三辺律子のレビュー一覧

  • ダリウスは今日も生きづらい

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    イランが舞台の話だか、出てくるのはゾロアスター教徒とバハーイー教徒。アザーンが響き渡る中で、街を眺める光景が、行ったことないけど目に浮かぶ。世界観に没入できた。

    ダリウスとお父さんとの関係。初めてできた親友ソフラーブとのやり取り。そして脳腫瘍を患い、死期の近い祖父との距離感。それらが全部、印象的だ。ソフラーブがとにかくいい奴なだけに、過酷な経験を強いられて、最後の方はかなり泣いてしまった。後半のお父さんの告白も。

    続編があるようなので、ソフラーブのその後が知りたいところ。

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    2022年07月01日
  • ダリウスは今日も生きづらい

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    高校2年のダリウスは、ポートランドにアメリカ人の父とイラン人の母と8歳の妹と暮らしていたが、ペルシア系という民族事情のために、学校ではいじめられることはあっても友だちはいなかった。7歳の時から始めたサッカーも、うつ病と薬のために12歳でやめてしまった。
    父親は建築家で、金髪碧眼の白人。ダリウスが、中学3年生のころには最適の抗うつ薬を探すためにたいへんな落ち込みを経験しなくてはならなかったし、今も薬のせいで肥満なのに対し、父親は、若いころからうつ病を患ってはいたものの、薬で完ぺきにコントロールできていた高機能超人なのだった。
    妹のラレーは、ペルシア系の顔立ちながら学校でも人気者で、ペルシア語も話

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    2022年02月01日
  • 翻訳者による海外文学ブックガイド BOOKMARK

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    これは自分の訳書『兵士たちの肉体』(パオロ・ジョルダーノ、早川書房)のレビュアーとして参加した一冊。おすすめです。ぱらぱらとめくれば、世界旅行とタイムワープが同時に出来ます。

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    2021年09月10日
  • ダリウスは今日も生きづらい

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    米国人の父とイラン人の母を持つ、米国の高校生ダリウス。生まれも育ちもポートランドでイランに行ったことはないのに、学校ではイランの出自をからかわれ、「自分の国」のことを知った方がいい等々言われる。かといってペルシャ語も出来ず、イランの祖父母とスカイプで話すのはなんだか気まずい。父親には全てに失望されているように感じ、鬱の症状は薬でコントロールしている…

    文体は軽い感じで、そこまで深刻には感じられないのだが、ちょっとした一言に傷つき、過去の「ちょっとした掛け違い」の集積に段々押し潰されそうになっているダリウスの気持ちが痛いほど伝わってきて、鬱とはこんなに苦しいものなのかと感じる。幼い妹を愛し、祖

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    2021年02月20日
  • 少年キム 下

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    ネタバレ

    19世紀の英領インドで育ったイギリス人孤児キム。チベットからやって来たラマと知り合い、弟子として矢の川を探す旅に出る。
    途中で英国エリートとして学校に通うが、クレイトン大佐や馬商人でスパイのマハブーブ・アリからスパイとしての才能を見いだされ、ラマとの旅を再開しながら、イギリスとロシアの覇権争いの中でのスパイ活動にも身を投じる。
    スケールの大きな冒険譚&少年の成長物語。
    壮大な自然やさまざまな人種や宗教が交わるインドの描き方も素晴らしいが、大国同士の思惑や人々の欲などがドロドロと描かれるなか、心美しいラマとのキムとの師弟愛の物語が際立つ。

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    2021年01月25日
  • 夜フクロウとドッグフィッシュ

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    おもしろかったー! 
    全編、書簡体(メール体)小説。

    父親同士がいきなり恋人としてつきあいはじめたふたりの少女、エイブリーとベット。性格も好みも何もかもが正反対なふたりは、はじめ、なんとかして父親たちを別れさせようとするが、互いに顔を合わせていやいやながら交流するうちに、すっかり仲よくなってしまい、姉妹になる日を楽しみに待つようになる。ところが……。

    途中から、話がワイルドに展開して、ゲラゲラ笑いながら読んでいたかと思ったら、うわーと息をつめてページをめくったり。最後にもまたびっくり。ストーリーそのものも面白かったし、「どういう形が家族で、どういう形がそうでないかは、だれにも決められないこ

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    2020年11月15日
  • 翻訳者による海外文学ブックガイド BOOKMARK

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    海外文学を読んでみたいけどとっかかりがないなぁーと思っていたので参考に。そそられるものがたくさんでした。読むぞ~!

