鷺沢萠のレビュー一覧

  • ウェルカム・ホーム!(新潮文庫)

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    【本の内容】
    いちばん大事なのは、お帰りって声をかけてくれる人がいること。

    親友の父子家庭に居候しながら家事と子育てに奮闘する元シェフ渡辺毅と、再婚にも失敗し前夫の連れ娘と引き離されたキャリアウーマン児島律子。

    それぞれの「ウェルカム・ホーム」をさがすふたつの物語に優しい涙がとめどなくあふれる。

    まるで神さまからのギフトのような慈愛に満ちたサギサワの最高傑作。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    ホーム――家族の物語だ。母親がおらず父親が二人の家庭など、少し変わった家族の姿が綴られる。

    とても温かい気持ちにさせてくれる。

    血がつながっていてもいなくても、何人かの人間が不器用に寄り添い

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    2014年08月28日
  • さいはての二人

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    【本の内容】
    「―この男は、あたしだ…」美亜がはじめて朴さんと会ったのは、所属していた劇団が潰れたのを機に、新橋の飲み屋『スタア』で働きはじめて一週間経つか経たないかの頃だった。

    三日にあげずに店に顔を出す朴さんに、美亜はやがて「あたしと同じものを持っている」と、強くひかれていくのだった…。

    家族との繋がり、自分の居場所、死について描いた、著者最後の恋愛小説集。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    孤独を抱え家族の温もりに飢えたもの同士の恋。

    でもその恋は寂しく切なく、それでいて純粋で清らかで希望も感じます。

    誰にでも孤独の穴を塞ぎ、自分が生れてきた喜びや感謝の気持ちを感じさせてくれる

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    2014年08月27日
  • 過ぐる川、烟る橋(新潮文庫)

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    【本の内容】
    1970年代、東京。

    貧しくとも、ささやかな夢を分け合う二人の男がいた。

    九州から単身上京、中華料理店で働く篤志。

    身体がデカいのが悩みの彼は、店の先輩・勇のすすめでプロレスの世界に足を踏み入れる。

    運を掴む篤志と、見放される勇、その間で揺れるユキ。

    時を経て再会した三人は、何を得、何を失ったのか―?

    青春の記憶を手繰り、夜の博多に漂うノスタルジック・ラブストーリー。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    鷺沢萠は、初期の数冊ほどを読んだくらいで、自分の中では興味のない作家だった。

    本作もその程度の気持ちで読み始めたのだが、正直、やられた。

    ラストの展開に感動してし

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    2014年08月26日
  • F 落第生

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    【本の内容】
    ポジティヴに生きることだけが、決して正しい生き方じゃない。

    後悔したって、前向きじゃなくたって、少しずつでも歩くことさえ止めなければ、大丈夫。

    恋において、友情において、仕事において-。

    人生のなかで何かに「落第」してしまった女の子たちへ贈る、短編集。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    Fとは成績表で「落第」の印。

    損を承知で姉のために一肌脱ぐヒロイン、だめんずに付け入られてばかりのヒロインなど、人生の合格点をもらっていると言い難い女たちを描いた短編集。

    夏休み前の成績表に一喜一憂するのは子ども時代で卒業。

    自分で始末をつける女たちがカッコいい。

    [ おすすめ度 

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    2014年08月24日
  • さいはての二人

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    人と繋がっている、そのもろくも強い縁は自分にもつくることができるだろうか。
    胸が苦しくなる、温かさにも、苦悩にも。

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    2014年07月07日
  • 大統領のクリスマス・ツリー

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    解説で俵万智さんが「あなたはあたしのクリスマスツリーだったのよ」を中心とする、ラストのほんの一言ふた言の会話を、いかにせつなく成立させるかということに、ひたすら向かっているようにも思われたと言ってるけど、まさにその通りだなーと思いました。

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    2014年05月09日
  • 葉桜の日(新潮文庫)

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    非常に巧い小説だと思います。



    自分は一体、誰なんだろう?

    そんな思いを抱えながら生きてきたジョージ。

    彼が自分の出生の秘密、志賀さんの秘密を知った後、本来ならば、ようやく自分が誰だったのか分かるはずなのに。

    自分が余計分からなくなってしまうジョージが繊細に描かれていて、

    「僕はホントは、誰なんだろうね?」

    彼のこの一言が非常に鮮烈で染みました。


    大人への反抗心をむき出しにするわけではなく、若さを生き生きと描く、秀逸な作品。

    これを二十代前半で書いたというのだから、本当に鷺沢さんには舌を巻いてしまいます。

    天才っているのねー。

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    2014年02月06日
  • 海の鳥・空の魚

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    巧い。

    どの短編も、そのひとたちの人生の色が鮮やかにでていて引き込まれる。

    市井に生きる人の何気ない彩を書くために小説ってあるのかも。

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    2013年12月20日
  • 葉桜の日(新潮文庫)

