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  • 瀬戸内寂聴×堀江貴文 対談 1 死ぬってどういうことですか?
    5.0
    小学校1年生の時、死ぬことを思い怖くなった、という堀江さん、それは今でも変わらず、死ぬことを考えないように、のんびりしないようにするという。「死ぬ」ということはどういうことなのだろうか。「生きる」ということはどういうことなのだろうか。この当たり前であることを今、改めて一緒に考えてみたいと思う。戦争体験もし、いくつもの死を経験してきた瀬戸内寂聴さんに、小学校1年生から独特の死生観を持つ堀江さんが聞く、という形でこの二つのことを解き明かしていこう。
  • 不貞な貞女
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    -
    加奈子が地方の素封家に縁づいて、もう5年。夫・浩介は、長い病床にふせったままだ。看病に明け暮れる加奈子も、いつか貞女の幻を心にえがいていた。が、そんな妻に、夫は画廊勤めを勧める。《きみのからだの外のにおいが、僕には爽かな刺激になる……》ーー勤めに出た加奈子は、青年建築家・植木との恋におちた。女心の飢えをみたす、背徳の愛に、加奈子はおののく。が、夫はすべてを知っていたのだ。やがて、臨終の枕もとに妻をよんで、心の葛藤を告げる浩介。美貌の妻に、くらい喪の季節が訪れた……。という表題作など、全10編。
  • 女優
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    -
    この女! きらい! パパをいじめて、きらい……。死の床に横たわった父の身体の下に隠された、美しい女の写真は、幼ない未来子に、生まれて初めて人を憎む気持を教えた。あれから、何年の歳月が、流れたことだろうか。あの女、演劇界の女王といわれる鳳しのぶの一人娘として、映画界入りした未来子は、たちまちスターの座についたのだった……。華やかな日々、肉体を通りすぎた何人もの男たち……。いつしか母と似た道を歩むようになった未来子の心は、だが、いつもひえびえと孤独だった。硝子細工のような繊細華麗な女体に、妖しく燃える炎を秘める、ひとりの女優の愛と性を描く。
  • 情事の配当
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    -
    結婚7年め、子宝に恵まれぬのは、夫の体質が原因だと診断されたとき、絹子はむなしい虚脱感を味わった。頼りきっていた12歳年長の夫の姿が、ひどく老化してみえる。豊かな肉体をもてあましつつ、「ゴルフウィドウ」に甘んじなければならぬ絹子……情事への誘惑が心をゆさぶる。相手は、証券セールスの時岡という青年だ。夫の出張の夜、ついに彼女は甘美な悦楽にはしった――。「この情事の配当がほしいわ」絹子の胸に悪魔がささやく。彼女は夫に迫った「ね、私、人工授精をうけようかしら」。が、事態は一変した。時岡が事故死したのだ――という表題作ほか全10篇。
  • 無常を生きる 寂聴随想
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    -
    悔いなく生き、明るく老いるために……。様々な人びとの苦悩に耳を傾ける、寂聴尼の愛に満ちた生への讃歌――悪事を己に迎え、好事を他に与え、己を忘れて他を利するは、慈悲の極なり。嵯峨野に終(つい)の栖(すみか)を定めて20余年、様々な人と出会い、苦悩に耳を傾けてきた寂聴尼が語る、生への讃歌。明日すらわからぬ無常のこの世を、明るく、悔いなく生き、老いるために私たちにできることを、何気ない日常から導きだす珠玉のエッセイ。
  • 伝教大師巡礼
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    -
    一途な情熱を過酷な修行で天台宗を開いた伝教大師=最澄の全生涯! 清らかな人間像を描き出す評伝紀行――一途な情熱と過酷な修行で、天台宗を開いた最澄(伝教大師)、そのゆかりの聖地を巡礼し旅をしながら、その風土を体験し記録と伝説の隙を作家の想像力で埋めて結晶させた、紀行評伝。比叡山に堂舎を整え、慕ってくる弟子たちを教化し、命がけの入唐を果たした真摯な宗教家の、晩年は空海との劇的な対立に苦悩する姿も鮮やかに伝え、高潔な魂の人の全生涯を語る傑作。
  • ブッダと女の物語
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    5.0
    釈尊の生涯とその教えは、女性との関連をぬきにしては語れない。ブッタの教えに影響を与えた女たちの姿。平明に説く釈尊の物語――釈尊の生母は、産後7日目に他界した。いわば釈尊は、自分の生と引きかえに、母の命を犠牲にしたのだ。この意識は、釈尊にとって、大きな負い目になったのではあるまいか。釈尊の周囲の女性たちを描きながら、釈尊の教えやその姿を浮き彫りにする、ユニークで親しみやすい釈尊物語。
  • 輪舞
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    3.0
    12の愛を鮮やかな糸につなぐ手練の情愛小説――女性編集者・池田真佐子は、利己的な病身の夫にかわって一家を支えていたが、「後くされのない美しい情事をしませんか」という、兄の友人の誘いにのってしまう。そして、女の金を詐取した男は、熱愛する妻のもとに駈け戻り、妻はその金を……。詐取された現金が、形を変え次々と人手に渡る。苦い恋、欲得がらみの騙し合い、切ない純愛など、恋の場面を鮮やかに彩ってゆく情事の金の皮肉な輪転に、多彩な恋愛心理を鮮やかに描く、連作短編集。
  • 放浪について
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    -
    牢屋のような部屋で、刑罰のように物を書く。そして無性に、二条の、西行の、一遍のような放浪に憧れる……。風に背を押され、次の町へ次の村へ、身ひとつになって、たったひとり、無目的の終りのない旅に、という。さまざまな風景の中の、さまざまな出合い、触れ合い、その一瞬一瞬の命の炎を、そして紅葉(もみじ)する中尊寺での得度後、道元の「すててこそ」の境地を得る1年の心の移りを、華麗な筆でつづる。
