野坂昭如のレビュー一覧

  • エロ事師たち

    Posted by ブクログ

    書けば天才、飲めばその量きりがなく、歌えば幾人もの女とろかす・・・天才野坂昭如の異色デビュー作。
    この小説にはある種の「悲しさ」が通底している。まず主人公のネーミングだろう。主人公のあだ名は「スブやん」。これは酢豚から来ているのだが、ただ豚のように太っているだけなら「ブタやん」でいいだろう。そこをもの悲しさからくる酢豚にひっかけて「スブやん」・・・野坂さんはあだ名をつける天才だ。『とむらい師たち』の主人公はデスマスク業者にひっかけて「ガンめん」だし『騒動師たち』はチェ・ゲバラにひっかけて「ケバラ(毛腹)」だし、『スクラップ集団』はバキュームカーにひっかけて「ホース」。
    次に特筆すべきは会話文と

    0
    2014年07月11日
  • エロ事師たち

    Posted by ブクログ

    エロを生業とする最低な人間たちの悲喜こもごもを明るく活写。落語のように軽快な語り口は誠に中毒性高し。唾棄すべきはずの彼らを、愛おしくすら感じてしまいました。

    0
    2013年06月04日
  • エロ事師たち

    Posted by ブクログ

    明るく悲しく滑稽な男たち。

    戦争童話を書いた同一著者とは思えなかったが 陰気なところが無いので面白く読めました。 

    0
    2012年12月16日
  • アメリカひじき・火垂るの墓

    Posted by ブクログ

    映画を見て泣いている場合ではない。
    原作は淡々と、現実味を帯びている。泣くよりも先に、戦争という無残な歴史の空しさを、二人の兄妹を通して思い知る。

    1
    2009年10月04日
  • エロ事師たち

    Posted by ブクログ

    はじめは読みにくいが文章に慣れてくれば面白い スブやんは人を騙すようなこともしているがそこまでの悪人には思えず愛嬌が感じられるのがうまいし最後のオチもいい そして下ネタだらけなのにどこか品がある とはいえ何でもかんでも不謹慎だなんだというタイプの人にとっては噴飯物な内容かもしれない

    0
    2025年10月24日
  • アメリカひじき・火垂るの墓

    Posted by ブクログ

    戦後80年ということで読んでみた。火垂るの墓はもちろんジブリで見た事はあったが他の作品も全て合わせて、一度は皆読むべき作品だなと思った。忘れてはいけないと思う歴史。

    0
    2025年07月27日
  • 戦争童話集 完全版

    Posted by ブクログ

    いづれの童話も、昭和20年 8月15日 で始まる、戦争童話集です。子どもも大人も読めて、戦争とは?と考えさせるものとなっています。ですが、童話形式なので楽しく読めると思われますよ。

    0
    2025年07月05日
  • 東京小説

    Posted by ブクログ

    今から3-40年も前の短編なんだけど、びっくりするほど今の東京。滑らかに流れるような文体、あめりかひじきなどでも思ったけど力強くて読みやすくて良い。

    0
    2024年09月03日
  • アメリカひじき・火垂るの墓

    Posted by ブクログ

    今まで、ジブリ版の絵本等で読んだりはしていたけれど、野坂昭如さんの小説で読むには初です。

    「火垂るの墓」
    昭和22年敗戦後、混乱の中。駅構内のトイレの近く、戦争孤児となり、浮浪児となってしまった少年が、亡くなる。
    戦争で、家を親を失い、最後に親身に世話をしていた妹を亡くす。彼も駅構内で力尽きる。
    駅員が、投げたドロップ缶から転げ落ちる妹の骨。
    野坂さんの饒舌体と言われるらしい、言葉が次々とたたみかけてくるような文章が、映像とは又違った、苦しみと悲しみの連続に圧倒されました。

    「アメリカひじき」
    敗戦時、少年であった男が、22年後、日本観光に来るハワイのアメリカ人夫婦を自宅で接待する。
    敗戦

    0
    2023年12月09日
  • 人称代名詞

    Posted by ブクログ

    「俺」はよかったよ。クラインとの対談が肝になってゐる。冒頭は何だかよくわからないが?飲みこめるとおもしろくなる。ただいつもの野坂特有の文体がやったらめったらひねくれてこむづかしい。

    0
    2023年08月23日
  • アメリカひじき・火垂るの墓

    Posted by ブクログ

    火垂るの墓はもちろん、最後の関連した二つの感化院の少年の話も面白かった。野坂さんは戦争の悲劇の真摯な語り手であり、同時にエログロの狂気の提供者でもある。

    0
    2021年12月29日
  • アメリカひじき・火垂るの墓

    Posted by ブクログ

    1968年出版,第58回直木賞受賞作。「焼け跡闇市派」の金字塔ともいえる作品である。

    「火垂るの墓」:戦時を駆け抜けた者による,その過程で犠牲になった者たちへの鎮魂歌。作者の自伝要素もあるそうだ。曳光弾はほんのわずか向こう側でありながらも,生命の切迫すら感じされる文章。蛍は確かに印象的だ。削られた社会について一切の妥協なしに書いたもので,単なる反戦のプロパガンダではない。

