あらすじ
あなたはあたし、あたしは、あなた。どこにでもいそうな中年男と、日本人離れしている容貌の二十六歳の女。寄り添い、抱き合い、慈しみあい、二人はごく自然に求めあっていった――。
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Posted by ブクログ
読み返してまた、泣いてしまった。
出自にまつわる孤独を抱えて生きる主人公が、バイト先の飲み屋さんで、不思議と自分と似た雰囲気を持つ男性と出会い、惹かれあっていく。ただ、ただ、ふつうのしあわせを渇望する主人公の姿に、胸を打たれる。
鷺沢 萠さんの小説はどれも好きですが、このお話が一番好きです。
自分自身の孤独と向かい合い、ひとを愛するという普遍的なテーマが描かれていると思います。
それぞれに生き難い事情を抱えているけれど、それは誰かのせいではない、と誰も恨むことなく(いや、一度は恨んだかもしれませんが、その気持ちを乗り越え)、他者を愛せるという幸せを、そっとかみしめて生きている。
『さいはての二人』は、行き場を失った二人の悲しいお話ですが、最後にぽっと心が温かくなります。
最初に読んだのは4年ほど前ですが、あとがきで彼女が亡くなっていたことを知り、本当に悲しく、また泣きました。