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一橋大学商学部卒、同大学院商学研究科博士課程修了。経営学者で一橋大学大学院教授。代表作『ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件』はアジアの国々で翻訳されている。最近では『「好き嫌い」と経営』、『戦略読書日記』などの著書を手がける。
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Posted by ブクログ
『Hidden Potential』を読んで最も印象に残ったのは、人の可能性を決めるのは、現在の才能ではなく、成長し続けるための「性格スキル」であるということだ。
成長するために必要なのは、まず「自分にとって最適だ」と信じている方法を捨てる勇気。そして、心の準備が整う前に挑戦の場へ飛び込む勇気。さらに、誰よりも多くの失敗を経験する勇気だ。
人は不快な経験をすることで成長する。だからこそ、居心地の悪さを避けるのではなく、むしろ**「不快感を味わうこと」を目標にしてもいい**。失敗を恐れず、失敗の数を増やすほど、失敗への恐怖は小さくなり、進歩は速くなる。
そのためには「人間スポンジ」のように、常に吸収し、適応していく姿勢も重要だ。自分のやり方に固執せず、新しい知識や言葉、異なる価値観を積極的に吸収する。成長とは、努力量だけではなく、どれだけ学び、変われるかなのだと思う。
一方で、完璧主義は成長の妨げにもなる。細部にこだわりすぎて「木を見て森を見ず」になってはいけない。完璧な答えを出してから動くのではなく、まず終わらせ、動きながら改善する。必要なのは完璧な地図ではなく、大体の方向がわかるコンパスなのだ。
また、成長には必ず停滞がある。閉塞状態は失敗のサインではなく、方向転換を促す合図かもしれない。ブレイクスルーに見える成功も、実際には小さな成功の積み重ねである。進歩は瞬間的には見えず、長い時間をかけて初めて実感できるものなのだ。
そして、人の可能性は一人の努力だけで開花するものでもない。人は、所属する集団から期待され、自分が必要とされていると感じたときに驚くほど強くなる。だからこそ、**「あなたを信じてくれる人を信じる」**こと。そして、自分自身も他者の可能性を信じ、その力を引き出せる人になりたい。
チームにおいても、最も優秀な人を集めればいいわけではない。重要なのは、心理的安全性をつくり、皆の意見を引き出し、集合知を生み出すこと。その意味で、リーダーに必要なのは、最も多く話す能力ではなく、最もよく聴き、他者の力を引き出す能力なのだと思う。
本書を通じて改めて感じたのは、才能はスタート地点を決めるが、ゴールを決めるのは性格であるということ。
先天的な才能だけで人生が決まるわけではない。学び続ける姿勢、挑戦する勇気、不快感を受け入れる力、失敗から立ち直る力、そして何のために努力するのかという意義。
そうした性格スキルを磨き続けることで、まだ自分自身にも見えていない可能性が開いていく。
「今の自分に何ができるか」ではなく、「これから自分はどこまで成長できるか」。
この視点を持ち続けたいと思わせてくれる一冊だった。