尾原和啓のレビュー一覧
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印象に残ったのは、まず「メタゲーム」という考え方。
目の前のゲームでどう勝つかではなく、極端な条件を設定して、そもそものゲーム自体をずらして考える。今までの延長線上では出てこない発想を生むために使えそう。
二つ目は、「直感への集中」という考え方。
情報収集や整理、アイデア出しはAIに任せる。そのうえで、自分は「何か気になる」「こっちの方が面白そう」と感じる直感に集中する。AI時代は、全部を自分で考えるというより、AIが出したものの中から何を選ぶかが大事になってくる。
三つ目は、時間・人的資本・社会資本・金融資本を循環させる生き方。
お金で時間を生み、その時間を学習や人とのつながりに使う。そこで人的資本や社会資本を増やしていく。AIによって時間の使い方が変わると、生き方そのものの設計も変わってきそう。
四つ目は、SNSでの「アテンションのゲーム」から「クオリティのゲーム」への移行。
数字や注目を集めることだけを目的にするのではなく、自分にとって意味のある活動や、質の高いつながりをつくっていく。フォロワー数や反応の大きさよりも、そこで誰とつながり、何を生み出すかを考えたい。
最後は、「弱い紐帯の自動化と、強い紐帯の人間化」。
連絡や情報交換だけのような弱いつながりは、これからAIに任せられる部分が増えていく。その分、本当に大切な人とは実際に会ったり、話したりする時間を増やす。AIを使うことで人との関係を薄くするのではなく、むしろ大切な関係に時間を使えるようにする。この考え方が勉強になった。 -
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◯本書の概要と核心
・「努力」の価値の暴落:生成AIの普及により、知識の暗記や地道な作業、一定レベルの文章・プログラム作成などのスキルは一瞬で代替可能となった。時間をかけて個別スキルを積み上げる従来の努力は価値を失いつつある。
・「メタスキル」の定義:個別のスキルそのものではなく、「ゲームの構造を捉え、ルールを書き換えたり、勝てる新しいルールを見つけたりする上位の力」を指す。正解を出す力より、自分が勝てる土俵(メタゲーム)を設計する力が問われる。
◯3人の流派に見る実践的メタスキル
・深津流「死なない構造設計」
-不確実性を整理し、リスクを最小化して壊れない仕組みを作る。
-「何が確実で、何が不確実で、どれが自分で動かせるか」を構造化し、AIに渡す「枝葉」と自分が握るべき「幹」を切り分ける。
・けんすう流「ゲームをずらす視点」
-既存のレッドオーシャンで競うのではなく、別の評価軸(Z軸)を加えて自分が無理なく勝てる土俵へシフトする。
-試行コストがほぼゼロになったAI時代を活かし、失敗前提で大量のアクションを試す「面制圧・多産多死」の戦略を取る。
・尾原流「信頼を複利で増やす仕組み」
-自身の思考プロセスや得意技を「モジュール化」してAIに代行させ、生まれた余力で人とのつながりやコミュニティを育てる。
-成果物を高速に社会へ発信・循環させることで、信頼を複利的に積み上げる。
◯資本の循環と「人間」の再定義
・3つの資本の循環:人生のリソースは「人的資本(個人のスキル・健康)」「社会資本(信頼・人脈)」「金融資本」に分けられる。AIに代替されやすい人的資本だけに執着せず、AIで浮いた時間を「代替されにくい社会資本(他者との信頼やつながり)」へと再投資して循環させることが重要となる。
・インテンション(意図)とナラティブの価値:誰もがAIで平均点以上のアウトプットを出せる時代だからこそ、「なぜそれをやるのか(意図・目的)」というインテンションや、一人称の実体験・人間臭いナラティブこそが最大の差別化要因になる。 -
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ネタバレプロセスエコノミーとは、「これからの生き方」を示す経済活動であり考え方である。具体的には完成した成果物だけではなく、完成までの過程そのものが価値となり、人々がその過程に共感・参加・応援することで経済的価値が生まれる。
今後世界は2極化していくという。
1つは世界最高峰の品質・ブランドなどに対価を払う体験、もう1つは最高峰ではないが作り手やブランドの価値観や世界観に共感するプロセスへの対価を払う体験である。
これになぞらえた話として、駅の商業施設の均質化が挙げられる。商業施設が均質化していけば、「買い物をする場所」としての地域差は小さくなる。その結果、どこに住むかを決める基準は、利便性だけでなく、その街ならではの文化やコミュニティ、人とのつながりといった、よりプロセス的な価値へ移っていくのではないか。
そしてよく、「体験価値」というのを耳にするようになった。
世の中の大きな流れは、高度経済成長期からIT元年へと繋がる中、もはや「モノ」だけへの体験価値ではなく「モノ」を通した体験へ価値共感として対価を払うことが多くなっていると言えるだろう。
