三辺律子のレビュー一覧

  • 黒馬物語

    Posted by ブクログ

    馬は単なる乗り物ではない、話しは出来ないけど人間と何ら変わりのない生き物なんだ、ということ、を学びました。人間に愛情を持って接するように馬にも接すること。当時の馬という交通は、友人で大事なパートナーであり、馬を操るプロフェッショナルの職業が成立していた社会を学びました。

    0
    2025年11月30日
  • ゾウがやってきた

    Posted by ブクログ

    トルコ系アメリカ人のシラは、ずっと落ち込んでいた。トルコに一時帰国した母親が、アメリカに再入国できなくなって何ヶ月も経っていたからだ。何もかも興味を失っていたシラだったが、ひょんなことからジオという老人が飼うアジアゾウのヴェーダと出会い、日々に輝きを取り戻していく。主要な登場人物全員の一人語りを含む広がりのある物語でありながら、動物保護と家族の愛という一貫したテーマを描く卓越した物語。

    最後の2人の語りに泣いてしまいました。母子の愛は、なんて強く切ないものなんだろう。マテオとシラの関係も、深く入り込みすぎず、それでいて相手のことを曇りのない目で見て受け止めていて素敵だと思った。自閉症というと

    0
    2025年11月13日
  • ゾウがやってきた

    Posted by ブクログ

    オレゴンに住む少女シラが主人公。トルコ国籍の母が、事務手続きのため里帰りしたら、入国書類の不備で帰国できなくなってしまった。何ヶ月も何ヶ月も、ひたすら母の帰りを待つシラ。しだいに学校でも何にも関心を持てなくなり、からに閉じこもるようになる。

    そんなシラが、ある日、お父さんに連れられていったロードサイドのドーナツ屋で、妻を亡くした孤独な老人ジオと出会う。何気なく話をするうち、シラはジオとの意外なつながりに気づく。

    ジオは、かつて宝くじにあたって、お金の心配はなく、広大な土地も持っているけれども、ただ毎日をさびしくやりすごしている。そんなふたりの前に、つぶれたサーカスの一団があらわれ、なぜだか

    0
    2025年11月13日
  • ツリーホーン、どんどん小さくなる

    Posted by ブクログ

    ゴーリーのイラストにむちゃくちゃ合ってる話。シリーズ全3冊。
    不条理な扱いを受けても割と気にしてない(し、不幸とも感じてない)ツリーホーンの生き方を見習いたい。

    0
    2025年10月20日
  • パラゴンとレインボーマシン

    Posted by ブクログ

    伯父が残したロボット・パラゴンに隠されたものとは。
    先天色覚異常、雨が降らず水を巡り世界中が戦争をしている時代、人とは違うこと、ロボットらしくないロボット。
    様々な要素が絡み集約するラストシーンが印象的で心打たれる。

    0
    2025年04月24日
  • 月のケーキ

    Posted by ブクログ

    帯の売り文句は『ガーディアン賞、エドガー賞受賞の名手が贈る短編集』。読み終わったときフワッとした気持ちになった。不思議なお話が13切れ合わさって一つのケーキになった。小学生高学年から十分に読める内容。ファンタジー好きにはたまらない。三辺律子さんの軽やかな訳に、さかたきよこさんのカバーイラストが彩りをそえる。どれもこれも可愛く不思議。特に『オユをかけよう!』『銀のコップ』が好きかも。珠玉のベイカーズダズン。シリーズ『ルビーが詰まった脚』『お城の人々』も読みたい。

    訳者あとがきで紹介されたエイキンの言葉『作家の任務とは、子どもたちにむかって、この世界は単純な場所ではないことを示すことだといえるで

    0
    2025年03月01日
  • タフィー

    Posted by ブクログ

    実の父親から逃げて認知症のマーラの家に潜り込んだアリソン。
    そうやって文章にするとあるべき枠から飛び出した理解しがたい状況のように思えるけど果たしてそうだろうか。
    認知症でアリソンをタフィーと混同しながらも頼りにしていくマーラとマーラを気遣うアリソン。そしてケリーアン。
    血縁なんかよりよほど温かいと思える関係。
    血が繋がらなくても家族になれると信じたい。

    0
    2025年02月24日
  • ローラ・ディーンにふりまわされてる

    Posted by ブクログ

    これは思春期の間に、恋に振り回される時期に、ぜひ読んで欲しい作品。
    女の子同士の恋愛を描いてはいるんだけど、どこにでもいる17歳の、ふつうの恋愛と思って読みたい。

    グラフィックノベルってなんだろうと思ってたら、漫画でした!届いてから気づいたわたし。笑

    0
    2024年11月11日
  • ローラ・ディーンにふりまわされてる

    Posted by ブクログ

    青春グラフィックノベル。17歳のフレディは同性の恋人にフラれては縁を戻すを繰り返している。
    多様な価値観が認められた社会では、自分の価値観をしっかりと持つことが生きるために必要となるのだろう。
    イマドキのアメリカ・カリフォルニアの若者の姿を描くときに、「多様性」は避けられないどころか、当たり前のものだということに衝撃を受ける。その上で古い価値観や新たな問題との衝突も描かれる。
    画面構成も素敵で、様々な「今」を見せられる。

    0
    2024年09月19日
  • 翻訳者による海外文学ブックガイド BOOKMARK

    Posted by ブクログ

    金原さんの講演をきっかけに。

    海外作品って翻訳者との相性があって、最近は遠ざかっていたけど、この本の中で紹介されている本に触れてみようかなぁ。。

    0
    2024年08月07日
  • パラゴンとレインボーマシン

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    これはとてもおもしろかったです。最初は意味がわからない言語がでてきてよくわかりませんでしたが未来の話だとわかると、よく読めました。詩などユーモアあふれるパラゴンがとても面白みを与えていました。

