鷺沢萠のレビュー一覧

  • 待っていてくれる人

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    表紙裏
    あなたにはヨンマッサルがあります――。十数年前のある日、取材で訪れた韓国で占い師からそう宣言された鷺沢さん。「ヨンマッサル」とは「忙しく旅する人」の意。やだなぁ、それ・・・、と言いながらも、鷺沢さんは、その後もニューヨーク、ベルリン、ロンドン、プラハと、まさに世界中を旅してばかり。国、性別、人種、言語、あらゆるボーダーを超えて、この惑星を歩きまわる、笑いと涙の傑作エッセイ集。

    目次
    笑顔という魔法
    冷凍イカとJAFの夜
    カニ缶ミステリー
    妙義にて
    ブレイン&クレイン
    ロスト・バゲージ
    都会の善人
    マフラーはパステルブルー
    待っていてくれる人
    クツは船に乗って
    リナの野望
    零下十度のミ

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    2012年11月21日
  • 過ぐる川、烟る橋(新潮文庫)

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    まだ話が続いていると思ってページをめくったら終わっていたのでびっくりした。
    この終わり方でやり切れなさが三割増しはしてると思う。

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    2012年11月04日
  • 海の鳥・空の魚

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    20の掌編集。
    薬指のささくれのような、日常の些事を切り取った。
    言えなかったありがとうを、ごめんねを昇華してくれる言の葉がはらりひらりと。

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    2012年09月24日
  • ウェルカム・ホーム!(新潮文庫)

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    様々な悩みと共に生きていく人々の「ホーム」を探る中篇二つ。

    フツーという枠で人を括ることがどんなに愚かなことか。
    ある意味ではフツーではない環境を持った主人公達が、最終的に自分なりの「ホーム」を見つけていて、じゃあフツーなあなたの「ホーム」は?と問いかけられているような読後感。今生きている環境に改めて感謝させられた。
    どちらもホロリとくるようなラストが用意されていて、全体的に見るとすっきりと読めるが、個人的には二つめの話の展開がちょっと。。
    回想を中心に事実の羅列のようなじれったい描写が続き、少し読み進めるのが辛かった。控え目にこの星数で。

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    2012年07月06日
  • F 落第生

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    家並みの向こうにある空が一番良くて。ダメな男ばっかり好きになってた主人公が、普通の男と付き合って、自分に無関心っておもって辛かったんだけど。辛くて家を出て、もう別れようって伝えようとしたら、家から消えたことを心配してくれた彼がやってきて。薄っぺらだなんて思った自分がバカみたい…なんて、ステキな話だった。人生なんて、そんなちょっとしたきっかけで動いてるもんだから。

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    2012年06月09日
  • 海の鳥・空の魚

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    随分前に、「東京のフラニー」という収録短編が、テストの問題に出たことがあった(高校時代のわたしは、テストの問題に出される現代文をかたっぱしから読みたがった。)
    とくに高校時代は、「攻殻」から「サリンジャー」を読み進めていたので、とりわけ気になったのだと思う。サリンジャーの短篇に、「フラニーとゾーイ」というのがあるのだ。

    内容はさっぱりおぼえていない。
    洒脱で、それでいてどこか鋭い切れ味のある書きぶりをした作家だったように記憶しているので、再読してみるのもいいかもしれない。

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    2012年06月01日
  • さいはての二人

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    はじめの一行目から、「朴さんが死んだ」だったので、
    どんな話が、引き込まれていった。


    私は、その次の話の「約束」のほうが個人的に好きです。

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    2012年05月04日
  • 夢を見ずにおやすみ

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    「気持ちにビンボくさいところがある」、恵まれて愛されてきた人の持つ精神的豊かさみたいなものが足りない、決定的な欠落を抱えた女の子。
    きちんと自分の靴を揃えるような、どちらかと言えば豊かなほうの中流家庭で育てられたのに、「自分には一生縁がない」はずだった泥沼に足を突っ込み、地獄の一丁目まできてしまった結婚を控えた娘。
    自分がニワトリであったことを自覚せず、「他のなにものか」になれるのだと思ってしまった、亡くなった父。
    登場人物たちが、とてもリアルに描かれている。
    わたしたちは、夢を見なければ、安らかに眠ることができるのかもしれない。

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    2012年03月15日
  • さいはての二人

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    みっつの短編、「さいはての二人」「約束」「遮断機」、収録。

    オカルトっぽい物語は苦手なんだけれど、「遮断機」は特に印象的
    “変えられない日常を抱えて歳月を浪費していたのは自分だけで、他の人たちはそれと同じ歳月を確実に生き、変わっていったのだ。それだけのことだ。そうしてそう考えれば笑子はここしばらく死んだように生きていたかもしれない。一生懸命やっている、がんばって生きている、などと思っていたのは自分勝手なひとりよがりだったのかも判らない。”

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    2013年04月12日
  • 大統領のクリスマス・ツリー

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    悲しいのだけれど、激しくなくて、穏やかなんだけど、確実に進んでく。

    鷺沢さんの作品は、「こういうこと」という明確な答えは出してくれないけれど、
    人間を描いているなあ、と感じます。

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    2011年11月15日
  • 海の鳥・空の魚

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    なにかにつまずいたり、失望したりしても、やり過ごすしか、忘れるしかない。
    そんな冴えない主人公たちの人生が、一瞬でも確かにきらめく瞬間を切り取った短編集。
    一つ一つが短いので、スピーディーに読めます。

