタリアニズム、それらを批判したコミュニタリアリズム、プラグマティズムへの回帰など、現代アメリカでは様々な思想が登場したがこれらはあくまでリベラル・デモクラシーの範囲内であった。しかし、トランプは既存のメディアに頼らずSNSを巧みに活用しその前提への攻撃をやってのけた。
アメリカの現代思想について理解を深めることも激変している現代のアメリカについて知ることもできる良書である。特に第1章、2章のリベラリズムとリバタリアニズム、コミュニタリアニズムの説明はかなりわかりやすく初心者にもおすすめ。