野坂昭如のレビュー一覧

  • 終末の思想

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    ネタバレ

     野坂昭如(1930。10.10~2015.12.9)著「終末の思想」、2003年脳梗塞、自宅でリハビリ中の2013.3執筆・刊行されてます。ご自分の思いを吐露した作品とお見受けしました。「質素・清貧・分を知る」といったかつての文化に思いを寄せ、「街は便利で清潔、全体に美々(びび)しくなり、人もまた見てくれきれい。醜くなったのはその生き方、消費文化の行きつく果て。」と警鐘を鳴らしておいでです。
     日本は気候に恵まれている。そして島国、海に囲まれている。土に戻り、農を大事にして、近海で獲れる魚、海藻を食べていれば生き延び得る。野坂昭如(1930.10.10~2015.12.9)「終末の思想」、2

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    2019年10月30日
  • 絶筆(新潮文庫)

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    野坂昭如氏が2015年末に亡くなっていた事を知った。彼の作品との出会いは、有名な火垂るの墓よりも先に「エロ事師たち」であった事は、今となっては私の黒歴史。耳や鼻やに男性器を挿入などの文章に大人の闇を除き、気持ちが悪くなったものだが、この辺は大人になった今も気持ち悪さは変わらず、自らの正常さに安堵。さて、その野坂昭如氏の絶筆、日記である。

    率直に言うと、何気ない闘病、リハビリの日々が綴られるだけの遺作であり、この方のファンではない限り、つまらないかも知れない。ページ数多く、何を食べたとか、こんなニュースがあったとか、抑揚のないエピソードが2004年から続く。しかし、行間。垣間見える人となり、戦

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    2019年10月18日
  • エロ事師たち

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    西川美和さんの「名作はいつもアイマイ」に出てきて、興味を持って読んでみた。
    標準語では表現できない作品だといえば、そんな気もする。
    僕は兵庫出身なので、それなりに大阪弁を使ったことはあるんだけれども、時代のせいか、地方のせいか、ちょっと知っているのと違う言葉遣いだった。
    乱行パーティが描かれていたが、ホントにあんな風なかんじで成立したりしているんだろうか。野坂氏の想像なんだろうか。直感的には、ありえないんじゃないかと思うけど…
    しかし、野坂さんとえいば、ちょっとどもりながら、テレビで大島なんとかさんという呼び名は監督だけどなにをやってるかわからない人と口論するへんな人という認識だったが、作家で

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    2019年10月05日
  • エロ事師たち

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    お上の目をかいくぐり、世の男どもにあらゆる享楽の手管を提供する、これすなわち「エロ事師」の生業なり――享楽と猥雑の真っ只中で、したたかに棲息する主人公・スブやん。他人を勃たせるのはお手のものだが、彼を取り巻く男たちの性は、どこかいびつで滑稽で苛烈で、そして切ない……正常なる男女の美しきまぐわいやオーガズムなんぞどこ吹く風、ニッポン文学に永遠に屹立する傑作。

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    2019年07月17日
  • アメリカひじき・火垂るの墓

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    1文が3ページに渡るなど、句点を使わずひたすら文を続ける独特な書き方に初めは戸惑ったが、すぐに気にならなくなった。「火垂るの墓」悲しいなぁ。ドロップの缶から出てきた小さな骨。戦争は終わったのに、三宮の駅構内で死ななければいけなかった清太を思うと悲しすぎる。「死児を育てる」私が娘を殺したのは、ねずみになるため。私はねずみのように殺されなければいけない。「ラ・クンパルシータ」異常に食欲のある高志は、母の衣類や掛け軸、置物など片っ端から売り払い食べ物を買いに行く。母が泣いても考えることは食べ物のことばかり。

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    2016年11月27日
  • エロ事師たち

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    1966年の作品。エロを仕事にしている男たちの話。
    又吉さんがおススメしていることもあり、読んでみました。
    関西弁と独特の文体がいい味が出してるけど、正直、読みづらい。
    ネットもない、性が解放されていない時代、エロを様々な方法で売ろうと駆使している姿が滑稽であり、貪欲であり、一生懸命であり、なんだか物哀しい感じもしました。

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    2017年03月25日
  • エロ事師たち

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    追悼。

    こういうのが真骨頂なんでしょうね。
    文体に迫力があるし、大阪弁がそれにはまってええ味出してますね。

    世の男どもの「エロ」を満たすために奔走する事師たちの執念がすごいです。
    そして「エロ」を求める男どもの哀しい性。。

    なかなか手に入らないからこそ妄想が膨らみ、渇望するところを、現代だとちょっとスマホをいじれば簡単に「エロ」が手に入ってしまう訳で。

    草食系だの少子化だの言う一因かなーと思いますね。

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    2018年09月14日
  • エロ事師たち

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    ネタバレ

    野坂昭如氏 訃報を受けて、一年の積読を了。 卑猥だが、猥雑ではない。 下品だが、いやらしさはない。 この題材でユーモアと悲哀に昇華させる筆はさすが。 関西弁のリズムが掴めれば、もっと早く読み終えて居たとは思う。

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    2016年01月13日
  • 終末の思想

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    ネタバレ

    さすがに野坂氏も年齢を重ねられて、少々丸くなられた感じがしないでもないのです。(大島渚監督をひっぱたいたシーンが忘れられません。)氏の本質であると私は思っているのですが、随所に優しさがうかがえました。私はそこが好きなのです。文学は「生」や「死」を見つめることにつながると思うのですが、氏の作品の底辺にはこの「生」と「死」が流れていると思います。 いっぽうで、氏にはもっともっと毒舌を吐いていただき、辛辣な文章を書きまくっていただきたいのです。

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    2015年11月25日
  • エロ事師たち

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    なんなのよ、このラスト。馬鹿馬鹿しい。笑

    男の人と女の人じゃあ、抱く抱かれるの意味が少し違うんだろうな、とちょっとだけ思ったり。

    でもやっぱり、凸と凹があれば、そりゃあ、やることは1つなんだろうな。それでいいんだよね。

    それにしても本当にラストのくだらなさと、哀しさに、笑えてしまった。

    スブやん、あなたはそれで本当に幸せだったの?