    「アメリカひじき」:戦後のアメリカ兵がうろつく街とそこで生きる人々をシニカルに書く。アメリカひじきとはブラックテー(紅茶)のこと,それに対する感覚はまさに戦後を象徴するものだろう。大阪弁に加えカタカナの英語を混ぜることで

    0
    2021年01月30日
  • エロ事師たち

    Posted by ブクログ

    名前は知っていたが,野坂昭如の作品を読むのは初めてである。当時は作家のみならず広範囲のタレント的な存在だったようだ。

    本作はデビュー作だというが,既に安心して読める滑稽さが感じられる(新人らしさというか,危うさがない)。自らをエロ事司と名乗る「スブやん」とその周辺の人々。戦後と現代をつなぐ部分として見逃せない。

    解説を先に読んだのだが,なんと澁澤龍彦の文だった。「ひたすら観念のエロティシズム,欠如体としてのエロティシズムにのみ没頭する一種独特な性の探求家」と評している。

    全体的に,悪趣味だがユーモアが散りばめられていて,読んでいて面白い。




    ある種タブー視される「臭いもの」の描写が

    0
    2021年01月26日
  • アメリカひじき・火垂るの墓

    Posted by ブクログ

    「火垂るの墓」は、言わずと知れた戦争文学の傑作。
    アニメにもなっているので、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。
    私も子供時分に、たしか学校の視聴覚室で視聴した記憶があります。
    節子がドロップではなく、おはじきを舐めている場面を見ると、恐らく今でも人目をはばからずに泣くと思います。
    ただ、原作には、おはじきを舐める場面は出てきません。
    それよりも勝手に原作は長編と決めつけていましたが、短編なのですね。
    それ以前に、なぜ、今、火垂るの墓? ですね。
    実は、割と読書家である自分は長年、野坂昭如をスルーしていました。
    40代のぼくには「悪目立ちするタレント」というイメージが強くて、敬遠していた

    0
    2020年05月28日
  • エロ事師たち

    Posted by ブクログ

    カバー絵がちょっと下品だが、中身の文章はとても魅力的だ。
    関西弁のやりとりが心地よいリズムで押し寄せて来る。
    ついつい時間を忘れて最後まで読んでしまった。
    カバー絵でとても損をしていると感じた。

    0
    2020年02月04日
  • エロスの記憶 文藝春秋「オール讀物」官能的コレクション2014

    購入済み

    粒揃いの作品集です。小池真理子さんの作品を目当てに買いましたが、各先生の作品それぞれ格調の高いエロスで楽しめました。このお値段でこの内容はお得です。

    1
    2020年05月05日
  • アメリカひじき・火垂るの墓

    Posted by ブクログ

    悲しいお話です。とても有名なのでそれ以上語る気もしない感じが現状です。原作は短編です。故海音寺潮五郎氏は「結末の明治調の展開にはやや辟易」と言っていたようですが…。彼自身苛烈な戦争を体験したのに戦後や早落ち着いてくるとこんなものなのでしょうか。確かにこの物語の主人公のような悲惨な最後を遂げた子供はいたでしょうに…

    0
    2018年09月17日
  • エロ事師たち

    Posted by ブクログ

    面白かった。解説は澁澤龍彦。独特の雰囲気で関西を舞台にエロ事師たちを描く。独白ではないけど、会話とか内省的な感じがメインで描かれている。これで一回読み終えた。面白かったけどこれなんやろう? という感じもする。再度読むかはわからない。もう少し年取ってから読むと違う気もする。作者が33歳の時にこれを発表したわけだけど随分、おっさんくさい作品なんですよね。四十半ばから五十過ぎくらいで読むとまた違うのかもしれない。不思議な感じのする面白い作品だった。

    0
    2017年12月18日
  • アメリカひじき・火垂るの墓

    Posted by ブクログ

    この2編以外にもいくつか話が入っていたのだが、この2つに関して言うと、どちらも話の途中で「回想シーン」のようなものが入り、分かりづらかったのだがドラマチックになっていた。「ほたるの墓」は、映画そのままだった。「アメリカひじき」は・・・戦争を知る人たちは、今の日本をどう思っているんだろう、と思った。

    0
    2017年11月05日
  • アメリカひじき・火垂るの墓

    Posted by ブクログ

    6つの短編集。ただただ飢えと暮らしの惨めさがリアルで、読んで暗い気分になります。多分これは誇張ではなく、現実に戦後の日本の至るところで起きていたはずなのだ。それからもう?まだ?72年。
    読点が少なく畳み掛けられるような文体が、あっという間の転落、流れるような時と行動の移り変わりに読者を連れていきます。

    ほたるの墓はアニメで観てトラウマだったけど、それでもこの本の他の短編と比べて、空襲、戦後の食糧難、必死に生きる人々を兄弟愛で「綺麗に」書いていたと知った。
    死児を育てる、ラ・クンパルシータの、家族の食べ物を盗み他人を蹴落としてもとにかく食べ物を口にしなければならない、口に入れたいと願ってしまう

    0
    2017年09月04日