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Posted by ブクログ
あなたが作家を目指しているとしましょう。
読んだ人が感動するような作品が書きたい―。
立派な動機です。
テーマも明確。
筋立ても固まりました。
もちろん、力量は十分にあります。
さあ、では、執筆に取り掛かろう。
ちょっと待ってください。
その前に、本書「エロ事師たち」を読みましょう。
打ちのめされます。
登場人物は、ブルーフィルム(ポルノ映画)の制作に勤しむ裏社会の男たち。
一筋縄ではいかない、一癖も二癖も三癖もある男ばかりです。
より過激で刺激的な作品を作ろうと、男たちは官憲の目をかいくぐりながら暗躍します。
たしかにエロい。
グロテスクでもあります。
でも、文学的な香気が確かに漂っている。
野坂33歳のデビュー作。
脱帽するほかありません。
昭和48年生まれの自分が物心ついた時には、野坂は既に「テレビの人」でした。
それが原因で、ずっと彼の小説をスルーしてきました。
もっと早く読んでいれば良かったですね。
本書が文学だとすれば、自分の文学観はいかにも浅いと認めざるを得ません。
文学は、自分が考えているよりももっと深いところで蠢いている何かです。
もちろん、どんな文学があってもいい。
ただ、本書を読めば、文学の深さと広さが、ともに6センチは大きくなるはずです。
共に頑張りましょう。
Posted by ブクログ
自分が中学生くらいの頃には既に文庫化され、興味はもちろんあった訳だが、これまで未読。なんとなくこのようなテーマは自分には難しく、敷居が高いもののように思われたからだ。
読んでみて、やはりこの歳になってから読んでよかったと思った。若いころに読んでいたら、おそらく本書の価値の半分も理解できなかっただろううと思うのだ。投獄を覚悟してまでもエロ事を追求する主人公の矜持というものに嫉妬さえ感じるくらいだ。
野坂氏といえば、田中角栄に対抗して新潟三区から立候補して、雪の中でビールケースの上に立って街頭演説している映像を思い出す。もうこういう人は出ないのだろうか。
Posted by ブクログ
日活映画で小沢昭一と坂本スミ子で映画化された紹介をテレビでみて内容に興味を持ったのが中3くらいの時。
なんとなしに当時の風俗事件エロ映画っぽかったので行ってみようかと思いそのままスルー。高校2年時に野坂昭如原作って本屋に展示されてた文庫本を購入。当時、体制批判家ってイメージでイレブンピーエムによく出演されてて、タレントとしての好感も持ってた。ちなみに似たようなキャラで小中陽太郎がいたがこっちはヘドが出るほどキライだった。題名からくる三流エロ小説とは違って好きだった梶山季之っぽい内容ではないかと購入した。読後に唸った。スブやんに共感を持つというよりオレもこんなになりたいって今後の将来展望の選択肢に入れちゃった(上位に)。ヒモみたいな生活しながら片手間に理想のドール開発なんて最高。文体がまた独特で「雨の中・・・は・・・だった」ってハードボイルド風の文体が後に私の作文に大いに影響を与えた。ピカレスクロマンって小悪党がゾロゾロでてきて悪さをするから好き。少なくとも、荒野をめざす青年やモスクワにさよならしたり重いタビを背負ったり同棲して悩んだりするようなグズラよりよっぽどカッコイイ。最後にボッキするシーンは涙も出た(ウソ)。偽善家でない人柄がっていう評価をイチバン嫌う人だろう。偽善家でもありアウトローであり反体制であり云々でほめられるのなんてクソクラエって言うはず。同時期にホタルの墓も見たが生涯絶対に再読しない本のヒトツになり以後この人の作品読むのを止めた。でも後にどこか雑誌の対談で、在りもしない妹を作ってフィクションして直木賞をもらったって述べてたのを見て一層好きになる。「しとど雨にぬれて・・・」のイントロや「リャンピ~ン・・・リャンゾー・・・」って仲間を呼ぶくだり等の印象深い表現が今でも字自体が脳にうかぶ。後年にビデオ屋で映画を観た後それから野坂昭如と小沢昭一がかぶるようになってしまった。またまた後年小沢昭一氏が弊店にお買い物立ち寄られた際、このひと絶対モテル(女くどいたらベッドイン確立100%)人だと感じた。色っぽいのだ。余談の余談だが坂本さんみたいな女性(トランジスタグラマー)食い物と男と欲望にだらしない女性は今でも私の一番の好み。おそらく野坂も坂本タイプが好みのはず。野坂の名文句「プレイボーイやパンチのグラビアにでる別嬪タレントヌードより大衆食堂で注文聞きに来るオバサンの裸連想したほうが絶対に興奮する」って名文100選のトップに位置する。先日、この人の訃報はショックではあった。私の中の青春がまた一個消えた。
Posted by ブクログ
書けば天才、飲めばその量きりがなく、歌えば幾人もの女とろかす・・・天才野坂昭如の異色デビュー作。
この小説にはある種の「悲しさ」が通底している。まず主人公のネーミングだろう。主人公のあだ名は「スブやん」。これは酢豚から来ているのだが、ただ豚のように太っているだけなら「ブタやん」でいいだろう。そこをもの悲しさからくる酢豚にひっかけて「スブやん」・・・野坂さんはあだ名をつける天才だ。『とむらい師たち』の主人公はデスマスク業者にひっかけて「ガンめん」だし『騒動師たち』はチェ・ゲバラにひっかけて「ケバラ(毛腹)」だし、『スクラップ集団』はバキュームカーにひっかけて「ホース」。
次に特筆すべきは会話文と地の文のテンポの良さだろう。スブやんご一行が温泉宿に泊まり、暇つぶしにわが逸物の比べあいをするシーンのわけわからない難解漢字を入り混ぜた近世文学風の描写、オカマバーでのオカマと処女の「子宮に腕突っ込んで奥歯ガタガタ言わせたるぞ!」「ええやん、やってみて!」みたいなテンポの良い会話、どれも型破りである。
そして大阪弁のテンポの良さ。大阪弁と言っても一昔前の大阪弁だろう。これがかわいらしくて良い。
最後に主人公スブやんの死にざま。スブやんは途中でインポになるのだが、最後に車にはねられて死ぬ時に背骨を強打してなんの具合か勃起したまま死んでしまう。「観念としてのエロティシズム」とかはよくわからないが、印象的なシーンだろう。笑ってしまいました。ジョンジョンジョン―――。
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小説・文芸
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