高見浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大英帝国の繁栄を担う貿易商社員がコンゴの奥地のジャングルで目にしたものは、誰もが目を背けたくなるのような現実だった。19世紀のヨーロッパの植民地主義は、文明的、人間的に劣後した地域をキリスト教的な理想主義のもとに啓蒙するという高邁な使命によって、貿易利益の独占、資源的搾取を覆い隠すような陳腐なショーであった。クルツというヨーロッパ人を象徴として、人間性の闇、文明人が未開人になり、未開人が文明的になるその皮肉を、陰鬱で明快な表現で書き上げている極めて歴史的価値が高い一冊。ヨーロッパの植民地主義を人文的に一考する上で、欠かせない一冊であろう。
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購入済み
迫力ある作品だったので星5つの評価をつけますが、ハンニバルは私には最後まで謎のままの存在でした。
単純に捉えれば、感受性の強い戦争孤児だった少年が、妹を殺し、その肉を食べた人物たちへの復讐という理由で殺戮を繰り返すストーリーなのでしょうが、そう簡単には割りきれず、ハンニバルと接する大人たちも皆ハンニバルのふしぎな正体を見極めようと苦悶しているように感じました。
ミーシャと共にハンニバルは死んで怪物が生まれたという意見。
紫夫人の「あなたに人を愛する何が残っているの?」という言葉。
色々印象に残ったシーンはありましたが、
私には、鳥かごの鳥を放しながら、
「バルト海はそっちだよ、もう二度と戻ってくるな」と言っているハンニバルの言動が強く印象に残りました。
感慨深い作品です。 -
購入済み
クラリスはどうなってしまうのだろう、クラリスにはあまり酷い運命を突き付けないでほしい。
レクター博士もまたどうなるのだろう。逃げきれるのか、捕まるとしたら誰に?
ハラハラしながら読みましたが、ラストだけは想定外で、ワンダーランドに入ったようなふしぎな感覚でした。
このラストはずるいぞと思いながら、なんだかほっとしたり、安堵する自分がいました。
本当のクラリスはどこにいるのか?
目覚めているのか?
クラリスとレクター博士の生涯が尽きるまでに、まだ何が起こるかわかりませんが、私もバーニーのように詮索せず、本を閉じます。
「知りすぎないほうが」ですね。 -
Posted by ブクログ
羊たちの沈黙、レッドドラゴンと読んできて、
さぁ待ちに待ったハンニバル。ようやくレクター博士が主役の本編にたどり着いた感じだ。
前作で盛大に脱獄したレクター博士は、別人になりすまして優雅な逃亡生活を送っている。猟奇的殺人を犯しながら。FBI捜査官クラリス・スターリングに手紙を送るレクター博士。愛情なのか支配なのか、殺して食べたいのか。その真意は何なのか。
スターリングと対峙する時が迫って来る。
復讐に燃えるメイスンもかなり不気味で残虐だ。怖さを引き立てる。
この順番で読んで正解だった。レクター博士とスターリングの過去の関わりを理解できるからだ。そして私もレクター博士が好きなのだと気づく。
下巻が楽しみだ。一気に読もう。 -
Posted by ブクログ
ホット・ゾーン
エボラ・ウイルス制圧に命を懸けた人々
著:リチャード・プレストン
訳:高見 浩
ハヤカワ文庫 NF559
恐怖、それもこれから起こるかもしれない恐怖です。
致死率10%~90%といわれるエボラ・ウィルス群を扱うノンフィクション
ごめんなさい、小説として読んでいる方、ネタばれになっています。
本書の構成は大きく3つです
①エボラウィルスの概要
BSL-4:BioSafety Level4
有効な治療方法も、ワクチンもなく、致死率が非常に高い病原体を扱う設備をいう
BSL-4の中でも、エボラは極めて危険なウィルスである
現在では、2018に発生したコンゴのアウトブレーク時にワクチンが使われています
抗体の投与や、抗生物質などの特効薬が知られています
1976年スーダンで発見されてから、2019年まで30回アウトブレークが起きています。
その場所はコンゴからルワンダに至る、キンシャサ・ハイウェイの北側もしくは、周辺で発生しています。
HIVを含めて、受け入れた病院を壊滅させ、村が全滅するほどの猛威を振るいました。致死率は35%~90%です。
ある村の壊滅では、どうもエボラと、HIVとは関係があるのではないかと記載がありました
・フィロウィルス科
