【感想・ネタバレ】さいはての二人のレビュー

あらすじ

あなたはあたし、あたしは、あなた。どこにでもいそうな中年男と、日本人離れしている容貌の二十六歳の女。寄り添い、抱き合い、慈しみあい、二人はごく自然に求めあっていった――。

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Posted by ブクログ

たまたま手にとってみたけれど本当に読んで良かった。
心がなんとも言えない温かいような涙が出そうになるような寂しいような気持ちになった。

何の気なしに普段話している「ことば」だけど人を救ったりむしろ傷つけたり・・・色んな面があって、その言葉の使い方は十人十色なわけで・・・私も上手に言葉を使いたいなぁとこの本を読みながら思いました。

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2013年08月01日

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アメラジアンの女性と、在日コリアンの男性の物語。それだけで、この小説は生きづらさを抱える人にとって価値あるものになる。

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2012年08月14日

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ネタバレ

読み返してまた、泣いてしまった。

出自にまつわる孤独を抱えて生きる主人公が、バイト先の飲み屋さんで、不思議と自分と似た雰囲気を持つ男性と出会い、惹かれあっていく。ただ、ただ、ふつうのしあわせを渇望する主人公の姿に、胸を打たれる。

鷺沢 萠さんの小説はどれも好きですが、このお話が一番好きです。
分自身の孤独と向かい合い、ひとを愛するという普遍的なテーマが描かれていると思います。

それぞれに生き難い事情を抱えているけれど、それは誰かのせいではない、と誰も恨むことなく(いや、一度は恨んだかもしれませんが、その気持ちを乗り越え)、他者を愛せるという幸せを、そっとかみしめて生きている。

『さいはての二人』は、行き場を失った二人の悲しいお話ですが、最後にぽっと心が温かくなります。

最初に読んだのは4年ほど前ですが、あとがきで彼女が亡くなっていたことを知り、本当に悲しく、また泣きました。

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2011年09月28日

Posted by ブクログ

「動物の仔のように身を寄せ合って眠る・・・」
「このひとはあたしだ」

この二つのフレーズが頭から離れない。


ろうそくの光のようなゆらゆらとした語り口が心地よく、また、どこか心許ない。

愛するものが別の生きものであるということのせつなさ、それゆえの愛しさ。
複雑に絡み合うルーツがもたらす、軋轢、許し。
元々ひとつであったものがたまたま分かたれて、、
別々のものとして生きている。
だけなのだという単なる事実と、そこに潜む非合理ななにか。

いてもたってもいられないような気持ちにさせる話。


あとのふたつの短編も秀逸。

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2009年10月04日

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タイトル作も印象的ですが、やはりなんといっても"遮断機"。
初めて読んだとき、涙がぼろぼろとこぼれてきました。
鷺沢さんの追い求めた「家族の温かさ」ってこんな感じなのかなぁ、
と読者に思わせるような作品です。

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2009年10月04日

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これ、すごくレビュー描きづらいんです・・

すごくもやもやします。

今の私にとって、いいもやもや感なんだ、ということは
なんとなく分かります

でも言葉にできません

ただただ、
声にもならないため息が
身体を通っては流れていく感じ

魂がぎゅーっとなります

また時間置いて読んでみるつもりです

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2016年02月21日

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【本の内容】
「―この男は、あたしだ…」美亜がはじめて朴さんと会ったのは、所属していた劇団が潰れたのを機に、新橋の飲み屋『スタア』で働きはじめて一週間経つか経たないかの頃だった。

三日にあげずに店に顔を出す朴さんに、美亜はやがて「あたしと同じものを持っている」と、強くひかれていくのだった…。

族との繋がり、自分の居場所、死について描いた、著者最後の恋愛小説集。

[ 目次 ]


[ POP ]
孤独を抱え家族の温もりに飢えたもの同士の恋。

でもその恋は寂しく切なく、それでいて純粋で清らかで希望も感じます。

誰にでも孤独の穴を塞ぎ、自分が生れてきた喜びや感謝の気持ちを感じさせてくれる人は必ずいると思えるのです。

恋愛小説というよりも家族小説、人間小説という方が適当かもしれません。

もう、鷺沢さんの新作を読むことはできない。

だから私は、寂しいとき、自信をなくしたとき、大事に大事に読んでいます。

[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2014年08月27日

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人と繋がっている、そのもろくも強い縁は自分にもつくることができるだろうか。
胸が苦しくなる、温かさにも、苦悩にも。