  • 嵯峨野より
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    4.0
    嵯峨野の自然と人生を流麗に綴る好エッセイ―― 剃髪して京都の郊外嵯峨野に庵を結んだ著者が、樹木、野の草をはじめ四季の自然を愛し、それに対することで自分の来しかた、人生、世の移ろいを深くとらえ、さわやかな感動を読む者に与える好エッセイ。 吾れ、常に、ここにおいて、切なり、と心につぶやく。すると、心の中に涼しい風がおこり、もやもやした俗情がさっぱり吹き払われる……。剃髪して京都・嵯峨野に庵を結ぶ著者が、草花、樹木をはじめ四季の自然を愛し、それに対することで自分の人生、世の移ろいを深くとらえ、さわやかな感動を与える好エッセイ。
  • 渇く
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    4.5
    本当の幸せとは好きな人と一緒にいられること。満たされない愛の渇きを癒す感動の長編、生と死の喜びを描く傑作――妻に離婚を求められた傷心の晋也は、悠久のインドに魅せられている女、萌(もえ)とめぐり合った。愛の不安定を考えつめた萌は、しかしインドへ逃れ、残された晋也は、不治の病気を宣告される。急ぎ帰国した萌は、死に向う晋也を、癒しと祈りの聖なる大地、インドへ連れて行く……。生と死の喜びを暖かく描く、感動の長編。
  • 蘭を焼く
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    4.0
    著者の50年に及ぶ文業のうちでも、第一の傑作短篇集――男女の関係性の善悪は、つねに社会の規範の中にあるが、ここに登場するヒロインたちは、もっとも女性的に生きることで、社会への反逆者となり、そこには満ちあふるるエロティシズムと頽廃とが生と死を越えて、抽象にまで至る愛のリアリティをもって存在する。表題作のほか「公園にて」「予兆」など、8篇を収録。
  • 草宴
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    -
    愛と性の業火に焼かれる中年男女の姿を嵯峨野の自然を背景に流麗に描いた文芸作品。愛の魔性に翻弄される中年男女の真の姿――本能のまま、華麗に生きる可能子。その可能子に、しもべのように従う中年男の柿本、そして一度は剃髪したものの、柿本によって再び煩悩を刺戟され、還俗をきめる端春。京の嵯峨野を舞台にして、中年男女が性の業火に燒かれる姿を、文学的香気高く描く秀作。著者出離後の、最初の長編。
  • 生死長夜
    値引きあり
    -
    心ならずも傷つけあう夫と妻、身を捨てて恋に滅んだ男……迷いぬく様々な人生。不思議な透明感で、男女の愛憎と切実な生を描く、名作短編集――長い人生の迷いを、夜の闇にたとえて、生死長夜(しょうじじょうや)という。心ならずも男たちを不幸にし、その倍くらい不幸になった女。漂泊の涯てに行き倒れの死を願う女。偶然の再会にも、妻の顔を思い出せない老残の男。大僧都の身を捨てて恋に滅んだ因縁の男。……愛憎の迷いの中で生きてゆく人間を描く、心にしみる傑作短編集。
  • 再会
    値引きあり
    3.0
    優しい保護者だった夫に先立たれた芙樹子(ふきこ)に、初恋の男がまた近づいて来る。一途な恋だったと信じて駈けつける女と、その時々の現実に生きる男との再会は? 恋がなくては生きていけない、一瞬の昂揚に賭ける女と、女の命の単純な暖かさを求める男を描く表題作のほか、男と女の、愛といたわりを語る傑作集。
  • 人が好き 私の履歴書
    値引きあり
    -
    瀬戸内海の海賊を取り絞る役人の末裔ながら、海賊の無頼と冒険心を愛する作家の、たくまずして笑いのもれる自在な境地、波瀾の半生を語る感銘深い自伝作品――瀬戸内海の、海賊を取り締る役人の家の血を引きながら、「こっぱ役人なんかより海賊の方が、ずっとロマンチックで勇壮でよい」と、無頼と冒険心を大切にしてきた作家の、半生の記。激しい転変と波瀾の軌跡、ゆかりの人々との思い出を、淡々と語る自在の境地に、たくまずして笑いのこぼれる、感銘深い自伝作品。
  • 彼女の夫たち(上)
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    -
    書道家として、はなやかに生きる長女・和美、人妻の座に安住して11年、夫婦間の沈滞に悩む次女・伸子、愛し合って結ばれた夫に浮気をされて呆然とする三女・節子、独身のOLで、中年の愛人との不安定な愛に揺れる四女・竜子。美しい4人姉妹が、それぞれの宿命と愛憎とに翻弄されてゆく姿を、みずみずしく描く、長篇ロマン。<上下巻>
  • 燃えながら
    値引きあり
    -
    香苗が嫁いだ景山家では、舅が若い妾を同居させ、それが死期を早めるとも知らず、爛れた日々を送る。一方、夫の良介は、初めこそ愛妻家だったが、悪女の手管によって、浮気の泥沼へ。妻の座の脆さ、嫁の座の重さに焦心する香苗を、妹の桃子は激励する。だが、桃子は桃子で、不毛の恋に陥ち、苦悩していた……。愛の虚実を華麗に描く傑作。
  • 純愛(上)
    値引きあり
    -
    北見慧子と大槻燎子は、大学時代のクラスメートであった。慧子は、ブック・デザイナーとして自立をめざし、ひそかに妻子ある建築家との愛も育んでいる。一方、家庭に入った燎子は、夫との間の亀裂が深まる虚しさを癒すべく、野放図な若い男との情事にはしる。ふたりの女性の対照的人生と愛の表裏をみごとに描く問題作。<上下巻>
  • 愛の時代(上)
    値引きあり
    -
    愛と不誠実が共存する男女の恋を描く長編――嵯峨野に住む染織家・辻本怜子は、妻子ある男の秘かな恋人として、不安定な愛を聡明に守っているが、愛と不誠実が共存する男に、時として屈折することもある。その彼女の家に、愛し愛される喜びと、愛に伴う苦しみを抱えて、多くの人々が訪れる。東京から若い姪が家出してきて、追いかけて母親の和子もやって来るが、その姉もやがて激しい懊悩を打ちあけ……。美しい自然の中で、鮮かな恋の物語が織り上げられていく長編。<上下巻>
  • こころ(上)
    値引きあり
    -
    1~2巻298~660円 (税込)
