三辺律子のレビュー一覧

  • ゾウがやってきた

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    登場人物(および動物)それぞれの複雑な生い立ちや心情を無理なく説明的にならず描いている。宝くじの使い道としてはこれがベストなのでは。

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    2025年09月01日
  • ツリーホーンのねがいごと

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    作はフローレンス・パリー・ハイド
    絵がエドワード・ゴーリー

    内容はゴーリーのようにシュールではないけれど、この男の子はまさにゴーリーの世界にいる。

    この親子の関係が面白い。
    日本とはやはり違うね、子どもがしっかりしてる(笑)

    先に2作出てる、読むのが楽しみ。

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    2025年06月27日
  • ぼくが死んだ日

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    想像してたより展開が呪いの様なものだったりSFチックなものが出てきて、良い意味で裏切られた感。その中にも人間が1番怖い的なゾッとするお話もあったり……。
    少年少女1人ずつ死んでしまうまでのストーリーが展開されるのですが、中だるみせず最後まで一気に読み切っちゃいました。

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    2025年06月05日
  • ルビーが詰まった脚

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    『月のケーキ』より大人向けの印象。子どもが楽しめそうなのは「ハンブルパピー」。あとは「キンバルス・グリーン」くらいか。「葉でいっぱいの部屋」もいいかもしれない。ちょっと怖いけど。
    「上の階が怖い女の子」は救いはあるがかなり怖い。
    しかし「希望(ホープ)」や「聴くこと」はちょっと子どもには無理じゃないかと思う。「変身の夜」もシェイクスピアのセリフしか喋らない狼憑きの紳士というのが、子どもにはイメージしにくいかも。
    じゃあこの本はあまり良くないかというと、そんなことはなく、私は「希望」と「聴くこと」はかなり好きだ。特に「希望」。
    辛辣で愛想が悪く、人から好かれないオールドミスのハープの先生、ミス・

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    2025年05月21日
  • ツリーホーンのたからもの

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    ツリーホーンは、おこづかいで新しいマンガを買いたい。
    おとうさんにおこづかいをもらいたいと言うが、その間もおかあさんとしゃべっている。

    おとうさんは、金というのは、貯めるためにあるんだと使うためじゃないと言う。

    ツリーホーンは、庭の木のはっぱが、1ドル札になっているのを見つける。
    それをペンキぬりの人にも言うが、話にならない。
    おかあさんも、バーサおばさんも話を聞いてくれない。
    少しだけの1ドル札が、木にいっぱい1ドル札になっている。
    取りに行かなくちゃと思って、はしごを持って行きのぼるとそれはもう…。


    エドワード・ゴーリーのイラストが癖になるのは、奇妙なんだか小気味良いのか、なんだか

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    2025年05月18日
  • 月のケーキ

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    死者の世界とつながるような内容のお話や、ちょっと社会問題的にドラゴンやイマジナリーフレンズを扱ったようなお話など、、
    ちょっとホラーテイストだったりリアルな描写も交えつつ、基本的には童話的な書きぶりのお話が詰まっています。美味しそうな食べ物、豊かな自然の描写も美しく、私としてはとても大好きな本でした。
    同作者の他の作品も読んでみようと思います。

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    2025年04月08日
  • 月のケーキ

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    谷山浩子とか平山照継の書くお伽噺のような短編集。

    この世は単純ではなくときには残酷だけれども同時にミステリアスで神秘的で美しいと思わされる作品でした。ジョーン・エイキンの他の作品も読んでみようと思います。

    羽根のしおり
    銀のコップ
    にぐるま城
    が特に好きでした。

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    2025年03月13日
  • タフィー

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    父親の暴力から逃れ、家を出たアリソン。逃げ込んだ家には認知症の老女、マーラが住んでいた。マーラはアリソンを昔の友人・タフィーと間違えており、不思議な同居生活が始まる。
    心に傷を持つ二人が、理解を深めながら生活するうち、次第に心の傷が癒されていく。
    散文詩の表現が、アリソンの心の機微をよく表している。

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    2025年01月28日
  • タフィー

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    横書きの散文詩を繋げ一つのストーリーにした興味深い作品です。
    作者はアイルランドのダブリン生まれ。2015年に発表した『わたしの全てのわたしたち』でカーネギー賞を受賞しました。

    主人公は、虐待を繰り返す父親の元から逃げ出した16歳の少女アリソン。表紙に描かれた彼女の眼差しと赤くただれた左頬を何度も見返す読書となりました。 

    母親は産後すぐに亡くなった。
    父親の恋人のケリーアンが出て行くと、アリソンへの暴力はさらに加速する…
    彼女の嫌な記憶が蘇るたびに、読む手が止まり息が苦しくなりました。

