高見浩のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
植民地支配の醜悪さがきつい。
何度かヨーロッパに戻れる機会があったのに、思いとどまったクルツの心情を考えながら読む。
未開の地に西洋文明を教示、ついでに象牙で一儲けのつもりが、身も心も自らが軽蔑する蛮人以下になってしまう。身を守るために残忍にならざるを得ない、ジャングルの圧倒的な自然と、そこに住む人たちのわけのわからなさ。
多面的でいろんな読み方ができる本だと思うけれど、逐一、対比がはっきりしているのでストーリーや会話の意図はとりあえずは読み取りやすい。
例えば船に乗組員として乗せた食人族が、白人のマーロウ達を飢えていたとしても襲わなかったこと。それに比べてクルツが奥の駐在所の入り口に無数の生 -
Posted by ブクログ
ネタバレ誰もが知る語り継がれている作品を教養としても読んでおきたいと思う今日この頃。
やっと読めた。
老人とカジキをはじめとする大きくくくると海との戦い。海は、老人にとって大きな存在であり、敵なのか仲間なのかわからないが思い入れのあるものというのもとても伝わってくる。
タイトルの通りで、とてもシンプルで展開のわからなさはないし、ミステリー好きとしては、その要素との違いにソワソワするところがあるが、なんかワクワクする。釣れるの釣れないのか、どこまで持って帰れるのか帰ってこれないのか、それぐらいの択数のストーリーしかないのだが、退屈しないのが不思議だった。
解説を読んで、なるほどとなるところもまぁまぁ -
Posted by ブクログ
ネタバレ短編ながらも読み応えがある一冊
周りに見向きもされない老人が運がいい日だと言って遠い沖まで漁をする。
巨大なカジキを獲るチャンスを得て数日間、今までの人生を振り返りながらカジキとの戦いを行う。
必死の格闘の末、カジキを得るが、サメの群れにカジキを食われてしまう。
最後、悲しみのあまり泣いてしまった。
順風に行ってるとは思えない老人が、
やっと希望が見えると思えたカジキを獲るチャンスだったが、獲たあとサメに喰われてしまうのがとても悲しい。
違う状況であるだろうがこのような場面を経験する人はいるだろうと思った。
こうゆうときに負けずにサメと格闘しているのがカッコよく見えた。
しかし、老人がカジ -
Posted by ブクログ
聞いたことはあっても読んだことは無かった。
表紙のデザインに惹かれて購入。
題名通り、衰えと知識経験を兼ね備えた運の無い老人が、海の様々な命と向き合う姿。大魚との戦い。海と次の世代に触れ合う物語。
初めて海外の小説を読んでみて、正直最初は困惑気味で内容が上手く入って来なかった。
あれー、あんまりかなーと自分の読書センスの無さと一緒に気分を下げていった。
読み進めていくうちにだんだんと理解した。
他の作品、日本の作家さんのものと違う所は(そもそもあまり読んでいないため知識不足な所はある)自分の外側を強く丁寧に描いているところ。もちろん内面的な心の動きや記憶の描写もあるが、手にとった綱の感触 -
Posted by ブクログ
正直物語としては面白くない。
なので、楽しい話を求めて読む本ではないと感じた。
しかし、老人の強さは憧れを感じた。
衰弱してもなお、不屈の精神を持って戦い続ける姿は、見習うべき強さだった。
随所に出てくる老人の成熟した精神力はまさに、今の自分が求めているものだった。
人生において知恵や強い精神は永久に残るもので、それこそが人生を豊かにしてくれるものなのだと感じた。
最後のライオンの夢を見続けているというシーンはすごくカッコよかった。
この作品を読んで、僕は人生において大切なのは、地位や名声ではなく、自分が自分に満足できる、自分だけの価値のあるモノを見つけることなのだと感じた。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ【2025年65冊目】
レクター博士への復讐に燃えるメイスンは、クラリスを囮に博士を誘き出す算段を整えつつあった。そうして捉えた博士を豚に食わせ、その様子を彼自身に観察させる――。一方、クラリスはでっち上げの罪によりFBIを追われかけていた。上司であるクロスフォードは病に伏し、彼女を擁護できるものはいなくなっていく…たった一人、レクター博士を除いて。
映画と原作が少し違うということは織り込み済みで読みましたが、面白かった!レクター博士がプレゼント持ってきたのに捕まった時、残された手紙を見てなんかぐっと来てしまいました。恋じゃねぇか…。
メイスンの最期も映画とは違いましたが、原作準拠にすると -
Posted by ブクログ
【2025年64冊目】
皮剥ぎビルの事件から7年、FBI特別捜査官となったクラリス・スタンフォードは麻薬組織摘発チームの一人として現場に向かっていた。慎重にことを進めていたはずが、蓋を開けてみると情報は筒抜けで、クラリスは銃撃戦の末、組織の女ボスを射殺する。赤子を抱いた彼女を死に至らしめたとして、糾弾されるクラリスだったが、一人の男の進言により事なきを得る。それはかつて、レクター博士による被害を受けたメイスン・ヴァージャーだった。復讐を誓う男の手は、逃亡の末フィレンツェに潜伏するレクター博士に延びつつあったが…。
こちらも映画を見てから読みました。相変わらず原作リスペクトなことがよくわかりま -
Posted by ブクログ
【2025年63冊目】
誘拐された娘を救出するため、上院議員はレクター博士に面会し、取引の上で情報を引き出す。一方でクラリスは、訓練生としての地位が危うくなりつつも、独自の捜査を続けていた。再びレクター博士に面会したクラリスは、彼の発する言葉からヒントを得て、犯人の思考、過去の被害者の身辺に肉薄していく――。
一気読みでした。映画のシーンを思い出しながらでしたが、クライマックスの建物内での描写にはハラハラさせられました。クラリスと犯人視点の両方が描かれてるのにシームレスに視点が切り替わるのが見事でした。翻訳者の方の腕も良かったのでしょう。
しかし、レクター博士の滲み出る色気はなんなんでしょ -
Posted by ブクログ
【2025年62冊目】
連続女性誘拐皮剥事件が世間を賑わすアメリカ。FBIの訓練生であるクラリス・スターリングは上部の要請で、ある一人の男を訪ねる。男の名はハンニバル・レクター。殺人を犯し、被害者の人肉を食べたことで精神異常犯罪者用病院に収監されている。クラリスは皮剥事件の犯人を割り出すため、レクター博士と応酬をすることになるが――。
映画を見て「これは原作も読みたい!」と手に取った一冊。映画、結構原作に忠実に作られてたことがわかってまずはにっこりしています。映画でハンニバルを演じたアンソニー・ホプキンスを思い浮かべながら読んでいました。あの人、色気すごいですよね…。
連続皮剥事件の犯人の