鷺沢萠のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
鷺沢 萠の【海の鳥・空の魚】を読んだ。
ショート・ストーリーが20編収められた短編集。
ひとつの物語が10ページくらいで終わるので、次々とテンポよく読むことができる。
しかし、そのひとつひとつの物語は、確実に読む者の心を捉え、切なさだったり、共感だったり、小さな
幸せだったりを、ひっそりと残していくのだ。
【海の鳥・空の魚】というタイトルの短編がこの本の中に収められているわけではない。これはあとがき
のタイトル。あとがきの中でこの言葉の意味を著者が説明しているが、その真意、思想、僕はものすごく
好きだ。
普通に考えれば【海の魚・空の鳥】。けれど、ここでは【海の鳥・空の魚】。
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Posted by ブクログ
鷺沢 萠の【君はこの国を好きか】を読んだ。
突然こう問われたらあなたは即答できるだろうか?僕は即答できる自信がある。
おそらく多くの若者は欧米の生活や文化に憧れを抱いているであろうから「嫌い」と即答するかもしれな
い。そういった類の憧れは僕にだってある。しかし、この国、つまり「日本」が好きか嫌いかという話と
なると別問題で僕は間違いなく「好き」だと即答するだろう。と、この本を読むまでは思っていた。
鷺沢 萠の【君はこの国を好きか】に登場する人物は、主人公の雅美も含めて韓国人である。日本で生ま
れ育った韓国人の3世の世代だ。
日本で生まれ育ち、日本語を第一言語としている雅美は大学を