海外ミステリー作品一覧
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-深夜、パルドン医師を訪れ、名も告げずに立ち去った男女(女は軽傷ながら背中にピストルの弾を受けていた)は、オルリー空港からアムステルダム行きの飛行機に乗ったことがわかった。翌朝、職業的賭博師ナウールの射殺死体が自宅で発見された。家にあった写真から、昨夜の女はナウールの妻エフェリーナと判明した。
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-田舎の別荘で引退暮らしを楽しんでいたメグレは、孫娘の不慮の死に疑念をいだいたアモレル老婦人に調査をたのまれる。大富豪のアモレル家を訪れたメグレは、そこで意外な人物に出会う。老婦人の娘むことして紹介された人物は、メグレの中学時代の同級生、しがない税務署員の息子のマリクだった! マリクは一家の内情をメグレに知られることを異常なまでに恐れていた…
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-プロ中のプロ、アメリカの殺し屋を向こうにまわして闘いをいどむメグレ! その捜査はメグレの長い警察官暮らしのなかでも、もっとも難しいものだった。メグレもふくめて警視庁所属のエリートたちを嫌う第二街警察署所属の「無愛想な刑事」ロニョンが活躍する長編でもある。
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-メグレにも退官のときはある。2日後の退官をひかえて、ひとり身辺整理にあたる。電話が鳴る、自動的に受話器に手がのびる、ホテルで男が殺されたという、出かけずばなるまい(ホテル「北極星」)。メグレの定年前後を扱った他の2編「マドモワゼル・ベルトとその恋人」「メグレの退職旅行」のほか、「月曜日の男」「ピガール通り」「バイユーの老婦人」をふくむ6編からなる短編集。
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-冬の凍てつくようなブローニュの森で、頭部を鈍器で何回か殴られて死んだ男の惨殺死体がみつかった。メグレは男に見覚えがあった。はたして、男はキュアンデという名の「優雅な」泥棒であった。検事と判事はこの事件をやくざ同士の喧嘩とみなして重きをおかず、おりから多発していた一連のピストル強盗事件の捜査に全力を傾注するようメグレに言い渡す。だがメグレは不思議な親近感さえおぼえたこの怪盗の過去を洗っていく。
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5.0かつてメグレが逮捕したことのある売春婦エルネスティーヌがどんな風の吹きまわしかパリ警視庁を訪れて、メグレに面会を求めた。金庫破りで名を知られた彼女の亭主アルフレッドがパリ郊外のある屋敷に忍び込んだところ、そこで女の死体を見つけたので、何もとらずに逃げ出したというのである。しかも嫌疑を恐れたのかアルフレッドは姿をくらます。メグレはその家を訪れたが、死体は消えていた。しかも、屋敷の持ち主の歯科医とその母親は泥棒に入られたことも完全に否定した…
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-高地に建設された子供のためのサナトリウムが洪水に見舞われ、128人が犠牲に。この大惨事を予測し、警告を発していた学者、故カラム教授のレポートが盗まれていた。政府高官の首がかかった難事件に極秘調査を命じられたメグレは……
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-ミステリであれ、純文学であれ、外国の作家たちは一生涯に一度はクリスマス・ストーリーを書く。エラリイ・クイーンによれば、クリスマス・ストーリーにはいくつかの約束事がある。「子供を登場させる」ことと、「奇蹟がなければならない」ことだ。『メグレ警視のクリスマス』にも子供が登場し、小さな奇蹟も起こる。『メグレのパイプ』では、メグレ夫人が十年前の誕生日祝いに贈ってくれたメグレのもっとも好きなパイプが盗まれる。毎日、メグレはオフィスのなかをさがす。帰宅しても、不機嫌で、ほとんど口をきかない。メグレがそのパイプを見つけるのは、捜査中の事件の犯人を逮捕したときであった。シムノン自身がもっとも愛している中編。
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-製薬会社の経営者アドリアン・ジョセの妻が深夜、自宅で刺殺された。遊び好きの妻には多くの男友達が、夫には愛人アネットがいた。容疑者ジョセは本当に殺(や)ったのだろうか?