    太平洋戦争のさなかに女子大を卒業した文子と啓子は、そのあと東京と四国とに分れて、それぞれ妻として母として「女の一生」を体験する。お互い、夫の不貞に泣かされ、また、子供たちの気まぐれな処生に悩まされる人生だった。いま、やっと平穏な生活を得たかにみえる彼女らだが、その内面の光景は? 人生の深淵をえぐる問題の作品。<上下巻>
  • 家族物語(上)
    値引きあり
    -
    1~2巻298~660円 (税込)
    男と女は、どのような深い縁で夫婦となるのか? ――京都の織物会社の社長・並木啓一郎は、自然の美しい嵯峨に穏やかな家庭をもっているが、取引先の女性・ゆかりに、秘かな愛情を感じていた。しかしゆかりは、婚約者の自殺で、心に深い傷を負っていた。啓一郎の妻・真穂は、夫への不信に苦しみ、脳溢血で倒れてしまう。夫婦の絆は危うく切れそうになるが……。<上下巻>
  • 新装版 花怨
    値引きあり
    3.0
    父親を知らずに美しく成長してゆく奈々緒。色街で料亭を営む母・菊江とも別の家に暮らしていた。経済的には恵まれていたが、菊江が経済界の大物の元愛人だったことがわかる。そんな境遇に反発を覚えながらも、奈々緒は上流社会の生活を謳歌し始める。ところが菊江は、奈々緒が女学校卒業を間近に控えるころ、自分の眼鏡に適った男を聟として押し付けてくる。奈々緒は望まぬ結婚を受け入れるが、その先には想像を絶する悪夢が……。
  • かの子撩乱その後
    値引きあり
    3.0
    またとない理解者一平を夫に得、才能豊かな太郎を子として産み、恒松安夫や新田亀三を崇拝者として同居させながら、かの子はいつでも孤独感にさいなまれていた。人並外れた激情の作家を支え、大輪の花と咲かせた家族と恋人たちを鮮やかに描く、伝記的小説とエッセイ集。不滅の名作『かの子撩乱』の姉妹編。
  • 寂聴 天台寺好日
    値引きあり
    -
    岩手県の北部、青森県との境の小さな町にある古刹、天台寺。さびれきったその寺に、懇請され、住職として晋山(しんざん)した著者の、愛と勇気と行動の日々。数々の困難を乗り切って、名刹に命をとりもどした、奇蹟のような10年間の実践。深い仏縁と、はかり知れない仏恩の下で、地元の人々と共に復興に努める、感動の記。
  • 新装版 寂庵説法
    値引きあり
    3.7
    愛する人に愛されない、大切な人との別れがつらい、孤独や老いとどうつき合っていけばいい?―ー人生のさまざまな悩みや苦しみに寂聴さんがやさしく寄り添って答えてくれる"読む法話集"。愛、幸福、怒り、無常、命、死などについて、自身の人生を振り返りながら、仏教の教えとともにわかりやすく説く。読むだけで心がスッと軽くなり明日への元気が湧いてくる大ロングセラー。文字が大きく読みやすくなった新装版。
  • 寂聴相談室 人生道しるベ
    値引きあり
    -
    個人的な悲しみは、普遍的な悲しみです――不倫、家庭内暴力、借金、いじめ、新興宗教、自殺、病苦、愛する者との別れ……生きる意味を見失い、絶望視、戸惑う現代人。十年にわたって寄せられた悩みに寂聴尼が真摯に温かく、ときに厳しく直言する。真実の人生を生きる指針を示す、100通の身の上相談。
  • 藤壺
    値引きあり
    3.2
    54帖からなる「源氏物語」には、題名しか伝わっていない"消えた一帖"があった!? 5歳年長の義母にして帝の妃・藤壺は、幼くて顔も覚えていない時に亡くなった生母・桐壺と瓜二つのように似ているという。切ない恋心をつのらせていく若き光源氏と藤壺の、許されぬ初めての逢瀬を、作家・瀬戸内寂聴が小説化。
  • 月の輪草子
    値引きあり
    4.0
    崇拝する中宮定子を慰めるため「枕草子」では美しいことばかり描いた。智識と才気で紫式部と反発し合った清少納言も、いまは山の庵でひとり九十を迎える。自分の定命がわからないのも仏の慈悲。心には華やかな宮中での日々が甦える。九十歳の著者が九十歳の清少納言に乗り憑ってのモノローグ。著者畢生の意欲作。
  • 生きることは愛すること
    値引きあり
    3.7
    「偽りの愛と、真実の愛の違いは?」「運を引き寄せるためには、どうしたらいいですか」「人は死んだらどこに行くのですか」故郷・徳島で若者たちの悩みや素朴な疑問に耳を傾け、未来への不安も語りあった。真摯で率直で愉快な質疑応答集に、母校の高校で行われた講演もあわせて収録。瀬戸内寂聴が贈る勇気と希望の言葉。
  • 寂庵だより
    値引きあり
    4.0
    生きるということは、自分を創ること。その力は、誰にでも公平に与えられている。かけがえのない一生を、誰かの責任にゆだねず、自分で守り育て、自分の心に聞いて生きて行きたい。――出離した作家の行動と思索の日々、仏恩や衆生恩に報いる努カの中から見えてきたものを、静かに、カ強く語るエッセイ集。
  • いのち華やぐ
    値引きあり
    -
    今切実な時代の問題、老、病、死について考える魂のエッセイ。生きるとは何かに答は出ないが、過去を思いわずらわず、未来を取り越し苦労せず、現在を全力で生きる命の貴さと、幾歳になっても愛にめぐりあい、愛をまきちらしながら、愛に始まり愛に終る人間の営みの理想を、清らかな活気で説き語る名著。
  • 寂聴生きる知恵 法句経を読む
    3.7
    こんなに分かりやすいお経があったとは! 法句経は、釈迦が折にふれて口にされた話を、弟子たちが短い詩のかたちに書き起こした「釈迦のことばのエッセンス」。生と死、愛と欲に関するものをはじめ、57の詩を、リズミカルな寂聴訳で紹介し、私たちの身の周りの問題に当てはめて語る。生きてゆくための心のあり方を示す法話エッセイ。
  • 終りの旅
    -
    「恋が旅に似ているように、人生も旅に似ている」。雪の根室へ、夏の津和野へ、マルセイユへ、トレドへ……。愛し、苦しみながら、なお未知なるものを求めてつづく旅。人生は死への孤独な旅であるとみる著者が、単なる旅情をこえた〈旅〉のなかで綴る人生の洞察と人間へのいとしさ。
  • おだやかな部屋
    -
    男との愛に生きながら、確かな世俗の絆を求めようともしない孤独な女の心は、日常の些細な出来事も部屋から見下す街のながめも、謎めいたものに変えてしまう。ひとり居の女心のゆらめきに微かな性の芳香を漂わせながら、一組の男と女の微妙な愛のかたちを描いて生の不思議な深淵にせまる力作長編。
