江川紹子のレビュー一覧
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ネタバレ「カルトの子」に衝撃を受け、何度も読んでいる身としては読まずにいられないテーマ。宗教と発達障害の関係については考えたこともなかったけど、人生がうまくいかずに宗教に助けを求めることを思えば、生きづらさを感じやすい人たちがはまってしまうのはなるほどと思う。当事者のインタビューは読みやすかったけど、専門家のところはちょっと読み飛ばすところも。信田さよ子さん、久しぶりに読んだけど、やっぱ分かりやすかった。斎藤環さんとの対談のとこも。こういう本を読むと、あの高校時代のエホバの子を思い出す。今どうしてるんだろうなぁ。エホバの個別訪問が辛い思いをさせて、コミュニティへの帰依を高めるためだという意見にはなるほ
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ネタバレ宗教者、精神科医、ジャーナリストなどこの問題に向き合っている様々な専門家との対談や取材と2世当事者の声を集めた章が秀逸。
むしろそこだけでも良かったのでは、と思うくらい。
最後の方の章は著者自身の著作や宗教関連の文学や映像作品の紹介と見解が多く、興味を惹かれるものもあったが映像に関してはほとんど見ることのできないものが多いこともありちょっとうるさく感じてしまった。蛇足感がある、と言ったら言い過ぎだろうか。
p253で著者が創価学会について、エホバの証人のように2世問題を唱えてる人や宗教被害を受けたと言っている人が実数からすると多いと思えない、ゆえにエホバが2世問題を生み出しやすい宗教と言える -
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岩波ジュニア新書ではあるが、
大人が読んでも十二分に感じ入るところのある一冊。
当時の社会情勢を知る年代であれば尚更。
カルトに感するという事より、
事件に関わった受刑者たちの半生の記録という部分が大きい。
そして、それも「反省」であったり「後悔」をしている受刑者のみ。
そこは読み物として興味深い。
最後の章の、カルトからの防御策が、結局ところ
「巧妙化が進み、100%見抜くのは無理」
と言い切ってしまってるのは残念であり、恐怖も感じた。
岩波ジュニア、もちろん10代の中高生にも勧めた一冊。
もし、学生生活のため親元を離れるなら、その前に読んでおいてほしい。
作中にあるように「100%防 -
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現在二十歳の私は、私が生まれる前にオウム真理教という存在、そして地下鉄サリン事件という現代日本史上最も恐ろしいテロ事件の一つが起きたという事実はメディアや歴史の授業で学んでいた。また、私の祖母は事件当日、何となくに早めに出勤をしようと家をいつもより早く出た結果、幸いサリン事件に巻き込まれずに済んだという話を聞いたこともある。この本を読んで、私はこのオウムに引き寄せられた若者たちを他人事とはとても思えなかった。オウム真理教が生まれた当時の社会は、右肩上がりの成長を続けてきた高度経済成長がオイルショックによって崩壊し、狂乱物価や物不足などで社会が混乱し、人々の将来への不安が芽生えてきた。そんな時、
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以前から「人はタンポポの種」という仮説が頭にある。
運命という風向きで落ちた場所に花を咲かせるしかない。
誤った指導者に巡り会ったのが不運の始まり。むしろ良心的で利他的な人々が極刑に処せられてしまった。(A級戦犯や極左ゲリラにも似た事例がある)。
オウム事件の後にも、カルト宗教の被害者は数知れない。彼らにしてみれば「オウムなんて邪教にハマった奴らはバカだなぁ。その点、うちは大丈夫」という確信があったのだろう。
参考文献に『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』が入っているのは、江川さん、目が行き届いている。
自分は浮き世離れした人種が好きで「よく宗教勧誘に来る人」も部屋に招き入 -
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著者は2004年に東大で慰安婦問題を通して歴史を考えるゼミを実施、村山富市や上野千鶴子などそうそうたる講師を招くが、当初ご受講登録者はたった1名。焦って二次募集を行いやっと9名集めたらしい。そのゼミの内容をもとに慰安婦問題に関する本を発行したらしい。
東京裁判、サンフランシスコ講和条約などについて、アメリカや中韓の認識など書かれていてわかりやすい。A級戦犯が祀られている靖国神社を参拝すると中国から猛烈に批判されることについては、周恩来が「感情で政策を決めてはならない。日本の人民も一部の軍国主義者の犠牲者だ」と言って戦後賠償を放棄したから中国人民と日本人民の共通の悪であるはずのA級戦犯をなぜ参拝 -
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江川さんの名前は、恥ずかしながら死刑報道のあとに初めて知った。信頼できるオウムジャーナリストである、という評判も聞いていた。
彼女が、子供のためにかいた本であり、まだ新しい本だというので、本書を手にとってみた。
面白い。
一気に読んだ。
誰もが思う疑問、なぜ社会的に成功したひとや、高学歴者、人格者までがオウムで中心的な犯罪に手をそめたのか。
そこに迫る。機能不全家族で育ったのか、と短絡的な想像をしたけど、そんな事はない。ごく普通の家庭のひと、裕福な人、貧しい家庭の人、両親不和の家庭、円満な家庭、さまざまだった。つまり、誰もが陥る世界、ということ。
70年代以降の経済成長のなか、オカルトブー -
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立花隆の青春漂流と比較すると柔らかく、より一般的な人にフォーカスの当たったルポタージュ作品だった。
人はどうせ死ぬわけで、どうせ死ぬなら自分らしく生きる方がよい。
回り道をしながらも自分が生きるべき場所を見つけてきた人たちの話は勇気をもらう。
重松清が最後に残しているメッセージが良かった。
現代社会は自分の肥大化が起こっていて、自分探しの旅や本当の自分はどこにいるのか?といったように、自分が納得しなければすぐに辞めてしまう傾向にある。
仕事が生きるための仕事から、生きがいのために変化してきたことが原因だ。
本当にしないといけないのは、社会にとっての自分の居場所はどこなのか?という問 -
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東京裁判、日中国交正常化なども重要論点だが、慰安婦問題にも紙幅を割く。
「強制連行」などの史実にかかわる部分については、「ないものはない」と歴史学者としての冷徹な分析を徹底しつつ、一方で問題そのものについての日本の道義的責任は回避できない、との立場。
同時に、アジア女性基金の設立、歴代日本国首相による直筆の「手紙」の被害者への手渡しなど、国際的な類例(典型的にはナチス政権を反省するドイツ)と比較しても決して恥じるべきではない、むしろ先進的で踏み込んだ謝罪も行ってきている、という点も強調(そしてそのことが韓国国内で全く知られていないことのPR不足への指摘も)。
右派左派双方の論客から批判的に