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-モンマルトルの怪しげなキャバレー《ピクラッツ》の踊り子アルレットは酔っぱらった勢いで警察に出頭し、殺しが行われるかもしれないとほのめかした。酔いが醒めるとそれを否定したが……ほどなく彼女は自室で絞殺死体となって発見され、予言のように口にした「伯爵夫人殺し」も現実となった。彼女が同時に口にした「オスカル」という人物は何者なのか? パリの場末のモンマルトルを舞台にタフなメグレは奔走する。メグレもの屈指の名編。
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-急死した新鋭作家の体内からは多量の砒素が見つかった。彼と同棲していた女流ミステリ作家は、偽名で砒素を購入していた。彼女は当然のように疑われ、起訴されたが…
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-南仏のホテルに滞在する語学教師が、とつぜん身におぼえのないスパイの嫌疑をかけられる。持参のカメラに、いつのまにかツーロン軍港を撮影した写真がおさめられていたのである。みずから真犯人をつきとめなければ、彼には国外追放が待っている……第二次世界大戦直前の緊迫した情勢をバックに展開される、巨匠の記念碑的作品。
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-不可解な殺人事件の解決に乗りだす犯罪研究サークルの6人の会員たち。それぞれが得意にするアプローチに頼って、推理をおしすすめるが…本格推理の種々の手法を縦横に駆使して読者をうならせる傑作。高村薫氏いわく「バークレーは名投手のピッチングのように、速球、変化球、内角外角、高さ低さを見事に使い分け、向かってきます」「解決場面だけが続くようなミステリーがあったら…と空想する人にはたまらない、夢のような本です」。
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5.0ハネムーンをエジプトに決めた大富豪の娘リンネットは、ナイル河の遊覧船で気持ちよい風を楽しんでいた。だが、そこには夫のかつての婚約者ジャクリ-ンの不気味な影が……はたして、乗り合わせたポワロの目の前でリンネットは殺される。そして殺人の連鎖反応。ジャクリーンにはむろん、文句なしのアリバイが……隔絶された船上を舞台にした難事件にいどむポワロ。
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-ハーロウ夫人の莫大な遺産を相続した養女は義弟に脅迫される。それが失敗に終わると義弟は夫人殺害のかどで養女を告発した……養女は弁護士事務所に救いをもとめ、アノー探偵の登場となる。はるかにモンブランをのぞむ風光明媚なブルゴーニュのディジョンを舞台に、犯人と探偵とがくりひろげる壮絶な心理戦。第一級の古典的名作。
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-いまも脈々と生きつづけるアメリカン・ハードボイルドの真骨頂チャンドラーの中編3作。表題作「ベイシティ・ブルース」のほか、「赤い風」「密告(さ)した男」をおさめる。活躍するのはもちろん「いやしい街をゆかねばならぬ」フィリップ・マーロウである。
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-フィリップ・マーロウは、行方不明になったアメリカ古金貨の捜索を頼まれる。依頼人のマードック夫人は、歌手あがりの息子の嫁を疑っていた。だがマーロウは、この一家に、はるかに複雑で不吉なものがうごめいているのを感知する…探索をすすめうちに、マーロウは事件の鍵をにぎると思われる3人の人物の死をもたらしてしまう…ハードボイルド・ミステリーの雄、チャンドラーの初期代表作。
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-午前3時すぎのヴァンティミル広場は静かな小島のようだった。死体は湿った歩道に頬をつけて横たわっていた。片方の足には靴がなかった。身につけたイヴニング・ドレスは傷んでおり、肌寒い3月というのにコートは着ていなかった。メグレはなぜか、これが複雑な事件になるような気がした。
