鷺沢萠のレビュー一覧

  • バイバイ

    Posted by ブクログ

    鷺沢 萠 著   角川文庫

    人を信じるということはそれほど難しいことなのだろうか。愛する人を信じて生きるということは、

    それほど難しいことなのだろうか。この作品はそんなことを深く考えさせてくれる小説である。

    主人公の男「勝利」は、祖父が言った「人間なんで、信じるもんでねえぞ。」という言葉が忘れられず、

    それ故に人を心から信じることが出来ずに生きてきた。人に嫌われることを恐れ、相手を喜ばせることが

    自分の居場所を確保する唯一の方法だと悟り、人の顔色を伺い、相手が求めることを瞬時に理解して、

    求められたものを完璧に提供してきた。それが勝利にとっては生きる術であり、当たり前のことだった。

    0
    2010年03月28日
  • 愛してる

    Posted by ブクログ

    思ったり感じたりした者の勝ちだ。

    再読中のこの本。

    ちょうど大きな変化が訪れようとしている私の

    心境に寄り添うようだ。

    そうか、思ったり感じたりしてみよう。

    0
    2010年02月12日
  • 葉桜の日(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    「葉桜の日」と「果実の舟を川に流して」の2作を収録。どちらも決して悪くはないけれども、例えば「ウェルカム・ホーム」だとかと比べるとやはり見劣りする感は否めない。個人的には「果実の舟を川に流して」のが好きでした。あのけだるい感じの雰囲気が好き。

    0
    2009年11月20日
  • さいはての二人

    Posted by ブクログ

    平凡な家庭に生まれるってのは幸せなことなんだと改めて思った。
    そうじゃない人同士って惹かれ合うものなのかな?
    恋愛じゃなくて、もっと深い部分で。
    そんな気がしました。

    2話目の「約束」って話が良かったです。
    心の中の穴を埋めてくれる人は、想像もつかないような相手だったりもするんですね。
    (2005.10)

    0
    2009年11月16日
  • 大統領のクリスマス・ツリー

    Posted by ブクログ

    ホワイト・ハウスの前の半円形をした芝生の敷地に、それほど高くはないもこっとした木がたった一本、

    植えられている。それが、大統領のクリスマスツリーである。

    この小説は、「大統領のクリスマスツリー」をキーワードに、香子と治貴の回想物語が展開される。

    回想されるのは、アメリカで出会い、愛しあった香子と治貴との恋愛。

    アメリカで出会い、恋に落ちた香子と治貴はアメリカの地で一緒に暮らし始め、結婚し、子供を授かって

    幸せに暮らしていた。アメリカ人でも難関の司法試験に合格し、弁護士事務所で働く治貴と、そんな夫を

    支える暮らしに没頭する香子。ふたりはお互いの夢を次々に叶えていき、「こんな幸せあって

    0
    2009年10月04日
  • 夢を見ずにおやすみ

    Posted by ブクログ

    異なる視点でつながる、埋まらない空白たち。
    でも、空白は埋めようとするから空しいのかもしれない。
    空白はべつに埋める必要などないのではないか。
    結婚が空白を埋める手段であるわけではないし、結婚(に関する幻想は別として笑)は手段じゃない。


    あたまにのこったキーワード

    洗濯と洗い物にかける時間。
    誰かを好きになることしか取り柄がないこと。
    そこにいるのが当たり前な人。


    とにかく女性らしい話。



    0
    2009年10月04日
  • 海の鳥・空の魚

    Posted by ブクログ

     少し前に鷺沢さんを知る人とお話する機会がありました。
    その時に生前の彼女の話を沢山聴いていて、頭に浮かんだ本がこれ。
    一周忌の時にも書いた私が一番好きな鷺沢さんの小説です。
    小説の中に出てくる人たちは、何かを決断したり、小さな罪悪感を抱えていたり、ある事がきっかけで生まれる大切な感情に気づく瞬間が切り取られています。
    それは決して大きい出来事ではなくて、ちょっとした事が主人公達に大切な何かを与えています。
    鷺沢さん自身がこういう細かい心の動きに敏感な人だったように思います。
    短い話ばかりなので、手軽に読めてお勧めです。

    0
    2009年10月04日
  • さいはての二人

    Posted by ブクログ

    アメリカ人の父親と日本人の母親を持つハーフの美亜。
    父親は誰かわからず、母親も再婚により今は連絡をとっていない状態。
    被爆2世の朴さんと知り合い、お互いの孤独を癒していく。

    最後は朴さんの死で終わり、ミアに新しい命が授かる。
    確かにアメリカの核爆弾が違う種類で2回も落とす理由は「試したかった」ということなんだと思う。
    戦争は人を人として見ることはないんじゃないかな。
    悪い悪くないというのではなく、価値観が破壊される。
    人としてみてしまえば、全員の精神が狂ってしまう。
    ありえない状況でありえないことが起こり、感覚を麻痺していく。
    人間をコントロールするのって簡単なんだろう。

