野坂昭如のレビュー一覧

  • アメリカひじき・火垂るの墓
    1文が3ページに渡るなど、句点を使わずひたすら文を続ける独特な書き方に初めは戸惑ったが、すぐに気にならなくなった。「火垂るの墓」悲しいなぁ。ドロップの缶から出てきた小さな骨。戦争は終わったのに、三宮の駅構内で死ななければいけなかった清太を思うと悲しすぎる。「死児を育てる」私が娘を殺したのは、ねずみに...続きを読む
  • エロ事師たち
    1966年の作品。エロを仕事にしている男たちの話。
    又吉さんがおススメしていることもあり、読んでみました。
    関西弁と独特の文体がいい味が出してるけど、正直、読みづらい。
    ネットもない、性が解放されていない時代、エロを様々な方法で売ろうと駆使している姿が滑稽であり、貪欲であり、一生懸命であり、なんだか...続きを読む
  • エロ事師たち
    追悼。

    こういうのが真骨頂なんでしょうね。
    文体に迫力があるし、大阪弁がそれにはまってええ味出してますね。

    世の男どもの「エロ」を満たすために奔走する事師たちの執念がすごいです。
    そして「エロ」を求める男どもの哀しい性。。

    なかなか手に入らないからこそ妄想が膨らみ、渇望するところを、現代だとち...続きを読む
  • エロ事師たち
    野坂昭如氏 訃報を受けて、一年の積読を了。 卑猥だが、猥雑ではない。 下品だが、いやらしさはない。 この題材でユーモアと悲哀に昇華させる筆はさすが。 関西弁のリズムが掴めれば、もっと早く読み終えて居たとは思う。
  • 終末の思想
    さすがに野坂氏も年齢を重ねられて、少々丸くなられた感じがしないでもないのです。(大島渚監督をひっぱたいたシーンが忘れられません。)氏の本質であると私は思っているのですが、随所に優しさがうかがえました。私はそこが好きなのです。文学は「生」や「死」を見つめることにつながると思うのですが、氏の作品の底辺に...続きを読む
  • エロ事師たち
    なんなのよ、このラスト。馬鹿馬鹿しい。笑

    男の人と女の人じゃあ、抱く抱かれるの意味が少し違うんだろうな、とちょっとだけ思ったり。

    でもやっぱり、凸と凹があれば、そりゃあ、やることは1つなんだろうな。それでいいんだよね。

    それにしても本当にラストのくだらなさと、哀しさに、笑えてしまった。

    スブ...続きを読む
  • エロ事師たち
    50年近く前に書かれた作品。
    この頃に比べると、露骨で直接的なエロを誰もが見れるし発信する事が出来るようになった。
    でもね、本質的なものは何も変わらない。この時代に「スブやん」みたいな人がいたら、やっぱりエロ事師になっているだろうな。ここまでカッコよく大往生は出来ないと思うけど。
  • アメリカひじき・火垂るの墓
    高校生のころこれを読んだ時の気分の沈みようといったらなかった。

    「昔は良かった」「家族・親族・ご近所の絆があった」とかの懐古節も、戦時の極限状況では吹っ飛ばされる。

    「死児を育てる」が重くのしかかる話だった。主人公が見た蔵の中の光景が、頭から離れなかった。
  • エロ事師たち
    ポルノや売春などのエロを生業とした男たちの悲喜こもごも。
    猥雑だが淫猥な印象は受けない。
    巧みな語り口に滑稽さが見えるからだろうか。

    エロにまつわる仕事や、携わる男たちは醜いと思う。
    だがこの小説における登場人物たちはじつに愛らしい。

    これは"リアリティがない"せいなのか
    偏見を取り去った"これ...続きを読む
  • 終末の思想
    読んでいるうちに暗澹たる気持ちになっていくこと請け合いである…本当に日本に未来はないのか!?

    食のことはよく分かりませんけれども、確かに今後、日本が成長していくなんてことはありえるんだらうか? ってなことは僕もよく考えることなのであるからして、今作は中途で飽きることなく一気に読めましたね…

    なん...続きを読む
  • エロ事師たち
    ピース又吉推薦!の帯を見て購入。

    時代は昭和初期(?)
    とにかくずーっと昔。

    ブルーフィルムの制作に情熱を注ぐエロ事師たち。

    それぞれが想う、男のロマン。
    貫く思い。

    とか言ってみたものの、
    その真剣さが馬鹿馬鹿しくて、
    笑える。
    女の私には決して分からない気持ちもあると思う。

    言葉が理解...続きを読む
  • エロ事師たち
    ブルーフィルムやら、エロ本やら…エロ事師のスブやんは、あの手この手でエロビジネスをする。そんな調子だから、アゲられたりするものの、徐々に仲間を増やし、ビジネスを広げていく。
    ただ、終盤は仲間割れを起こし、相手方は組んだパートナーが悪く、うまくいっていない様子。そして、こちらはスブやんが死んでしまう…...続きを読む
  • エロ事師たち
    本当の意味でのエロとは、なんだろう。男性にしか分からない世界ではない。女性にもエロという概念は当然ある。エロは欲求であり人間本来の姿なのだろう。それを追求するということは人間とは何かという哲学的な問いに近いような気がする。

    それをエロ事師と言われる男たちが追い求め、最後に本当の意味でのエロという答...続きを読む
  • エロ事師たち
    これは面白い.良い本だと思う.
    面白いと書いたけど,実際は切ない.なんていうのかな,「限りなく透明に近いブルー」を読んだあとのような,「さーっと風が抜けるような爽やかさと,切なさが同時に来る」感じがした.
    エロ事師たちと限りなく透明に近いブルーの内容には「エロ描写がある」事以外,共通点はないが.
    ...続きを読む
  • エロ事師たち
    又吉の第2図書係補佐から

    関西弁?の文章は読み辛かったが、ダークではない感じの、エロ話で、見方によっては、ほのぼのとという感じ。
  • 東京小説
    東京という街ならではのちょっと歪んだ現代人の姿を切り取った短編集。筋はともかく文章だけで読ませる作家陣に傾倒しつつあったこの頃に水を差すような、かっさかさに乾ききった文章に、久々に衝撃を受ける。相変わらずの無頼さ加減が由来すると思われる戦中戦後のどん底の生い立ちを振り返る文章も見られ、興味深く読んだ...続きを読む
  • アメリカひじき・火垂るの墓

     こんなにも悲しくて美しい本と仰っていたので。