    0
    2023年11月06日
  • ダリウスは今日も生きづらい

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    アメリカのポートランドに住むダリウスはイラン人の母とアメリカ人の父を持つペルシャ系アメリカ人。高校2年生。小2の妹ラレーがいる。ペルシャ系とはいえ、ペルシャ語はあまり話せない。ラレーはその点、小さな頃から教えられていた為ペルシャ語で祖父母と会話できる。
    高校ではいじめを受けているが、親にはあまり話せずにいる。言えばガッカリさせてしまうから。
    ダリウスは13歳から鬱の薬を飲んでいる。父からの遺伝で、父も鬱病。建築事務所の共同経営者をしているが、ダリウスは数学が苦手で、跡継ぎにはなれないだろう。
    ダリウスは母や妹の事をとても大事にしている。しかし、父の事は素直に受け入れられない。父は跡継ぎにはなれ

    0
    2023年09月26日
  • タフィー

    Posted by ブクログ

    父の暴力から逃げた少女と、認知症を患う老女。孤独なふたりの出逢い築かれる関係。
    散文詩の形で紡がれる物語は、少女アリソンの心をあらわにして痛みが直接伝わってくる。ここに居ていいんだよというメッセージに、強く胸を打たれる。

    0
    2023年07月10日
  • ルビーが詰まった脚

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    『ブラック・ホラー・ファンタジーの世界へようこそ!』

    何とも不思議な世界観の短編集。
    語彙力の無い私があえて表現するならば…
    星新一・恒川光太郎・今村夏子を足して3倍しちゃったような作品。余韻を残したダークな終わり方が秀逸!

    0
    2022年12月22日
  • ルビーが詰まった脚

    Posted by ブクログ

    大人の児童書といった味わいの本。ファンタジーの中に鋭い寓意が込められています。

    不思議な品々を持つインドの老人とその周りの人たち「ロープの手品を見た男」

    上の階を極端に怖がる女の子とその結末を描いた「上の階が怖い女の子」が良かった。

    情景がありありと浮かぶ「葉っぱでいっぱいの部屋」も佳作といえます。

    「上の階が怖い女の子」は非常にきれいで奇妙な話だったため、読後は少し本を置いてゆっくりと反芻しました。

    この本を手に取った人はこの話だけでも読んで欲しいと思います。

    0
    2022年12月02日
  • ダリウスは今日も生きづらい

    Posted by ブクログ

    とても面白かった。間違いなく2022年読んで良かった本の上位!
    登場人物の名前や、行事や料理名が最初は全然頭に入らなかったけれど、もう途中からは色とりどりのイランに行ってみたくてたまらなくなっていた。彼の今後に希望を見出せる終わり方もとても好き。続編も絶対に読みたい。

    ダリウスの抱える閉塞感、祖父の悲しみ、母の後悔、父の恐れ、親友の喪失体験…
    どれも愛だと感じた。

    特に、ダリウスのお母さんの強さに心打たれた。異国の地で、うつを患う夫と息子を支えながら、どれほどの苦労があったのだろう。19年も祖国イランに帰らずに。私は、日本とそれほど離れていないアジア圏で、日本人の夫と子どもたちと暮らし、子

    0
    2022年10月15日
  • エレナーとパーク Eleanor&Park

    Posted by ブクログ

    ずいぶん前に読んだのですが、2回目読みました。
    忘れていたところがいっぱいあって、やはりどきどきしながら読みました。
    二人の初恋の楽しさ切なさもすごく伝わってくるけど、この本は、虐待された貧困層の白人だけど、とてもユニークで魅力的な少女エレナ~と温かい家庭で育った韓国系の少年パークの恋の話です。
    最後までどうなるか、ハラハラしながら読み進められる物語でした。

    0
    2022年09月29日
  • プークが丘の妖精パック

    Posted by ブクログ

    イギリス海岸沿いに住む幼いダンとユーナの兄妹が近くの牧草地の丘で『真夏の夜の夢』のお芝居をしていると、妖精パックが現れる。
    パックは、プークが丘の近くにある海岸都市ペベンシーに関わりのある歴史の人物を呼び出して、彼らの物語を語らせる。ペベンシーは小さい都市ながらもイギリスの歴史的に重要な役割を果たしてきた土地だった。ダンとユーナは、彼らの話を聞きながらイギリスの歴史をしるだった。
    キプリングが、イギリス歴史を児童文学として書いた本。二冊セットらしいが、こっちしか買わなかった…。
    イギリスの歴史語りではあるが、若者たちの友情や冒険、歴史にこっそり顔を出す妖精たちの存在など、物語としてとても楽しめ

    0
    2022年09月13日
  • マンチキンの夏~SHORT~

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    『大人の階段昇る君はまだマンチキンで、よかったネ』

    背が低いおかげで『オズの魔法使い』のマンチキン役に抜擢された12歳のジュリア。子供の視点で様々なことを学び吸収していく様がユーモアたっぷりに描かれ、ほっこりと楽しめる一冊でした!

    0
    2022年07月29日
  • ダリウスは今日も生きづらい

    Posted by ブクログ

    イランが舞台の話だか、出てくるのはゾロアスター教徒とバハーイー教徒。アザーンが響き渡る中で、街を眺める光景が、行ったことないけど目に浮かぶ。世界観に没入できた。

    ダリウスとお父さんとの関係。初めてできた親友ソフラーブとのやり取り。そして脳腫瘍を患い、死期の近い祖父との距離感。それらが全部、印象的だ。ソフラーブがとにかくいい奴なだけに、過酷な経験を強いられて、最後の方はかなり泣いてしまった。後半のお父さんの告白も。

    続編があるようなので、ソフラーブのその後が知りたいところ。

    0
    2022年07月01日