そしてプロセスへの共感は、誰かや企業が、本気で何かに挑戦し、試行錯誤や葛藤を重ねる姿勢、その背景にある価値観や使命感に人々が共感し、応援したくなることで生まれるものである。
人は、「この人を応援したいな」「自分も重なるものがあるな」という思いに対して、対価を払っていくのは自然な原理であると言える。
プロセスエコノミーとは、これからの時代にあった経済的価値なのである。
完成した成果物だけではなく、その過程そのものが価値となる時代の考え方である。品質や機能だけでは差別化が難しくなった今、人は作り手の挑戦や葛藤、価値観、世界観に共感し、そのプロセスを応援することに価値を感じるようになっている。だからこそ企業も個人も、完成品だけでなく「どのようにそこへ至ったのか」を伝えることが重要になる。人が対価を払うのは、必ずしも利他的な活動だからではない。本気で何かに挑戦し、その姿に自分を重ね、「応援したい」と感じられるストーリーがあるからである。
だからこそ、noteやYoutubeを通した個人の活動に対し、支持が集まるクリエイターがいるが、プロセスエコノミーの原理をあてはめると、頷けるところが多い。 -
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ネタバレ■インターネットの大事な本質のひとつ
情報や物を小分けにして、離れていた物をつなげること。それによって、今までなかった情報の流れ、物の流れが起こり、そこに新たなビジネスが生まれる。
リクルートの圧倒的優位性をつくるトリプルループ
このリボン図は、相互ネットワーク効果に直結します。図L5の真ん中のループのように、企業の情報をまとまった数集めることができればユーザーが集まり、ユーザーが増えれば、さらに企業が集まってくるわけです。
しかし、紙の時代と違って、ネットの時代は、企業が提供する情報はコピーして編集するのが簡単なので、複数のマッチングサービスに対して情報を提供するのが苦になりません。そこで、複数のサービスを併用する企業をサポートするイネーブラーも登場します。予約枠の在庫管理のときと同じです。
一方、ユーザーは、選択肢を増やすために、最初から複数のサービスを利用すると考えるのが自然です。そうなると、相互ネットワーク効果の基本ループを回すだけでは、独占の構造はつくりにくくなってしまいます。
リクルートの真価は、ここに、さらに二つのループを追加することだと僕は思っています。それが「幅のループ」と「質のループ」です。
左下の「幅のループ」は、一定以上のユーザーが集まると、その隣接領域の企業まで引っ張ってきて、別の相互ネットワーク効果を回すことができることを指しています。
たとえば、結婚式場探しのために集まったユーザーに指輪やドレス企業をつなぐ、宿泊先を探すユーザーに、現地まで移動する飛行機や新幹線予約をつなぐ、といったことがあげられます。
このように隣接領域でも良質な企業とつなげて、まとめて提供していくことは、ユーザーにとっても魅力的です。ワンストップで、しかも一度の入力で手間暇かけずに自分に合った選択肢が提供されるからです。そのため、幅のループが回り出すと、ユーザーは別のサービスに浮気することなく、そのサービスを使うようになるため、基本ループが強化されます。
さらに大事なのは、右下の「質のループ」です。マッチングサービスには、ユーザーが何と何を迷い、結果的に何を選んだか、といった行動履歴がたまっていきます。これらのデータを分析すると、ユーザーが探しているのに提供企業が少ないニーズは何か、最近増えているニーズは何か、何の選択軸を強化すると価格が多少高くてもユーザーが選ぶのか、といった相場観や最新動向がわかります。こうした情報を企業に提供すれば、企業はユーザーに選ばれやすくなるため、そのマッチングサービスから離れられなくな
ります。
ユーザーにとっても、自分のニーズに合わせて先回りした提供企業から、よりニーズにマッチした選択ができるようになるため、サービスの使い勝手が向上します。結果として、ユーザーも、そのサービスを使わざるをえなくなるのです。
このように、量のループと質のループが回ると、提供企業にとっては「かえの効かない」サービスになるため、企業は喜んでお金を払ってくれるようになります。
事業を継続していくには、競争に負けない構造をつくることも大事ですが、収益力を高める仕組みをつくることも、同じように、大事になってきます。
もう一つ、タイミングを見極めるときに忘れてはいけないことは、ビジネスはC(ジ
費者)から始まって、B(企業)に移っていくということです。個人ユーザーのほうがリテラシーが高いし、身軽なので、新しいサービスが出てきたら、まずCが飛びつきます。Cである程度成功したら、次はBを取り込みにいくのですが、Bのユーザーはリテラシーが低い人が多いです。一般にCのユーザーよりもBの利用者のほうが年齢が高く、導入の意思決定をする偉い人はさらに年齢が高いからです。そのため、Bの利用者のリテラシーに合わせた「やさしい」サービスにすることが求められるだけでなく、1
