あらすじ
いつだって吐瀉物の臭いのする店“ファッサード”に夜毎集まる仲間たち。いい奴に、とんでもない奴。ただ、彼らは皆、酔うことにも、愛することにも、いつだって熱かった。夜の喧噪と真昼の沈黙をとどめた作品集。
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表紙の絵がよいので手に取りました。
短編だったので,気軽に読めました。
「思ったり感じたりした者の勝ちだ。」
1行だけの伝言
最初は「真夜中のタクシー」
著者が何を感じたかが分かる。
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「思ったり感じたりした者の勝ちだ」
このことばは、読んだ時からずっとこころの中にあります。
あまりにも突然いなくなってしまったので、
読むのをためらっていましたが、
去年から再読しはじめました。
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「わたし」がよく行く「ファッサード」という店が人々の繋がりの場。酔いつぶれたり恋をしたり人生を考えたり笑ったり泣いたり。主人公をはじめとして、登場人物には細かい設定を持たせていない。若さの限界を知りつつあるわたしの周りの人々が描かれている。きらきらした胸に迫るフレーズが一杯。「思ったり感じたりした者の勝ちだ」「ここにいたらダメになる」「繭の中にいるようになりたいと、ずっと前から思っていた」「Every guy is a guy」萎れたりカラカラに乾いた時に、いつも読みたい本。
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5/2 何度でも何度でも、な本の見本のような存在。これを21歳で書いたって言われても、その歳を追い抜いてしばらくたつけど信じがたい。どうしようもない気持ちに、効くホッとするような本で。夜遊び感というのもオシャレでなくこなれているものってそうそうないと思うし。あーー。言葉になりません。文章すら覚えていても何度も読み返す、そんな本。
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物語は、【ファッサード】という夜の店
そのお店を中心に若者の様子を描いた作品
お店の雰囲気、登場人物の細かな表現は、読んでいる側の想像を膨らませる
酒のにおいがしてきそうな感じが自分の中で大きく感情を膨らませる。
気が許せる場所、自分でいられる場所、または、生きている証の場所
心情と感情、切なさが絡む連作、16編
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鷺沢 萠の【愛してる】を読んだ。
1話読みきりの連作短編集。
「ファッサード」という名のクラブに集う若者たちと主人公である「私」が織り成す人間模様の物語。
若者が持つ、「それぞれの事情」や「やりきれない思い」が到る所に散りばめられた、かけがえのない青
春の1ページのような物語だ。
私はもちろん、ジュニアやヒロアキ、アキオ、ハンニバルと言った愛すべきキャラクターが若者特有の苦
悩と情熱を抱えながら「生きて」いく。
青春物語と言っても、元気ハツラツなわけでもなく、清々しく、若々しいわけでもない。
どちらかといえばアンダーグラウンドな世界。僕も似たような経験をしてきているので、読んでいて懐か
しさで胸が熱くなってしまった。
どこに向かうわけでもなく、出口の見えないような時間を仲間とともに過ごし、時には道を誤り、落ちて
いく仲間を助けることも出来ず、自分が生きていくのに精一杯な時間を過ごしていく。
その時間の中で本当の仲間の大切さや、人の優しさなんかを学んでいくのだ。
この作品を鷺沢 萠が書き始めたのが21歳の時だというから、その才能には驚くばかりだ。
こう言ってはなんだが、近年目立つ作家の若年化とは次元の違うところにいる本物の作家であったように
思う。
彼女の遺した作品に更なる興味を持つきっかけとなった作品だった。
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わたし。
夜毎“ファッサード”で遊び、友達と飲んだくれたり、落ち込んだり、有益で無意味な日々が続いていく。
ジュニアは街を離れ、タカヒロは同居しているアキオの部屋を出た。
息苦しくなって、眠れなくなって。
それでも、日々は過ぎていく。
と、まぁ、上手く言えないけど、日常のフィクションを集めた、短編連作集です。
作中“わたし”は、落ち込んでしまった友達の世話を焼き、苛々して駄目になりかけ、優しい人間達に笑いを飛ばす。
『思ったり感じたりした者の勝ちだ』と、冒頭にあるのがよくわかる。
そうそう、そんな感じの日常なのだ。
精神的退屈を持て余し、現実世界から目を背けたくなった時に読むといい。
特に『オムレツを食べよう』はいい。
取り敢えず明日も生きていこうかなって気になる。
この辺の詩的な表現が上手な著者にあって、こうあるべくの結末。
今は亡き鷺沢。
かえすがえすも残念でなりません。
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思ったり感じたりした者の勝ちだ。
再読中のこの本。
ちょうど大きな変化が訪れようとしている私の
心境に寄り添うようだ。
そうか、思ったり感じたりしてみよう。