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3.0シムノンのメグレ・シリーズ第1作!「狡猾《こうかつ》かつ危険きわまりない人物、国籍不明、おそらくはリトアニアかエストニアの生まれ、英仏独露の四か国語を流暢に話し、詐欺をもっぱらとする国際犯罪団の首領」と目される怪盗レトン。その到着をパリの北駅に待ち受けるメグレ。だが、それらしい男が下車すると同時に、まったく瓜二つとしか言いようのない男の死体が、列車の洗面所に発見される。パリとノルマンジーのフェカンをむすぶ謎はなにか? 雨にけぶる巷に、霧深い地方の港町に、パイプをくわえてのっそりとたたずむメグレ、「犯罪心理の洞察者」「人生の捜査官」メグレの全貌はこの一作でわかる。
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-深夜メグレの自宅に若い娘から電話が。地方からパリに出てきて、当てにしていた友人とはぐれ、お金もなく、困り果てているという。メグレはホテルを紹介してやる。ところが翌朝、彼は警視総監から、若い娘を誘惑して酒を飲ませ、ホテルに連れこんだと叱責を受ける。何者かがメグレの失脚をねらってしくんだ罠だった。メグレは背後で糸をひいている人物を探ろうするが……
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-繁華街に近い袋小路のような路地で中年の男が背後からナイフで刺されて死んでいた。残っていた財布から身元はすぐに割れた。近郊の町からパリに通う倉庫係だった。だが死体置き場まで確認にやってきた妻は、遺体のつけている「茶色い靴も赤いネクタイも」覚えがなかった。男は勤め先がとっくに倒産したのに、妻には何も言わず、以前と同じようにして毎日パリへ通勤していたのだ。しかも、男が昼日中、所在なげにベンチに腰掛けていた姿も目撃されていた。いったいこの男は何をして暮らしていたのか。
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-メグレはボルドーで開かれた国際警察会議に出席した。帰りがてら、彼はむかしナントの大学で医学の勉強をしていたときに同じ下宿にいて仲良くなったシャボを訪ねてみようという気になった。シャボはヴァンデ県の小さな町フォントネイで判事をしていた。町はつい最近起きた二件の殺人事件で不安に包まれていた。旧家のあるじの義兄が殺され、ついで一人暮らしのばあさんが殺されたのだ。それは単にそれだけのことでメグレには何の関係もなかった。だが彼が町に着くとすぐに第三の殺人が発生した…メグレは否応なく小さな地方の町の特異な事件に巻き込まれていく。
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-メグレ物のなかでも、ずばぬけておもしろい中長編集『メグレ、最新の事件簿』から秀作9編を選んでおくる。「メグレ夫人の恋人」では、メグレ夫人が事件の発覚を予測し、いざ事件が起こると家庭から飛び出してメグレ顔負けの名探偵ぶりを発揮する。「殺し屋スタン」は数あるメグレ物中編のなかでも、おもしろさが光る作品。
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-保険代理人ミショネの自宅車庫から自慢の新車が消え、かわりに隣人アナセンのおんぼろ車が放置されていた。アナセンの車庫で発見された新車の運転席には、至近距離から胸を撃たれた宝石商ゴードバーグの死体があった。パリ近郊の《三寡婦(かふ)の十字路》を舞台に、重厚で、異様な雰囲気と、強烈なサスペンスが盛り上がるメグレもの初期の傑作。
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-七十八歳の元外交官サン=ティレール伯爵が自宅書斎で数発の銃弾を浴びて即死した。至近距離からの一発が脳頭蓋を吹っ飛ばす致命傷であった。外交上の政治的事件か、恋愛問題か、遺産相続問題か? ミステリーのタブーに挑戦したシムノンの力作は意外な結末をとげる。
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-ロワール河畔の別荘で、夫人とともに定年退職後の静かな生活を送っていたメグレ。そこへ突然、アメリカの大富豪の息子が訪れ、極秘の調査を依頼した。この青年の懇願で、ニューヨークへ旅立ったメグレは……
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-宝石泥棒の陰の黒幕とメグレが目星をつけていたマニュエルが自室で銃殺された。車椅子のマニュエルは、若い情婦アリーヌを使って組織を操っていた。密室殺人と連続宝石泥棒の謎に挑むメグレ……
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-サン・マルタン運河からあがった男のばらばら死体。首だけが発見できない死体の身元確認に奔走するメグレの前に、パリの片隅でひっそりと暮らす居酒屋夫婦の意外な過去が浮かびあがる。メグレもののなかでも一、二を争う傑作!
