感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2022年03月31日
「F」って、大学の評価方式で「落第」の意味。
鷺沢さんの書くFは、本当にFだと思う。
絶望は絶望のまま、濃い色をしている。
「Fなんてことはないよ。大丈夫だよ」という慰めは存在しない。
希望を掴めた者もいれば、そうじゃない者もいる。
何を希望と呼ぶかって、人それぞれだ。
息がしづらい人の物語かも...続きを読むしれない。
でも、息がしやすい場所に、希望に辿り着くことが正解とも限らない。
そんな、多様な物語たち。
Posted by ブクログ 2010年01月12日
鷺沢さんの本は、Fが初めて。高校の図書室で借りたこと、覚えています。
最初の話があまりにも良い。でも、他の作品もいつまでも色褪せない。
たとえ「A」をもらえなくたって、人間はこんなにも素敵なんだと思える。
大好きな短編集です。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
今は亡き鷺沢さんの作品。
どこかダメな女主人公たちの恋愛模様。
つい自分と照らし合わせてしまいます(^ω^ ;)
「家並の向こうにある空」は
高校時代にテストで出題されて読みました。
最後の「重たい色のコートを脱いで」も切なくていい。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
鷺沢萠の本の中で一番好きな本。この本は短編集なんだけど、「シコちゃんの夏休み」がいい。これを初めて読んだとき、シコちゃんに強く強く憧れた。
悲しいこととか何か大変なことを人に話して聞かせて「すごいね」って言わせることが、恥ずかしいことだって思うようになったのはこれを読んでからだと思う。
あとがきに鷺...続きを読む沢自身の言葉で「F」(落第生)でもいいって書いてあってね、それがわたしには御守りとか呪文のように、今でも響いている。
鷺沢萠どうして死んじゃったのかなあ。どうして死ななきゃいけなかったんだろう。ときどきその理由がわかるような気がして、でもときどき、本当にわからないって思う。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
「「A」ばかりの人生なんてつまらない、などと言う気は毛頭ありません。そうできる条件と幸運にさえ恵まれたのなら、泣かないほうがいいし痛みや悲しみは経験しないほうがいい。後悔なんて、する必要がないほうがいいに決まっています。
けれど、人々がよく口にする「後ろを振り返るな、後悔だけはするな」ということば...続きを読むにも、やはり私は簡単に頷くことができません。常に常に「前」だけを向いて生きていくことが、そんなに正しいこととは思えないからです。
欲しかった「A」をもらえず、「A」どころか「B」にも「C」にも手が届かずに、「F」を取ってしまったのなら、してもしても足りないほどの後悔の原因が自分の歩んできた道のどこかにすでに存在しているのなら、気の済むまでそれを見つめ気の済むまで後悔したっていいじゃないか、と思っています。
そんなふうに後ろをときどき振り返りながら、おずおずと、おっかなびっくりに歩いていっても構わないと思うのです。前を向いていなくても、胸を張って顔を上げて歩いていなくても、強くなくても優しくなくてもカッコ悪くても構わないと思うのです。ちょっとずつでも歩くことを止めさえしなければ。」あとがきより。
Posted by ブクログ 2023年06月04日
主人公たちは、みな素直でひた向きでまっすぐに傷ついていく。かつて自分も経験した、あの胸の灼かれるような気持ちが思い出された。けれど、絶妙に軽やかな文章で読み心地が良い。また、(ほぼすべての話で)最後に少しだけ明かりがさすような結末を迎えるところに、著者の優しさを感じた。
全話それぞれに面白いが、特に...続きを読む「シコちゃんの夏休み」と「家並みのむこうにある空」は本当に素晴らしい。(シコちゃんの健気さ、最後に垣間見える啓一の想い…!)
