高見浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
映画は見てない。
おい、レクターさん…というよりも、いやハリスおじさん…と言いたくなる。
ハリスおじさんは、最後の章を描きたさにそもそもの初めから設定したんじゃないだろうか。
クラリスは羊〜での活躍からFBI捜査官になれたわけだけど、ヒール役(もはや精神的SM相手)のクレンドラーの妨害なんかもあって、出世どころかやりたい仕事もままならず、メイスンの件でだんだんとダークサイドに落ちていく。
羊〜ではあんなに重要ポジションだったクロフォードの存在感が薄れていき、レクター博士の存在が大きくなる。
(クロフォードの扱いが前作に比べてぞんざい過ぎて、出さなきゃいいのにレベルなのが個人的に悲しい)
父性に憧れ、また裏切られながら、問題の最終章に向かっていくクラリス。
ジョディー・フォスターが大成功を収めた羊〜の続編である本作の映画に出演しなかった理由の一つに、今作では彼女はモンスターになってしまった、と述べている理由がわかる気がする。
前作から一気読みしたせいで、最初のクラリスは何だったの…と思ってしまうけど、これはこれでハッピーエンドであることは間違いない。 -
Posted by ブクログ
レクター4部作のうち、3作目。前作の「羊たちの沈黙」では、監獄の中にいて、自由のない牢の中でも、精神的な自由を謳歌していたレクター博士。そんな彼が外の世界に飛び出し、肉体的にも自由な生活を営んでいたのが今作だ。その天才性を存分に発揮し、自らの欲望をとことんにまで追求していく彼の姿は、間違いなく「悪」なのであろうけれど、その中に「美」を感じてしまうのは、その彼のエゴイズムがあまりに純粋だからなのだろうか。
上下巻のうちの上巻である。前作よりもよりダイナミックにキャラクターが動きだし、エンターテイメント性は増している。初見でも問題ないと思うが、「羊たちの沈黙」を先に読んでおいてよかった、と思っている。だけれども、「レッドドラゴン」を読んでいた方がもっと面白いのだろうか?(上巻では、ウィル・グレアムの名前などは全然出てきていないが) -
Posted by ブクログ
有名な映画の原作。映画版は未見で、前作は既読だが内容をあまり憶えていない。そもそも、海外ミステリイにふだんあまり馴染がない。そんなわたしでも、本書がもつ魅力にはすぐに圧倒されてしまった。なにより、ハンニバル・レクター博士が凄い。犯罪者としても博士としても究極的な存在で、クラリス・スターリングとの会話にはとにかく唸らされてしまう。クラリスをじっさいに動かしているのはレクター博士といえるわけだし、その博士の作中での最後といい、どうもわれわれ読者も博士の手の上で踊らされているに過ぎないのではないだろうか。こういう人物像ひとつとっても、並大抵の小説ではないと思う。また、一般的にレクター博士はサイコ的な側面が強調されがちであるが、本作はミステリイとしてもなかなかよくできていると思う。ただ、もうちょっと事件を直接的な契機とした解決法であればなおよかったのだが。とはいえ、本作の完成度が高いことは間違いないし、そもそも猟奇的な殺人犯を、魅力たっぷりに描き出すことは相当難しいはず。それを簡単にやってのけるところが著者の真骨頂である。寡作は惜しいが、だからこそ全作品を制覇してみたいとも思った。