江川紹子のレビュー一覧
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某所読書会課題図書.1931年の満州事変から1945年の太平洋戦争敗戦を踏まえて、東京裁判とサンフランシスコ講和条約の概要を冒頭に述べ、戦争責任さらに戦後責任の議論が続く.戦後間もない時代は、戦争に対する被害者意識が全面で、加害者でもあったことを認識することはなかった由.その通りだと感じた.慰安婦問題の議論で、女性の人権を考慮することが主流化されてきた現代の動きを、改めて考えることの重要性が強調されていた.同様の考え方で、謝罪の時代が始まったとの指摘もあった.欧米列強は日本やドイツの謝罪には文句を言うものの、自分たちの植民地政策等は一切反省していない.その点を日独が諭して、彼らの発想を正しくす
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「オウムに引き寄せられた若者たち」は、みな、社会の理不尽さに疑問を持ち、自分が何かできないかと悩み、真剣に考えるような善良な人たちだった。サリン事件などの加害者でありながら、被害者だったんだと思う。教祖の行き当たりバッタリな言動行動に翻弄され、真相究明がなにもなされないまま、教祖含む実行犯を死刑に処してしまって本当に良かったのだろうか…。なぜ死刑実行してしまったのか。今もモヤモヤしている。 カルトはすぐ隣にあることを子供達たち、大人にも広く伝えたい。人は誰しも悩みをかかえ、それを解決しより良くしたいとかんがえる。それを利用するのは簡単なことだと思うと、自分も含めて周りもこの事件についてちゃんと
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ジャーナリストの執念の一冊。「煉獄の使徒」を読んで、オウム事件を再訪したくて当時の江川紹子さんの著書読んでみた。このジャーナリズムの力がなかなか届かなかったのを歯痒く思いながら、当時の臨場感に触れてる。坂本弁護士事件から5年もオウムを放置したマスコミと警察の罪はとても重い。取り返しがつかないのがとても悔しい。
オウム事件を俯瞰するならこの本でなくても良かった。事件がすべて明るみに出てからの本を読めば良かった。でも最初にこれを読んだのは当時の空気を知るのにとても良かったと思う(本書が出た時点ではまだ坂本弁護士も假谷さんも消息不明のままだった)。 -
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江川紹子が慰安婦問題について 2013 に取材を申し込んだところから始まっている。大沼氏から江川氏に共同作業を申し込む形で、インタビュー形式の本書が成立している。主張が分かれ対立する主題に関するわかりやすい見取り図を提示している。
話題は、東京裁判、サンフランシスコ平和条約、日韓・日中の正常化、戦争責任と戦後責任、慰安婦問題にわたっている。2015 年までの時間の流れの中で、南京問題や慰安婦問題をどう考えたらよいかの指針となる。
現在騒がれていることは、本質を外していると思えてならない。
中共が賠償を放棄したこと、
一方、戦争と植民地支配の責任認識に関して、敗戦国の日独は進んでいて、戦勝国 -
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確かに、現在「歴史認識問題」と言えば、韓国併合から満州事変、太平洋戦争を経て、その戦後処理に係る日韓、日中の対立を限定的に指している。靖国参拝、竹島や尖閣諸島、慰安婦といった問題は、それなりに報道に注視し、親と語らい、解説書や小説を読むことで、自分なりに認識しようと努めてはきたけれど、容易じゃない。感情を排するのは無理だから、多様な角度から学ぶことで素直な感情を抱きたい。けれども、他国の激しく執拗な批判や、自国の政治家の言わずもがなの繰返しに憤り、冷静を保てない。本書で改めて学ぶに、この問題は今後「きっぱりと加害と被害に分ける二分法的な物言い」に辟易しつつ、自負と呵責の狭間で揺れ続けることが大
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Twitterで誰かがつぶやいていたのでメモしていた本です。ジャーナリストの江川詔子さんが、中学生や高校生向けに書いた本ですが、年齢を問わずたくさんの人に読んで貰いたいなあと思いました。江川さんの飾らない、真摯な文章が水のように体に沁み込んできます。
江川さんがその勇気に感銘を受けた5人の人と、イスラエルの若者たちへの取材から綴られた6つの章には、自分に正直に向き合って生きている人達の姿が描かれています。読み進むうちに自然と目頭が熱くなるところもありました。
取材対象には、あのイラクの人質事件でものすごいバッシングを受けた高遠菜穂子さんも含まれています。あのころの日本を取り巻く異常さを思い -
Posted by ブクログ
冒頭の、普通の若者がオウムに傾倒した理由が知りたい、というのはまさに私の問題意識と重なるところであった。
ただ、各死刑囚の背景などを断片的に知るだけでは、途中までは確かに分かるなと思うところもある(世の中の大人がつまらなそうに働いていて将来性を感じられない、女性にモテなくて辛い、、)が、そこからヨーガ、霊、といった方向に傾倒してしまうのは、今のところどうしても理解できない。途中から一気に確変が起こったように傾倒しているように見えていた。
中でも共通している傾向(時代背景的な分析):
・尾崎豊など、バブル景気の中働き詰めの大人たちに対する反感を持つ若者の増加。経済格差の拡大。→現実世界では真