三辺律子のレビュー一覧
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深夜のシカゴ郊外を自動車で飛ばしていた16歳のマイクは、突然現れた少女に導かれ、うち棄てられた墓場に辿り着く。怯えるマイクの元に、早すぎた死の物語を聞いてくれと霊たちが続々集まってくる。そこは十代の子どもばかりが埋葬された墓地なのだった。古今の物語をマッシュアップしたヤングアダルトホラー。
面白かった!枠物語はジェントルゴーストものだけど、墓地の子たちの来歴はちょっとワルい話しが多くて、例えるなら『チャーリーとチョコレート工場』で脱落してった子たちの話を本人視点で聞くような感じ。
語り口の書き分けが上手で、思いっきり現代のティーネイジャー口調の子もいれば、ことあるごとにシェイクスピアを引用 -
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ニューヨーク在住のベイヴリーへ知らない人からメールが届く。カリフォルニアに住む同じ12歳のベッドから。
「そっちのお父さんとうちのお父さんは、付!き!合!っ!て!い!る!!!」
お父さんたちは娘たちを同じサマーキャンプに送り込み仲良くさせようとも目論んでいる。
そんなの絶対いや!
それから二人のメール交換がはじまった。
本文はメールのやりとりで構成されている。
だから横書き。
父親たちの思惑を阻止しようと協力する中で、意に反して仲良くなっていく2人。それなのに…!
ベットとベイヴリーがすごい。子どもは大人の都合の中で生きている。だから与えられた状況の中で最善に向けて努力し、大人への配慮をし -
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ネタバレキムは学校の休暇の際にスパイとして必要となる技術を学び、仲間の何人かとも顔を合わせる。3年間で学業を終了し、ラマと再び矢の川を探す旅に出る。ラマが故郷の高地の話をたびたび持ち出すので、キムは高地への旅を提案する。元気のなかったラマが高地ではキムよりも早く歩くのが面白かった。実は高地へ向かったのはスパイ活動のためでもあった。旅の途中で初めて会った仲間を助けたキムの評価は高く、それを聞いたハリィが高地に一緒に行って欲しいと頼み込んできたのだ。やがて、ラマを巻き込む事件が起こり、キムもラマもフラフラで高地を後にする。
キムの自分は何者なのか、という問いは世界中の人々の悩みだろうと思う。キムは周りの人 -
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ネタバレ英国人の孤児キムはインドで育ち、貧しいながら楽しく暮らしていた。その頭の回転の速さや感の鋭さが買われて、金持ちの馬商人の秘密の任務を手伝うことになる。それはスパイとしての適性をはかることでもあった。馬商人は英国のスパイだった。
ある日、チベットからやってきたラマ(僧侶)を助けたキム。ラマが嘘をつかない信じられる人だ、聖なる人なんだ、と思う。そして何故かラマはキムのことを弟子と呼ぶ。キムは自分の目的のため、ラマの聖なる矢の川探しを手伝う事にする。
キムが口から出まかせを次々と繰り出すのが面白く、ラマは、キムのにじみ出る人の良さに、いつしかキムを息子のように愛するようになる。
その旅の途中で偶然キ -
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冷たい海で溺死したセスは、気付けば幼少時に住んでいた家で目が覚める。しかし他には人は誰もおらず、家の中や町は何年も放置されていたように風化していた。これは夢なのか。それとも今までが夢だったのか。
いきなり主人公の死から始まり、よくわからない世界で目覚める。世界設定もわからなければ、この物語が果たしてどんなジャンルのものかもわからず展開されていきます。
眠りにつくと現れる過去の記憶。そこでは16歳の少年の様々な葛藤が出てきます。その部分だけでも、10代の心の揺れや脆さを描いたYA作品として成り立ちそうです。
しかしそれは物語を構成する一部分に過ぎないのです。
ファンタジーなのかミステリなのか -
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ボツワナの最高裁判事であるユニティさんが、在任中に書かれて小説。
本当にあった儀礼殺人をもとに書かれたもので、フィクションとして書かれていたが、とてもリアリティを感じた。
アフリカでは儀礼殺人とか儀式殺人といって呪術師の指導の元人体の一部を供物にしたり、食べたりすることによって富を得たり、力が増すと信じられている地域がある。
なんと迷信じみている内容ではあるが、一部の人に信じられ実際にそのために幼い子どもが殺されることもある。
その殺人に関わった人を実際に裁判で担当したかどうかは定かではないが、女性初の最高裁判事となりボツワナのさまざまな現状を見てきた著者が書いただけあって、
女性や子 -
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不幸にして十代で死んでしまった子供たちの幽霊が、自分たちが死ぬに至った物語を順に語っていく連作ホラー。リアルに恐ろしく悲しいものや、どこかしらシュールながらやはり恐ろしいものや、さまざまなテイストが楽しめます。そしてその物語を聞き続ける少年マイクがいったいどうなってしまうのか、というところも読みどころです。
さまざまな怪奇小説の要素がたっぷり含まれているのもまた読みどころです。「サルの手」なんかはあまりにわかりやすいけれど。それ以外にも、ホラー好きならぐぐっと引き込まれるガジェットがいっぱいでした。
お気に入りは「ジーナ」。これが一番やるせなくてつらいなあ。リアリティという意味ではもっとも恐ろ