  • 孤独を生ききる
    3.8
    人はひとりで生まれ、ひとりで死んでゆく。恋人がいても、家族に囲まれていても、しょせん孤独。群れていても、若くとも、老いても孤独。本当に自分が孤独だと感じたことがない人は、真に人も愛せない。孤独と向かい合い、飼い馴らし、新しい自分と出会える人だけが人生に輝く道を発見する。孤独を生ききるにはどうすればいいか。答がこの本にある。
  • 花芯
    値引きあり
    3.7
    「きみという女は、からだじゅうのホックが外れている感じだ」。親の決めた許婚(いいなずけ)と結婚した園子は、ある日突然、恋を知った。相手は、夫の上司。そして……。平凡な若妻が男性遍歴を重ね完璧な娼婦になっていく姿を描き、発表当初「子宮作家」のレッテルを貼られ文壇的沈黙を余儀なくされた表題作他、瀬戸内晴美時代の幻の傑作5編を収録。
  • 与える愛に生きて 名僧の教え(小学館文庫)
    -
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 『徒然草』を書いた吉田兼好、『正法眼蔵』を著した曹洞宗の祖・道元、天台宗を開いた最澄。仏門に生きつつも捨てきれぬ悩みをかかえ、またそれゆえにこそ広い愛を万物に注いだ3人。その姿が、自ら仏門に入ったからこそ、くっきりと見えてきた。「素手で心臓をぎゅっと掴まれたような感動」を名僧たちの言葉の中に見いだし、人間的な叫びと深い教えを寂聴尼が読み取る。
  • いのち
    値引きあり
    3.3
    腰椎の圧迫骨折で入院し、さらに胆のうがんが見つかった。手術を即断し、秘書・モナに付き添われて寂庵に無事帰還したのは92歳のとき。頭に去来したのはなぜか98歳で亡くなった宇野千代さんや、岡本太郎氏とその秘書、そしてこれまで因縁の生じた男たちのことだった。分けても、日本を代表する女性作家となった河野多恵子氏と大庭みな子氏、二人との強固な結びつきは「作家の業」を浮かび上がらせ、死に際の別離はタイトルにふさわしい「生と死の様」を考えさせる。95歳にして最後の長編小説が結実。
  • 寂聴と読む源氏物語
    4.2
    光源氏に愛された姫君たちが抱いていたプライドにテーマをしぼって考察し、大きな評判を呼んだ講義を再現! 千年前の女たちは現代の女性に勝るとも劣らない、毅然としたプライドで身を処していた。たくさんの男女の恋愛、さまざまな男女の愛の形が描かれている『源氏物語』をより深く味わえる必携の読本。
  • 美女伝
    -
    額田王、モルガンお雪、三浦環、岡田嘉子……など、女の性と生を存分に開花させ、時代のモラルと衝突しながら生きた《乱調》の美女たちの系譜。迸る情熱とエネルギーをひそめた魔女、悪女、妖女たちの危険な新しさと美しさ。歴史上の美女たちの熱い情念と生の姿を現在に生き生きと甦らせる。
  • 見出される時
    -
    「生きていくということは、じぶんの失われた時への追憶であり、見出された時の確認であるのかもしれない」生命の完全燃焼と魂の全き自由を常にもとめて生き続けた著者が、徳島での幼い日から中尊寺で得度するまでの「時」を振り返り、結婚、文学、放浪、仏縁、幸福などについて語り半生の足跡を綴る自伝的エッセイ。
  • 涯しない旅
    -
    はるかな昔、大和の神々が歩いた古道を歩き、万葉歌人の詠んだ山を仰ぎみながら、追想のなかに古の人々のドラマを見る旅。また一方、現代の名匠の手になる西陣の織物、萩の陶器、丹波立杭などを訪ねて芸術の新しい息吹にふれる旅。懐かしい人間に出会い、新鮮で未知なる驚きに出会う旅をとおし、人生という涯しない旅へ誘うエッセイ集。
  • 吊橋のある駅
    -
    毎週一回、海峡を渡ってくるセールスの男が、一晩を女の部屋で過ごすようになって、三年の歳月が過ぎた。愛を誓うことも、過去を明かしあうこともなく続いた情事に不意に訪れる終わり。いつしかはかなくなってゆく男女を、こまやかに描いた表題作ほか、さまざまに揺れうごく愛のかたちを浮彫りにする香り高い作品集。
  • 女たち
    -
    六十路をむかえてなお恋の炎を燃やす女将。キャバレーのボーイに熱をあげるハイティーンの歌手。大学図書館の勤めをやめて不倫の愛に生きる女…など。奔放な情熱のおもむくままに生きる「女たち」のさまざまな愛と性にひそむ微妙な心の翳りと官能のうごめきを、多彩な人生模様に描く連作小説。
  • 妬心
    4.0
    夫も子供も捨て家を出るきっかけとなった年下の男との偶然の再会が、作家として世に出はじめていた牧子の心に妖しい愛の炎を呼びさます。やがて二人で暮らす日々……。だが突然、男がきりだす別れ話。不倫の愛に懊悩する女の業を描く表題作、他に情熱のおもむくままに愛の遍歴を重ねる女を多彩に描いた六篇を収録。
  • 愛のまわりに
    -
    「愛は技術です」――私たちは生まれながらにして愛する能力を与えられています。でもどんな恵まれた才能も、その技術を磨かなければ、投げかけられた愛のボールを受けそこなってしまいます。では、その愛の技術を磨くには……。恋愛に結婚に家庭に仕事に、いつも希望を失わず、自信を持っていきいきと生きていくための45話。爽やかな人生論。
  • 小さい僧の物語
    -
    とおい昔から、町や村のそこここに、長い年月の風や雨や雪にさらされて、ひっそりと佇んでいるお地蔵さま。丸い坊主姿で、衣を着て、左手に玉、右手に杖をついて立ったお姿を、人々はありがたく信仰しながら、子どもを守ってくれる仏さまとして、なつかしく親しみ、お地蔵さまのお話は幾つも語り継がれてきました。笠をかぶった地蔵さま、安寿と厨子王を守った地蔵さま。優しく説き語る20の物語。
  • 一筋の道
    3.0
    三味線作り、櫛づくり、文楽の人形師、きせる作りなど、伝統工芸の名匠たち。講談師、幇間といった名人たち。そして、ふぐ、そばなどの名料理人たち――。日本の伝統を守る名人・名工30人を訪ねて、「ひとり孤独な自分の道を往く職人の姿の尊さ」をつづる。かつて「銀座百点」に連載され好評を博し、さらに21世紀にも伝えるべき、貴重な訪問エッセイ。
  • 見知らぬ人へ
    -
    「私は命を刻んで書きつづけるしか能がない…書きながら何かを少しづつ手さぐりで発見してゆくのだろう」。阿波徳島での出生から、女としての新しい生き方を求めた悪戦苦闘の時代、そして作家として自立するまで。情熱にすべてをかけて切り抜いた半生を振りかえり、見知らぬあなたに語りかける自伝的エッセイ。