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-ガール河岸の今は傾きかけている老舗(しにせ)のビスケット会社。その当主が深夜、自室で胸を撃たれて死んだ。荒れすさんだ広壮な屋敷・事務所に細々と暮らす一族は、だれひとり、銃声を聞かなかったという。メグレは執拗にそのことにこだわった。
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-ひっきりなしに電話でメグレに救助と保護を求めた正体不明の男は、コンコルド広場で無惨な他殺体で発見された。死者の妻の名はニーヌ、胃の中には鱈(たら)料理……数少ない手がかりを懸命に追うメグレ。トーマ・ナルスジャックがメグレシリーズの最高作と激賞した傑作。
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-パリ郊外のドーブレック代議士の別荘に押し入ったルパン。高価な美術品を奪う計画は成功したかにみえた。だが、事態は急変、ルパンは手下を置き去りにして命からがら逃走するはめに。この手下どもはその屋敷で、何やら別の品物を物色し、それをめぐって取っ組み合いの喧嘩まで繰り広げた。ルパンはそれを奪って逃走したが、家に帰り着いてから見てみると、それは水晶でできた水差しの栓にすぎなかった。だが一夜あけたとき、マントルピースの上に置いた栓は跡形もなく消えていた!……水晶の栓をめぐって複雑にからみあう謎また謎、ルパンは政治陰謀と裏切りの渦中にいやおうなく巻き込まれ、最大の強敵に立ち向かう。危うしルパン! 「水晶の栓」はルパン長編ものの最高傑作のひとつ。
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-新婚のポールとエリザベートは、独仏国境ちかくに建つ、エリザベートの父の館(オルヌカン城)へと旅する。だが、館の中の閉ざされた一室で見せられたエリザベートの母の肖像は、忘れもしないポールの父親を殺した女の肖像ではないか! 苦悩にさいなまれるポールはエリザベートと別れ、おりしも勃発した第一次大戦の戦場へ。だが運命は再びポールを謎を秘めたオルヌカン城へと導く。謎のHERMの文字、ヘルマン参謀なる奇怪な人物、囚われのエリザベート、戦場を舞台にくりひろげられる冒険活劇。作者ルブランはルパンも登場させて、読者サービスも忘れない。
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-本格ものミステリーの雄、エラリー・クイーンのデビュー作であり、以後10巻に及んだ有名な「国名シリーズ」の最初の作品。ブロードウェイの新顔「ローマ劇場」には暗黒街ものの新作「拳銃稼業」に多くの観客がつめかけた。ナイトクラブの殴りこみ、ギャング出入りの派手さで受けている芝居だった。第二幕の山場で観客席の後部座席のほうから大きな悲鳴が聞こえた。客たちはこれも芝居の新手だと思い、その方角に首をのばした……だが、それは芝居ではなく真実の殺人だった。被害者は悪徳弁護士! クイーン父子の捜査がはじまる。どうしたわけか被害者の持っていたはずのシルクハットが消えていた…
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-物語の前半で真犯人を明かして、犯罪の過程を述べ、後半で完全犯罪のしくみをあばいていく――この「倒叙推理小説」と呼ばれる形式を初めて試みたフリーマンの代表的中編を集めた傑作ミステリー。当時のイギリス推理小説界の二大花形であったドイルとフリーマン。ドイル描く《ホームズとワトスン博士》に対する《法医学者ソーンダイクとジャーヴィス医師》の活躍は、その緻密な推理と科学的立証で、今日のミステリーの先駆的な存在として、新分野を開拓した。
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-「この作のサスペンスは飛びきりである。主人公の青年がフラフラと町を歩いて来て、ダンスホールに入り、放心状態でチケットを買い、商売人らしくない少女のダンサーと踊りつづけるまでの、非常に長い冒頭の場面は、なんとも形容のできない不思議なサスペンスに充ちている」(江戸川乱歩)。サスペンス派巨匠の手になる代表作!