    常に起こってしま

    0
    2009年10月04日
  • 過ぐる川、烟る橋(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    現在と過去を上手く噛み合わせながら、
    男同士の友情や柵、
    二人の間で揺れる女心が描かれていた。
    女性作者ではあるが、
    昭和の男性色が強く出ているように感じた。

    0
    2009年10月04日
  • 葉桜の日(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    鷺沢萠という夭折の作家のデビュー作。恐らく10代の頃の作品だと思うのだけれど、10代の女の子が書いたとは思えないほどの完成度。そして、信じられないほどの「静かな感性」。実は、彼女の作品では、この作品が一番好き。

    0
    2009年10月04日
  • サギサワ@オフィスめめ 建国編 でんでん虫国創立!

    Posted by ブクログ

    ずーっとずーっとサイトを見ていた。
    睡眠薬を飲んでる記述があった。
    それでも眠れないと。

    数週間後、訃報を知った。
    泣けた。

    0
    2009年10月04日
  • 夢を見ずにおやすみ

    Posted by ブクログ

    読み始めるのが少しためらわれるほどファンシーな表紙と、「珠玉の恋愛短編集」という解説とは裏腹に、内容は割とリアルな三つの短編集。この本で特徴的なのは、三つの物語の登場人物には少しずつつながりがあり、それぞれが各々の求めている愛を探しているということ。どこかしらねじくれたところのある登場人物たちの姿はリアルで、この本をただの恋愛短編集とは一味違ったものにしていた。

    0
    2009年10月04日
  • F 落第生

    Posted by ブクログ

    普段男性作家の書く男性主人公の小説を読む事が多いので女性作家の女性主人公の当然女性視点の小説というのは新鮮で良かった。共感できるところが少ない分客観視できてそれはそれで面白かった。

    0
    2009年10月04日
  • F 落第生

    Posted by ブクログ

    落ち込んだ時に読んだから、なんだか少し心が洗われる心地がした。考えてみれば、私も人生の落第生。何かの局面で、成功したことなんてほとんどない。それでも人間は生きなきゃいけなくて、実際に生きている。それは自分だけではないのだ、と感じることによって我々は日々を過ごせているのかも。

    0
    2009年10月04日
  • バイバイ

    Posted by ブクログ

    一番共感出来た登場人物が二股どころか実は三股をかけていた最低男の主人公だったんだが…。
    男じゃなくて本当に良かった…女って怖いし面倒くさいと思ってしまった私は本当男ではなくて良かった…。まぁ、主人公が女でその逆もある気もするが。

    0
    2009年10月04日
  • 君はこの国を好きか(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    小説としての面白さを失わずに、アイデンティティの葛藤を丁寧に描いた作品。
    メメさんの視点の鋭さに脱帽です。

    0
    2009年10月04日
  • ありがとう。

    Posted by ブクログ

    こんなに強いものの考え方をするのに、こんなに素敵なもの・人に囲まれ、そして人生を楽しむ方法、逃げる方法を知っていたあなたなのに、どうしてこんなにも早く、私たちの世界から旅立っていってしまったんだろう。強がっていても、芯の部分で拭えない悲しみや憤りをにじませた文章、彼女の気質が伺える。「諦めるな、は誰かに言う言葉ではない、自分で言い聞かせる言葉なのだ」と言いきる、彼女の姿勢がすきだった。

    0
    2009年10月04日
  • 夢を見ずにおやすみ

    Posted by ブクログ

    父親の愛人の世話を頼まれた息子、夫の元愛人に結婚相談される妻。死んだ父親が可愛がっていたお店の女から親しまれる娘。
    この3人の短編集。
    一見、激しそうな本だけど、内容はいたって静かでハラハラドキドキとは無縁で淡々をした感じ。
    読んで良かったーって1冊でもなかったけど、読まなきゃ良かったって程でもない、かな。

    0
    2011年09月20日
  • バイバイ

    Posted by ブクログ

    二股、三股をかけていた男とかけられていた女の話。表紙がきれいで手にとって読み始めた。鷺沢作品には大きく2通りあって、それは作品の内容も文章の力の入れ具合も老練していて、とてもとても30代の女性が書いたとは思えないようなものと、そうじゃないものに分けられる。
    これはそうじゃないものに入るんだけど、この「バイバイ」は何ていうか、わざとに若い女性受けするような作品を書いているんじゃないかしらって思わせるような作品。「スタイリッシュ・キッズ」「大統領のクリスマス・ツリー」なんかもそうなんだけど。こんな作品も書けます、みたいなね。で、恋人の心が離れていくっていうのにこだわって書いているのが若い女性受けす

    0
    2009年10月04日
  • さいはての二人

    Posted by ブクログ

    どれも美しい話。それだけに終わりかたがひっかかる、とくに表題作は。途中までは素晴らしいのに残念。美しいままで終わってほしかったです。

    0
    2009年10月04日