  • いま、愛と自由を 寂聴塾ノート
    -
    私の修行体験/伝記小説の魅力/結婚を考える/樋口一葉の実像/釈迦はいかに生きたか/『源氏物語』六条御息所のこと/自由とは何か……。文学、仏教、社会を話題に、誰からも束縛されず、のびのびと生きてゆける考え方を身につけられるように、という願いをこめて、12回にわたって語った寂聴講話・ライブ集。瀬戸内寂聴のすべてを知るための絶好の本。
  • あきらめない人生
    3.4
    生きるということは自分の中にある才能の可能性を引出し、それを育て大輪の花を咲かせること。そして自分の才能の花が、自分以外の他人を喜ばせることが最高の生き方だと思う、と語る著者のはつらつ人生讃歌。女の魅力、性愛のこと、幸福の質、死を考える、華やかな老後、男のやさしさ、宗教について、出会いと別れ。日々の不安や悩みを乗り越え美しく穏やかに生き延びる、ヒントに満ちたエッセイ集。
  • 晴美と寂聴のすべて1 (一九ニニ~一九七五年)
    4.0
    私は、小説を書きたいという切望をふたたび思いおこし、もう、それまでの結婚生活に耐えられない人間になっていった――。小説のため、恋のために夫と幼い娘を置いて出奔し、『花芯』『田村俊子』『かの子撩乱』など話題作を次々と発表していく。原稿用紙の中に自分の最後の一滴まで注ぐ生活の一方で、妻子ある男や年下の男の間でゆれ続けるなまの人世。自身の言葉で綴る「瀬戸内晴美」の足跡。
  • 寂聴辻説法
    4.0
    地球に生きている人の数だけ悩みはある。「やはり女性は見た目?」「夫が突然芸人になりたいと言い出した」「認知症の妻にどう接すれば」……10~60代の男女から寄せられたさまざまな相談事。どんな悩みも寂聴さんが親身になって考え、ときに厳しく回答する。ひとりで苦しみを抱えこまず、誰かに聞いてもらうだけでも心が軽くなるもの。何かとストレスの多い社会で暮らす日本人に贈る人生指南書。
  • 寂庵浄福
    -
    「ひとりでいることの淋しさが、浄福ということばにつながる今こそ、私がかつて、あれほど憧れ、需めたがっていた境地なのかもしれない……」。祈り、仏像を彫り、畑を耕し、愛した人の死をとむらい、巡礼の旅にでる。出離して浄福、と言い切る境地を、移りゆく嵯峨の四季と日々の出来事の中に、確かでこまやかな筆で綴る。
  • 愛と祈りを(小学館文庫)
    -
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 水子地蔵の繁盛、不倫が原因の家庭崩壊、核家族化が進み老人が軽視される風潮など、こどもをつつむ環境は厳しい。その中で子育てに取り組む若い母は、いかにわが子を愛し真の幸福を得る努力をしたらよいのだろうか? ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字サイズだけを拡大・縮小することはできませんので、予めご了承ください。 試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
  • 夏の終り(新潮文庫)
    3.7
    妻子ある不遇な作家との八年に及ぶ愛の生活に疲れ果て、年下の男との激しい愛欲にも満たされぬ女、知子……彼女は泥沼のような生活にあえぎ、女の業に苦悩しながら、一途に独自の愛を生きてゆく。新鮮な感覚と大胆な手法を駆使した、女流文学賞受賞作の「夏の終り」をはじめとする「あふれるもの」「みれん」「花冷え」「雉子」の連作5篇を収録。著者の原点となった私小説集である。
  • 求愛
    3.0
    愛はままならない。だから死ぬまで愛を求める――。舌癌で亡くなった夫の愛人へ妻からの謝罪の手紙。私は鬼です、蛇です。そこには最期の壮絶なやり取りが告白されていた。(「妻の告白」)五歳のぼくが捨てられた日。大好きなママがこんなにいやな声をはりあげるようになったのはいつからだろう。(「その朝」)ちりばめられた愛のカケラが降りそそぐ、齢九十七の著者による初めての恋愛掌小説集。
  • わかれ(新潮文庫)
    -
    親しい友人も愛した男も、皆この世を去った。それでも私は書き続け、この命を生き存(ながら)えている――。吉行淳之介との不思議な縁。幼い自分を容赦なく叱った職人の父との思い出。色恋に疲れた男と老女とのささやかな交情。流麗に達し合うことができる、女性同士の性と愛。円熟の筆が、「私」と艶やかな共犯関係を結ばせるように、読者を物語へと誘い込む。終世作家の粋を極めた、全九編の名品集。(解説・田中慎弥)
  • 日本を、信じる
    4.0
    「この歳になっても、肉は食べるし、お酒は飲む。徹夜で原稿も書く」瀬戸内寂聴さんと、「どうしてもっと早く日本国籍を取ることを考えなかったのか」というドナルド・キーンさんの対談集です。ともに九十歳を迎える(当時)二人が、今日までの出来事を顧みながら、まずは3・11東日本大震災の被災地に足を運んで感じることが出来た日本人の底力、そして残された人たちの生きる意味について話し合います。対談は3年前の2012年に行われましたが、復興が遅々としている2015年の現在に読んでも、胸に突き刺さる発言がたくさんあります。さらに平泉・中尊寺に見られる日本の美、一方で失なわれてゆく美しい風景や日本人らしい心、『源氏物語』『おくのほそ道』など古典文学の素晴らしさ、太平洋戦争・ソ連崩壊など二人が選ぶ人生の三大事件、さらに自らの老いと死について縦横に語り合います。
  • すらすら読める源氏物語(上)
    値引きあり
    4.0
    『源氏物語』の世界に、すぐに入り込める最高の組み合わせ。 紫式部の原文を瀬戸内寂聴の名訳と解説で楽しむ。 わたしの好きな帖、ぜひ読んでほしい帖、面白い帖を選びました。ーー瀬戸内寂聴 上巻は「桐壺」「空蝉」「夕顔」「末摘花」「賢木」「明石」「関屋」「蛍」。
  • 寂聴あおぞら説法 愛をあなたに~みちのく天台寺~
    5.0
    みちのくの古刹・天台寺で開かれるあおぞら説法。友人を亡くした大学生、我が子を残し離婚した母親、金銭トラブルに悩む主婦……。それぞれの悩みに寂聴さんが明快に答えてくれます。境内を埋め尽くした多くの人は同じように不安を抱え、寂聴さんのことばで生きる活力を取り戻します。説法での、ユーモアあふれ慈愛のこもった一問一答を掲載したこころ安らぐ一冊。(『寂聴 あおぞら説法III』改題)