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-魚雷攻撃で沈没寸前の英国汽船「ルシタニア号」上で、秘密任務をおびた男は見ず知らずの若い女に「アメリカ大使館に届けてくれ」と重要書類を託す。やがて大戦が終わり、恋人同士のトミーとタッペンスが起こした青年冒険家協会に、2人の依頼人があらわれる。2人の用件は、どちらも、ルシタニア号上で消息をたった男女に関するものだった! サスペンスあふれる異色作。
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-ロンドンからそう遠くない閑静なセント・メアリ・ミード村の牧師館の書斎で、治安判事が射殺されて見つかる。頑固一徹で、人から好かれない人物で、なにかと敵も多かった。一人の若い画家がすぐに自首して出て、事件はそのまま落着かと思われた。だが、新事実が相次いで明らかになって、事件は混迷の度をふかめ、村には噂と疑惑が渦まく……ミス・マープルがおしゃべり好きなおばさんとして初めて登場、同時に鋭い洞察力をみせて真相にせまる記念碑的作品。
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-アンはロンドンの地下鉄ホームの端っこで、嫌いなナフタリンの臭いを発散させた男に気づく。次の瞬間、男はアンの後ろにいた人物に仰天したかのように顔を引きつらせて後ずさりし、あっという間に線路上に転落し、送電軌条にふれて焼死した。近くにいた医者があらわれ、死を確認すると足早に姿を消した。そのとき医者は一片の紙切れを落としていった。それを拾ったアンは紙切れにも強烈なナフタリンの臭いが染みついていることに気づく……冒険にあこがれるアンはいつのまにか国際犯罪に巻き込まれていく。巧みな構成、ユーモア感覚にあふれたクリスティの長編第4作。
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4.0かつてマレーネ・ディートリッヒの主演で映画化されて有名になった名編「情婦」のほか、愛すべきポワロが活躍するクリスティの珠玉の短篇「西方の星」「首相誘拐事件」「ダベンハイム氏の失踪」「クラパムの料理女」「イタリア貴族の怪死」「エジプト人墓地の冒険」を収録したハンディな1冊。誰でも親しめるポワロ入門。
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-ABCというイニシャルを記したいたずらのような手紙が探偵ポワロのところに届く。だが彼の不吉な予感どおり、アンドーバー(A)でタバコ屋の老婆アリス(A)が殺害される。勝ち誇るかのように第二の手紙はベクスヒル(B)での事件を予告し、カフェの給仕女ベッティ(B)の死体が海岸で見つかる。図に乗った犯人はチャーストン(C)での殺人を予告、ポワロや警察を嘲笑うかのようにカーマイケル卿(C)を殺害する。そして次はドンカスター(D)だ…すべての死体のかたわらにはABC社の時刻表が。無差別殺人を趣味とし、ポワロに特別な恨みをもつ者のしわざなのか? 灰色の頭脳は悩みに悩む。脂の乗りきった時期のクリスティの傑作。
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4.5深夜に雪で立ち往生したオリエント急行の寝台車内で、アメリカの老人ラチェットが殺害された。たまたま乗り合わせたポワロはいち早く事件を知らされる。どう考えても乗り合わせた12人の乗客以外には犯人はありえなかった。一人また一人としらみつぶしに状況を聞く調査がはじまる。だが、それぞれの乗客のアリバイは完璧だった。外の世界と断絶した緊迫した状況の中、矛盾する刺し傷とともにポワロの灰色の脳細胞は悩みに悩む。クリスティの代表作。
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-南米アルゼンチンの自分の農場から久しぶりにロンドンへ戻ってきたヘイスティングスは、なにはともあれ、まず旧友ポワロを訪問した。ところがなんと、ポワロはアメリカの石鹸王の依頼を受けて、ブラジルのリオへと旅立つところだった! そのときである。一人の憔悴した男が窓から寝室へとはいったのであろうか、ポワロの前にあらわれた。男は失語症にでもなったように「ファラウェイ街十四番地、エルキュール・ポワロ氏」としか言わない。だが医師のすすめで紙と鉛筆を渡すと、男は「4」という数字を12回も書きなぐった……国際犯罪組織を相手のアクションとサスペンス、ポワロの魅力全開の痛快編。
