プロフィール
- 作者名:井上靖(イノウエヤスシ)
- 性別:男性
- 生年月日:1907年05月06日
- 出身地:日本 / 北海道
- 職業:作家
京都帝国大学(現京都大学)哲学科卒。1950年『闘牛』で第22回芥川賞、1958年 『天平の甍』で芸術選奨文部大臣賞、1959年 『氷壁』で日本芸術院賞など数多く受賞作品がある。1976年文化勲章を受章。長編小説・短編小説など多数の作品を世に送り出した。『猟銃』、『風林火山』、『敦煌』など映画化、ドラマ化された作品も数多い。
値引き作品
作品一覧
-
5.0「敵はおみかん食べている」 男と女が二人だけで山の中で蜜柑を食べている以上、きっと何事か始まるに違いないと思った――。(「白い街道」より) 若い男女を「敵」と見なして偵察するたわいない遊び、美しい少女への憧れ、そして覚えず垣間見た大人の世界……。誰もが通り過ぎるが、二度と帰れない〝あの日々〟の揺らぐ心を鋭敏な感性でとらえた、叙情あふれる十五篇。表題作ほか「少年」「帽子」「赤い実」など教科書名短篇を含む、文庫オリジナル・アンソロジー。〈巻末エッセイ〉辻 邦生・椎名 誠 【目次】 少年/蜜柑畑/滝へ降りる道/晩夏/投網/帰郷/黙契/白い街道/颱風見舞/ざくろの花/ハムちゃんの正月/馬とばし/帽子/魔法壜 〈巻末付録〉赤い実/少年に与える言葉(随筆)
-
4.0
-
4.0
-
3.8
-
3.8
-
3.5
-
3.0
-
3.0井上靖の山と自然にまつわるエッセー集。「氷壁」に関わる文章のほか、今までの紀行集やエッセー集に収められなかった作品を含め、少年期から円熟期まで、全集でしか読むことができない山と自然にまつわるエッセイ。 「氷壁」の舞台・穂高岳への登山、取材記を中心に、少年時代を過ごし「しろばんば」の背景となった天城の自然、海外ではネパールの旅など、文学者ならではの自然観が綴られたエッセー50篇を収録。作家の目が捉えた山や自然風物が作品にどう反映されたのかを探る。 内容: 1.天城の雲 少年時代の原風景について 2.穂高の月 山との出会いと「氷壁」の舞台を訪ねて 3.日本の風景 文学者の自然観 4.作品の周辺 山を舞台とした作品について 「あすなろ物語」「しろばんば」に描かれた故郷・天城によせる思い、「氷壁」の舞台となった穂高岳への山行、さらにはネパール・ヒマラヤへの旅。文学者の自然観と、作品構築に至る思索が表われたエッセー五十篇を収録。自然と旅を背景とした作品の成立過程をたどる。
-
-
-
-1巻660円 (税込)茫々たる廃墟の中に、幾多の興隆と衰亡を、生と死を、井上靖の「詩魂」が捉えた歴史紀行。歴史への確かな目と抒情が織りなす名編――中国、韓国、ロシア、幻の王国・ヒッタイトの故地・アナトリア高原へ。藤原三代のミイラが眠る奥州平泉・大和へ……。古き美しきものの中に、そして霧に包まれ、茫々たる廃墟の中に、往古の繁栄と衰亡を、人々の誇りと哀しみを、生と死を、井上靖の稟とした「詩魂」が捉えた歴史紀行。抒情にみちあふれた名篇。
-
-
-
-
ユーザーレビュー
-
Posted by ブクログ
なぜか無性に井上靖が読みたくなり、40年以上前に読んだ本を手にとった。あの時の感動とまた違った風が心の中を駆け抜ける。
8世紀の日本。日本と唐の間の航海は、今では想像もできないほどの苦難があった。しかし、その苦難を乗り越え日本の近代国家成立のために生涯を懸けた留学僧の思いが現代人に深い感動を与える。
圧巻は、業行が、日本に持ち帰るために数十年というか生涯全ての時間をかけ写経した夥しい経典とともに海の藻屑となり沈んでしまう描写だ。業行の人生は一体何だったんだろうか、深く考えさせられる。
救われるのは、日本に無事帰ることができた普照のもとに届いた一つの甍。これが日本に辿りつくことのできなかっ -
Posted by ブクログ
しろばんば、夏草冬濤、北の海、読みました。
洪作くんと、少年時代に戻ることができます。
その年頃の少年が見える、感じる当時の情景が、美しく描かれています。
私自身の体験でも、小学生の頃、楽しかったことが中学生になるとつまらなくなったりして、中学生の頃に仲良かった友達も、卒業したらばらばらになって全然会わなくなって…ということがあります。これらの作品群には、流れていった井上靖の少年時代が詰まっています。それがまた、読者である自分のノスタルジーを呼び覚まします。
もう随分前になりますが、しろばんばシリーズが好きで、湯ヶ島へ、しろばんばの里に足を運びました。浄蓮の滝を見て、西平の湯に入って、ず -
Posted by ブクログ
ネタバレ舞台がほぼ自分の郷里であることの贔屓目も手伝った側面はあるが、ここまで感情移入して自分の感性ですんなり受け入れることのできる小説は初めてであった。
郷愁というよりは、多くの人が幼少期に出会ったことのある心の動きがかなり正確に再現されており、そこに懐かしさを感じるといったところ。外的な出来事や環境に対して内的なものがどう応答するか、まるで子供の心がそのまま端正な文章になったようである。それでも幼年期の前編は叙事的な傾向が強く、少年期を描く後編は多分に抒情的になっていく。一人の人間の魂が形作られる過程のようである。
後編に移ると幅も奥行きも大きくなっていく洪作の世界で、おぬい婆さんは小さく老いて