三辺律子のレビュー一覧

  • わたしを忘れないで アンネが日記を書く前の物語

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    アンネフランクの歴史小説。歴史小説と言っても、とても読みやすく、アンネが隠れ家に行くまでの生活が創作と事実を交えて描かれている。アンネ一家の結末を知っているだけに、全体を通して胸が締め付けられる場面が多い。今の時代に多くの人に読んでほしい作品。

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    2026年08月24日
  • are you listening? アー・ユー・リスニング

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    きいてほしい、みてほしい、だきしめてほしい、つたえてほしい、かんじてほしい、繋がれる可能性があるあなたに。

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    2026年07月27日
  • 隠された悲鳴

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    "【儀礼殺人(ぎれい・さつじん)】ある儀式にのっとって、人体の一部を得るために行われる殺人。"

    著者は、ボツワナで女性初の最高裁判事となったユニティ・ダウ
    そんなお堅そうな人がなぜこんな手に汗握るサスペンス小説を書けるんだろう!

    フィクションの体は取っているけど、今でも呪術薬の材料にする目的で殺害される少女たちがいる事実、超階級社会の男たちの醜悪な姿、そしてライオンやゾウがいる環境が実際にそこにあるから、日本人からしたら現実離れしすぎている現実に打ちのめされた

    "「文化」というものは、固定されたものではありません。本当の意味で「自分たちの文化を存続させ、繁栄させたい」と願うのであれば(どんな文化圏の人もそう願っていると思いますが)、本書で取り上げたような儀礼殺人のように、人を傷つけ、殺してしまうような文化的慣行に挑んでいかなくてなりません。"(著者へのインタビューから)

    [Ritual Killing] A murder committed according to a specific ritual to harvest parts of the human body.

    ​The author, Unity Dow, was the first female High Court judge in Botswana. It’s hard to believe that someone with such a seemingly rigid, elite background could write such a gripping, heart-pounding suspense novel!

    ​Although it takes the form of fiction, I was completely overwhelmed by the reality of it all—a reality that feels so distant to us in Japan. There are still young girls being murdered today just for their body parts to be used in witchcraft medicine; the hideous nature of men in a rigid, upper-class society; and the actual environment where lions and elephants roam just outside.

    ​"Culture is not something static. If you truly want to make sure your culture survives and thrives—and I think people in every culture do—then you have to challenge those cultural practices that hurt people and kill people, like the ritual killings that I discuss in the book." (From an interview with the author)

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    2026年05月18日
  • ツリーホーンのねがいごと

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    誕生日にはケーキがいるし、ケーキにはロウソクと名前がいるんだよね。

    両親にあまり温かく接してもらえていないようで、ツリーホーンが少しかわいそう……とは今でも思っている。だけど、最後にセーターがもらえてよかった。去年と全く同じセーターだけど、少なくとも「サイズ」は大きなものを選んでもらえたわけで。

    それに精霊(ジン)が、ケーキに「ハッピーバースデー」という言葉を添えていたのも嬉しかったな。ツリーホーンは「誕生日ケーキ」が欲しいとは言ったけど、「ハッピー」をつけたのはたぶん、ツリーホーンの願いでもあり、ジンの考えでもあるはずだ。

    ケーキのろうそくを消すとき、ツリーホーンは何を願っていたんだろう。それはきっと、他の人から見ればつつましい願いごとだろうけど、ツリーホーンにとっては重大なことだろう。

    なんだか淡々とした物語で、祝っていいのかどうか分からないような終わり方でもあったけど、不思議と心に残ったし、ツリーホーンの幸せを願う気持ちが生じていることにも気づいた。

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    2026年02月13日
  • 黒馬物語

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    馬は単なる乗り物ではない、話しは出来ないけど人間と何ら変わりのない生き物なんだ、ということ、を学びました。人間に愛情を持って接するように馬にも接すること。当時の馬という交通は、友人で大事なパートナーであり、馬を操るプロフェッショナルの職業が成立していた社会を学びました。

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    2025年11月30日
  • ゾウがやってきた

