【感想・ネタバレ】タフィーのレビュー

あらすじ

父さんの暴力から逃れ,家を飛びだしたアリソン.古い家の納屋に身を隠すが,家主のマーラという老女に見つかってしまう.認知症のマーラは,彼女を昔の友人・タフィーと間違えているようで――.孤独を抱えたふたりが出会い,思いがけない同居生活がはじまる.カーネギー賞作家が詩でつむぐ,友情と再生の物語.

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Posted by ブクログ

実の父親から逃げて認知症のマーラの家に潜り込んだアリソン。
そうやって文章にするとあるべき枠から飛び出した理解しがたい状況のように思えるけど果たしてそうだろうか。
認知症でアリソンをタフィーと混同しながらも頼りにしていくマーラとマーラを気遣うアリソン。そしてケリーアン。
血縁なんかよりよほど温かいと思える関係。
血が繋がらなくても家族になれると信じたい。

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2025年02月24日

Posted by ブクログ

父の暴力から逃げた少女と、認知症を患う老女。孤独なふたりの出逢い築かれる関係。
散文詩の形で紡がれる物語は、少女アリソンの心をあらわにして痛みが直接伝わってくる。ここに居ていいんだよというメッセージに、強く胸を打たれる。

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2023年07月10日

Posted by ブクログ

父親の暴力から逃れ、家を出たアリソン。逃げ込んだ家には認知症の老女、マーラが住んでいた。マーラはアリソンを昔の友人・タフィーと間違えており、不思議な同居生活が始まる。
心に傷を持つ二人が、理解を深めながら生活するうち、次第に心の傷が癒されていく。
散文詩の表現が、アリソンの心の機微をよく表している。

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2025年01月28日

Posted by ブクログ

横書きの散文詩を繋げ一つのストーリーにした興味深い作品です。
作者はアイルランドのダブリン生まれ。2015年に発表した『わたしの全てのわたしたち』でカーネギー賞を受賞しました。

主人公は、虐待を繰り返す父親の元から逃げ出した16歳の少女アリソン。表紙に描かれた彼女の眼差しと赤くただれた左頬を何度も見返す読書となりました。 

母親は産後すぐに亡くなった。
父親の恋人のケリーアンが出て行くと、アリソンへの暴力はさらに加速する…
彼女の嫌な記憶が蘇るたびに、読む手が止まり息が苦しくなりました。

認知症を患うマーラから「タフィー」と呼ばれ同居生活を始めたアリソン。
父親にいつ見つかってしまうか、他人の家に嘘をついて潜り込んだのがばれやしないか…と不安になるアリソンは、この家に居られるようにマーラの病気について調べ始めた。

冷静にならないといけない
微笑まないといけない
説明しないといけない
話すときは、マーラの名前を呼ばなきゃいけない
そして
 手を止めて
 マーラに集中してあげなきゃいけない
 病気のことを理解しなきゃいけない
 マーラのことを。

マーラのことがわかるにつれ、彼女を助けてあげたいと心から思い始めたアリソンがいじらしい。

体罰は勿論のこと言葉の暴力がいかに心を傷つけてしまうか!

 おまえのせいで!
 
 と繰り返す父親が時折見せる笑顔に

 でも、愛されているのでは

 と思ってしまうアリソン。

悪いのはわたし、わたしのせい!だと思っていた。
「あなたはなにも悪くない」と言ってくれたマーラも息子ドナルの前では凍りつく。その姿は父親の前で消えてしまった わ・た・し と同じ!

マーラとの大切な思い出を重ねていく。

 マーラと 庭しごと
 マーラと お出かけ
 マーラと ダンスを踊る
 マーラと トチの実を拾う

       雨の中で砂の城を作る
 

母親のようなケリーアン。
てっきり見捨てられたと思っていたけれどそれは間違いだった。
赤ちゃんが生まれる!

やってくる別れ、それでも前を向いて歩き始めるラストに感動を覚えました。
揺れ動く16歳の少女の内面を詩情豊かに描いた良書です。 ☆4.5

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2025年01月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

散文詩形式で書かれた作品。読むのは難しくないのだが、読むのが辛かった。胸が苦しくなる内容。
アリソンは支配的な父親の暴力から逃れるため、家を出るしかなかった。少し前に家を出た、父親の恋人を探したが、会えずに、古い家の納屋に潜り込む。家主は認知症のマーラ。マーラはアリソンの事をタフィーと呼び、部屋に招き入れた。
アリソンの現在と父親との暮らしが交互に描かれ、マーラの過去も入り混じり、幻想的ですらある。しかし、次第に家族に問題を抱えている事がわかってくる。
アリソンもマーラも言いたい事を我慢していた。孤独な二人は少しずつ歩み寄っていく。
ギリギリの生活なのに、アリソンは悪い方へは流れないし、病んでしまう前にマーラと出会ってよかった。

