あらすじ
――もう一度、これまで私を育ててくれたすべての芸術、すべての文学、すべての映画、すべての音楽、すべての愛するものたちと、それを創ってくださったすべての人々に。ありがとう。(「あとがき」より)。2004年、35歳の若さで自殺した著者の未発表原稿も収録した珠玉のエッセイ集。
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Posted by ブクログ
何度も言うけど、鷺沢萌さん、好きです。
エッセイ集なんですが、最後に収録されている酒井順子さんとの対談がおもしろすぎます。
素敵すぎるコンビ。
Posted by ブクログ
読み始めて数ページで、よみがえる。
鷺沢萠の、小心でありながらとんがった文章の数々。
ぼろぼろ涙を流しながら、仁王立ちで世間に立ち向かう彼女の姿。
亡くなって20年以上、毎日新しい文章を探して彼女のサイトを覗いていたのは、そんなに昔のことになったのか。
何度も何度も生きることの苦しさと、でも、それを越えた先の人生について書いている。
終の棲家を探して旅に出る。
連れ合いよりも絶対に長生きして、人生を謳歌しているだろう老後を想像している。
なのになんで、という気持ちがいまだにぬぐえない。
かと思うと、最後は酒井順子との負け犬トークも収録されている。
勝ちと負けに分断するのもなんだかなあとは思うけど、負け犬判定法には笑ってしまった。
”何かを選択するときに、得か損かではなく、面白いか面白くないかで選ぶタイプは負け犬になりやすい”
ポリシーとして、損得で行動を決めないことにしている。
善悪か好悪で動きたい。
はい。負け犬~。
でも、その方が人生楽しくないですか?
あ、それが負け犬の遠吠えってことなんですね。
Posted by ブクログ
ほんとうにほんとうに、繊細でやさしい人。
単行本で出たものに未収録エッセイを追加して解題したもの・・・とのことですが、この「ありがとう」のタイトルは、鷺沢さんがつけたものではないような気がする。
Posted by ブクログ
3年くらい前に読んだ本だけれど、まだ登録してなかった。
あちこちから集めてきた文章のようで、内容はさまざま。でも旅の話がいちばん多いかな。巻末には負け犬対談も(笑)。文章は軽快で読みやすく、それでいて「ああ、そうなんだ。」と静かに納得したり同感できたりする。
いちばん気持ちに響いたのは「ケロヨン人形」のくだり。ちょうどいろいろなことを「あきらめ」なくてはならず、つらい時期だったので、「あきらめないことが持てはやされるけれど、実はあきらめるほうがよっぽどつらいし難しい」旨を語っているこの章には、新しい気づきをもらった。
Posted by ブクログ
確実に影響を受けた作家の一人。しょうもない思考だったり、いい回しだったり、物の見方だったり。「風呂桶とボウリング玉」の小心者と短気における許容量の考え方とか。考えても仕方ないことを考え続けてしまう。下手の考えかもしれないけれど、当事者として考え、声をあげたのは彼女だ。事情は異なれど「ホーム」を持たない私には「帰属性のなさ」という明確な言語化がなされたことで身の置き場ができたもんだ。難しいこともしょうもないこともごった煮のエッセイで、彼女らしいごった煮感だなと。個人的には思う。