    認知症を患うマーラから「タフィー」と呼ばれ同居生活を始めたアリソン。
    父親にいつ見つかってしまうか、

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    2025年01月29日
  • タフィー

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    ネタバレ

    散文詩形式で書かれた作品。読むのは難しくないのだが、読むのが辛かった。胸が苦しくなる内容。
    アリソンは支配的な父親の暴力から逃れるため、家を出るしかなかった。少し前に家を出た、父親の恋人を探したが、会えずに、古い家の納屋に潜り込む。家主は認知症のマーラ。マーラはアリソンの事をタフィーと呼び、部屋に招き入れた。
    アリソンの現在と父親との暮らしが交互に描かれ、マーラの過去も入り混じり、幻想的ですらある。しかし、次第に家族に問題を抱えている事がわかってくる。
    アリソンもマーラも言いたい事を我慢していた。孤独な二人は少しずつ歩み寄っていく。
    ギリギリの生活なのに、アリソンは悪い方へは流れないし、病んで

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    2025年01月21日
  • ローラ・ディーンにふりまわされてる

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    (恋人として)ダメなローラに振り回されるあの感じが自分の若かりし頃とオーバーラップして、苦しさ、切なさ、もどかしさが止まらない名作でした。
    恋する皆様にこれを読んで苦痛で床を転がりまわってほしい。

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    2024年12月18日
  • ローラ・ディーンにふりまわされてる

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    ひとりひとりが人生の主人公。こうした作品はひと昔前は中学生がおおっぴらに読めなかった。生き生きした会話と注も含めて読み応えがあり、序盤からドゥードルの変化が気になった。トーンが独特な雰囲気。

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    2024年11月30日
  • 翻訳者による海外文学ブックガイド BOOKMARK

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    海外文学の瓦版!それぞれの翻訳家によるビブリオバトルのような面白さ。
    ツマミ読みから選書するのも良いかも。が、どれも興味そそるコメントなので全作品読みたくなる。

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    2024年05月17日
  • お城の人々

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    とてもミステリアスな短編集。
    一つ一つの作品の設定が異なるため、中には「ん?」となる作品がちらほらあった。
    後ろの解説を読むとより深く作品について考えることができた。

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    2024年03月23日
  • タフィー

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    散文詩形式で書かれた小説は初めて読みました。
    主人公の心情が、まっすぐに心に刺さります。

    暴力をふるう父親から逃げ、行き場を失った少女と、独りで暮らす認知症の老女。
    こうした設定でありがちな心温まる交流ではなく、感動の結末が待っているわけではない。
    もっとリアルに、混乱しながらも力強く人生は続いていく。

    相手を利用することばかり考える若者と、厄介事を避けたがる大人たち。そんな世界で居場所を見つけるのは大変です。

    嘘を重ねるうちに自分の存在感が薄れてしまうアリソン。相手に求められる姿を演じ続ける自分を透明人間と呼ぶ。
    読者にも、事実と主観の境界があやふやになってきます。

    マーラの記憶は安

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    2024年03月08日
  • ローラ・ディーンにふりまわされてる

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    グラフィックノベルというジャンルらしい。(平たく言ってしまえば漫画)Lの主人公がBの恋人に振り回される展開なのだが、最後は自分の気持ちをみつけてくれてよかった。YA向け。

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    2024年01月24日
  • 翻訳者による海外文学ブックガイド BOOKMARK

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    若者向けの本が多く紹介されていて、読書が得意でない自分でも、この本なら読んでみたいかも、と思えるものが多かった。
    海外文学作家を知るきっかけが、書店に足を運ぶ以外にほとんどないので、訳者本人の推薦の言葉が読めるのは、とてもありがたい。

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    2023年11月14日
  • ダリウスは今日も生きづらい

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    タイトルからどんな話だろうと興味を持った。
    高校二年生のダリウスは、米国人の父とイラン人の母、可愛い妹とポートランドに住んでいるが、日常生活に生きづらさを感じている。
    脳腫瘍の祖父を見舞うためイランのヤズドを初めて訪れる。

    最初は読みづらかったが、テヘラン空港に着いたあたりから俄然面白くなり、税関官その2とのやりとりでは思わず笑ってしまった。

    行ったことのないイランに旅した心地がする。
    ヤズドの街を歩き、遺跡や建造物を眺めアザーンを聞く。祝いの行事で出されたお茶とお菓子の甘い香り、マモーが作った美味しいペルシア料理と優しいハグの温もりが、ダリウスの頑なな心を解きほぐしたのだと思う。

    ヤズ

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    2023年09月26日
  • ダリウスは今日も生きづらい

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    イラン人の母と白人の父を持つ16歳の少年ダリウスは、いじめを受けているうえに鬱病も抱え、とにかく生きづらい。
    祖父の病気を見舞うため、数か月イランに行くことになり、そこで親友ができたことをきっかけに人生の感じ方が少しずつ変わっていく。
    ダリウスの心情が丁寧に綴られている。美しいイランに行ってみたくなった。
    ウィリアム・モリス賞等受賞作。

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    2023年09月26日
  • タフィー

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    設定の妙がある。
    父の暴力から逃げる娘。認知症の独居老人。

    一筋縄ではない。とくに娘。何をしていても不安しかないはずなのに、心が通う瞬間がある。彼女の心の健全さゆえだ。

    最後は物語を抱きしめたくなる。

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    2023年09月04日