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    2020年08月31日
  • 隠された悲鳴

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    ネタバレ

    儀礼殺人を扱った小説。小説の最初のほうは、なかなか読み進めることが難しかった。男性の考え方があまりにも、こちらと違いすぎて。胸糞悪い、という言葉がぴったりだった。
    アマントルが登場してから、どんどん読み進めることができたのに、ラストに打ちのめされてしまった。
    誰だれの母、誰だれの父、という呼び方が当然なのは、個人が認められていないように感じてしまう。けれども、それが普通の世界では疑問に思うこともないのだろう。

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    2020年03月27日
  • 隠された悲鳴

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    儀礼殺人というものを知らなかったので、人身売買の話かと思って読んだがとんでもなかった。
    最後の老人の告白で終わるのが、衝撃的過ぎて辛すぎて…
    今でもまだ行われているのか?怖すぎる

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    2020年03月12日
  • 翻訳者による海外文学ブックガイド BOOKMARK

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    英語圏一冊もない号が特に面白い!YAは懐かしいのが多い。自著、というか自訳書・自装丁本(ボキャブラリーが...)について紹介されているので熱があり、ただの本紹介を越えて読み物としての面白さあり。

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    2020年01月15日
  • 翻訳者による海外文学ブックガイド BOOKMARK

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    元々は冊子で無料配布していたらしいもの。それを集めて一冊の本にしたのがこちら。海外文学の紹介集by翻訳者。

    おいおい、こんな本手に取ったら積読本が増えるのは必然じゃあないか。中には読んだことのある「悪童日記」や、映画で観た「ハウルの動く城」や、読んだし観た「トレインスポッティング」やら魅力的な本がたくさん紹介されている。

    1度読んだだけでは確実に忘れてしまうので、買ってしまおうかと思案中。でも買うと積読本と観たい映画が増えてしまう。一生かかっても消化不良確実。

    オザワミカさんのイラストがシャレオツでカッコイイ。

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    2019年12月12日
  • 翻訳者による海外文学ブックガイド BOOKMARK

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    いつぞや、たまたま立ち寄った出張先の書店で、表紙のイラストと、CDサイズのかわいい装幀に惹かれて、”これが無料とは!”って、ちょっとビックリしながら手にしたのがBOOKMARKとの出会い。その号では、はじめ書きの担当が村上春樹のときだったんだけど、そんなビッグネームが寄稿しているのも衝撃だった。一冊にまとまったということで早速入手し、通読した次第。YA作品からガッツリ文学ものまで、かなり広い範囲からセレクトされている作品たちも見もので、かつ新刊という限定もないから、個人的には理想的な選出に思える。まだ触れたことのない作品が殆どだし、これからの大いなる参考としたい。

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    2019年11月18日
  • 翻訳者による海外文学ブックガイド BOOKMARK

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    翻訳本を翻訳者が紹介するというフリーマガジン12冊分が1冊の書籍になってます。

    フリーマガジンを企画・編集・制作した翻訳者お2人と、デザイナーでありイラストレーターであるオザワミカさんの鼎談も掲載されていました。

    鼎談で初めて知ったんですが、フリーマガジンBOOKMARKって、凄い部数印刷されているんですね!そして、人気があって手に入らないこともあるんですね!…私はオザワミカさんのギャラリーで、いつも苦労なく入手できていたから、そのありがたみを知らなかった!