Tに最も不慣れなBの意思決定者の不安や疑いを乗り越えるための「権威づけ」や、ほかの会社もみんな使っているという「主流感」を醸成することが大事になります。
そこで、B向けサービスの営業戦略としては、まず利用者と意思決定者の平均年齢が比較的若く、新しいサービスを導入することに積極的なベンチャーから普及をはかって主流感をつくり、その後、意思決定者の年齢が高い会社を落としにいくような工夫が必要です。
さらに、Bの意思決定者は、プラスが増えることを好むよりも、マイナスが増えることを嫌う傾向があります。そのため、Bではいったん契約したサービスを切り替えるスイッチングコストが高いことが多く、後発サービスがあとから入り込むのは相当むずかしい市場です(コロナの影響でオンライン会議ツールの「ズーム」が伸びた理由は、このスイッチングコストを徹底的になくしたところにあるのですが、それはまた別の機会
に)。
以上をまとめると、まずC向けのマスサービスが始まり、C向けのセグメントサービスが続いて、C向けのプラットフォームサービスが出てきて、Cに普及し切ってから、最後にB向けのサービスが登場する、という順番です。
日本でSaasが普及し始めたのが2019年からですから、スマホの影響がCに行き渡って、ようやくBへも及び始めたということです。さらに、スマホの世界は、オンラインサービスからリアルサービスへと移っていくので、2020年はリアルのB向けサービスが出てくるはずです。 -
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「お金をどう増やすか」ではなく、**「お金を何のために使うのか」**に真正面から向き合った一冊です。
面白いポイントは、支出をテクニックや最適化の問題として扱わず、価値観・感情・人生観の問題として捉えている点。人は合理的にお金を使っているつもりでも、実際には恐れ、見栄、過去の経験、他人との比較によって意思決定していることを、豊富なエピソードと洞察で解き明かします。読んでいるうちに、「自分は何に安心を買っているのか」「何に後悔を先送りしているのか」が浮かび上がってきます。
特に印象的なのは、「良い支出とは、幸福を最大化する支出ではなく、後悔を最小化する支出である」という考え方。老後のために我慢しすぎることも、今を浪費しすぎることも、どちらも人生を歪める——その微妙なバランスを、数字ではなく人間心理から語る点が本書ならではです。
投資や節約の具体論は控えめですが、その分、「お金=人生の選択肢を広げる道具」という本質が深く腹落ちします。お金に不安がある人ほど、また“正解探し”に疲れた人ほど、静かに価値観を整えてくれる一冊。使い方を変えれば、同じ金額でも人生の質は変わる——そんな確信を与えてくれます。 -
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AIを始めとするデジタル技術が急速に発達する時代で「デジタル活用」と「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の違いを理解するうえで良い書籍だった。
「デジタル活用と比べると、DXはビジネス変革に重きがある」と言うのは簡単。
しかし、「それは具体的に何か?」という問いに対する答えとして「データ×エクスペリエンス」があると理解した。この枠組みは今後デジタル技術が発達していく中で普遍的なものになると考える。
「データ×エクスペリエンス」とはつまり、顧客の置かれている「状況」に注目して、それをより幸せなものとしながら、その顧客の行動データを顧客ID情報と紐付けて、次の価値提供につなげられる「全部が」デジタル化された製品・サービスおよびそこから生じる人と人との人間的な営みのことだと解釈した。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ自分自身、この本でいう「乾けない世代」にあたるが、本書を読んで、僕らの世代と上の世代との間にどのようにしてギャップが生まれるのかを理解することができた。
その一方で、「好きを仕事にできているか」と問われると、自信を持って「はい」とは言えない自分がいる。けれども、好きを仕事にするためには何が必要なのかを考える良いきっかけになった。
労力のわりに周囲から認められることこそが、自分の強みなのだという意識を持ち、これから強みを見つけていきたいと思う。
また、「安心社会」と「信頼社会」の話は、まさに目から鱗だった。
「周囲を信頼して任せる」ということは、「自分にできないことを認める」ことでもあり、なかなかできることではない。
上司からは「嫌なことから逃げている」と見られてしまうのではないかという不安もあるが、そうした考え方自体が、自分自身の成長を妨げているのだと感じた。
変化の時代を生き抜くために自分も少しずつでも変わっていかなければならないと思う。