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    2015年02月15日
  • エロ事師たち

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    ネタバレ

    50年近く前に書かれた作品。
    この頃に比べると、露骨で直接的なエロを誰もが見れるし発信する事が出来るようになった。
    でもね、本質的なものは何も変わらない。この時代に「スブやん」みたいな人がいたら、やっぱりエロ事師になっているだろうな。ここまでカッコよく大往生は出来ないと思うけど。

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    2014年10月11日
  • アメリカひじき・火垂るの墓

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    高校生のころこれを読んだ時の気分の沈みようといったらなかった。

    「昔は良かった」「家族・親族・ご近所の絆があった」とかの懐古節も、戦時の極限状況では吹っ飛ばされる。

    「死児を育てる」が重くのしかかる話だった。主人公が見た蔵の中の光景が、頭から離れなかった。

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    2014年06月14日
  • エロ事師たち

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    ポルノや売春などのエロを生業とした男たちの悲喜こもごも。
    猥雑だが淫猥な印象は受けない。
    巧みな語り口に滑稽さが見えるからだろうか。

    エロにまつわる仕事や、携わる男たちは醜いと思う。
    だがこの小説における登場人物たちはじつに愛らしい。

    これは"リアリティがない"せいなのか
    偏見を取り去った"これこそがリアリティ"なのか
    私にはわからないが、
    (一元的に取り出すことはできないにせよ)
    美しくないものだからこそ志高く持ちたいと思う
    人間というちっぽけな存在ありのままが
    この作品には描かれているのかもしれない。

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    2014年01月27日
  • 終末の思想

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    読んでいるうちに暗澹たる気持ちになっていくこと請け合いである…本当に日本に未来はないのか!?

    食のことはよく分かりませんけれども、確かに今後、日本が成長していくなんてことはありえるんだらうか? ってなことは僕もよく考えることなのであるからして、今作は中途で飽きることなく一気に読めましたね…

    なんというか、戦前生まれの人の言うことには説得力があるような…普段、接する機会のない世代の人ですから…こういった著書を読んで少しは戦前生まれの人とコネクトしたい…みたいな気持ちにさせられる著書でした。

    ヽ(・ω・)/ズコー

    著者の書いた小説なども読んでみましょうかね…あの有名な「火垂るの墓」の原作

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    2013年08月28日
  • エロ事師たち

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    ピース又吉推薦!の帯を見て購入。

    時代は昭和初期(?)
    とにかくずーっと昔。

    ブルーフィルムの制作に情熱を注ぐエロ事師たち。

    それぞれが想う、男のロマン。
    貫く思い。

    とか言ってみたものの、
    その真剣さが馬鹿馬鹿しくて、
    笑える。
    女の私には決して分からない気持ちもあると思う。

    言葉が理解できなくて、読むのに少し難儀したけれど、
    ラストは秀逸。

    なんだそれ、馬鹿馬鹿しい 笑

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    2013年06月09日
  • エロ事師たち

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    ブルーフィルムやら、エロ本やら…エロ事師のスブやんは、あの手この手でエロビジネスをする。そんな調子だから、アゲられたりするものの、徐々に仲間を増やし、ビジネスを広げていく。
    ただ、終盤は仲間割れを起こし、相手方は組んだパートナーが悪く、うまくいっていない様子。そして、こちらはスブやんが死んでしまう…

    際どいこと書いてるはずなのに、すっきりまとまっていて、底辺の方であがきながらも笑いアリで生きている様子に好感が持てた。

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    2013年02月14日
  • エロ事師たち

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    本当の意味でのエロとは、なんだろう。男性にしか分からない世界ではない。女性にもエロという概念は当然ある。エロは欲求であり人間本来の姿なのだろう。それを追求するということは人間とは何かという哲学的な問いに近いような気がする。

    それをエロ事師と言われる男たちが追い求め、最後に本当の意味でのエロという答えにたどり着くことが出来たのではないかと思う。

    本当のエロとは…

    野坂昭如のデビュー作として有名な作品ですが、内容に少し驚く。それでもエロを取り上げた内容にも関わらず、所謂「エロ」を感じないのは事師たちのエロに向き合う姿のせいなのだろうか。女性からすると中々手に取りづらい題ではあるが、社会見学の

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    2012年09月01日
  • エロ事師たち

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    又吉の第2図書係補佐から

    関西弁?の文章は読み辛かったが、ダークではない感じの、エロ話で、見方によっては、ほのぼのとという感じ。

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    2012年03月13日
  • 東京小説

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    東京という街ならではのちょっと歪んだ現代人の姿を切り取った短編集。筋はともかく文章だけで読ませる作家陣に傾倒しつつあったこの頃に水を差すような、かっさかさに乾ききった文章に、久々に衝撃を受ける。相変わらずの無頼さ加減が由来すると思われる戦中戦後のどん底の生い立ちを振り返る文章も見られ、興味深く読んだ。けれど否応なく感じられる古くさい感じは、日本の時代を他のどこよりも鋭敏に反映する東京という街を活写すればするほど避けがたく纏うことになる泡沫の時代性の証左なんではあろうなあ。

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    2010年06月07日
  • アメリカひじき・火垂るの墓

    Posted by 読むコレ

     こんなにも悲しくて美しい本と仰っていたので。

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    2012年09月06日