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2025年01月21日

Posted by ブクログ

散文詩形式で書かれた小説は初めて読みました。
主人公の心情が、まっすぐに心に刺さります。

暴力をふるう父親から逃げ、行き場を失った少女と、独りで暮らす認知症の老女。
こうした設定でありがちな心温まる交流ではなく、感動の結末が待っているわけではない。
もっとリアルに、混乱しながらも力強く人生は続いていく。

相手を利用することばかり考える若者と、厄介事を避けたがる大人たち。そんな世界で居場所を見つけるのは大変です。

嘘を重ねるうちに自分の存在感が薄れてしまうアリソン。相手に求められる姿を演じ続ける自分を透明人間と呼ぶ。
読者にも、事実と主観の境界があやふやになってきます。

マーラの記憶は安定しないけれど、確かに過ごしてきた人生があり、アリソンと過ごした時間は消えるわけではない。言葉にできるものが全てではないと感じられました。

「人はあなたが言ったことは忘れる。
 でも、あなたに対して抱いた気持ちは決して忘れない
   ――カール・W・ビューナー」

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2024年03月08日

Posted by ブクログ

設定の妙がある。
父の暴力から逃げる娘。認知症の独居老人。

一筋縄ではない。とくに娘。何をしていても不安しかないはずなのに、心が通う瞬間がある。彼女の心の健全さゆえだ。

最後は物語を抱きしめたくなる。

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2023年09月04日

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「怖いのは、人間。/人間は傷つけることができるから/すでにぼろぼろになって/たったひとり/暗闇に/うずくまる少女のことを。」

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2023年05月09日

Posted by ブクログ


最近若者向け小説で流行っている「散文詩形式」というそうで、見開き2ページの詩の形で綴られた小説。詩なので文章が少なくサクサク読めるが、飽きることなくすっと物語に惹き込まれていく。父親の暴力から逃げ出したアリソンは、自分を友人だと思い込んだ認知症の老婆の家へ住みつくことになる。父親との恐怖と愛情ががないまぜになった苦しみの日々と、老女マーラとの不安定ながら優しく会話する生活、マーラの家族にバレないかのハラハラ加減が魅力的。ラストは意外な展開になるが、読後希望が持てるのはティーン向け小説ならではです。中学生からいけると思います。

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2022年01月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

父から虐待されて育ち、生きる場所が見つけられないアリソン。友を失い、娘を亡くし、認知症が進行して不安に怯えている老女マーラ。
詩の形式で物語を綴るのはこの頃の英米文学の流行のようだけど、(単なる流行りではなく、スマホ、ネットに時間を割き、長い文章を読まなくなっている現代人に読んでほしいと工夫した結果ではないかと思う)この形式だからこそ、胸に直接響いてくる。
アリソンがいかに父の愛情を欲していたか。父親は支配的でありながら、精神面では大人とは言えないほど未熟。
マーラの心は何かをきっかけに今までの人生の哀しかったこと、嬉しかったことが現れ、それを隠したり押さえたりするのが認知症のために難しくなっている。派遣されてきている介護者はマーラは頭がおかしくなったと考え、彼女の言葉を真剣に考えない。全てハイハイ、という態度。息子は母の認知症が進行してまともな会話が成り立たないことに怒りを感じている。それら全てをマーラは感じ取っている。
なんともやるせない話ではあるが、後味はよく、何よりアリソンの成長と幸せが見えてくるのが良い。

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2022年01月02日

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誕生と同時に母を亡くし、父の虐待に耐えるアリソン。父のパートナーで母親代わりのケリーアンすら家を出ていってしまった。父親の暴力に耐えられなくなって家を出た先で、認知症のマーラに出会う。マーラがアリソンを昔の友人タフィーと思い込んだのを良いことに、アリソンはマーラの家に居候しながら傷付いた心を癒していく。

不思議な詩のような文体。ボリュームがあるのにあっという間に読めてしまう。でもアリソンの傷付いた心の有り様はくっきりと浮き彫りになっている。
タフィー。甘いキャンディのようなお話かと思いきや。ほろ苦いカラメルの効いた堅い飴でした。。。

10代からの海外文学、ということだったけど、10代の人が読むのと私が読むのとでは受け止め方が全然違うのだろうなーと思いました。

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2024年10月28日

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