野坂昭如のレビュー一覧
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私は6つの短編集のうち、火垂るの墓、アメリカひじき、死児を育てるの3つを読んだ。
まず、火垂るの墓では、清太が死んでいく場面から始まり、戦時中への回想となるが、ひとりで最後は力もつき果てて死んでいく様子が本当に切ない…戦時中で、居候の2人にまで手が回らないのも分かるが、叔母さんの仕打ちもひどいし、ど...続きを読むPosted by ブクログ -
戯作調の文体だからこその、胸に訴えてくる感じがあった。涙や情けで飾らない淡白な心理描写がリアルで、どの話も心に残りました。
餓鬼に取りつかれてしまった高志くんが、なんだか読んでてすごくつらかった…。
あとがきで、清太くんのようにやさしくしたかったという思いを、野坂さんが持っていたと知り、涙が滲みまし...続きを読むPosted by ブクログ -
アニメ化もされた表題作「火垂るの墓」とそれと裏表の関係にある「死児を育てる」、一種の連作である「ラ・クンパルシータ」と「プアボーイ」に野坂昭如という作家の形が色濃く表れているように感じた。生きると言うことが漂わせる臭気がここにはある。Posted by ブクログ
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短編集になっています。
淡々と戦時下からその後の期間を舞台に話が書かれています。
可哀想だとか悲しいだとかよりも、
個人的にはエグいと思いました。
生々しくも感じられるほどに淡々とした語り口は、
物語を鮮明に脳に流し込んできます。
火垂るの墓はジブリ作品としても有名ですが、
その他の話もそれに劣らぬ...続きを読むPosted by ブクログ -
戦後焼け跡闇市派と言うのは、サバイバーズギルトが根底にあるのだろうし、これはもう太古から日本人的なものの一つなんだろうか。実際 常に自分はいただいてるもの以上を与えてるだろうかという不安感と戦ってきた気持がするが、価値になるものを他人に与えることは難しいし、それは量ではないし質でもない。人に与えられ...続きを読むPosted by ブクログ
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まだ読み終わってませんが、野坂さんの独特の文体が気に入っています。ジブリの「火垂るの墓」の原作が含まれています。「火垂るの墓」は別物のような雰囲気ですが、読みながら、シーンが思い出され補完され、短い話ですが印象に強く残ります。Posted by ブクログ
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野坂さんと言えば「火垂るの墓」ですねー。アニメとは別のお話として読みましょう。個人的には「アメリカひじき」の主人公の無意識の「媚び」がグッときます。Posted by ブクログ
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初めてこういった分野に足を
踏み入れてみました。
内容は総じてソフトな印象で
幸いでしたね。ノーマルな志
向の?女性向けの一冊だと思
います。 -
あの戦争をどう伝えていくのか、時の経過とともに、ますます伝えることの難しさを思いながらも、幼い妹を死なせてしまった原体験を一生抱えて生きてきた著者が、戦時下の日々を記した作家や市井の人々の日記に拠りつつ自身の体験を振り返った表題作に、戦争体験に触れた関連エッセイを収録した一冊。
著者野坂昭如は...続きを読むPosted by ブクログ -
平成2年ごろ、映画との比較で読んだ。
短編集で、表題の『火垂るの墓』はわずか30ページほど。なかなか文体にも癖があり、この作品があの映画になるのかと、現ジブリの作品の完成度に驚いた。
他の作品も、敗戦にまつわるものなのだけど、これは『火垂るの墓』の世界観とは少し異なるので、ある程度、気持ちをフラット...続きを読むPosted by ブクログ