永嶋恵美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「このミステリーがすごい!2025」国内編第3位。最近本も読めていないし本屋にも行けていない…という状況だったので、このミスでまだ読んだことのない作家さんの小説を選択。
舞台は明治〜大正期の横浜、ミステリーであり大河小説であり青春小説でもある。
主人公のかな子は登場時から既に賢い子である。そのかな子を一枚も二枚も上回るのが大奥様のスヱであるが、この2人は本当に似ている。読めば読むほどこの2人の相似性が際立つ。本妻と妾の子という緊張した関係性ながら、単純な愛憎物語にならない、互いの強かさ。
女系家族である檜垣澤家の他の女性たちもまたそれぞれに強い。これだけの女性を、埋没させず描き切っているところ -
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ネタバレすごい評判になっていた一冊。かなり分厚いので読み始めるのにちょっと覚悟がいるかもしれない。自分もそうだったのだが、主人公のかな子が学生になったあたりから、かなり面白くなっていって、後半は夢中で読み進めるくらいには面白かった。最初は幼さを武器にし、少しずつ知識と知恵を蓄え、大人たちを追い越そうとする姿はめちゃくちゃ凛々しい。あまりにも優秀すぎてびっくりする。7歳の頃の自分はこんなに賢くなかったよ。明治の世において女系家族というものがどれだけ特別なのか、そしてそれを実行する大奥様たちがどれだけ凄かったのか、ラストになって主人公が否応なく実感するのが上手いなあと思った。あと、きちんと張られていた伏線
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Posted by ブクログ
読み応えのある一冊だったー!(上下巻にしたらいいのではないのかな?ちょっと重い)
前半は大正時代の上流階級の人々の暮らしや時代の流れに焦点があたっていて、しかも子供から少女時代のかな子目線での語りだから分かりやすい。
おもしろくなってくるのは、暁子が結婚したあたりから。
ミステリーとしてもちょっと意外な犯人だったり、まさかの結末だったり。
これは続編があるのかな?
あればもちろん読みたいけれど、その時にはかな子には人を敬う気持ちだったり、感謝する気持ちの大切さに気付いてくれるストーリーならいいな。
育った環境故致し方ないとは言え、人を駒呼ばわりするときっと痛い目に合うと思うんだよな。 -
Posted by ブクログ
おっもしろかった!
必死でサバイブしようとする女の子目線で体験する、レトロ横浜青春サスペンス。
注意深い、賢い主人公は嫌いではなく、ジリジリ成り上がっていくさまは、仄かな野心とともに目が話せない。
檜垣澤家のあれこれの関係性の秘密を探り、ほどいていくことに、スリルとわくわくがあるのだけど。終わってみれば、どの関係も愛情が漂い、仄かに温かく寂しい。
継母(義理の祖母?)にあたるスエをはじめ、登場人物 誰もが 抜け目なく、切れ者で恐ろしいのだけれど、どのタイプの女性たちも嫌いにはなれない。誰もが魅力がある。
女系の檜垣澤家ということで 、商売の世界で男性社会である軍隊の世界とコネクションを作 -
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明治時代、妾だった母を亡くした7歳のかな子が、父と父の正妻とその家族が暮らす豪邸に引き取られる。寝たきりの父に代わって家業と館を取り仕切るのは正妻のスエだった。かな子は持ち前の賢さと母が仕込んでくれた知恵を武器に、スエの一族から自分が受けるべき正当な取り分を得るため、演技や嘘を駆使して生き抜いていく。
明治時代は不勉強だし、中々のページ数だし、小さい子が虐げられるお話苦手だし、でも前評判良いし勧められたし…と若干不安ながら読み始めたけど、面白くてあっという間の読書体験だった。
かな子の母の教えである、人の3つの色(顔、声、腹)を見極めなさい、が印象的。かな子がそれを実践できる賢さ・狡猾さを持っ -
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このミスのランキングに入っていなかったら、この本には出会わなかったかもしれない。
解説にも書かれているが、まさに細雪+ミステリといった小説である。
そしてあの大震災直前の横濱の情景が鮮やかに描かれているのが素晴らしい。(もっともその情景を知る由もないのだが)
妾の子として、檜垣澤家に迎えられた高木かな子は、幼い頃から目端が効き賢かった。そんなかな子が一族のなかで上手く立ち回り、様々な事件に立ち向かっていくのが痛快である。女学校で親友となる華族の東泉院暁子や南京町の張景秋など魅力的な人物もこの物語に華を添える。
個人的に物語に出てくる、山手公園や根岸旧競馬場はその脇に住んでいたことがあるし、地蔵 -
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Posted by ブクログ
ネタバレほげ~~~~こんな重厚なお話が文庫書き下ろしなんですか??????ありがとうございます。炎上ってネット用語じゃなくてほんまもんの火事のことか。
妾の子かな子が檜垣澤家に引き取られ、女帝スヱを筆頭に癖の強い女たちの中で必死で生き抜こうとする話なんだけど、とにもかくにも出てくる女たちが皆強か!かな子もものすっごい頭がいいし野心むき出しなのに、さらに上をいくのがスヱ。好敵手というか大ボスっていうのは、憎たらしいけど尊敬できる存在なのよね。
分厚い本だったしまとまった時間が取れなかったので読むのにかなり時間がかかったんだけど、一度も中だるみだな~なんて思わなかったし、むしろ読みたいのに読めないジレンマ -