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    トルコ系アメリカ人のシラは、ずっと落ち込んでいた。トルコに一時帰国した母親が、アメリカに再入国できなくなって何ヶ月も経っていたからだ。何もかも興味を失っていたシラだったが、ひょんなことからジオという老人が飼うアジアゾウのヴェーダと出会い、日々に輝きを取り戻していく。主要な登場人物全員の一人語りを含む広がりのある物語でありながら、動物保護と家族の愛という一貫したテーマを描く卓越した物語。

    最後の2人の語りに泣いてしまいました。母子の愛は、なんて強く切ないものなんだろう。マテオとシラの関係も、深く入り込みすぎず、それでいて相手のことを曇りのない目で見て受け止めていて素敵だと思った。自閉症というとコミュニケーションが取れないイメージがあったのだけど、マテオのように普通の生活を送れる人もいるのだと、他の作品を通じて最近気付いたので、マテオの様子を読んで「色々な人がいるのだ」とさらに確信しました。
    自然の描写、動物の描写が美しく楽しく、ヴェーダのために働くシラとマテオの生き生きとしていて、読んでいて元気になれる本です。素晴らしい作品だと思いました。

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    2025年11月13日
  • ゾウがやってきた

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    オレゴンに住む少女シラが主人公。トルコ国籍の母が、事務手続きのため里帰りしたら、入国書類の不備で帰国できなくなってしまった。何ヶ月も何ヶ月も、ひたすら母の帰りを待つシラ。しだいに学校でも何にも関心を持てなくなり、からに閉じこもるようになる。

    そんなシラが、ある日、お父さんに連れられていったロードサイドのドーナツ屋で、妻を亡くした孤独な老人ジオと出会う。何気なく話をするうち、シラはジオとの意外なつながりに気づく。

    ジオは、かつて宝くじにあたって、お金の心配はなく、広大な土地も持っているけれども、ただ毎日をさびしくやりすごしている。そんなふたりの前に、つぶれたサーカスの一団があらわれ、なぜだかジオはゾウを買い取ることに……。

    とまあ、奇想天外なんだけど、移民の入国手続き、母を恋う少女、妻を亡くした孤独な老人、サーカスで虐待されてきたゾウ(とクマ)、自閉症の少年……といういくつもの要素が無理なく溶け合って、「孤独な魂同士が出会って新たな世界がひらける」という大きな物語が展開していく。ストーリー本位でただただ楽しくも読めるし、深堀することもできるし、すごくいい物語だった。大好き。

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    2025年11月13日
  • ツリーホーン、どんどん小さくなる

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    ゴーリーのイラストにむちゃくちゃ合ってる話。シリーズ全3冊。
    不条理な扱いを受けても割と気にしてない(し、不幸とも感じてない)ツリーホーンの生き方を見習いたい。

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    2025年10月20日
  • パラゴンとレインボーマシン

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    伯父が残したロボット・パラゴンに隠されたものとは。
    先天色覚異常、雨が降らず水を巡り世界中が戦争をしている時代、人とは違うこと、ロボットらしくないロボット。
    様々な要素が絡み集約するラストシーンが印象的で心打たれる。

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    2025年04月24日
  • 月のケーキ

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    帯の売り文句は『ガーディアン賞、エドガー賞受賞の名手が贈る短編集』。読み終わったときフワッとした気持ちになった。不思議なお話が13切れ合わさって一つのケーキになった。小学生高学年から十分に読める内容。ファンタジー好きにはたまらない。三辺律子さんの軽やかな訳に、さかたきよこさんのカバーイラストが彩りをそえる。どれもこれも可愛く不思議。特に『オユをかけよう!』『銀のコップ』が好きかも。珠玉のベイカーズダズン。シリーズ『ルビーが詰まった脚』『お城の人々』も読みたい。

    訳者あとがきで紹介されたエイキンの言葉『作家の任務とは、子どもたちにむかって、この世界は単純な場所ではないことを示すことだといえるでしょう。単純だなどとはとんでもない。この世界は途方もなく豊かで、奇妙で、混乱しており、すばらしいと同時に残酷で、神秘的で美しく、説明しがたい謎なのです』(猪熊葉子訳 晶文社)。