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2014年07月07日

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人物としては多分友達になれないと感じるのに、作品にはどうしようもなく惹かれてしまう作家やアーティストがいる。鷺沢萠 はその一人である。いろいろな評伝を読むかぎりでは、きっと仲良くなれない人なのだが、彼女が描く物語はとても深く僕の世界に入り込んでくる。

表題作である「さいはての二人」、若さゆえに人生の壁と向かい合えない男が出会う少女との短編「約束」、ひたむきに生きてきた三十路の女性が家族を考える「遮断機」の三編を収録。

僕はもう彼らのように将来への不安や過去の傷とも向かい合うほど若くはない。でも、だからこそ、彼らが作中で気づき、前を向いて生きていこうとする姿に強く心を動かされる。

一人であることと孤独であることは違う。人は誰しも人生において深い魂の交わりを感じることがある。その強さを感じることができるのは、人並み以上に感受性が高い若い時代だけなのだ。

ぜひ20代の方に手に取っていただきたい名作である。

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2013年11月21日

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今、ふたたび、鷺沢萠。

と、いう、啓文堂書店さんのコピーに惹かれて。書店の働きかけで、絶版本を復刻するって、粋な試みだと思う。そして、このチョイス。痺れる。

生きていたら、今をどんな風に書いたのかな。どんな風に苦しんだのだろう、彼女は。こんなにも才能があるのに。

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2013年11月03日

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結末を読んだら単純なことだったけど、この人は私だと思う気持ちはよくわかる。
収録されている中では、さいはての二人が一番良かった。

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2013年06月08日

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最近山本文緒ばっかり読んでたので。
やはり鷺沢萌(字が違いますが)好きだなぁ。なんでいっちゃったのかなぁ。
新しい作品が読めなくて本当に惜しいです。
さいはての二人は、文体が本当に鷺沢さんらしくて好きでした。
そして"遮断機"。連れて行って欲しくなる事あるけど。まだだめなんだろうな。(2009.4.21.)

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2009年10月04日

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表題作他、「約束」と「遮断機」の二編。
表題作は、私の好きな感じの淡々とした恋愛小説。
他二編は死者との交流を書いた作品。
「約束」の方は私はちょっと「誰も知らない」を彷彿とさせられてやりきれない気持ちになりました…。

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2009年10月04日

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鷺沢萌さんの本を読んだのはこの文庫が初めてです。
素敵な名前だなって前から気になっていたのですけどなかなか本まではたどりつかなくて・・・そんな時訃報をきいてビックリ!!
ほんの少しの空き時間に小さな書店で見つけました。
どんな人かどんな文章を書く人かも知らずに読んだのですが文章に引き込まれました。

誰かと繋がりたいという人としての基本的な欲求。普通は家族で得られるその欲求が家族で得られなかった人が無償の愛をもとめてる。
恋愛の愛情ではなくもっと基本的な無償の愛を求めてる美亜がたどりついた究極の愛が朴さんだったんだろうな。

鷺沢さんはどんな愛を求めてどんな愛を与えようとしていたかを考えてしまいました。
切なくなる三篇でした。
ブックカバーの裏に『恋愛小説集』とありましたが恋愛小説ではなく『愛情小説』といったらいいのか・・・本当の愛情、無垢の愛、無償の愛を書いてる小説だと思いました。

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2009年10月04日

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どこか尋常じゃない人じゃないと、こんな作品はかけないと思う。若いのにね。
生きてたらお話してみたかった。

私は、何をやってもソコソコだから笑

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2009年10月04日

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鷺沢 萠という作家の本を始めて読んだ。
とても面白かった。
新しい出会いだと思ったんだけど、この方既に亡くなっているらしい。
私と殆ど歳が変わらないのに。
残念だな。

解説を読んだら、初期の頃の作品は少しカラーが違うらしいという事が書いてあったので、比較的最近の本を2冊手にしました。

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2009年10月04日

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主人公の生い立ちは悲しいものもあったけれど、どの話も主人公たちが前向きに生きていこうとする気持ちを持って終わっていて後味が良かった。

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2025年06月18日

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3つの短編集

「さいはての二人」美亜の生い立ちは悲しく、それでも親を憎んで恨んでいない所が、凄いなと思った。朴さんと幸せになって欲しかった。
「約束」サキが不憫でならない。行雄が故郷から逃げ出した時は、ひどい男だと思ったけど、サキに会う為だと思ったら、少しは納得。
「遮断機」悔やまれる人生なんて多々あり。おじいは本当に素敵な人だったんだろうな〜

