鷺沢萠のレビュー一覧

  • F 落第生

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    再読。やはり勝利者より敗北者の物語が肌に合う。気持ちが手に取るようにわかるのは、経験値がそうさせるのか作者の力量か。基本的には傷持つ身の女が、それでも最後に一条の光を見いだせる結末ばかりなのでハピエンではある。「忘れられなくて」は「最後の一文」小説かも。良品

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    2012年10月31日
  • そんなつもりじゃなかったんです THEY THEIR THEM

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    エッセイの中でたぶん一番好きだった。若さって恐ろしい。と、今、亡くなったメメちゃんの年に近づいた自分は思う。

    でも、これを初めて読んだ18、19の頃は、なんか、大人って楽しそう!としか思っておらず。なんとなーく憧れてしまったあの世界。

    得たものは身を削りすぎるきらいがある生き方。って、どないやねん!

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    2012年10月21日
  • バイバイ

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    「人は大切な事をいいかげんにしているうちに自分でも知らない自分を作ってしまう」
    …とは解説の引用なのですが、
    これは主人公を通して徐々に見えてくる大筋のテーマのようなものを、
    上手く要約されているなと思いました。

    読み手によっては嫌な話で終わってしまいそうな気配もするのですが、
    鷺沢さんの本を読む度に、人間を描くのが上手だなあとつくづく感じます。

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    2012年08月16日
  • 君はこの国を好きか(新潮文庫)

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    「君はこの国を好きか」

    学生時代、激しく共感して泣きながら読んでいた本。
    “あたしはハングルに感電したのだ・・・。どんな状況に陥っても―たとえこれよりも何キロ痩せようが―、あたしにはハングルがある、「韓国語がある。」”

    鷺沢さんがひりひりと感じていたであろう感覚が、生々しく伝わり、心を突き刺す。

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    2012年04月04日
  • 海の鳥・空の魚

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    どの話もわずか数ページほど。その中で、日常で起こる小さな心の動きを見事に切り取っている。しかも、特別な瞬間ではなく、昨日今日の自分にも起こったのではないか?と思いだしたくなるほどの誰にでもありそうな出来事。
    丁寧に毎日を生きていくのも、まんざらつまらないことじゃないな、と思えてくる本だった。

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    2012年02月19日
  • 海の鳥・空の魚

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    優しく切なく、心にのこる短編集たち。作者の性格や人物像を確かに表している作品だと思う。
    こういうのを本当の『珠玉の短編』と呼ぶのではないだろうか。それぞれの物語が主張しなくても確実に印象に残り、心を少しずつ動かすのだ。
    ただ残念なのは作者さんが自殺してしまっていた事。(読後に気づいた)キラキラと輝いていたお話たちがほんの少し色褪せてしまった気がした。

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    2012年02月11日
  • 大統領のクリスマス・ツリー

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    どうしようもない切なさ。
    どうしてどうしてどうして?って、どうしようもない気持ちでいっぱいになる。
    鷺沢さんも、一枚の布を織りあげるように小説を書く人。

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    2012年01月29日
  • ありがとう。

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    ほんとうにほんとうに、繊細でやさしい人。

    単行本で出たものに未収録エッセイを追加して解題したもの・・・とのことですが、この「ありがとう」のタイトルは、鷺沢さんがつけたものではないような気がする。

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    2011年11月02日
  • 大統領のクリスマス・ツリー

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    ネタバレ

    断片的に過去が描写されていく恋愛小説。

    結末を予感させながらも登場人物は柔らかく、穏やかに物語が進む。
    もっと鷺沢萠の小説を読みたかったと思わされる。

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    2011年10月03日
  • 君はこの国を好きか(新潮文庫)

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    「この国」とは日本のことだと思って読み始めたら、韓国のことだった。2つの話が入っていたが、「君はこの国を好きか」を読んだとき、著者が自殺してしまった理由がなんとなく一部分だけ分かったような気がした。こんなに自己分裂的な感情を持ちながら2つの国の文化に真摯に相対するのは著者にとっては苦痛だったのではないか、考えるだけでぞっとする。国とは、文化とは、風土とは何かを改めて考えようと思った一冊。