マールブルグ・ウィルス 致死率25% 最初に発見された
エボラ・ザイール 致死率90%
エボラ・スーダン 致死率55%
・エボラの症状
感染してからの潜伏期間は4日から一週間。まず頭が痛くなり、吐き気がする
嘔吐物には、赤い粘ついたものが混じり、血を交えたそれは、黒色吐物である
血管中に血栓が生じ、肝臓、腎臓、肺、両手足、頭の中は血栓でつまりつつある
やがて、血管破裂して、動脈血があたりにばらまかれるようになり、死に至る
死後は、死体が変質していく、組織がゼリー状に柔らかくなる
エボラウィルスはたった7種類の異なったタンパク質で構成されている
それは3種までにはある程度、解明されている。しかし、残りの4種については全く未知でありそれらの
構造と機能は謎である
②アメリカモンキセンターでの闘い
・USA バージニア州レストンにあるレストン検疫所のモンキセンターで、フィリピンから輸入された、猿が次々に不可解な病気で死んでいく不可解の事件が発生した
・その謎を解くために、検疫所の職員が、調査を行ったのだが、その結果は恐るべきものであった
・検体をマールブルグ、エボラ・ザイール、エボラー・スーダンの特殊な化合物で検査した
・その結果、モンキーの死因は、なんとエボラ・ザイール株であることが判明した。
・アメリカ陸軍伝染病医学研究所と、CDC アトランタにある疾病対策センタによる対応が始まった
彼ら選択した結論は、モンキーセンターにいるすべてのサルを人間に影響が及ぼす前に、処分することであった。
・こうして、1カ月間、モンキーセンターで猿を処分するための闘いが続けられた。
・万一サルにかまれた場合は、<バブル>と言われる隔離設備に収容され、そこから、CDCの<スラマー>に移される。運が悪ければ、そこからLevel4 の死体置き場である<サブマリン>に送られるのだ。
・感染しているだろうと思われた男は結果陰性であった。彼の尿と血液は、エボラの検査には反応しなかったのだ。
・結果、飼育係などモンキーセンターに勤務していた4名の職員はエボラに感染されていたが、幸いにも発症しなかった、この株は、サルには猛威を振るうのに、人間には何も影響を及ぼさないエボラであったのだ。
しかし同時にこの種は、飛沫感染でも感染ができる種であることが判明した
なぜなら、別室にいて、接触のなかったサルも、エボラに犯され亡くなっていたのだ。そして2つの部屋は空気ダクトでつながれていた。
・こうして、フィロウィルス科にもう一つのエボラ株 エボラ・レストンが加わった
・エボラ・レストンは、エボラ・ザイールとは区別ができないほどにかよっていた。だが、幸いにも、人間には無害なウィルスだった。
③その後
1976年のアウトブレイクなどで、その発生源となったであろう、ウガンダ・ケニア国境にある、エルゴン山のキタム洞窟の調査が行われたが、何もわからなかった
そして、アフリカが発生源であったエボラに、なぜ、フィリピンの猿が感染されていたのかも。
エボラは、すでに、アフリカからアジアへと広まっていたのではないかというのが仮説である。
エボラ・レストンは幸いにも人に対しては発症をしないのであるが、著者は重大な示唆をしている
エボラ・レストンは、空気感染でも、繁殖しうる、たちの悪い株なのだ。
エボラ・レストンが変異して、人類に対して猛威をふるう変株が現れたら、全世界に7日で広がってしまう
そして、最悪のシナリオは、全世界の71億の人類の90%の生命が失われることとなるかもしれないのだ。
目次
本書への賛辞
第一部 エルゴン山の影
第二部 モンキー・ハウス
第三部 制圧
第四部 キタム洞窟
追記 2014年エボラ・アウトブレークに際して
解説/岩田健太郎
ISBN:9784150505592
出版社:早川書房
判型:文庫
ページ数:496ページ
定価:1060円(本体)
2020年05月25日発行
2020年06月10日2刷発行 -
Posted by ブクログ
ネタバレとても面白かった。
上下巻を一気読み。
サイコパスの代名詞、レクター博士はやっぱり凄かった。
FBI捜査官訓練生のクラリスが、刑務所に収監中の狂人サイコパスのレクター博士との面会から連続猟奇的殺人の犯人像に迫っていく。
とにかくレクターの狂人ぶりが、エグすぎる。
精神科医でありながら、患者を何人も殺害し、独房に収監されている。隙を見せた看護師の顔を噛みちぎったり、置き忘れのボールペンを使い刑務官を襲ったりと、危険極まりない。