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4.3小さな村の名士アクロイド氏は、書斎の椅子で何者かによって刺殺されていた。叔父の死にショックを受けた姪のフロラはたまたま余生をその村で過ごそうとしていたポワロに事件の解明を依頼した。ポワロは言った。「いったんお引き受けした以上は、最後までやりとげなければ止みません。たとえ途中で警察に一任しておく方が無難だとお考えになるような事態にいたりましてもですぞ。よい猟犬というものは決して追跡を途中で放棄するようなことはいたしません」……ミステリーの女王の名を不朽のものとしたクリスティの記念碑的作品。
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-ポワロは、フランス滞在中の大富豪ルノールから「警察の力を借りたくない、助力を頼む」という手紙を受け取る。急ぎフランスの小さな町メルランビーユへ飛んだポワロを待ち受けていたのは、建設中のゴルフ場の一画で刺殺された富豪の死体だった。パリ警察の派遣した探偵ジローとの捜査の知恵くらべが進展するなか、富豪とは関係のなさそうに思われる浮浪者が同じ凶器の犠牲に…クリスティのポワロもの長編第2作。
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2.0イギリス中の興味と関心をあつめたスタイルズ荘の事件は、ヘイスティングズ大尉が友人の別荘に招かれたときに起こった。再婚して間もない友人の義母エミリーが毒殺されたのである。嫌疑は一族のみんなにかかる。ベルギーから英国に亡命してまもなくエミリーに住まいを世話されたポアロは、恩義も感じて事件解決に乗り出す。…不滅の探偵を生み出した「ミステリの女王」の新鮮さのあふれる処女作。
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-史上最も風変わりな探偵…それが本書に登場のネロ・ウルフである。1日にビールを6リットルちかくも飲み、フランス料理の専門シェフを雇うくらいグルメで大食、おかげでぶくぶくに太って、大好きな蘭を1万株も栽培する屋上に行くのも専用エレベーターの世話になる。つまり自分では動けず、完璧な安楽椅子探偵。指示を仰いで動き回るのは有能な助手のアーチーだ。本書は47作にものぼるシリーズ処女作で、むろん最高の出来という折り紙つきの作品。そもそも本書巻頭で、見知らぬイタリア女の不意の来訪を受けたのは、49の銘柄のビールを一本ずつ賞味しているときであった!
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-田舎町の開業医ビクリーは妻のジュリアの抹殺を決意する。周到完璧と思われる殺害計画にもとづく実際の犯行、捜査警察官との虚々実々のやりとり、緊迫感あふれる法廷での尋問、そして意想外な結末……倒叙形式ミステリの最高傑作のひとつであり、推理サスペンスの頂点をなす代表作。フランシス・アイルズという名は「毒入りチョコレート事件」で有名な英国を代表するミステリ作家アンソニー・バークレーの別名である。
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-宝石と切手のコレクターで出版社の経営者でもあるドナルド・カークは、ニューヨークの中心街に事務所をもっていた。ある日の夕刻、中年太りのさえない小男がたずねてくる。カークは留守だったので、秘書のオズボーンはカークの事務室で待つように案内する。用件を聞いても、男は「内密の用件」としか答えない。約一時間後、カークはたまたま階下で出会ったエラリーを連れて帰ってくる。秘書の話を聞いて二人が事務室に行くと、男は脳天を割られて死んでいた。そして部屋にあるあらゆる物が動かされて「あべこべ」になっていた。中国福州で発行された「エラー切手」にからむ密室殺人!
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