  • 寂聴あおぞら説法 切(せつ)に生きる~みちのく天台寺~
    -
    みちのく岩手・二戸市にある古刹・天台寺。今東光師の後を受け住職を勤めた寂聴さんは、名誉住職となってからも説法を行っており、広い境内には一万人もの人が集まります。悩みや不安を抱えて御山にやって来る人たちは、天台寺の清澄な光景に癒され、寂聴さんの法話を聴いて笑顔と元気を取り戻します。澄み切った青空のように、〈こころ〉を晴れ晴れとさせる一冊。
  • 大切なひとへ 生きることば
    -
    〈自分ひとり、どうしてこう不運なのかと思わないで下さい。あなたが強いから耐えられるから、与えられた試練だと思って、力をふるいたたせて、病魔と闘って下さい。きっとあなたは治ります〉美空ひばりさんへ送ったお見舞いの手紙など、寂聴さんが作家仲間や肉親、親交のあった人などへ向けた心温まることばを精選。不安を打ち消し、生きる勇気が涌いてくる一冊。
  • 生きることば あなたへ
    3.8
    深夜、思いわずらって眠れない時、誰かに苦しい胸のうちを打ち明け、聞いてほしい時、孤独にさいなまれて、さめざめとひとりで泣きたい時、ふと、手をのばして頁をくってみたい小さい本があれば、どんなにか心が慰められることでしょう。(中略)もし、この小さな本があなたにそういう役目をしてくれたら、そんな嬉しいことはないと思います。(「まえがき」より)
  • 寂聴あおぞら説法 日にち薬~みちのく天台寺~
    5.0
    愛するわが子に先立たれた。最愛の人を亡くした。その悲しみを治す薬はありません。けれども、歳月が薬になる。時間がこころの傷を癒やしてくれる。それを「日にち薬」と言います。みちのく天台寺で開かれる「あおぞら説法」。境内を訪れた老若男女は、寂聴さんのひと言ひと言に耳を傾けます。つらいのはあなただけじゃない。こころが軽くなる言葉が詰まった一冊。
  • 源氏物語 巻一
    値引きあり
    4.2
    1~10巻531~616円 (税込)
    全力傾注のライフワーク。原作に忠実に、美しい現代日本語でつづる源氏物語現代語訳の決定版。帝に熱愛された桐壺の更衣の悲劇的な死と残された幼い皇子。皇子は源氏姓を賜り、やがて意に染まぬ結婚。少年期を過ぎて、近衛の中将の身分を得た光源氏のさまざまな女性達との愛の遍歴。第1巻は、桐壺・帚木・空蝉・夕顔・若紫を収録。
  • 老いも病も受け入れよう(新潮文庫)
    4.2
    92歳のとき、相次いで襲ってきた腰椎の圧迫骨折と胆嚢ガン。つらい痛みで、死んだ方がましとさえ思う日々。でも、病のおかげで自分のいちばん大切なことがはっきりした。最期まで、小説を書いていたい――。リハビリの末、寂聴さんは再び筆を執れるようになった。老い、おしゃれ、食事、恋、友だち、手術、最愛の人たちとの別れ……。悩みながら生きるすべての人へ贈る瀬戸内流人生の叡智。
  • 死に支度
    値引きあり
    3.8
    91歳の誕生日を前にして、長年付き添ってくれた寂庵のスタッフたちが一斉に辞めることになった。最年少、24歳のモナを除いて。好きな仕事に専念してほしいとの心遣いからだった。出家以来40年ぶりの革命で、モナと二人の新しい生活に入る。「毎日が死に支度」と思い定めて、この小説の連載も開始した。
  • 髪

    -
    痴呆の老女の心に甦る初恋の少年との幼い遊戯の思い出(「紙」)、祇王寺の庵主の「男」をめぐるすさまじい逸話(「露」)、放浪の僧侶が抱く、さる女性の絹のように豊かな黒髪(「髪」)など、人間の宿業の深さを炙り出す11の物語。なかでも表題作の「髪」は寂聴訳「源氏物語」から生まれ、新作能『夢浮橋(ゆめのうきはし)』として上演され評判を呼んだ作品。煩悩を照らし、光明を見いだす短編集。
  • 秘花
    3.7
    そこには花と幽玄が絡みあい解けあった濃密な夜の舞があった――。『風姿花伝』『花鏡』などの芸論や数々の能作品を著した能の大成者・世阿弥。彼が身に覚えのない咎により佐渡へ流されたのは、齢七十二の時だった。それから八十過ぎまでの歳月の中、どのように逆境を受け止め、迫り来る老いと向かい合い、そして謎の死を迎えたのか……。世阿弥、波瀾の生涯を描いた瀬戸内文学の金字塔。
  • 寂聴あおぞら説法 こころを贈る~みちのく天台寺~
    -
    みちのく岩手・二戸市にある古刹・天台寺。寂聴さんのことばに、集まった老若男女は、笑い、泣き、癒され、元気を取り戻します。心施とは、病気で苦しむ家族や、大切なひとを失い心に痛みを抱える人への励まし。「心を施すということですから、優しい言葉をかけてあげれば、それが立派な心施です。布施になります」(本文より)。こころに響くことばがたくさん詰まった一冊。(『寂聴あおぞら説法II』改題)
  • 命あれば(新潮文庫)
    5.0
    寂聴さんには、世界がどう見えていたのだろうか――。後世に残したいと願った京都の自然や歴史ある街並み。時代が変わっても忘れてはいけないと言った子供の躾や弱者へのいたわり。そして、いつまでも守り続けるべきと訴えた日本人の心と平和な毎日。遺された言葉からは、鋭くも優しい「まなざし」が感じられる。混迷の現代をどう生きていけばいいのかを教えてくれる、珠玉の傑作随筆集。(解説・重里徹也)
  • 爛

    4.0
    その日、人形作家・上原眸(ひとみ)の元に届いたのは、四十年来の友人・大江茜(あかね)の訃報だった。「あたくしの美意識」に基づき、八十歳を目前に自殺を遂げた茜。母である前に一人の女として愛欲に忠実に生き抜いた彼女の人生を、その手記や家族からの手紙、そして自らの過去を重ねて振り返りながら、眸は女の生と性の深淵に思いを馳せる。九十歳を過ぎた著者が円熟の筆で描く、爛然たる長編小説。
  • 手毬
    4.3
    夢にも見るほど憧れて慕う良寛さまに差し上げようと、今日も日がな一日七彩の絹糸で手毬をかがる若き貞心尼。――17歳の秋に医者に嫁いで5年、夫の急死で離縁され24歳で出家した長岡藩士の娘、貞心が、70歳の良寛にめぐり逢ったのは30歳の時だった。行商のいなせな佐吉に恋慕をぶつけたくなる貞心のもうひとつの心の安らぎと、師弟の契りを結んだ最晩年の良寛との魂の交歓を描く。