脱獄のやり口には、驚くばかりだ。
でも魅力的で憎めない。信用したくなる不思議なキャラだ。
一方、クラリスは優秀な訓練生だが、派手さの無い田舎出の女性。何故かレクターはクラリスを受け入れ、面会を続けていく。レクターの言葉のひとつひとつが謎かけのようだ。
訓練生という立場でままならない中、行方不明者を助けたい一心から、クラリスはレクターの言葉を基に単独で捜査を積み重ねていく。
そして…
ハラハラ、ドキドキの展開で、ページをめくる手が止まらなかった。
殺人の動機、方法が猟奇的で残酷。気持ち悪い。
海外では起こりそうな事件ではある。
レクターが脱獄したままなので、これから何かが起こるにちがいない。それにクラリスを放っておくようには思えない。
是非、続編をトマス・ハリスの作品の中から探して読みたいと思う。
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Posted by ブクログ
ヘミングウェイの集大成ともいえる作品。2冊目にこの本を選んだのは順序的におかしいかもなと思ったけど、多分これから著書を読むにあたって理解の補助になるだろうと思い、むしろプラスになるのではないかと思ってみたりする。
やはりヘミングウェイの書く文章は明快で生き生きとしていて、さも自分自身がその世界に入り込んでいるかのように感じられて好きだ。もしかしたらリラでのエヴァン・シップマンのトルストイのくだりにあるように、翻訳者の手腕も一因としてあるのかもしれないが...。
この本を通じてエズラ・パウンドやスコット・フィッツジェラルドなどの著書も読んでみたいなと思ったし、リラにも行ってみたいと思った。私のやりたいことが増えたことが読んで得たものの中で1番大きいことだろう。
私にとってのa moveable feastは多分熱海だと思う。ただ、訪れた場所が少ないこともあり、比較対象が少ないため、これから色んな場所に行って、真のa moveable feast見つけたいな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレレストン事件で封じ込めが成功したから人的被害がなくて済んだのかもしれない
失敗してたら感染が広がるうちに、マールブルクウイルスや人に害を与えるエボラウイルスのような凶悪なウイルスに変異していたかもしれない
コロナウイルスがどんどん変異しているように
レストン事件だけに限らず、未知の恐ろしいウイルスに立ち向かってくれた人達に感謝しかない
解説に書いてあった、エボラウイルスよりコロナウイルスの方が人を殺しているという部分、エボラウイルスより、他の凶悪なウイルスより致死率が低いから、症状が軽いからと甘く考えてはダメだなと思った
今、感染者が減りつつあるとはいえ、自分に出来る予防策はしっかりしておこうと思う
いつ、どんな風に変異するか分からないから -
Posted by ブクログ
ナショナル・ジオグラフィックが完全ドラマ化した『ホット・ゾーン』の原著。
1989年。アメリカの首都ワシントンD.C.にほど近いヴァージニア州レストンの研究施設で、フィリピンから輸入されたカニクイザルが大量死した。USAMRIID(アメリカ陸軍感染症医学研究所)は、その死因が当時は致死率90%と言われた「エボラ出血熱」であることを突き止める。1970年代に中央アフリカで発見されたエボラウイルスによる感染症「エボラ出血熱」が初めてアメリカ本土で確認され、専門家たちが戦慄したレストン事件。
ナラティヴ・ノンフィクションの醍醐味を存分に楽しめる一冊。翻訳も解説も文句なし。これだからハヤカワノンフィクション文庫は大好きだぁー -
Posted by ブクログ
ネタバレ息を詰めて、怖すぎるのに読むのをやめられない、すごい本でした。美しいアフリカの風景を絵画のような描写で綴る同じテンションで不幸な感染症患者の凄惨な末路を淡々と描いている、これがとても恐ろしい。想像上の話ではなく、実話であることも怖さに拍車をかけている。実在のウイルスは人の想像のはるか上をいく、獰猛で容赦のないものなのだと思った。
自然破壊の上人間の世界が熱帯雨林の奥深くまで侵入してしまったことが、未知のウイルスが出現した理由ではないかとされているが、増えすぎて悪さばかりするようになった人類に対し、地球の免疫システムが作動して殺人ウイルスが出現しているのではないかという感慨には同意しかない。