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    言っても仕方ないこと、考えても仕方ないことは、生きていれば山ほどある。自分は何者なのか。若者特有の青臭い考えは葉桜のむせる若葉の季節によく似合う。

    焦りや苛立ちを書かせたらピカイチの鷺沢萠が切り取る世界は、地続きで、バーのカウンターでたまたま隣り合わせた他人の身の上話に似た雰囲気がある。

    当事者なのにどこか他人事。どうしようもない日々を生きていて、何が悪い。

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    2013年11月25日
  • さいはての二人

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    人物としては多分友達になれないと感じるのに、作品にはどうしようもなく惹かれてしまう作家やアーティストがいる。鷺沢萠 はその一人である。いろいろな評伝を読むかぎりでは、きっと仲良くなれない人なのだが、彼女が描く物語はとても深く僕の世界に入り込んでくる。

    表題作である「さいはての二人」、若さゆえに人生の壁と向かい合えない男が出会う少女との短編「約束」、ひたむきに生きてきた三十路の女性が家族を考える「遮断機」の三編を収録。

    僕はもう彼らのように将来への不安や過去の傷とも向かい合うほど若くはない。でも、だからこそ、彼らが作中で気づき、前を向いて生きていこうとする姿に強く心を動かされる。

    一人であ

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    2013年11月21日
  • さいはての二人

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    今、ふたたび、鷺沢萠。

    と、いう、啓文堂書店さんのコピーに惹かれて。書店の働きかけで、絶版本を復刻するって、粋な試みだと思う。そして、このチョイス。痺れる。

    生きていたら、今をどんな風に書いたのかな。どんな風に苦しんだのだろう、彼女は。こんなにも才能があるのに。

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    2013年11月03日
  • 君はこの国を好きか(新潮文庫)

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    ネタバレ

    在日韓国人が日本人でもなく、韓国人そのものでもなく、自らのアイデンティティを把握しかねて悩みのうちにある様子が手に取るように分かりました。決して私達が差別をしようとしていなくても、本人たちにとっての純然たる祖国がないということだけでも大きな悲しみなのだということが良く分かりました。思わず惹きこまれ一気に読むことになりました。

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    2013年08月24日
  • 大統領のクリスマス・ツリー

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    もしも自分が当事者なら、こんな別れ方はできないな。
    最後の一言が言えるぐらいに成長したいなって思える一作。

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    2013年07月14日
  • さいはての二人

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    結末を読んだら単純なことだったけど、この人は私だと思う気持ちはよくわかる。
    収録されている中では、さいはての二人が一番良かった。

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    2013年06月08日
  • F 落第生

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    40の足音を聞くようになった現在では、落ち着いて読むことができるけれど、若いときは本当に胸が痛くなるほど共感した。
    胸をかきむしられるような切なく辛い表現がなんともリアル。

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    2013年05月16日
  • 大統領のクリスマス・ツリー

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    なにかの評で「最後の一言のための作品」という言葉を聞いたが、正にそのための作品。
    恋愛について、家族について、と切り口はいくつもあるが年月を経ることとはどういうことかを丁寧に描いていてとても好い。

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    2013年03月13日
  • 海の鳥・空の魚

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    鷺沢萠さんの本、初めて読みました。
    読み始めてから読み終わるまでの間、自分だけ時間が止まっているように感じました。
    この本ほどに、短編集の良さを感じられた本は無いです。

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    2013年02月15日
  • 海の鳥・空の魚

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    男女が一緒にいれば、程度の差こそあれ、お互い相手に対して不満ーー不満と言うのでなければ、何か塵のようなのーーが溜まってくる。
    同感。

    天高くという短編が個人的には印象深かった。

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    2013年01月30日
  • 海の鳥・空の魚

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    世の中のどこにでもいるような人たちのほんの一瞬を切り取った超短編集。グレイの層が今の自分と重なってドキッとした。生きていくって、真っ直ぐなだけではいられないし、美しいだけじゃないけど、そんなに悪くないよな、と思える。

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    2013年01月23日
  • コマのおかあさん

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    表紙裏
    みすぼらしい雑種の捨て犬を自宅に引き取った日、私は「おかあさん」になった。だが、コマと名づけた愛犬が大人しかったのはその日だけ。盗み食いはする、抜け毛による大気汚染は深刻、いろんな言いつけが守れない。恩知らずな我が子とのバトルな日々は、けれどこんなにも素晴らしい喜怒哀楽に満ちている。

    目次
    コマが来た!
    セカンドおかあさんのこと
    食いしん坊コマ
    コマとお散歩
    コマは恩知らず
    コマのコンタミ
    誰でもいいの?
    コマの居場所
    コマとお友だち
    コマの運命
    おおむね いいコ
    コマはシンプル
    性悪女・・・?
    甥っ子シンシン
    コマへの手紙
    コマのおかあさん

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    2012年11月21日