  • 烈しい生と美しい死を
    5.0
    かつて女は闘った。平塚らいてう、田村俊子、岡本かの子、伊藤野枝、管野須賀子……。「青鞜」と大逆事件の時代、百年前の女性たちは因習に立ち向かい、烈しく恋と革命に生き、命を燃やし尽くして潔く美しい死を選んだ。翻って、現代を生きる女性は本当の自由を勝ち取ったのだろうか――。九十歳を迎えた著者が波乱万丈の己が人生と重ね、渾身の筆で描き出す百年の女性賛歌。
  • わが性と生
    3.8
    もし私が天性好色で淫乱の気があれば、五十一歳で、ああはすっぱり出家は出来なかったでしょう。しかし文学少女の姉の傍らで私も読書家でした。性に目覚める環境が情緒的に豊かな十歳の頃には、世界の淫書に読みふけり神秘的なエロスの領域に踏み込んでいたわけです……。あれから幾星霜「生きた、愛した」自らの性の体験、見聞を飾らず隠さずユーモラスに大胆に刺激的に語り合う。
  • ひとりでも生きられる
    3.7
    愛がなくては生きていけない、そして滅びることのない愛もまた存在しない。純粋さゆえに、より多く愛しより多く傷ついた著者の半生を振り返り、生きること、愛することの意味をすべての女性に向けて優しく説く永遠の名著。妻とは夫とは、人を愛することとはなど、男と女の本質に迫る数々の名言や、ジャンルを問わない交友関係のエピソードも満載。恋や人生に悩む今どきの女子たちとの赤裸々人生相談を新たに収録。
  • 炎凍る 樋口一葉の恋(小学館文庫)
    4.7
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 24歳で近代文学の名作を残して夭逝した天才作家・樋口一葉。恋も実らず、結婚もせず、貧困のうちに病に倒れたといわれてきたその生涯とは? 一葉の人生の軌跡を丹念に追いながら、明治という時代をしたたかに生きたひとりの女性としての一葉を描き出し、その創作の秘密に迫る。
  • 老いを照らす
    -
    逃れられない老いと死。 ●本書の目次より はじめに 第一章 老いと向き合う(人は確実に老いる/誰も死からは逃れられない など) 第二章 祈りの力(なぜ出家したか/殺してはならぬ/幸せとは など) 第三章 老いのかたち(忘れられぬ文学者との出逢い/一番身近な者の死 など) 第四章 世情に抗する(悪い時代を生きる/老人を捨てる社会 など) 解説  井上荒野
  • 現代語訳 とわずがたり(新潮文庫)
    3.3
    幼少の頃から後深草院のもとで養育された二条は、十四歳の春に院の寵愛を得る。二条は院の愛人となってからも、あまたの貴人や高僧たちと交渉を重ねるが、かねてからの出離の思いが高じ、ついには尼となって諸国遍歴の旅に出る。――波瀾にみちた性の体験を大胆に告白し、愛欲の世界を脱して、宗教に浄化されていく過程を描いた女流日記文学の傑作を、艶麗な筆に甦らせた名訳。
  • 釈迦
    4.3
    八十歳を迎えたブッダ(釈迦)は、侍者ひとりを連れて最後の旅に出る。遺された日々、病み衰えたブッダの胸に、人々の面影や様々な思いが去来する。自分を産んですぐ亡くなった母、養母、シャカ族の王だった父。亡霊となって現れる妻。出家してなお煩悩に苦しむ弟子たち、尼僧を受け入れた日のこと。涅槃に至るブッダの言葉の数々が、心地よい音楽のように綴られる。入魂の仏教小説。
  • 私小説
    4.0
    出家した作家・宇都木のまわりには、姉の死や裁判を受けている俳優からの電話、獄中の死刑囚からの手紙などの“事件”が相次ぐ。作家として尼僧として、誠実に対応しつつ、虚が実で実が虚の世界を書き続ける。現実の展開を小説の中に映し、自らの道をわき目もふらず独り歩きつづけた作家の、人生への愛と哲学に満ちた長編。瀬戸内寂聴が得度十年目に書いた、「亡き姉に」捧げる一冊。
  • 寂聴巡礼
    -
    幼い昔、春は巡礼の鈴の音が運んでくるものだと思い込んでいた著者にとって、巡礼への旅立は長い間の憧れだった。出離後はじめた巡礼の旅。那智谷を望む青岸渡寺に始まり、岐阜谷汲の華厳寺で満願を迎える西国三十三ヵ所。命の炎を求めて歩く祈りと出会いの紀行。
  • 寂聴仏教塾
    4.0
    なぜ人を好きになればなるほど苦しくなるの? なぜ、生きていくことは、こんなに辛いことだらけなの? 「前世」や「運命」って存在するの? ――人生のさまざまな悩みや苦しみに寂聴さんがやさしく、分かりやすく答えてくれる「読む法話」決定版! お釈迦さまの教えから、「あの世」の話、霊魂の話、そしてお墓や戒名のことまで、あなたの知らなかった仏教のエッセンスが、ぎっしりと濃縮された一冊。
  • 寂聴源氏塾
    4.7
    『源氏物語』の本当の主人公はプレイボーイの光源氏ではありません。藤壷、葵の上、紫の上、夕顔、朧月夜、六条の御息所、浮舟などなど、恋に生き、愛に苦しむ女君たちの心情と迷いを、作者である紫式部は描きたかったのでした――『瀬戸内源氏』を訳しきった著者ならではの解釈に充ち満ちた「千年の名作」の最高のガイドブック。
  • わたしの蜻蛉日記
    4.0
    通い婚の時代も今も、恋する女の苦悩は変わらない――。私小説の元祖といわれる『蜻蛉日記』。作家・藤原道綱母は、美と才能に恵まれながら、嫉妬深さゆえに夫・兼家や自身を追い詰めてしまう。彼女の半生記を通して、千年前の女たちの愛と性を読み解く。兼家を光源氏、道綱母を六条御息所に重ね合わせるなど、『源氏物語』を完訳した著者ならではの解釈も。古典名作の新たな魅力と出会える一冊。
  • 幻花 上
    -
    応仁の乱の胎動が聞こえる8代将軍義政の治世。政治の混乱をよそ目に、遊興に身を委ねる義政をめぐって、愛妾・今参局と正室・日野富子は妖しく命がけの色と欲の葛藤をくりひろげている。中世の末期的な猥雑をきわめた世相を背景に、御所にうずまく謀殺の企てをとおし、運命の糸に操られて生きる人間の姿を生き生きと描く長篇歴史ロマン。序章。
  • 花に問え
    -
    絶対の孤独と漂泊に生きた“捨聖”(すてひじり)一遍上人と、彼に終生つき従った尼僧の超一――『一遍聖絵』に描かれた彼らの姿と内なる対話を繰り返しながら、無限の自由を求めてさまよう、京都の老舗旅館の女将・美緒の心の旅。谷崎潤一郎賞受賞作。
  • 97歳の悩み相談
    4.0
