野坂昭如のレビュー一覧

  • エロ事師たち

    谷崎潤一郎賞候補に挙がり、純文学とは何か?を考えた一冊。
    性にひたむきなダメ男達が、無い頭を試行錯誤しながら(たまにちょっと頭が良い)馬鹿な事に突き進む会話劇。
    悔しいが終始愉快で話の展開も退屈せず楽しめた。陰毛が落ちてるに違いないと、女子学校に拾いに行く所など頭を抱えたが、他作では絶対に読めない...続きを読む
  • アメリカひじき・火垂るの墓
    1.著者;野坂氏(2015年没)は、作家・作詞家・歌手・政治家。実母の死別後に養子に出され、2人の妹も養子となる。野坂氏は神戸で罹災し、養父母を失い、浮浪児生活を送った。上の妹を病気で、下の妹を栄養失調で亡くす。「エロ事師たち」で作家デビュー。「火垂るの墓」等で直木賞、「同心円」で吉川英治文学賞など...続きを読む
  • アメリカひじき・火垂るの墓
    どれも、悲しかったり、怖かったりするのに、閃光が残るような、話でした。おもろいのに、強いこころが在るなど、なんだか一生忘れないような タマシイですかね。妙に現実的に、残りますね。特に、アメリカひじき が妙に好き。
  • エロ事師たち
    面白かった。
    澁澤龍彦やサドっぽくて好き。
    男性の情けなさ、それも究極の情けなさはやはりあれだったのか。
    登場人物が変な男ばかり!
    そこが良かった。
    ノーマルな男の話ではないので、まあ変態ばかりなのですがエロ事師たちが陰で棲息していてその後どうなるのか気になりページを捲る手が止まらず。
    うまく紡ぎ合...続きを読む
  • アメリカひじき・火垂るの墓
    でもこのように戦闘員以外の子供が悲惨な目に遭っていることを描いた本は、あまり読んだことがなかった。野坂昭如の本で初めてその悲惨さを知った。
  • エロ事師たち
    あなたが作家を目指しているとしましょう。
    読んだ人が感動するような作品が書きたい―。
    立派な動機です。
    テーマも明確。
    筋立ても固まりました。
    もちろん、力量は十分にあります。
    さあ、では、執筆に取り掛かろう。
    ちょっと待ってください。
    その前に、本書「エロ事師たち」を読みましょう。
    打ちのめされま...続きを読む
  • アメリカひじき・火垂るの墓
    たぶん誰もが知っている「火垂るの墓」が掲載されている
    野坂昭如の書いた短編集がギュッと凝縮された本。
    最初は改行とか句読点がすごく読み辛くて、これ全部読み切れるかな…と思ってたけど
    なんだかんだで読めた、というより気付いたら慣れてた。
    火垂るの墓も然ることながら「アメリカひじき」はコミカルかと思いき...続きを読む
  • アメリカひじき・火垂るの墓
    戦争の生々しさが濃い作品です。
    火垂るの墓は著者の自伝らしく、守れなかった妹へのレクイエムだそうです。
    何度もアニメで観ましたが、この本は壮絶な戦争体験記の恐らくそんな内容です。
    蛆虫すら惜しいとか、盗みかっぱらいが蔓延し、当時の少年院の様子といい汚いだの何だの言う余裕がなくとにかく凄絶。
    「ぜいた...続きを読む
  • エロ事師たち
    自分が中学生くらいの頃には既に文庫化され、興味はもちろんあった訳だが、これまで未読。なんとなくこのようなテーマは自分には難しく、敷居が高いもののように思われたからだ。
    読んでみて、やはりこの歳になってから読んでよかったと思った。若いころに読んでいたら、おそらく本書の価値の半分も理解できなかっただろう...続きを読む
  • アメリカひじき・火垂るの墓
    第58回(昭和42年)直木賞受賞作。

    有名な火垂るの墓を含む短編集。

    独特の言い回しに直木賞というより、より純文学的な芥川賞に近しい気すらしてくる。

    火垂るの墓はアニメで有名だが、それを見たことが無い自分はその先入観がなく、野坂昭如の実体験に基づくその思いを十二分に感じられたと思う。
    誤解を恐...続きを読む
  • エロ事師たち
    日活映画で小沢昭一と坂本スミ子で映画化された紹介をテレビでみて内容に興味を持ったのが中3くらいの時。
    なんとなしに当時の風俗事件エロ映画っぽかったので行ってみようかと思いそのままスルー。高校2年時に野坂昭如原作って本屋に展示されてた文庫本を購入。当時、体制批判家ってイメージでイレブンピーエムによく出...続きを読む
  • アメリカひじき・火垂るの墓
    本書の表紙。「火垂るの墓」を読み終えて見返すと、どうしても感じ入ってしまいます。

    しかし「感動」「感激」「感涙」などの推薦文句が苦手なひとには、ぜひ「火垂るの墓」以外の全編を読んでほしいです。作者の独特な筆致と感性には感じ入るかもしれません。
  • エロ事師たち
    書けば天才、飲めばその量きりがなく、歌えば幾人もの女とろかす・・・天才野坂昭如の異色デビュー作。
    この小説にはある種の「悲しさ」が通底している。まず主人公のネーミングだろう。主人公のあだ名は「スブやん」。これは酢豚から来ているのだが、ただ豚のように太っているだけなら「ブタやん」でいいだろう。そこをも...続きを読む
  • エロ事師たち
    エロを生業とする最低な人間たちの悲喜こもごもを明るく活写。落語のように軽快な語り口は誠に中毒性高し。唾棄すべきはずの彼らを、愛おしくすら感じてしまいました。
  • エロ事師たち
    明るく悲しく滑稽な男たち。

    戦争童話を書いた同一著者とは思えなかったが 陰気なところが無いので面白く読めました。 
  • アメリカひじき・火垂るの墓
    野坂昭如の代表作でもある「火垂るの墓」「アメリカひじき」

    「火垂るの墓」はもはや宮崎駿の映画の方が親しまれていると思うけども、映画とはこと向きの異なった話となっている。映画「火垂るの墓」はあくまでも映画の「火垂るの墓」としてみた方がよいだろうと思う。

    「火垂るの墓」は戦争や社会に対する反省や悔恨...続きを読む
  • アメリカひじき・火垂るの墓
    NHK TV Jブンガクの2009年6月に紹介がありました。

    火垂るの墓ではなく、アメリカひじきの紹介でした。

    「一時しのぎ」
    は、
    Anything is better than nothing.
    とのこと。

    ちなみに、「アメリカひじき」とは、アメリカの紅茶とのこと。
  • アメリカひじき・火垂るの墓
    映画を見て泣いている場合ではない。
    原作は淡々と、現実味を帯びている。泣くよりも先に、戦争という無残な歴史の空しさを、二人の兄妹を通して思い知る。
  • アメリカひじき・火垂るの墓
    今まで、ジブリ版の絵本等で読んだりはしていたけれど、野坂昭如さんの小説で読むには初です。

    「火垂るの墓」
    昭和22年敗戦後、混乱の中。駅構内のトイレの近く、戦争孤児となり、浮浪児となってしまった少年が、亡くなる。
    戦争で、家を親を失い、最後に親身に世話をしていた妹を亡くす。彼も駅構内で力尽きる。
    ...続きを読む
  • 人称代名詞
    「俺」はよかったよ。クラインとの対談が肝になってゐる。冒頭は何だかよくわからないが?飲みこめるとおもしろくなる。ただいつもの野坂特有の文体がやったらめったらひねくれてこむづかしい。