    まさにこの本はそんな本だ。

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    2025年03月01日
  • タフィー

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    実の父親から逃げて認知症のマーラの家に潜り込んだアリソン。
    そうやって文章にするとあるべき枠から飛び出した理解しがたい状況のように思えるけど果たしてそうだろうか。
    認知症でアリソンをタフィーと混同しながらも頼りにしていくマーラとマーラを気遣うアリソン。そしてケリーアン。
    血縁なんかよりよほど温かいと思える関係。
    血が繋がらなくても家族になれると信じたい。

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    2025年02月24日
  • ローラ・ディーンにふりまわされてる

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    これは思春期の間に、恋に振り回される時期に、ぜひ読んで欲しい作品。
    女の子同士の恋愛を描いてはいるんだけど、どこにでもいる17歳の、ふつうの恋愛と思って読みたい。

    グラフィックノベルってなんだろうと思ってたら、漫画でした!届いてから気づいたわたし。笑

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    2024年11月11日
  • ローラ・ディーンにふりまわされてる

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    青春グラフィックノベル。17歳のフレディは同性の恋人にフラれては縁を戻すを繰り返している。
    多様な価値観が認められた社会では、自分の価値観をしっかりと持つことが生きるために必要となるのだろう。
    イマドキのアメリカ・カリフォルニアの若者の姿を描くときに、「多様性」は避けられないどころか、当たり前のものだということに衝撃を受ける。その上で古い価値観や新たな問題との衝突も描かれる。
    画面構成も素敵で、様々な「今」を見せられる。

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    2024年09月19日
  • 翻訳者による海外文学ブックガイド BOOKMARK

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    金原さんの講演をきっかけに。

    海外作品って翻訳者との相性があって、最近は遠ざかっていたけど、この本の中で紹介されている本に触れてみようかなぁ。。

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    2024年08月07日
  • パラゴンとレインボーマシン

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    ネタバレ

    これはとてもおもしろかったです。最初は意味がわからない言語がでてきてよくわかりませんでしたが未来の話だとわかると、よく読めました。詩などユーモアあふれるパラゴンがとても面白みを与えていました。

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    2023年11月06日
  • タフィー

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    父の暴力から逃げた少女と、認知症を患う老女。孤独なふたりの出逢い築かれる関係。
    散文詩の形で紡がれる物語は、少女アリソンの心をあらわにして痛みが直接伝わってくる。ここに居ていいんだよというメッセージに、強く胸を打たれる。

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    2023年07月10日
  • ルビーが詰まった脚

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    ネタバレ

    『ブラック・ホラー・ファンタジーの世界へようこそ!』

    何とも不思議な世界観の短編集。
    語彙力の無い私があえて表現するならば…
    星新一・恒川光太郎・今村夏子を足して3倍しちゃったような作品。余韻を残したダークな終わり方が秀逸!

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    2022年12月22日
  • ルビーが詰まった脚

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    大人の児童書といった味わいの本。ファンタジーの中に鋭い寓意が込められています。

    不思議な品々を持つインドの老人とその周りの人たち「ロープの手品を見た男」

    上の階を極端に怖がる女の子とその結末を描いた「上の階が怖い女の子」が良かった。

    情景がありありと浮かぶ「葉っぱでいっぱいの部屋」も佳作といえます。

    「上の階が怖い女の子」は非常にきれいで奇妙な話だったため、読後は少し本を置いてゆっくりと反芻しました。

    この本を手に取った人はこの話だけでも読んで欲しいと思います。

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    2022年12月02日
  • ジャングル・ブック

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    児童文学とは言いながら、人間の醜な部分、違う種族との戦いが生々しく、小学校高学年用って感じはした。

    『ジャングル・ブック』『ドラキュラ』『フランケンシュタイン』など、ヴィクトリア朝イギリスでは、現実に即しながらもファンタジー要素の強い物語が流行っていた。

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    2022年10月23日
  • エレナーとパーク Eleanor&Park

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    ずいぶん前に読んだのですが、2回目読みました。
    忘れていたところがいっぱいあって、やはりどきどきしながら読みました。
    二人の初恋の楽しさ切なさもすごく伝わってくるけど、この本は、虐待された貧困層の白人だけど、とてもユニークで魅力的な少女エレナ~と温かい家庭で育った韓国系の少年パークの恋の話です。
    最後までどうなるか、ハラハラしながら読み進められる物語でした。

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    2022年09月29日