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    2011年05月12日
  • ウェルカム・ホーム!(新潮文庫)

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    本当に、惜しい人を亡くしたんだなあと、つくづく思う。
    心が満たされる2編。
    読んでこんなに幸せな気持ちになれるものって、そうそうない。

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    2011年02月25日
  • かわいい子には旅をさせるな

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    いつかの旅のときに買って読んで、残り少しを読み残して本棚にほうってあった。見つけて残りを今日読み通した。
    この文庫の解説が沁み入ります。
    私にもそんな友達がいる、失いたくないなぁ。

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    2011年02月24日
  • 過ぐる川、烟る橋(新潮文庫)

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    ネタバレ

    著者の作品は全部読んだつもりだったが漏れてた。しかもこんな当たりを。
    本来の自分とはかけ離れた現在。がんばってもどうにもならないこと。そんなありすぎて目を背けたくなるような感覚に心臓を掴まれる作品。何らかの理由で苦しさを求める人にお薦め。

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    2011年02月23日
  • 海の鳥・空の魚

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    短編集。特に取り柄もなくマジョリティに交われない人たちが輝く瞬間を捉えたみたいな、そんな話がいっぱいです。ちなみにガソリンスタンドの話、高校かなんかの国語の教科書で読んだんだけど笑

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    2011年02月16日
  • バイバイ

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    誰からも嫌われたくない一心で生きてきた勝利は、いつの間にか3人の女性と並行して付き合うようになっていた。崩れ始める関係の中で、少しずつ人を信じることを知っていく。
    鷺沢萠さんは「ウェルカム・ホーム」という作品しか読んだことがなかったのですが、その作品がとても好きだったので、今回も期待して読みました。
    期待通り、読みやすい文章、繊細な心理描写、魅力的な登場人物、そしてどこかほっとするような温かい空気がとても良かったです。
    人を信じるのって実は難しいけど、疑い続けたまま生きるのも苦しいよね。

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    2010年10月17日
  • 大統領のクリスマス・ツリー

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    香子のハルによって培われた強さ、やさしさが最後に2人の関係を終わらせる結果に至ってしまってるのがまた切ない。あんなに好きなのでなんで終わってしまうんだろう。前しか見ない人の本質、そこからはずされてしまうことがこんなに悲しいなんて想像してなかった。作品以外に解説も良かった。「このままのこの時を書く。」その短い時に至るまでこんなに素敵に書けるものなんだ。

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    2010年04月09日
  • 海の鳥・空の魚

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    それは、一瞬の光。
    その一瞬で全てが決まっちゃうこと、全て許せてしまうこと、逆に取返しがつかなくなっちゃうことがある。

    ——積み重ねてきた人生の重みをそれぞれ背負いながらも、きらりと輝く一瞬。
    その姿がいとおしく、胸に迫ります。

    今、社会人になった今、読めてよかった勾玉短篇集です。

    私が生まれた頃の作品だなんて信じられない!
    素晴らしい作品はきっと時代を越える普遍性を備えているのでしょう。

    タイトルの意味をあとがきで読んだ時、鷺沢さんの温かいまなざしに、私自身も励まされたような思いがしました。

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    2010年04月04日
  • 葉桜の日(新潮文庫)

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    2作品入っている。
    世間の暗い部分を切なく盛り込ませながら、それでも悲観的になりすぎていない部分に味がある。
    私は、後半の「果実の船を川に流して」の方が好きだったが、前半の「葉桜の日」の「僕は、誰なんだ」と言うフレーズが非常に印象的だった。

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    2009年11月19日
  • 大統領のクリスマス・ツリー

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    この本を読むと、大好きな人がいる生活を当たり前にしてはいけないなと思う。
    大切な人をもっと大切にしよう。
    失う前に。

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    2009年11月18日
  • 海の鳥・空の魚

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    どんな人にも光を放つ一瞬がある。
    その一瞬のためだけに、そのあとの長い長い時間をただただ過ごしているような-。

    何気ない日常の、ふとした瞬間の幸せに気づいていますか?

    僕はおもしろくない人生なんてくそくらえと思っていますが、
    将来、自分の生活に満足できない時にもう一度読んでみたい。

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    2009年10月13日