あらすじ
16歳の少年セス(主人公)は、ある日いきなり、誰もいない町で目を覚ます。
溺れたという記憶しかなく、服すら着ていない。飢えとのどの渇きに苛まれつつ、町を歩き回るうちにそこが以前住んでいたイギリスの田舎町だと気づく。
なぜここにいるのか? なぜ人間が一人もいないのか? 家族はどうしたのか? なぜ裸なのか……?
ガーディアン賞、コスタ賞、カーネギー賞受賞作家、今世界でもっとも注目を集めるパトリック・ネスの全英ベストセラー、待望の邦訳化。
読者を最後の最後まで翻弄しつづける、予測不能なボーダーレス・ノベル最新作!【※本作品はブラウザビューアで閲覧すると表組みのレイアウトが崩れて表示されることがあります。予めご了承下さい。】
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
冷たい海で溺死したセスは、気付けば幼少時に住んでいた家で目が覚める。しかし他には人は誰もおらず、家の中や町は何年も放置されていたように風化していた。これは夢なのか。それとも今までが夢だったのか。
いきなり主人公の死から始まり、よくわからない世界で目覚める。世界設定もわからなければ、この物語が果たしてどんなジャンルのものかもわからず展開されていきます。
眠りにつくと現れる過去の記憶。そこでは16歳の少年の様々な葛藤が出てきます。その部分だけでも、10代の心の揺れや脆さを描いたYA作品として成り立ちそうです。
しかしそれは物語を構成する一部分に過ぎないのです。
ファンタジーなのかミステリなのか死の世界を描いたものなのか、はたまた精神世界を描くことで青春の姿を描こうとしているのかと翻弄されながら読み進めていると、中盤でがらりと世界が変わるのです。今まで読んでいた世界がひっくり返るのですが、それで世界に光が射し全てが明らかになるわけではないのです。
まだなにかある。そのタイトルが示すように、次から次へと驚愕と謎と闇が出てきます。もがいても抗っても、まだなにかあるのです。それは10代の心や日常を暗喩しているのかもしれません。抜け出せないかも知れない、飲み込まれるかもしれないなにか。
それでもセスは進み考え決意します。そこには世界設定やジャンルを超えて、ひとりの少年の姿が描かれているのです。
Posted by ブクログ
(上巻の感想に関連して)もしカテゴライズするなら、ディストピア小説なのかなと思った。
最初から最後まで予測のつかない展開で、次に何が起きるのかが気になり、ページをめくる手を止められなかった。
ちょっと辛くて苦しく感じる部分もあったけれど、とても面白い作品だった。
自分の内面をじっくりと静かに見つめている人じゃないとこういう作品は描けないんじゃなかろうか。
Posted by ブクログ
はたしてセスが目覚めた世界は、どこなのか。どの世界が現実なのか。ひたひたと押し寄せる恐怖感がありながら、セスの真実も知りたいし救いもほしくて、どんどん読んでしまう。
これは、SFなのか精神世界の話なのか。怖さと希望の残る読後感は、初めての感覚かもしれない。
感想の書きにくい作品だった。
Posted by ブクログ
なんなんですかー!?
まさに「まだなにかある」ですよ!
それぞれの辛い人生を生きてきた彼らの新しい人生が始まるのかもしれないけど、ここで終わりなんて……