クローズドサークルのミステリ。
昔はスキーリゾートで栄えた山の中腹に立つ、円錐形のガラスの塔。
建築基準法も消防法も関係ない。作った神津島太郎がこのあたりの市民税のほとんどを支払っているので、誰も文句言わない。
神津島太郎は遺伝子治療の画期的な製品、トライデントを開発しその莫大な財産をこの塔に捧げた。実は彼はミステリーオタクで、自ら書いたりもしていたが、さすがに彼に文才などはなかったし、トリックも二番煎じなものばかりで、出版されることはなかった。
神津島は、冬のある日この塔に何人かの客人を呼びミステリに関するある発表をするという。
刑事の加々見剛(かがみごう)
名探偵と名乗る、碧月夜(あおいつきよ)
TVなどに出演する霊能者、夢詠水晶(ゆめよみすいしょう)
ミステリ小説家、九流間行進(くるまこうしん)
ミステリ雑誌編集者、左京公介(さきょうこうすけ)
そして、神津島の主治医、一条遊馬
執事の老田真三(おいたしんぞう)
メイドの巴円香(ともいまどか)
料理人の酒見大樹(さかみだいき)
がこのガラスの館に泊まることとなる。
このガラスの館は円錐状になっており、最上階は神津島のコレクションであるミステリマニア垂涎の品が展示されている。このコレクション部屋にはいると、中からは扉が開かない仕様になっているため要注意。
その下に、神津島の部屋、そこかららせん状の階段を下りながらワンフロアーづつ部屋があてがわれ、
1階にシアター、ダイニング、サブキッチン、玄関
地下に、メインキッチン、発電室、倉庫、冷凍室などがある。
冒頭でこの物語の主人公ともいうべき、一条遊馬がこの最上階の展示室に閉じ込められており、自分が神津島を殺して、それを名探偵に暴かれ?て、ここに閉じ込められたという風にはじまる。
なので「あぁそうか、この人が犯人。でも犯人とばれないようにどうくりぬけるかっていうお話なのね」と思って読み始める。
みんながこの塔にきたところから本編がはじまり、一条遊馬が展示場のコレクションのなかからふぐ毒を拝借し、神津島に飲ませる。事件が発覚する。彼はすぐに絶命せず、ダイイングメッセージのようなものを残していた「Y」というそれは何を表すのか?と、皆が頭を悩ませる。
おりしも近くで雪崩があり、警察は3日後にしかこれないという。刑事の加々見は「警察がくるまで触るな。部屋にはいるな」というが、この中に犯人がいるかもしれないのにそのままにしておけない。
自称名探偵の碧月夜に、一条は「ワトソン役」をかってでる。彼女が自分を犯人と突き止める前に彼女の推理をしっておかねば。
そんな話をしている中、火災警報器が鳴る。一回のダイニングらしい。
カンヌキの扉がしまっているので無理やり開けると、執事の老田が亡くなって、火を放たれたらしい。ただし、スプリンクラーで火はすぐに消えた。
その辺りは血と水でびしゃびしゃ。
だが、テーブルクロスに「蝶ヶ岳神隠し事件」という文字が。
13年前にこの地でおきた女性が何人も誘拐監禁されてひどい殺され方をした事件。
その事件がきっかけで、ここのスキーリゾート地は客がこなくなり、リゾート地として廃業してしまった。その殺人現場後に、このガラスの館をつくったらしい。
一条は一人目に神津島を殺したのは自分だが、この老田は自分ではない。うまくこの犯人をみつけたら神津島の件も老田殺しの犯人に罪を擦り付けられるかもしれないと考える。
3日目、部屋にこもっていたメイドの巴も殺される。
調べていくとこの館の地下に地下牢があって、白骨化された遺体がみつかる。最近このあたりで遭難したとされる女性が着ていた服と一致すると、加々見がいう。
もしや、神津島の遺伝子研究は、ここで人体実験によりもたらされたものだったのか?犯人はそれを伝えるため「蝶ヶ岳神隠し事件」と書いたのか?
だとしたら、
主犯格の神津島に加えて、ここに住んでいた執事とメイドもこの事件を知っていたのかもしれない。それを恨んでの犯行?
この中にその犯人がいる?
(神津島の遺体はその後、ナイフで何度も刺されていた)
みたいな話です。
途中でもしやこの人が・・・・?って見えたところもありましたが、
最後の最後は「おぉ~」ってなったので
帯の「どんでんがえし」「驚いた」という煽りがあっても、
めっちゃ楽しめました。
むしろ、だまされないぞ~って気持ちで読んだのに、やられた~~って感じがとてもよかったです。