【感想・ネタバレ】ヴィンランド・サガ(12)のレビュー

あらすじ

奴隷となったトルフィンが暮らす農場に、逃亡奴隷ガルザルが侵入した。凶暴で腕の立つガルザルは農場の用心棒たちを退け、女奴隷アルネイズを強奪しようと暴れ回る。かつてガルザルとアルネイズは夫婦で、戦に巻き込まれて奴隷に転落、ガルザルは妻を取り戻そうとしていたのだった。実情を知ったトルフィンと奴隷仲間エイナルは、二人が幸福を取り戻す方法はないか思いをめぐらせ、二人の逃亡を手助けしようと行動を開始する。

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北欧を舞台にしたヴァイキングの物語。主人公・トルフィンの少年時代は、殺された父親の仇を取ることだけが生きがいでした。少年ながらに、侵略・略奪・戦争を繰り返し、その過程で人を傷つけることを平気に感じてしまう。そんな彼が、戦って、成長して、失望して、希望を見つける過程が、ゆっくりと描かれていくマンガです。
「世の中から……戦争と奴隷を失くすことは、できないもんかな…」
いつしかトルフィンは、そんな夢を口にします。
ヴァイキングとしての過去の過ちを悔いながら、殺してしまった多くの人の魂を背負って夢に進むトルフィン。彼を通じて「本当の強さとは何だろう」という問いに対する答えが、あるいは願いが、丁寧に丁寧に描かれている傑作です。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

キャルラクの農場から逃げてきた奴隷がケティルの農場で暴れる。
その男はかつてスウェーデンでアルネイズと暮らしていた夫ガルザルだった。
奴隷は戦争によって略奪された人々であり、トルフィンはこれを解放するため、戦争も奴隷もない新天地ヴィンランドを目指す夢を抱く。

1
2015年03月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

11巻の終わりから、てっきりケティルの農場に
クヌート殿下とフローキが攻め込んで
レイフ含めてトルフィンとの再開という展開だと思ってたので
逃亡奴隷に関する巻になるというのが
やや肩すかしを食らった感あり。

まあでも、最後まで読んでみると、
ここで逃亡奴隷のあり方と最期を目の当たりにすることで
隷と戦争をなくすにはどうすればいいのかという
トルフィンの問題意識が深められることになるので
このタイミングで描かれることの意義はあったのかなと思った。

力(暴力)と財力が強いものが弱いものを従わせ、すべてを奪う
という世の中のあり方はこの時代ほどひどくはないものの
現代もそういう傾向があるだけに難しいですね。。

1
2012年11月25日

ネタバレ 購入済み

絶望を紡いでいく

救いのない悲惨な話が続く。人間をここまでどうしようもない存在として描かれると、暗澹とした気分になる。それでも読み続ける魅力がある。

0
2022年08月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

葛藤を背負って戦うヴァイキングの男 12巻。

主に逃亡奴隷の話。
久しぶりにトルフィンも戦う。

殺したくはないが、殺す気でやってくる敵には対処しなければならない、というのは厄介だと思う。
現在では暴力行為は避難を浴びるけど、襲われた瞬間に助けてくれるものではないし、結局は誰かに暴力の代行を頼むのであれば、それはやはりもう非暴力ではない。

簡単に命の取り合いには発展しないこの時代、地域を愛しているけれど、人の攻撃性はそんなに簡単に収まるものではないとも思っている。

納得の行く落ち着きどころが見つかれば良いと思うが、さて。

0
2013年01月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

もはやアニメ化は不可能ですね。
その位、密度が濃すぎます。幸村センセ。

ヴィンランド・サガ、最新刊。
11世紀初頭の北ヨーロッパの話。
当時世界を席巻していたヴァイキングたちの生き様を描いた歴史漫画。

奴隷編のクライマックス。
今までヴァイキングとして「奪う」行為を行っておいた主人公が、
奴隷に落ち「奪われる」側になる。

どう転んでも素晴らしい愛憎劇。
キリスト教が少し絡んできているので、シェークスピアっぽいと言えばそうなんですが、このレベルで愛憎劇を書ける作家は中々いませんよ。

0
2012年11月23日

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