今回中古で入手しましたが、再版を望みます。もっと多くの方に読んでほしい。今の若者にも響く(刺さる)と思う。☆4.5
Posted by ブクログ 2017年02月23日
大学生のときに(たぶん、10年前くらい)に読んだ本を再読。
レビューはなぜか書いていなかったようだ。
大好きな鷺沢萌さん。
彼女が描く登場人物はどこか温かくて愛おしい。
「シコちゃんの夏休み」
「家並みのむこうにある空」が特に好き。
けれど今…
と続く下記の引用は、この本の1番好きな箇所。
(...続きを読む家並みのむこうにある空)
”たったひとつの出来事で映画みたいに人生が変わるだなんて、あり得ないとずっと思っていた。”
(P112)
Posted by ブクログ 2015年12月28日
タイトルの通り、この話に登場するのはいわゆる「F」評価を受けそうな人生を送っている女性たちだ。
でも、やっぱり悲壮感はない。
鷺沢先生の作品では度々書いている(と思うのだが)ことなのだけれど、どんなにどん底でも泥沼でも、どの主人公たち(もちろん、他の登場人物も)も、生きている。
どこか胸のすくような...続きを読む、「ああ、明日もがんばろう」という気持ちにさせてくれる。
底抜けに明るくもないし、底から這いあがるような話でもない。
いい意味でドライで、爽やかで、なんだか読みながら、「うん、そう、うん。」と頷きたくなる。
最近、そんな気分を味わいたくて、鷺沢先生の本、読んでいる気がする。
Posted by ブクログ 2014年08月24日
【本の内容】
ポジティヴに生きることだけが、決して正しい生き方じゃない。
後悔したって、前向きじゃなくたって、少しずつでも歩くことさえ止めなければ、大丈夫。
恋において、友情において、仕事において-。
人生のなかで何かに「落第」してしまった女の子たちへ贈る、短編集。
[ 目次 ]
[ P...続きを読むOP ]
Fとは成績表で「落第」の印。
損を承知で姉のために一肌脱ぐヒロイン、だめんずに付け入られてばかりのヒロインなど、人生の合格点をもらっていると言い難い女たちを描いた短編集。
夏休み前の成績表に一喜一憂するのは子ども時代で卒業。
自分で始末をつける女たちがカッコいい。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ 2013年05月16日
40の足音を聞くようになった現在では、落ち着いて読むことができるけれど、若いときは本当に胸が痛くなるほど共感した。
胸をかきむしられるような切なく辛い表現がなんともリアル。
Posted by ブクログ 2012年10月31日
再読。やはり勝利者より敗北者の物語が肌に合う。気持ちが手に取るようにわかるのは、経験値がそうさせるのか作者の力量か。基本的には傷持つ身の女が、それでも最後に一条の光を見いだせる結末ばかりなのでハピエンではある。「忘れられなくて」は「最後の一文」小説かも。良品
Posted by ブクログ 2009年10月07日
人生の落第生の話を集めた短編集。この主人公たちは身近にはいないような類の人たちだけど、どんな優等生でも社会の中で落第している部分はあると思った。全て完璧で自信過剰みたいな人間とは仲良くはなれないかな。面白みがないかと。何かしらを悩んでいてこそ魅力がある。
思春期のトラウマを描いた話では、共感できる表...続きを読む現があって気に入った。
話の並べ方も良い。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
だめだめでもいいじゃん。
綺麗じゃなくても賢くなくてもいいじゃん。
一生懸命生きててもさ、運がいい悪いってきっとあるよね。
背中をぽんぽんと叩いてくれるような本で
私はとても好きです。
こんな優しい本を書く人が
どうして自ら命を絶たなければいけなかったんだろう。
Posted by ブクログ 2015年12月24日
綿密な話が語られている。それぞれに抱えた「事情」をあたたかな距離で見守り、程度の差があれ、応援している。元気をもらえた。『シコちゃんの夏休み』が特に良かった。『家並みのむこうにある空』『岸辺の駅』もいい。
Posted by ブクログ 2015年01月16日
生き方が下手な、「落第」してしまった女性たちの短編集。
「家並みの向こうにある空」「重たい色のコートを脱いで」がすきかなあ
男の子たちの行動がさらっと描かれてなかなか読めないのがよかった。
啓一はいい意味で期待を裏切ってくれたし、
達彦は裏切ってくれなかった。
以下引用
「...続きを読むおまえって、呼べるよう努力するよ」(p114)
誕生日だけじゃなくて、もう、もう会えない。(p186)
Posted by ブクログ 2012年06月09日
家並みの向こうにある空が一番良くて。ダメな男ばっかり好きになってた主人公が、普通の男と付き合って、自分に無関心っておもって辛かったんだけど。辛くて家を出て、もう別れようって伝えようとしたら、家から消えたことを心配してくれた彼がやってきて。薄っぺらだなんて思った自分がバカみたい…なんて、ステキな話だっ...続きを読むた。人生なんて、そんなちょっとしたきっかけで動いてるもんだから。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
普段男性作家の書く男性主人公の小説を読む事が多いので女性作家の女性主人公の当然女性視点の小説というのは新鮮で良かった。共感できるところが少ない分客観視できてそれはそれで面白かった。