    読後感は人によってかなり変わる気がしますね。
    日常的すぎる展開と結末が多いので、派手さは全然ありません。
    ただそれだからこそ、一瞬のキラリにもリアリティを感じられていいという方もきっとたくさんいるはず。
    「ほおずきの花束」という章で、あたしは泣きました (笑)

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    2011年10月24日
  • サギサワ@オフィスめめ

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    ホームページの日記も毎日のように読んでいたけれど、文庫は眠る前にベッドでぱらぱらめくるのに最適でした。

    夢中になって、職場でお昼ご飯をつつきながら、残業の待ち時間をつぶしながら、「おふぃめめ裏日記」を読みふけっていたものです。
    一日に何度も読んだり、過去日記を暗記するほど読み返したり。秘かにキリ番狙ったり。
    当時、鷺沢さんは30歳、わたべさんは20代、読んでいるわたしも20代半ばでした。若かったなー。そして、楽しかった。
    鷺沢さんもわたべさんも、大好き。最高!

    これをきっかけにそれまで手に取らなかった「いおりん」の本を読むようになったり。
    トゥ(TWU)とかドゥ(DWU)の入力を覚えたのも

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    2011年10月15日
  • バイバイ

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    サヨナラを言えない、この主人公キライ。でも、ここまで極端じゃなくても、男の人はこういう面がある気がする。

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    2011年09月18日
  • コマのおかあさん

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    つくづく、愛情深い人だなぁと思う。
    コマは、鷺沢さんと運命の出会いだったのかな。それとも、出会ったのがコマじゃなくても、鷺沢さんは同じように愛情を注いだんだろうな。でも、きっとコマと鷺沢さんの出会いは必然。
    人間の子供にすら、愛情を注げる自信がないわたしには、思わず涙してしまう一節もありました。
    コマと鷺沢さん、いまごろは一緒に幸せに過ごしてるかな。
    そうだといいな。

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    2011年08月25日
  • 月刊サギサワ

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    こういう学びや学習に関するエッセイは好き。
    日記エッセイなので、文体はライトでユーモラス。そんな中にも、鷺沢さんらしい真面目さ、賢さ、繊細さ、深い感受性を感じる。
    わたしには及びもつかないほどの、パワフルさとで豪快さを持ち合わせており、恐れ多いのだけれど、でもちょっと自分に通じるところがあって、だからこの人の本はやめられない。ほぼ、中毒。誤解を承知で言えば、たぶん、通じるところ、というのは一言でいえば「何かを諦めていること」なのだと思う。

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    2011年08月25日
  • 大統領のクリスマス・ツリー

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    ネタバレ

    結婚って?家族って?

    考えさせられる。
    自分自身が結婚してないけど、
    結婚したらまた違う見方をするんだろうな。

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    2011年07月11日
  • サギサワ@オフィスめめ

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     再読ですが、しっかり読むのはいつ以来かと言われると十年ぶりくらいなような気がするので新規登録。
     映画や旅の話はともかく、けっこうたわいない日常の(あるいはよくわからない趣味の…麻雀とか…)内容ばかりなのについ読んでしまう…。通読よりも拾い読みに向く本ですね。わたしはおじさまに弱いので、いおりんが登場するあたりを特に好きで読みます。
     わたしは麻雀しないし、お酒も(たいして)飲まないし、サギサワさんと知り合う機会がもしあったなら、つまらない小娘だなあと思われたんでしょうけれど、それでもこのひととちょっと遊んでみたかったなあと思ってしまいます。あ、大食らいなところは気に入ってもらえたかもしれま

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    2011年01月04日
  • バイバイ

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    3股男、ショーリの物語。

    はたから見て、ひどい男とされる彼だが
    どうしてもそうは見れない。

    相手の事を観察して、相手が求めている事を感じ
    そのために全力を尽くさなければならなくなってしまった
    そんな男は
    多くの女に気に入られるだろう。
    当たり前だ。
    自分が求めていることをしてくれる人がいたら
    その人といたいと思ってしまうのは。
    人間の正直な気持ちだろう。

    きっと、女たちは素晴らしく幸せな体験をしたことと思う。
    人を信じるというのは確かに快楽かもしれない。
    それを味わわせてもらったという事実だけで
    幸せだと思うんだけどな。

    そんなことは、一般常識では思われないんだろうけれど。
    他に人の感

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    2010年04月26日
  • 海の鳥・空の魚

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    とても久しぶりに小説を読んだが、短編集なので読みやすかった。「ほおずきの花束」の中の一文で、「そう思ってしたことでなくとも、優しさとか善意とかいうものは確かに人間を救うことがあるんだな。」という部分の「救うことがある」ってとこ好きだ。

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    2010年04月24日
  • 葉桜の日(新潮文庫)

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    桜が散る頃になると、どうしてもこの小説のことを思い出してしまう。(鷺沢 萠さんが35歳で自殺してしまって、もうこの世にいないからかもしれないけれど・・・)

    上智大学の学生だったころに「少年たちの終わらない夜」でデビュー。「帰れぬ人びと」「海の鳥・空の魚」「スタイリッシュ・キッズ」と続けて出版した後の、「葉桜の日」。これらのタイトルをみただけでも、いかに言葉のセンスのある人かわかりますでしょ?

    「葉桜の日」には、「葉桜の日」のほかに、三島賞候補になった「果実の舟を川に流して」が入っています。この2作品の共通点は"親のいない"19、20歳の少年の眼を通して、普通の日本人やら

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    2010年04月15日