永嶋恵美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大正時代の横浜を舞台にした長編小説。これをミステリに分類していいものなのかどうか迷うけれど、とにかくおもしろかった。
主人公の高木かな子は、横浜の素封家、檜垣澤要吉が妾のひさに生ませた子であった。母ひさが火災で亡くなり、檜垣澤家に引き取られることになったかな子は、病の床に臥す父の介護をして暮らすが、使用人ですら、妾の子であるかな子にはつらく当たる。程なく父が亡くなり、完全に孤立したかな子は、ひと癖もふた癖もある義理の家族の中、強く立ち回ろうとする。
読んでいて何度か『小公女』を思い出したが、かな子はセーラのような無垢な少女ではない。盗み聞きはじめ権謀術数を駆使して、自らの地位を少しでも高め -
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Posted by ブクログ
携帯サイトで見つけた、恋人を強奪してくれるという「オフィスCAT」に頼る女性たちの物語。恋人を強奪する=泥棒猫派遣業のヒナコの成功率はほぼ100%。しかし単純に「恋人を強奪する」だけではなく、依頼人にとって何が最適なのかを見極め行動する、そんな彼女の姿がとっても魅力的な短編集です。
最初の「泥棒猫貸します」がもう見事。DVの彼と別れたい依頼人をどのように救うのか、もう痛快としか言いようがありません。たしかに一時別れるのに成功したところで、あとあとまで引きずらない保証はないものね。これはもう完璧!
一方で「マイ・フェア・マウス」のような優しい手段があったり、「鳥籠を揺らす手」のようなサスペンスフ -
Posted by ブクログ
「アミの会」のアンソロジー。
『初めて編』ということで、七編のストーリーは、初めて訪れる旅先での初めての食べ物が登場する。
料理が美味しそうだったのは、乗り鉄・食べ鉄にも嬉しい「下田にいるか」坂木司さん。なんと言っても下田なら行けそう!と思えるのが嬉しい。観光も楽しそう。
もうひとつは、サハリンでのロシア料理がたっぷりの「地の果ては、隣」永嶋恵美さん。初めて読む作家さん。作中では、既にロシアとウクライナの戦争の気配が描かれていて、今は…まだ、いつになったらロシアに旅行に行こうと思えるのかわからないけれど。
コロナ禍のあと、旅に出る物語が描きにくくなっただろうと思うけれど、むしろ、だからこ -