あらすじ
奴隷となったトルフィンが暮らす農場に、逃亡奴隷ガルザルが侵入した。凶暴で腕の立つガルザルは農場の用心棒たちを退け、女奴隷アルネイズを強奪しようと暴れ回る。かつてガルザルとアルネイズは夫婦で、戦に巻き込まれて奴隷に転落、ガルザルは妻を取り戻そうとしていたのだった。実情を知ったトルフィンと奴隷仲間エイナルは、二人が幸福を取り戻す方法はないか思いをめぐらせ、二人の逃亡を手助けしようと行動を開始する。
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北欧を舞台にしたヴァイキングの物語。主人公・トルフィンの少年時代は、殺された父親の仇を取ることだけが生きがいでした。少年ながらに、侵略・略奪・戦争を繰り返し、その過程で人を傷つけることを平気に感じてしまう。そんな彼が、戦って、成長して、失望して、希望を見つける過程が、ゆっくりと描かれていくマンガです。
「世の中から……戦争と奴隷を失くすことは、できないもんかな…」
いつしかトルフィンは、そんな夢を口にします。
ヴァイキングとしての過去の過ちを悔いながら、殺してしまった多くの人の魂を背負って夢に進むトルフィン。彼を通じて「本当の強さとは何だろう」という問いに対する答えが、あるいは願いが、丁寧に丁寧に描かれている傑作です。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
キャルラクの農場から逃げてきた奴隷がケティルの農場で暴れる。
その男はかつてスウェーデンでアルネイズと暮らしていた夫ガルザルだった。
奴隷は戦争によって略奪された人々であり、トルフィンはこれを解放するため、戦争も奴隷もない新天地ヴィンランドを目指す夢を抱く。
Posted by ブクログ
11巻の終わりから、てっきりケティルの農場に
クヌート殿下とフローキが攻め込んで
レイフ含めてトルフィンとの再開という展開だと思ってたので
逃亡奴隷に関する巻になるというのが
やや肩すかしを食らった感あり。
まあでも、最後まで読んでみると、
ここで逃亡奴隷のあり方と最期を目の当たりにすることで
奴隷と戦争をなくすにはどうすればいいのかという
トルフィンの問題意識が深められることになるので
このタイミングで描かれることの意義はあったのかなと思った。
力(暴力)と財力が強いものが弱いものを従わせ、すべてを奪う
という世の中のあり方はこの時代ほどひどくはないものの
現代もそういう傾向があるだけに難しいですね。。
絶望を紡いでいく
救いのない悲惨な話が続く。人間をここまでどうしようもない存在として描かれると、暗澹とした気分になる。それでも読み続ける魅力がある。
Posted by ブクログ
葛藤を背負って戦うヴァイキングの男 12巻。
主に逃亡奴隷の話。
久しぶりにトルフィンも戦う。
殺したくはないが、殺す気でやってくる敵には対処しなければならない、というのは厄介だと思う。
現在では暴力行為は避難を浴びるけど、襲われた瞬間に助けてくれるものではないし、結局は誰かに暴力の代行を頼むのであれば、それはやはりもう非暴力ではない。
簡単に命の取り合いには発展しないこの時代、地域を愛しているけれど、人の攻撃性はそんなに簡単に収まるものではないとも思っている。
納得の行く落ち着きどころが見つかれば良いと思うが、さて。