氷室冴子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ氷室冴子さん原作で単行本未収録小説ということで買ってみましたが、大変重い作品でした。
貴族の妻も子もある年上の有実の愛人として暮らす貴志子の元に、有実の娘の晃子を預かるという話があり、二人の年の近い姫がしばらく一緒に暮らすうちに、お互いの苦しい気持ちが明らかになるって感じです。
最初からあまり有実に愛を感じてなさそうな貴志子が、実は別の男性に恋をしてるっていうのにも驚きましたが、その相手は浮気者っていうのも驚きました。少女コミックっぽくないなぁって。
文庫も発売されるみたいですけど、「ざ・ちぇんじ」はすでに文庫で読んでるし、そっちは買わないかも。 -
Posted by ブクログ
京都マンガミュージアムで一生懸命読んだけど、長い!閉館までに読み切れず、泣く泣くまた次の機会を待つことに。宝塚もどきの音楽学校に入学した仁科夕紀が、才能を見いだされ異端の脚本家に女優として育てられていく。よくある成長もので、落ちこぼれで普通の女の子が、自らの理想を追う先生にしごかれて花開く物語。始まりはエースをねらえ!だけど、過程でどんなドラマが生まれるかが各作家の腕の見せ所ってもんでしょう。せっかく夕紀が娘役としてやっていこうと決めたのに、先輩にはいじめられるし先生にまで突き放されるし。デビュー作がよすぎてその後鳴かず飛ばずの役者ってありそうだなあ。それで終わっちゃうと漫画にならないので、ヒロインが逆境から立ち上がり再び舞台に返り咲くまでを描いてラストへもつれこむ。ついでに先生ともハッピーエンド。というのが今後の予想。何巻まで読んだのかわからなくなったので、とりあえずここに載せます。
-
Posted by ブクログ
友人から借りた!
氷室さんが原作で、昭和62年に漫画化。同い年。
いや~、よくある男女逆転・・・おてんば娘の根源はここか?というぐらいな平安物!!
『とりかえばや物語』
名門の大臣には違ったタイプの二人の奥方がいて、同い年の男女の子供をさずかるわけで。
体の弱かった男の子は、よくある成人まで乙女でうんちゃら説で育てられて、都でも評判の謎多き美しいであろう姫に成長。
元気な女の子は、長じても元気な男装のおんなのこで、元服したがっちゃって・・・
そっからはお上がでてきてさ。
横恋慕とかでてきてさ。
最後にはうまく収まってさ、みたいな。
わたしの好きな形。
20年以上前の話なのだから、面白い。
いや~しかし、物語の中に両刀の方がいるのだけれども。
平安の話だから、とりいれやすかったにしろ、作者が嫌悪感をもっていないのでとても美しい描写がある。
’すみれ族’
奇(あや)しの恋は禁色の
深きすみれの色なりき
誇る匂いはなかれども
ただに床しく咲き初めて
人知れずこそ散りゆかん
なんかの引用なのかどうなのかわからんけど、素敵だわ~
禁色が皇族のみの使用の紫を示しているのかしら?
なおさらぐっときますわ!! -
Posted by ブクログ
“「右近少将、高彬さまに申し上げます。三条の内大臣のお邸、すべて焼失いたしました。三条の内大臣さま、御子息の融さま、御子女の瑠璃姫さまの行方は、まだわかっておりません。ただお一人、北の方さまは御無事ですが、煙で目を痛められた由」
「他には」
「不信な点が二、三あります。どうも放火らしいと専らの噂。そして、唯一焼け残った門柱に、呪詛状と覚しき札が打ちつけられていたとか」
あたしは息をのんだ。
呪詛状って、なによ。なんで、うちが呪詛されるのよ!
「何と書いてあった」
「焼け残ったところだけで、よくはわからぬながら――」
使いの者の声が、一瞬、怯んだ。
「『瑠璃姫 怨』と読めると……」
その瞬間、ゆっくりとあたしの意識が遠のいていった。
「少将さま、ただちに右大臣邸に戻られて、参内の御用意を!宮中より、急ぎ参内するようにとの御内意がありました。一刻も早く」
薄れていく意識の向こうで、使いの者の声、高彬の鋭い声、真剣な顔、二の姫のすすり泣きがこちゃごちゃになって、やがて静かに、何もわからなくなった……。”
吉野君、意外と出番が早かった。
今回はちょっと涙目。
“あたしは不安に襲われて、叫んだ。
「吉野君、約束して。吉野まで、必ず生き延びるって!」
「来てくださってありがとう、瑠璃姫。あなたはいつも、思ったことは必ずやり通す人だった。逃げてみます、逃げられるところまで。あなたも無事に、ここを抜けてください」
吉野君はそう言うやいなや、渾身の力をこめて馬の脇腹をこぶしで突いた。
馬は狂ったようにいななき、走り出した。
「吉野君!吉野で会うのよ。生きていて。きっと生き延びて!」
叫びながら振り返ると、萩の袿は煙の中、あたしを見届けるように動かなかった。
「ばかーっ、見送ってる場合じゃないでしょ。逃げるのよーっ。早くっっ」
あとはもう、煙が喉にからみついて、叫ぶこともできなかった。” -
Posted by ブクログ
“「いや、ぶっちぎりの仲だと怒鳴るあたり、瑠璃さんらしいと思ってさ」
あたしはカッと赤くなった。
「あ、あれは、あんたと口裏を合わせただけよ。ああでも言わなきゃ、どうにもならなかったでしょ」
「……ふーん」
高彬はすっと笑うのをやめ、いやにまじめな顔でじっとあたしを眺めた。
あんまり長いこと黙ってあたしの顔を眺めるので、不覚にもますます顔が赤らんでくる。
高彬はようやく、口を開いた。
「なんだ、思い出したわけじゃなかったの」
「思い出す?何を」
あたしがぼんやり尋ね返すと、今度は高彬がほんのりと顔を赤らめた。
「べつに、いいよ。忘れてしまってるんなら、無理に思い出すこともない。昔の約束だし」
「嫌味な言い方ね。あたしが何を忘れてるっての。昔の約束なんていったって、あんたとは何も……」
あれ。
ちょっと待て。さすがに、何かひっかかったぞ。記憶をプレイバックさせてみれば、……かすかに、何やら……。”
瑠璃姫:主人公。
高彬:瑠璃の筒井筒。
融:瑠璃の弟。
小萩:瑠璃の腹心の女房。
鷹男:東宮。宗平新王。
藤宮:東宮の叔母。
瑠璃の言葉づかいが現代チックで読みやすい。
これからが、人間関係ごちゃごちゃしそう。
“「……衛門佐どのが羨ましい。あなたのような姫を妻にされて」
「まだ、妻ってわけでもないけど……」
初夜が流れたことを思い出してブツブツ言うと、鷹男の目がかすかに光った(ような気がした)。
「まだ妻になっていないというと、あの……」
「ま、その、いろいろとあって、つまり……」
話が妙な方に行っちゃったな。
こういうことを呑気に話している状況ではないと思うんだけれど。
「あなたと衛門佐どのは、まだ……?」
「……心は妻よ、心は。しっかり」
「ということは、わたしにも機会があるかもしれないということですよね」
「!」
あまりにあからさまな言葉に、あたしは絶句してしまった。
鷹男って、人妻に強いタイプだわ。絶対にそう。藤宮さまも未亡人だし、マダムキラーなんだ。”