全体的に信じられない事が起こっているけど、実際はこんな事が起こっているのかな?と思いました。

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2024年08月13日

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壮絶な生まれと不幸な生い立ちを持つ男と女の話。
男が死んだ後に残された女が持つ家族への思いがせつない。

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2024年07月07日

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著者最後の恋愛小説との事。

『さいはての二人』は中々良かった。
朴さんの中に自分を見つけて、自分の生い立ちや過去や考えている事を振り返り、朴さんを通して自分自身を受け入れていく。穏やかに好きな感じが、いいなと思った。

俯瞰してみると、変な男にハマったな…なんだけど、その人にしかわからない、それなりの良さがあって、誰しもが、パズルのピースみたいに、この人がいい!と思う瞬間があるんだと思う。
本人が良ければいいじゃない、一度きりの人生なんだから…かな

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2024年04月14日

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本屋さんのPOPにて、絶版で購入できるのはここだけと、書かれていて気になって購入。
しかも400円でびっくりした。
一番好きなのは表題作のさいはての二人で、発売された当初にはきっとツインレイなんて言葉はまだなかったと思うけど、読みながらこの二人はツインレイだと、私は思った。
アンニュイだけど冷静、客観的な文章で、著者の他の作品も読んでみたいと思った。

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2023年10月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

さいはての二人
こういう二人を魂が同じっていうのかな。
日本という国を仲立ちにした二人の生い立ちや置かれた状況はあまりにもつらくさびしい。
なんとか生きてきた二人がもうだめだと崩折れそうになった時に出会い、互いに埋められずにいたピースをはめ合ったんだなと。

約束
こういう現実とファンタジーが入り混じったような話は好きです。
創作物ではなく、昨今こういう事件が多いのはとても悲しい。

遮断機
今はもうない下北沢の開かずの踏切や市場の情景が目に浮かぶようです。

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2014年02月25日

Posted by ブクログ

はじめの一行目から、「朴さんが死んだ」だったので、
どんな話が、引き込まれていった。


私は、その次の話の「約束」のほうが個人的に好きです。

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2012年05月04日

Posted by ブクログ

みっつの短編、「さいはての二人」「約束」「遮断機」、収録。

オカルトっぽい物語は苦手なんだけれど、「遮断機」は特に印象的
“変えられない日常を抱えて歳月を浪費していたのは自分だけで、他の人たちはそれと同じ歳月を確実に生き、変わっていったのだ。それだけのことだ。そうしてそう考えれば笑子はここしばらく死んだように生きていたかもしれない。一生懸命やっている、がんばって生きている、などと思っていたのは自分勝手なひとりよがりだったのかも判らない。”

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2013年04月12日

Posted by ブクログ

平凡な家庭に生まれるってのは幸せなことなんだと改めて思った。
そうじゃない人同士って惹かれ合うものなのかな?
恋愛じゃなくて、もっと深い部分で。
そんな気がしました。

2話目の「約束」って話が良かったです。
心の中の穴を埋めてくれる人は、想像もつかないような相手だったりもするんですね。
(2005.10)

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2009年11月16日

Posted by ブクログ

アメリカ人の父親と日本人の母親を持つハーフの美亜。
父親は誰かわからず、母親も再婚により今は連絡をとっていない状態。
被爆2世の朴さんと知り合い、お互いの孤独を癒していく。

最後は朴さんの死で終わり、ミアに新しい命が授かる。
確かにアメリカの核爆弾が違う種類で2回も落とす理由は「試したかった」ということなんだと思う。
戦争は人を人として見ることはないんじゃないかな。
悪い悪くないというのではなく、価値観が破壊される。
人としてみてしまえば、全員の精神が狂ってしまう。
ありえない状況でありえないことが起こり、感覚を麻痺していく。
人間をコントロールするのって簡単なんだろう。

常に起こってしまったことに対してなにを言っても始まらない。
起こったことにどのように対処するか、そこが大事。

私は孤独ではない。
でも幸せでもないように思う。
感情なんて日々流動的で永遠に孤独な人はめずらしい。

面白かったと思う。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

どれも美しい話。それだけに終わりかたがひっかかる、とくに表題作は。途中までは素晴らしいのに残念。美しいままで終わってほしかったです。

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2009年10月04日

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