    で、中身の話。

    実は、私は、このBOOKMARKを手に取る前までは、翻訳本をあまり読んでなかったのですが、翻訳者さんが書く紹介文

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    2019年11月14日
  • ぼくが死んだ日

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    通勤時に丁度いい文庫だと思った。

    「みんなの話を聞いて」 忘れられた墓地で 十代の十人の子どもたちが語る 彼らの生きた証から死ぬ瞬間までの物語。

    十人の子ども達が話す物語の中で私が特に心に残ったのは「ジーナ」の話。

    シカゴの名前はないが固い絆で結ばれた地域で「うそつき」呼ばわりされているジーナ。しかし、ジーナはぱっと浮かんでくる物語を語っているだけ。そんなジーナは転校生のアントニーと出会い、本当の嘘つきというものを知る。

    ヤングアダルト小説といっても奇想天外な死のストーリーの数々に引きづりこまれページをめくるうちにいつの間にか駅を乗り越してしまう危険性があります。

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    2017年11月10日
  • ぼくが死んだ日

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    夜中車を飛ばしてた少年マイク。
    偶然道で拾ったメアリアンに導かれ彼が辿り着いたのは、十代の子供ばかりが眠る忘れ去られた墓地。
    マイクはそこで幽霊となった子供たちが語る死に際に耳を傾ける事に……

    ジュブナイルなテイストのゴーストストーリー。文章は読みやすく茶目っけがきいている。
    一遍ごとに語り手が交代する連作短編集で、語り手の生前の境遇は勿論のこと時代背景や舞台設定なども各自異なっており、人喰いモンスターが巻き起こす騒動に兄妹が巻き込まれるB級パニックものから精神疾患の少年のグロテスクな妄想を扱ったサイコホラー、確執を抱く正反対の双子の姉妹が不思議な鏡に翻弄されるゴシックホラーまで、多彩な趣向

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    2017年08月24日
  • ぼくが死んだ日

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    ネタバレ

    怖い。ホラーは読みやすいほどに怖いと思うのだけど、作者は児童向けの物語も書いていると知ってなるほどなーと思いました。
    ラストでスコットが綺麗にまとめた感あるけど、エドガーだけは…モンスターはどっちかっていうと…
    あ、マイク死ななくて良かったね!

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    2017年05月28日
  • エレナーとパーク Eleanor&Park

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    手をつなぐだけでドキドキしたり多幸感に包まれる、初恋の感じを思い出させてくれた。エレナーの卑屈なところもよく分かるし、ラストもあれで救われた。とにもかくにも誰も死ななくて良かった。

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    2016年03月09日
  • ジャングル・ブック

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    自分がジャングルにいるみたい。動物が魅力的!狩りをするものは命を無駄にしない。自然の掟は容赦ない。謳歌することもできるし、厳しいときは容赦ない。誰にでも公平という意味で最もやさしいのかもしれない。

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    2015年09月27日
  • ジャングル・ブック

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    福音館書店古典シリーズの木島始訳(1979年)で読み継がれてきたキプリングの『ジャングル・ブック』がこの度新しい翻訳で岩波少年文庫になって出版されました。ジャングルで狼に助けられ育てられた人間の子、モウグリと、ジャングルの掟を教えるヒグマのバルーと黒豹のバギーラの物語は、今も読む者を引きつけていきます。キプリングが『ジャングル・ブック』と『続ジャングル・ブック』を著したのは1894年と1895年のこと。舞台となったインドのジャングルは大英帝国の植民地でした。そうした時代背景は今の子どもたちにはあまり意味をもたず、さまざまな解釈ができるファンタジーとして読んでもよいと翻訳者の三辺さんが訳者あとが

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    2015年07月28日
  • プークが丘の妖精パック

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    ネタバレ

    すごくワクワクさせられる、
    童心に帰ることができる本でした。
    もちろん読めたことに感謝であります。

    内容としては、
    古い歴史の物語を
    プークや歴史に出てきた人物その人が
    話してくれるものなのです。

    私は世界史こそ苦手ですが、
    そんな歴史があったことや
    いかにして駆け引きをしていったのか
    垣間見れて面白かったです。

    それと、ダンとユーナの兄弟が
    とてもかわいいのです。
    純粋な子供の心をもっていて
    でも、賢くて。
    (ダンはラテン語で大目玉を食らいますが)

    きっとワクワクさせられると思いますよ。

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    2014年02月17日