鷺沢萠のレビュー一覧
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読む本が無かったので平台の本を手に取ってみました。名前だけは聞いた事ある作家さんだなぁ…と思って紹介を見たらもう亡くなられていたんですね。随分若くして…と思ったら自殺、と出てきてびっくりしました。
男性二人が家庭を作る話はどこか牧歌的でメルヘンで可愛らしい感じがするのに、なんで義母と血のつながらない娘の話はナマナマしくなるんだろう。自分が女性だからそう感じるのかなぁ…なんてちょっと思ったけどやっぱりシリアス度が大分違うよな、ウン。
出てくる男が大体ダメンズみたいな感じでこの作者さん、そう言う男性好きだったのかなぁなんて思いました。確かにマトモなの、小学生の彼だけじゃん(笑)同性にだったら家 -
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ジニのパズルを読んで読むシリーズ その1 川崎特有の地理感覚
鷺沢萠さんという、10年ほど前にその訃報を聞いて知った作家さん。
18歳で文学界新人賞受賞。当時最年少受賞。
上智大学の1年生でこのビジュアル、となると当時騒がれたのでしょうねぇ。
しかし、その後取材を通して自分の父方の祖母が韓国人だと知り、そこから韓国へ留学。
とウィキペディアに書いております。
自分が全くそうだと知らなかった人による作品ということで、これまた他の作家とは異なる体温ではあります。幼少期の差別、ということがもちろんなかったわけで、登場人物も成功してお金持ちのお宅が多いです。
2作品が入っております。
葉桜 -
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「葉桜の日」「果実の舟を川に流して」の2編からなる。
「葉桜の日」は、出生の秘密を知ることになる主人公と周囲の人が葛藤する。
自分探しは永遠のテーマだと思うが、そばにいる人との関係や距離によって知っていくのだなぁとつくづく思った。
在日という壁もでてくるが、これは作者本人が20歳の時に知ったという現実とシンクロしているのではないか。
「果実の舟を川に流して」は、タイトルが秀逸だと感じた。
バナナボートという飲み屋を舞台に社会との距離を主人公が感じてゆく。
これを書いた作者の年齢のことは書きたくないのだが、ついつい考えてしまいながら読んでいる自分がいた。
天才とは、儚いものである。 -
Posted by ブクログ
難しい小説、と聞くと使ってる言葉が難しかったり、設定が難しくて読み進めることができないのだと思っていました。でも、鷺沢萠さんの小説には、違った難しさがあると思います。
『海の魚・空の鳥』という短編集を選んだのは、一番最初に収められている「グレイの層」という小説を、高校時代、国語の時間に勉強して衝撃を受けたからです。
このお話では、プロポーズを受けた女性がそれにどう答えるか、電車の中で自分のこれまでの人生を思い返しながら考えます。自分が今まで歩んできた、そしてもし今結婚すればそのまま歩み続けるであろう人並みな人生と、ここで違う選択をした場合に得られるかもしれない、普通とは違う人生への可能性。