    悩み「何をやろうとしても、なかなか続けられません」=答え「これが好きだと決めたら、誰が何と言ってもそこを離れないこと。そうすれば、ちょっと時間がかかっても成功します」/悩み「他人と自分を比べて、ひどい劣等感に襲われてしまいます」=答え「自分のいいところを伸ばしてください。容貌が気に入らないなら、整形したっていい。とにかく自分のいいところを見つけて、自信を持つこと」──人間関係、コンプレックス、恋愛、家族、将来のことなど、若い世代のリアルな悩みに97歳の寂聴さんが答えます。人生の大先輩の直言が胸にストンと落ちる、幸福に生きるためのアドバイス。
  • 比叡
    -
    幾多の男たちとの出逢いと別れ。男たちと分かち合った官能の時、共に過ごした情熱の歳月――美しくも激しい心の炎ゆえに何度となく傷つきながら、なお情熱によってしか生きられないひとりの女、俊子。彼女にとって出家とは自分を葬ることではなく、新しく生きることであった。――安らぎの道へと旅立った精神と肉体の軌跡を見つめ、愛と情熱の行方を問う純文学書下ろし長編。
  • 場所
    4.0
    父の故郷「南山」、母の故郷「多々羅川」、夫と娘を捨てて出奔した「名古屋駅」、作家としての出発点であり、男との複雑な関係も始まった「三鷹下連雀」そして「西荻窪」「野方」、ついに長年の出家願望を成就させた「本郷壱岐坂」。父、母を育み、様々な波乱を経て一人の女流作家が生み出されていった土地を、八十歳にして改めて訪ね、過去を再構築した「私小説」。野間文芸賞受賞作。
  • 生ききる。
    3.6
    岩手県・天台寺の名誉住職である瀬戸内寂聴と、宮城県出身で日本を代表する哲学者・梅原猛が緊急対談! 東日本大震災後、日本人がこの難局を乗り越え、希望を見いだすために語り合う。
  • 源氏物語の女君たち
    4.5
    世界最古の大恋愛小説のストーリーを追いながら、個性あふれる王朝の女性たちのキャラクターを分析した、源氏物語の入門書。 1997年4月から6月の3カ月間、NHK教育テレビ「人間大学」で「源氏物語の女性たち」という番組を書籍化した作品です。この番組は寂聴さんが毎回、源氏物語ゆかりの地に出かけていき、語るという内容。作者の紫式部をはじめ、光源氏が最も愛した紫の上、男を虜にした魔性の女・夕顔、誇り高くインテリ女性・六条御息所、情熱的で官能的な朧月夜など、光源氏を取り巻く女たちをわかりやすく解説しています。 「紫式部は仏教に帰依してもなお物語を書きつづけたことで、救われていたのではないでしょうか。『源氏物語』の底には、女人成仏の悲願がかく流れているように私には思われてなりません」 といった具合に、寂聴さん独自の見解が満載です。
  • 決定版 女人源氏物語 一
    -
    1~5巻660~737円 (税込)
    千年の時を越えて読みつがれる華麗なる王朝絵巻「源氏物語」を、女性たちの声で描き直す「瀬戸内源氏」。本巻では比類なき美貌と知性を持つ宮廷一の貴公子・光源氏の誕生から、成長して出世していくさまを描く。亡き母の面影を慕い、年上の女性たちに魅かれる源氏は、ついに父帝の女御と一線を超えてしまい――。1988年から89年にかけて刊行された現代語訳のさきがけにして「源氏ブーム」の火付け役・瀬戸内寂聴があなたを鮮烈な世界に誘う。全5巻連続刊行!※2023年10月に発売した集英社文庫を底本にしています。重複購入にご注意ください
  • 寂聴・猛の強く生きる心
    -
    家族の崩壊が進み、生命の循環に危険が訪れた今、人間の営みを支えてくれるものは何か? 人は如何にして生きてゆくべきか? 私心なく全力で取り組めば、必ずものごとは成就するのか?――精神の義姉弟(ぎきょうだい)、瀬戸内寂聴と梅原猛が、自分たちの苦悩の青春時代を踏まえて語り合い、人々を励ます、熱い心の対談集。
  • 寂聴の仏教入門
    3.7
    日常の仏事から日本人の宗教観まで。心の恐れをとり除き、苦しみから救う「仏教」を、易しく、面白く語り伝える! ーー智の力ではとらえがたい「何か」が存在し、人間はそれによって生かされている。心がまき起こす不安・恐れ・怯えはいつもあるが、施無畏(せむい)の教えはそれをとり除き、苦しみから人々を救い出す。心の問題を抱える現代人に、瀬戸内寂聴と仏教研究者・久保田展弘が、対談の形でやさしく仏教を伝える、好個の入門書。
  • 火の蛇
    -
    「あれは、あなただったのね」……大乃木容造に襲われたとき、美樹は、はじめて気づいた。10歳の夏の嵐の午後、襖の外から垣間見た光景と、同じ姿勢だったからだ。美樹の祖母・小しのを開花し、母の真穂を開眼させた容造は、せめて、生きている限り、ただの一度でいいから、美樹をこの腕に抱きしめてみたいという、火のような欲望に駆られていた。美樹の激しい抵抗に、一度は燃えた容造も、その一言で全身から活力が萎えていった。だが……。宿命のかなしさ、女の業を描いた《火の蛇》をはじめ《秋扇》《うつり紅》など、全7篇を収めた短篇集。
  • 転落の歌
    -
    あまりにも醜い母のおこないを、真砂子は見た。少女の胸に汚点となった或る夜のこと。母は次々と男をかえ、生活はすさんだ。そして真砂子までも、母の男の餌食にされていく。家出、住み込み女中、そして場末のバー……。真砂子の汚濁にまみれた生活。それは、母から享けた淫らな血のせいだったかも知れない。やがて、銀座にでた真砂子は、ガイドをよそおうコールガール組織に巻きこまれる。麻薬の足かせでしばられ、肉を削りながら、ネオンの海にただよう少女・真砂子。混濁する意識のなかで、彼女は罪深い母をのろい、血をうらんだ……という表題作など、全10編。
  • 朝な朝な
    -
    女流評論家の高輪薫が海外旅行中、ローマに留学している一青年から故国の一女性への贈物を預ってきたことから、幸福をもとめるその女性の運命がひらけて行く――華道創美流の機関誌「創美」の編集部につとめる仙波雅子は、母のつよい希望で掛川昇と見合するが、初恋の人・松尾三郎の愛情を確めたことから、周囲の人びと、とくに副編集長・石井志奈子などの鞭撻で、幸福をつかみとる……。華麗なフランス情艶絵画をくりひろげるような愛欲を描いてベテランの作者が、仙波雅子の愛と行動のうちに現代娘の一典型を、ヨーロッパ帰りの女流評論家・高輪薫の眼をとおして描く大作。

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