本書ではITへの理解を深める為、過去ITがどのように生まれ、どう活用され、現在どのように発展し、未来にどのように進化するのかが記述されている。
正直な話、本書で述べられている事実の多くは既に知ってはいたが、その程度のものだった。
それら事実を著者はどのように捉えていたのかが本書における価値だと感じる
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この感想においては特に私が興味を持った、ITが普及した社会におけるビジネスの変化、コミュニケーションの発展、未来の可能性について新たに気づいたこと、自身の思考がどのように変わったのかについて述べたい。
ITによるビジネスの変化
これまでのリクルートなどのサービスにおいて見られる、マッチングサービス(リボンモデル)をただ単純に人と企業を結びつけるビジネスとしてしか捉えられていなかったが、本書を読む事で「ユーザ(自身の情報に価値を感じていない)から情報を集め、その情報を企業(ユーザの情報に価値を感じている)に売る事でビジネスを成り立たせている。」事を知り、より本質的なITビジネスに気づけたように感じる。
ビジネスとは安く仕入れて高く売るというのがビジネスの基本であり、それを私も当たり前だと思ってはいたが、「IT(またはインターネット)の登場により、これまで”物”を安く仕入れて高く売る形のビジネスが”情報”を安く仕入れて高く売る形に変わってきている。」と知り、どこかビジネスの基本を忘れITビジネスを別物のように考えていたところを改めることができた。
コミュニケーションの進化
昨今世の中でICT(Information and Communication technology )という言葉を多く耳にしていた。なんとなく意味はわかっていたつもりだったが、本書を読むことでその進化の歴史をしり、なぜコミュニケーションという言葉がITに付け足されたのかが理解できたように感じる。
また、それだけではなくICTのニーズについてもその歴史を通すことで理解が深まった。
これから述べることは今回の気づきであるが、それには私の考察も含まれている。
これまでの社会というか、日本人は特定のコミュニティや組織間(家族、友人、会社など)でのコミュニケーションが多かった。それがIT(通信や技術)の発展によりコミュニケーションの幅が広がった。これにより人々は組織において中々発揮できなかった個性を重視するようになったと感じる。組織の間では協調性が求められ皆が同じ方向を見て同じ方向に進む。これが良しとされていたのではないかと思う。
しかしITの発展により組織の枠を外れたコミュニケーションが可能になり、これまでの当たり前の価値観が変わった。組織に属し続けなくとも個人として生きていける、自分に合った組織を見つけることができるようになった。それゆえに人々は個性を重視するようになったのではないかと感じる。
本書によると日本人はどうやらハイコンテクストという言葉や情景を深く読み解く能力があり、その能力を活用して読み取った物を他者と共有することに喜びを感じるらしい。
個性、人と違うことを人々はこれまで以上に求め始め、それを他者に共有して気づいてもらう。
現在の人々のコミュニケーションはそれぞれが個性を発揮して、それを読み解くという形になっている。
私は、現在の人々は個性を発揮できればできるほど自分に合わない組織を抜け出し、自信を読み取ってくれる相手と新たな組織を形成しているのだと感じる。
人々が個性を発揮できるよう、企業も個性を与えるコンテンツを作り上げていった。それが絵文字であり、LINEのスタンプである。
人々はこれら個性を生み出せるコンテンツを活用してコミュニケーションをとり、コミュニケーションのためにコンテンツを購入する。
今回この内容を知り私がサービスを作る際には、この内容を思い出し、人々にコミュニケーションの為の個性を与えられるものを作りたいと考えた。
未来の進化
ITの発展の中でもデータの転送にもっとも興味を惹かれた。
現在できるのは、画像、テキスト、音声のデータ転送である。
本書を読んであり得ないと感じていた触覚、嗅覚、味覚のデジタル化とその転送も可能になるのではないかと感じた。
ビジネスを立ち上げるにはまだまだ知識も経験もないが、もし立ち上げられる機会が来るなら私は仮想空間において五感全てをかんじられる仮想現実を作り、人々のコミュニケーションをはじめとし、マズロー5段欲求を満たせるビジネスを作りたいと感じた。
夢もなく惰性で生きていた毎日だったが本書を読んで触発され未来に希望を感じ自身も本書に記載されていたような未来を作る側になりたいと感じた。
未来に希望も楽しみも面白みも感じていなかった自分だったが本書を通じて人生の目的、目標ができた。
拙い感想になってしまった事を反省しつつ、感想を以上とする。