鷺沢萠のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【月刊サギサワ】は、鷺沢萠が23歳〜25歳の時に書いた連載エッセイである。
エッセイというよりは日記に近いものがあって、鷺沢萠をとても身近に感じることができる。
基本的に酔っ払ってるか、麻雀してるか、締め切りに追われてる生活は、昔ながらの「飲む、打つ、買
う」的な文筆家みたいで凄まじいものがあるが、あの美貌と当時20代前半という若さでのこの生活だか
ら尚更、鷺沢萠という人間のスケールに驚くばかりである。
この頃の鷺沢萠は、ちょうど韓国留学をしている時期でもあり、その様子がうかがい知れて嬉しかった。
この韓国留学を経て、ぼくの大好きな【君はこの国を好きか】や【さいはての二人】が書かれ -
Posted by ブクログ
鷺沢 萠の【愛してる】を読んだ。
1話読みきりの連作短編集。
「ファッサード」という名のクラブに集う若者たちと主人公である「私」が織り成す人間模様の物語。
若者が持つ、「それぞれの事情」や「やりきれない思い」が到る所に散りばめられた、かけがえのない青
春の1ページのような物語だ。
私はもちろん、ジュニアやヒロアキ、アキオ、ハンニバルと言った愛すべきキャラクターが若者特有の苦
悩と情熱を抱えながら「生きて」いく。
青春物語と言っても、元気ハツラツなわけでもなく、清々しく、若々しいわけでもない。
どちらかといえばアンダーグラウンドな世界。僕も似たような経験をしてきているので、読んで -
Posted by ブクログ
すごいなぁ。20歳や21歳で書いたとはとても思えない。10代で作家デビューして大きな賞を受賞する作家は今も昔もいるけれど、(読んでもいないのに言ってしまえば)著者の行動半径の5キロメートル以内位のよしなしごとを描いているものが多いと思う。社会の何がしかについてその著者の目線で描いたものが作品な訳だから、作品の内容が若々しくなるのはいわば当然のことなのだ。収録された2作品は、文庫解説の山田太一さんが原田宗典さんの言葉を引用して「肩の力が抜けている」と言わしめる、あるいみ「ろうたけた」風合いも感じられるほど。近年の作品の方がよっぽど若々しいかも。「ビューティフル・ネーム」や「ウェルカム・ホーム!」
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Posted by ブクログ
鷺沢萌さんの本を読んだのはこの文庫が初めてです。
素敵な名前だなって前から気になっていたのですけどなかなか本まではたどりつかなくて・・・そんな時訃報をきいてビックリ!!
ほんの少しの空き時間に小さな書店で見つけました。
どんな人かどんな文章を書く人かも知らずに読んだのですが文章に引き込まれました。
誰かと繋がりたいという人としての基本的な欲求。普通は家族で得られるその欲求が家族で得られなかった人が無償の愛をもとめてる。
恋愛の愛情ではなくもっと基本的な無償の愛を求めてる美亜がたどりついた究極の愛が朴さんだったんだろうな。
鷺沢さんはどんな愛を求めてどんな愛を与えようとしていたか -
Posted by ブクログ
わたし。
夜毎“ファッサード”で遊び、友達と飲んだくれたり、落ち込んだり、有益で無意味な日々が続いていく。
ジュニアは街を離れ、タカヒロは同居しているアキオの部屋を出た。
息苦しくなって、眠れなくなって。
それでも、日々は過ぎていく。
と、まぁ、上手く言えないけど、日常のフィクションを集めた、短編連作集です。
作中“わたし”は、落ち込んでしまった友達の世話を焼き、苛々して駄目になりかけ、優しい人間達に笑いを飛ばす。
『思ったり感じたりした者の勝ちだ』と、冒頭にあるのがよくわかる。
そうそう、そんな感じの日常なのだ。
精神的退屈を持て余し、現実世界から目を背けたくなった時に読む